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新しいMMORPGを模索するNCSOFTブース
リチャード・ギャリオット氏の新作をプレイアブルで出展

会期:5月12日~14日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

プレイアブルの試遊台が多数並んだ
 前回は「Lineage II」を大々的に紹介、E3会場にその存在を大きくアピールした「NCSOFT」。今回も、前回に引き続き大量の試遊台を配置した、韓国メーカーならではの方式でタイトルを紹介していた。

 今回、NCSOFTが出展したタイトルは、「Lineage II」、「CITY OF HEROSES(CITY OF VILLANS)」、「Guild Wars」、「AUTO ASSARULT」、そして「TABULA RASA」。「AUTO ASSARULT」をのぞく他のタイトルは昨年既に発表され、「Lineage II」、「CITY OF HEROSES(CITY OF VILLANS)」は既に正式サービスを開始している。

  試遊できるゲームの完成度が高いというのは、当たり前の話だが、すべてのタイトルにおいてゲームを楽しめたことは、評価したい。ゲームとして完成していない場合は、テーマのはっきりした戦闘と、エキサイティングな対戦が楽しめるように作ってから出展しているのだ。こういったユーザーを重視した出展は、昨年に比べ、NCSOFTの「充実」ぶりを感じさせた。

 今回の一番人気は、「TABULA RASA」。これまでは、作者であるリチャード・ギャリオット氏のインタビュー以外、すでに公開された数点のスクリーンショットのみの情報しかなかった。今回プレイアブル出展を実現し、その注目度は非常に高かった。

 各タイトルに共通して感じられるのは、「従来のMMORPGを越える」という制作者の想いである。日本や韓国でのNCSOFTは「Lineage II」のみで語られることが多いが、アメリカでは、それぞれのテーマを持ち、さまざまな試みをしている多くのタイトルを出展しているため、まったく違う会社であるような印象を受ける。

 MMORPGに特化し、次世代のゲームをさまざまな視点で提供するNCSOFT。アメリカのみならず、世界でのコンテンツへの反応が楽しみである。



■パーティープレイの快適さを追求する「TABULA RASA」

1番人気を集めていた「TABULA RASA」。プレーヤーはヘッドセットをつけてボイスチャットをする
 「TABULA RASA」とはラテン語で「白い石版」のことで、転じて「再出発」を意味する。「ウルティマ」シリーズを手掛けたリチャード・ギャリオット氏のNCSOFTでの第1作である本作は、ファンもまた熱い期待をかけているタイトルである。

 ファンの前に初めて「動く」形で出展された本作は、非常に独特なスタイルを持っていた。剣士や魔法使いなど、一見オーソドックスな職業であるキャラクタは、体にぴっちりしたアーマーをまとい、武器には派手なオーラがきらめく。剣を振るときはカンフーのような大業なポーズを取ったり、宙に浮き体をドリルのように回転させ突っ込ませたりする。

 体のまわりに半円状の金属パーツが回転しているキャラクタは戦闘時にはそのパーツにいくつもの光の弦が張られ、音楽攻撃をする。パーツは竪琴であり、彼は吟遊詩人なのである。攻撃時の音は、ハープのものではなく、エレキギターのとがった音。ヒーラー役の魔法使いはヨガのようなポーズを取って、魔法を使う。キャラクタの動きはギャリオット氏の服のセンスを思わせる、派手で、奇妙な印象を受けるものである。

 世界もまた独特なものだ。美しい空や緑がある世界に、人工的な曲線をもった「メカ」としか呼べない物体。多くは転送装置であるが、SF的なプラズマ光に彩られる機械が違和感だらけで存在する世界。モンスターは炎で輝いていたり、メカを思わせる硬質な皮膚を持っていたりと、ここにもまた一貫したセンスが感じられる。一言でいえば、SF的な要素を多分に含んだファンタジー世界、という表現になるが、ギャリオット氏ならではのこだわりを草一本にまで込められた世界であることを確かに感じることができた。

 試遊に関しては、「パーティーシステム」に大きな驚きがあった。パーティーリーダーをスタッフがつとめ、強いキャラクタで初期シナリオを体験するというツアー的意味合いの強いものだったが、パーティーはボイスチャットで意志疎通を図り、レーダーについていく。「街 」の役割をする共通フィールドから、ワープゲートを通してシナリオのフィールドに移動するのだが、遅れたプレーヤーがいた場合にも、一瞬でリーダーの近くに呼び寄せることができたのである。

