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Electronic Entertainment Expo 2004現地レポートMicrosoftブース Xboxレポート |
会場:Los Angeles Convention Center
■ 日本では想像できないような盛況ぶりだったMicrosoftブース
例年通り、MicrosoftブースはLos Angeles Convention CenterのSouth Hallの奥に位置取られていた。ただ、今年のMicrosoftブースは、例年と大きく趣向が異なる構造となっていた。まず、ブース全体を壁で仕切り、一件クローズドブースのような構造となっていた。そして、ブース内部には、イベント用のステージや派手な映像装置などはほとんど用意されず、150を超える試遊台が整然と試遊台が並んでいるだけ、とったい感じだった。とはいえ、その構造自体が非常に有効な演出効果を生んでいた。
来場者は、決められた1カ所の入り口から入場し、ゆるい坂道を登ってブース内に入っていく。坂道はトンネル状となっており、そこからはブース内部は見えず、トンネルを抜けると、一段高い位置からブース全体が初めて一望できるようになる。すると、ブース内に並ぶ膨大な数の試遊台と、それに群がる多数の来場者が否が応でも目に飛び込んでくる。その様子を見た人のほとんどが、カメラを取り出しその様子を撮影しようとするほどで、来場者の視覚に訴える効果は絶大だ。
ブース内部の様子だが、まさに人の波が押し寄せるがごとく、Microsoftブースに来場者が殺到し、開場から30分も経たない間に来場者で埋め尽くされた。はっきり言って、日本におけるXboxの状況を考えると、この盛況ぶりは到底想像できないはずだ。今回Microsoftブースに展示されていたプレイアブルタイトルは、ファーストパーティタイトルが8タイトル、サードパーティタイトルが54タイトルの、全62タイトル。もちろん、マルチプラットフォームのタイトルも少なくないが、とはいえこれだけの数のタイトルが揃っているというのは、北米市場においてXboxがそれなりの地位を築きあげていることを示していると言っていいだろう。
ただし、展示されているタイトルは、FPSなどのアクションシューティングやスポーツゲームなどで半数以上が占められており、日本で受けそうなタイトルは非常に少ないように感じられた。もちろん、現在日本でXboxを所有しているユーザーにとっては、どれものどから手が出るほどプレイしたいタイトルで埋め尽くされていると言っていいのかもしれないが、残念ながら、日本で新規のXboxユーザーを開拓するようなタイトルはほとんどみあたらなかった。また、当然のように海外メーカー製タイトルがほとんどで、日本のメーカー製タイトルは数えるほどしか展示されておらず、寂しい限りだ。
今回Microsoftブースで最も力の入った展示を行っていたのが、このE3で発表となった新作タイトルである「Forza Motorsport」と、昨年の東京ゲームショウで初めて紹介された格闘アクション「Jade Empire」、ピーター・モリニュー氏監修の異色RPG「Fable」、そしてついにプレイアブル出展となった「DOOM 3」の4タイトルだ。これら4タイトルは、ブース正面に大きなタペストリーが飾られ、その下に用意されたステージに特別の試遊スペースが用意されるなど、他のタイトルとは異なる扱いとなっていた。DOOM 3はサードパーティタイトルであるが、やはり目玉タイトルであるということで、ファーストパーティタイトルと同等の扱いとなっている。このうち、FableはGame Developers Conference 2004で展示されていたものと同等だったためそちらのレポートを見てもらうとして、ここではそれ以外の3タイトルを紹介しよう。
Microsoftブース内部の様子。まだ開場からあまり時間が経っていない状態でこれだ | ブース正面には、ムービーを写すスクリーンと、期待の4タイトルのタペストリーが掲げられている |
このようなムービーを表示させるディスプレイもいくつか用意されているが、派手な演出は皆無と言っていい | EAのオンラインスポーツゲームを集めたコーナーが用意されるなど、EAのゲームはブース内でも特別扱いとなっていた |
■ DOOM 3
PC版を差し置いて、Xbox版が世界初のプレイアブル出展となったDOOM 3。事前の予測ではプレイアブル出展はないのではないか、という予想が大半を占めていたため、プレイアブル出展だったのはかなりの衝撃であった。もちろん、試遊コーナーには大勢の来場者が詰めかけ、プレイするのにかなりの待ち時間を必要としていた。
今回展示されていたのは、E3用に用意されたオリジナルバージョンだ。おそらくゲームの序盤のステージを抜き出したものと思われるが、詳細は不明となっている。とはいえ、これまで発表されているスクリーンショットのクオリティそのままに、実際にプレイできたのはかなり感動だ。もちろん、Xbox版はPC版ほどの解像度はないため、ディテールの細かさという意味ではやや物足りなさも感じた。とはいえ、揺れる電灯に照らし出される物体の影がリアルタイムに変化する様など、グラフィックのクオリティは申し分ない出来だ。
また、プレイ感もまさしくDOOMシリーズそのものだ。入り組んだ基地の中で、徘徊するモンスターを倒しつつ、出口を探して謎を解いていく。基地内の探索中も、物陰からモンスターが襲ってきたり、扉を開けると奥にいる敵が飛びかかってきたりするため、常に緊張感を持ってプレイできる。グラフィックは大きく進化しているものの、プレイしている感覚は、昔のDOOMシリーズをプレイしている時と全く同じように感じた。ちなみに、今回のデモ版では、利用できる武器として、ハンドガン、グレネード、ショットガン、マシンガンなどが用意されていた。DOOMシリーズ特有の超強力な武器は体験できなかったが、それでも爽快なプレイが可能だった。