 3Dゲームの場合、プレーヤーは限られた視界しかないため、うかうかしているとはぐれてしまう可能性も高い。この機能はそれを回避するものであるし、レーダーによる位置表示、ボイスチャットによる瞬間的な意志疎通は、スピーディーな戦いを可能にしてくれるだろう。今回のプレイで得た感触は、今までのMMORPG以上の、プレイの快適さであった。

派手な光を放ち戦うキャラクタたち。独特の世界を感じさせる作品だ
【スクリーンショット】



■悪となってヒーローに挑戦? 「CITY OF HEROSES(CITY OF VILLANS)」

 「CITY OF HEROSES(CITY OF VILLANS)」この表記には、ちょっとした意味がある。今回、NCSOFTは、「CITY OF HEROSES」というMMORPGと、そのエクスパッションである「CITY OF VILLANS」を出展したのだ。

 「CITY OF HEROSES」はプレーヤーがスーパーヒーローになり、街に現れる悪と戦うMMORPG。4月28日に「Lineage II」と共に正式サービスをスタートした本作は、アメリカでは 「Lineage II」を越える人気を獲得したタイトルである。

 腕に爪をつけたり、炎に身を包んだり、空を飛んだり光ったり……筋骨たくましいヒーローから、やせ形、セクシーな女性まで、こだわりのヒーローを作り、悪漢達と戦う。カツ上げをしている不良から、公園で女性を生贄に捧げている魔術師、多くのヒーローと協力しなければいけない巨大な敵など戦う相手は非常に多彩で、正式サービス中にも関わらず試遊台には多くの人が集まっていた。

 筆者は前回のE3に出展されたバージョンをさわっていたのだが、正式サービスとなったその完成度に感心させられた。昼から夕焼け、夜になるにつれて影を濃くしていく街の表情、拡大すると歯をむき出しにして笑っているのが確認できる悪漢、細かく描かれたモデルなど、人気をあつめるのを納得させられる、細部までこだわった作品であった。

 「CITY OF VILLANS」は、発売が予定されているエクスパッションで、今度は反対に「悪役」を作ることができるという。バットマンのジョーカー、スパイダーマンのグリーンゴブリンなど、映画でも主役以上の名優が配役されるなど、アメリカンコミックにおける悪役は、真の主役とも言える存在で、このエクスパッションの登場は必然であるといえる。ヒーローにあこがれているプレーヤーは、強烈な悪役も演じてみたいのだ。

 会場では「CITY OF HEROSES」が楽しめる通常の試遊台の他に、悪役と正義の味方がチームに別れて戦う「対戦台」が設置され、ただひたすら戦いを繰り広げていた。戦う場所は通常の街ではなく、荒廃した専用のステージ。特に悪役側は、ひっきりなしに来場者が訪れ、ヒーローチームをたびたびうち負かしていた。

 イベントとして大きな印象を与えたこのエクスパッションだが、開発チームはまだ具体的な仕様を決めかねているらしい。正義の味方と同一サーバーにして、PVPゾーンで接するようにするのか、それとも一緒にするのか、シナリオの展開する街はどこなのか、そのシナリオは世界に影響するのか……どういった答えを出すのかは、これから議論していくとのことだ。

表裏一体となった悪役と正義の味方の対戦台。悪者側は、金網に囲まれている
【スクリーンショット】



■「Lineage II」は初心者を対象にしたイベントを展開

グラフィックに特に人気が高い「Lineage II」
 正式サービス中の「Lineage II」。日本と違い、「クロニクル1」導入前に課金を開始、8サーバーが現在稼働中である。NCSOFTを象徴するタイトルだけに、ブースの中央で展示し、イベントをひっきりなしに展開していた。

 イベントで楽しめる場所はエルフやダークエルフの初心者向けダンジョン探索。対象キャラクタはレベル20程度のダンジョンに、強いキャラクタで攻め込み、ゲームを楽しむことができる。プレイを楽しむユーザーの他、美麗なムービーに足を止める人も多かった。

 PVPが限られたフィールドではなく自由にできるのが「Lineage II」の特徴だが、アメリカのプレーヤーも最初はこの仕様にとまどったようで、PKを嫌うプレーヤーなど、サービス当初は混乱が見られたようだ。また、レベル上げやアイテム購入のハードルが高いという声もよせられているという。最近ではプレーヤーもシステムに慣れ、楽しむプレーヤーも増えているということだ。

 アメリカの市場に挑戦する韓国タイトルとして、今後の展開や、ユーザーの反応がどうなるかは注目が寄せられる部分だろう。

【スクリーンショット】



■アクション性が重視された「Guild Wars」

「Guild Wars」では、ギルド対戦の希望者がたえなかった
 「WAR CRAFT」や「DIABLO」などを手がけたBlizzard Entertainmentの元スタッフが興した開発会社Arena Netの作品「Guild Wars」。前回でもプレイアブルなものが出展されたが、今回はテクスチャーやプレイ感など、比べものにならない完成度のものが出展された。

 出展方法もユニークで、クライアントが雑誌などを通じて一般ユーザーに配布され、E3の期間限定でサーバーに接続できる。E3来場者と同じサーバーで、一般ユーザーも楽しめるのである。ブースはふたつのテーマに合わせて配置されている。ソロプレイで現れる敵と戦うコーナーと、特定の場所でギルド戦を楽しめるようになっていて、特にギルド戦のコーナーは人気を集めていた。

 プレイの感触はアクション性の高いものとなっていて、操作方法はWで前進、Sで後退、QとEで平行移動、A、Dで旋回。クリックで攻撃というFPSプレーヤーには比較的なじみ深いもの。レンジャーや魔法使いは移動で敵の弾を避けて攻撃し、戦士は正面から戦っていく。

 モンスターとの戦闘に関しては、正直、あまりにも「平凡」な感覚で拍子抜けしてしまったのだが、スタッフが動かすキャラクタをみて評価が一変した。「うまい」のである。絶妙に敵と距離をとり、スムースに攻撃を避け、敵を倒す。攻撃のディレイ時間には最良のスキルを使用して効率を上げる。ホームページで告知している「時間をかけキャラクタを育てるだけでは強くなれない、プレーヤーのスキルが重要となる」という言葉が実感できた。スポーツ系FPSを思わせる作品となりそうだ。

 ギルド戦が体験できるイベントでもスタッフのようにうまく戦えるプレーヤーの姿は見えず、魅力が十分にアピールできてないように感じた。スタッフ同士のデモプレイは、見応えのあるものになりそうなのだが……。

 また、本作は「月ごとの課金はしない」ということを公言している。サーバーでプレーヤーデータを管理するMMORPGでありながら、パッケージ、もしくはダウンロードで販売した後は、料金は発生しない、クーポンなどもださないということだ。料金体系でも、話題を集めそうなタイトルである。

【スクリーンショット】



■車に乗って大戦争「AUTO ASSARULT」

ゲームのマスコットガールがお出迎え。イメージを重視しているのか、野性味あふれる笑顔
 映画「マッドマックス」の悪役のような、トゲトゲのスパイクのついた、戦闘的な車に乗り、群がる敵をぶっ飛ばすことができる「AUTO ASSARULT」。制作はNetDevil。車に乗った戦闘的MMORPGとのことで、ドライブゲーム的なものを予想していたのだが、実際のゲームでは、3人称視点のRTSを思わせる画面構成で、建物などをがんがん破壊していくゲームになるようだ。

 移動方法はFPS方式と、マウスで移動したい方向を押し続けるという2種類。マウスのポインタは回転砲台の射界もかねているので、バックしながら攻撃する場合などはキーボードを使った方が使い勝手が良かった。

  車にはさまざまな種類があり、軽装から重装、さらにはオートバイまである。本来は街で車を降り、人として仲間を募ったりすることができるのだが、出展されたバージョンでは戦うことしかできなかった。

 しかし、はちゃめちゃな武装をした車で、大人数が対戦できるというのは魅力なようで、午後には試遊台は常に満員、行列もできるほどで、アメリカ人のハートをガッチリつかんでいたようだ。

【スクリーンショット】


 この5本のタイトルの他に、「Alter Life」という作品を参考出展していた。何をやってもドジばかり、いじめられっこに追いかけ回される女の子(男の子)が、1人の元気な少女と出会い、新しい世界を発見する、というストーリーのムービーで、ゲーム性は全く想像できないのだが、頭の大きな、デフォルメされたキャラクタの描写が大変かわいらしく、多くの人がムービーをチェックしていた。

 筆者にも日本のアニメとはちょっと違う、可愛くてけなげな主人公の仕草はつぼにはまってしまった。2005年のE3で、といった文字で終わっていたのだが、韓国や日本ではもう少し早くに見ることができるかもしれない。
 
「Alter Life」。灰色の日常を過ごしていたが、クールな女の子との出会いで新しい世界が。男の子バージョンと女の子バージョンがある


□NC Softのホームページ
http://www.ncsoft.net/

(2004年5月13日)

[Reported by 勝田哲也]


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