ただ、現時点ではまだ完成度はそれほど高くないのか、プレイ時にかなり処理落ちを感じることがあった。複数の敵が出てきたり、こちらが攻撃するときなど、明かな処理落ちを感じ取れた。Xboxのパワーの問題か、ソフト側の問題なのか不明だが、まだまだブラッシュアップを必要とするように感じられた。
ちなみに、ゲームの面構成や登場する武器の数などは、係員に聞いても教えてもらえなかった。また、Xbox Liveに対応し、対戦プレイが可能になっているものの、対戦プレイの詳細についても教えてもらえなかった。ちなみに、発売時期は今年夏ということのようだが、今回のデモをプレイした感覚では、もう少し先になる可能性が高いかもしれない。
■ Forza Motorsport
3画面マルチモニターでプレイできるForza Motorsportの試遊台。3台のXboxとディスプレイを用意すれば個人でも実現可能だ |
例えば、ギア比やサスペンションの調整、スポイラーの調整や交換など、細かなセッティングの変更ができるようになっているのはもちろん、ローエンドのベーシック仕様の車に、様々なパーツを取り付けるなどしてカスタマイズし、レース仕様の車に作り替える、といったこともできるようになっている。フェラーリやポルシェなど16の実在する製造メーカーの車が収録され、さらにカスタム用のパーツは150の実在するメーカーのパーツが収録される。ただし、車種などの数字は確定していないそうだ。収録されるコースは、アメリカのラグナセカといった実在するサーキットや、公道を利用したオリジナルコースなどが用意される。現時点では15種類あるそうだが、こちらも具体的な数はまだ確定していないそうだ。
基本的なゲームシステムだが、レースに出場して賞金を稼ぎ、その賞金をもとに新しいパーツを買ってチューンアップしたり、新しい車を買って別のカテゴリーのレースに出場する、といったものとなる。このあたりは、一般的なシミュレーション性重視のレースゲームと非常によく似ていると考えていいだろう。また、プレイ感も、PGRのような、操作性をやや簡略化して爽快にプレイできるというようなものではなく、かなりシビアなコントロールが必要であった。このあたりも、シミュレーション性重視のゲーム性ならではといったところだろう。
現在は、物理エンジンはほぼ完成しており、それ以外の部分の作り込みを行っている段階で、完成度は50~70%といったところだそうだ。発売時期は2005年冬を予定している。
ところで、ブースでは、3台のXboxを利用して、3画面のマルチモニターでForzaをプレイできる試遊台が用意されていた。このマルチモニター機能は、今回のE3に特別に用意されたものではなく、Forzaに標準で用意される機能だそうだ。とはいっても、実現するためには、3台のXboxと3台のディスプレイ、3枚のゲームディスクが必要になるため、個人で実現するのは非常に難しいだろう。
【スクリーンショット】 | ||
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■ Jade Empire
昨年の東京ゲームショウで世界に先駆けて公開されたJade Empire。今回のE3では初のプレイアブル出展となった。 Jade Empireは、様々な攻撃スタイルをその場で切り替えながらプレイしていく、アクション性の強いRPGだ。プレーヤーは、素早さや力強さなどタイプの異なる7人のキャラクターから1人を選び、13種類のファイティングスタイルをその場の状況に応じて切り替えながらプレイを進めていく。ファイティングスタイルとしては、カンフーなどの素手のアクションや、武器を使ったアクション、気功弾を放ったり、モンスターに変身したりと、様々なものが用意されている。
プレイスタイルは、ロックオンした敵との1対1の攻防が基本となる。とはいえ、ロックオンしていない周囲の敵にも攻撃が及ぶため、常に1対1の対戦というわけでもない。多くの場合、多数の敵に1人で立ち向かうことになるため、範囲攻撃なども重要な要素となるだろう。そして、ゲーム中には4種類のファイティングスタイルを動的に切り替えられる。パッドの十字ボタンを利用して、武器を持ち替えたり、遠距離攻撃に切り替えるなどして、その場の状況に応じたスタイルで戦闘を行うわけだ。
また、プレーヤーには、時間の進みを遅くしたり、通常の数倍のダメージを与える強力な攻撃を繰り出す特殊能力が備わっており、それらも有効に活用しつつ攻略していくことになる。また、まわりの建造物などを壊して、崩壊する物体に敵を巻き込ませることで倒す、といった戦略を必要とする場合もある。
今回は、ゲーム序盤のチュートリアルと思われる部分のみがプレイ可能だったが、操作性はそれほど難しいことはなく、初めてでも小気見よくパンチやキックなどが繰り出せ、かなり爽快にプレイ可能だった。また、単純に攻撃するばかりではなく、戦略性もあり、日本のプレーヤーにも合ったゲーム性であると感じた。発売時期は2005年3月の予定となっているが、現時点では日本での発売は未定だ。
【スクリーンショット】 | ||
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(2004年5月13日)
[Reported by 平澤寿康]
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