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★PCゲームファーストインプレッション★

独特の「未来」を提示するMMORPG
「A3」



■混乱のスタート

スタート地点であるクァナトの街。深夜2時近くという遅い時間にも関わらず、多くの人が集まった
ガンホーからいただいた、イベントの風景。ゲームの基本的なシステムをGMが説明した後、アイテムが配布された
 4月20日よりクローズドβに相当する“リミテッドサービス”を開始したMMORPG「A3」。参加人数は優に1万人を超え、βテストとしてはかなり大規模な部類に入る。「A3」は韓国のゲームデベロッパーActozが開発を担当し、日本では「ラグナロクオンライン」を展開するガンホー・オンライン・エンターテインメント(以下、ガンホー)が運営する。

 A3とは、Art(芸術性)、Alive(躍動感)、 Attract(魅了するストーリー)という3つの“A”から引用し、創られた名称とのこと。本作の最大の特徴は「R18指定」、つまり18歳以下ではプレイできない。“大人向け”タイトルというところにある。

 本作におけるプレーヤーの究極の目的は、ひとつの世界でたった二人しかなれない「王」になること。その世界で最強の騎士団を設立し、プレーヤー間で巨大な組織を作り上げていく。多くの組織が競い戦うことによって、限られた者だけが、つかの間の栄光を手にする。その“駆け引き”、権謀術策や優秀な人材の育成、裏切りなど、大人ならではの込み入った、リアルな“抗争”を楽しむために、本作は大人を対象にしているのである。

 R18といういままでのMMORPGにはない制限を持たせた本作は、スタートもまたユニークだった。希望者に非常に装丁の豪華なプレミアムキットを配布、さらにスタート直後にゲーム内のイベントを実施すると発表、プレーヤーの関心は非常に高まった。

 ただし、MMORPGにおいて、スタートがスムーズに行った例は、極めて少ない。接続が集中することはもちろん、初めて動くシステムでもある、そこにさらにイベントの告知までしてしまうガンホーの“自信”に、期待とともにちょっとした不安を抱いたユーザーも多かっただろう。

 不幸にもその不安は現実のものとなった。告知されたスタート日時は4月20日午前0時。しかし、告知された日時になってもサーバー選択はもちろん、スタートのパッチサーバーにすら接続できなかったのである。平日の深夜、プレーヤーは少しでも情報を求めて公式サイトを参照したが、そこで遭遇した表記は「遅れています、しばらくお待ちください」で、いつになるかの明記はなし。さらに、そのサイトすら接続集中で閲覧が不可能になってしまった。最悪のスタートといっていい。

 結局、サービスがスタートしたのは深夜1時40分。0時30分より予定されていたイベントは2時にスタートしたが、筆者はそのイベントに参加できなかった。弁解のようだが、筆者には「告知」が見られなかったのである。

 これはスタートにおけるゲーム性もある。スタート時、すべてのプレーヤーは街にいるNPCを次から次へと訪ねるクエストが課せられているため、どこもかしこも人が集まっていたこと。さらにこのゲームは動作の軽さを確保するために、遠くのキャラクタは見えないため、たとえイベントが同じ町中で起きていても、見つけにくい可能性があるのだ。また、ゲーム内での告知も見にくかった。イベント開始時には告知メッセージが流れたらしいのだが、筆者はそれに気がつくことができなかった。

 次の日、公式ページを見て、さらに驚かされることになった。イベントの実施が「4/20~4/25」になっている。あの日だけのイベントじゃなかったの? それを見るために(見れなかったが)ひたすら反応しないログイン画面と、にらめっこしたあのつらさは何だったのか? 逆にそれをくんでのイベントの延長だったのかもしれないが……。

 さらに言うと、5日間行なわれたというイベントにも、結局筆者は参加することができなかった。噂によると、イベントの10分前には街で告知が行なわれていたそうだ。ちなみに、公式ページでは、イベントの時間は明記されていず、「ゲーム内での告知」となっていて、しかもゲーム内で告知が行なわれたのはイベント10分前という限られた時間、さらに街周辺でのみの告知だったらしい。

 街周辺での冒険というのは、初心者レベルの冒険で、ゲームをプレイして2~3時間後にはそこから出ていってしまう。補給が必要なため、街には頻繁に戻ることになるが、それでも、もうちょっと配慮してもいいのではと思ってしまった。

 他のゲームでは、イベント開始1時間前に全領域に届く形で告知が行なわれるのが通例だが。せめてゲームにログインしたときに、「今日は何時からイベントを何処でやる」という告知はできなかっただろうか? 今回のイベントはあくまで初心者を対象にした、参加できたらラッキーというスタイルのイベントだったようだが、個人的には不満だらけだった。

【スクリーンショット】
キャラクタ作成画面。戦士、聖騎士、魔法師の中から選択する。キャラクタのモデリングも、性別も選べないところなど、他のゲームとはちょっと違った印象を受ける
スタート直後のクアナトの風景。みんな同じ格好で、ただひたすらモンスターを狩っていく。独特の熱気のある雰囲気だった



■“サクサク感”がキモチイイ、快適なゲーム性

 ゲーム自体もかなり特殊な印象を受ける。プレーヤーが選択できるキャラクタは、戦士、聖騎士、そして魔法師の3種類、性別すらも固定であり、本当に3種類しか選べない。他のゲームの「自分の分身」という感覚は薄い。ゲームのルールにあわせたプレイスタイルを獲得した上で、よりテクニカルな戦いを目指していくゲームといえるだろう。

 ゲーム性は韓国のMMORPGでは大きなウェイトを占める「Diablo」タイプ。モンスターがドロップするアイテムでキャラクタを強化し、ひたすら狩りをして、ひたすら高みを目指し、アイテムを収集していくという「割り切った」作品である。

 筆者が選択したのは「戦士」。体力と、高い攻撃力が魅力のクラスで、武器をがつがつ振り、敵を倒していく。戦士の場合、たっぷりの回復薬を持って、群がる敵をばったばったと倒していき、回復薬がつきたら街に帰って補充するというのが基本的なプレイスタイルになる。

 戦闘における快適さは、本作の大きな魅力である。順調にキャラクタを育て、装備を整えていけば、あまりダメージを受けず、驚くほど多くの適性レベルの敵を倒していける。一匹のモンスターを倒すのにかかる時間は5秒程度。他の作品の、そこそこ成長したキャラクタで最弱クラスモンスターを倒すような感触で、がんがん敵を倒し、きちんと経験値が入るというバランスは、このゲームの「楽しさ」を際立たせてくれている。

 なお、初期から中期の適性レベルの敵、例えばレベル20クラスのブローニは、20~25のクラスに使い勝手が良いクラッシュアクスを、アイテムとしてドロップするバランスになっている。戦うことでアイテムを得て、さらに強くなっていく。アイテムによってキャラクタが劇的に強くなる感触も楽しい。モンスターから得られるアイテムで身を固めたら、次の狩り場にランクアップしていく、という展開だ。

 ドロップアイテムにはランダムでさまざまな特典が付与されている場合があり、さらにアイテムドロップを期待して同じ敵を倒し続けるという部分もある。戦いそのものがスピーディーな事も相まって、経験値稼ぎがそれほどつらくない。体力回復アイテムをふんだんに持って、切らさないように気をつけていれば、死ぬことも少なく、無謀な戦いさえしなければ、他のMMORPGとくらべて、段違いの「楽な」戦いでレベルが上げていける。それだけレベルを上げておけば、ちょっと強い敵と対峙したときも、楽勝で戦えるというわけだ。

 戦士、聖騎士、魔法師は、それぞれ装備アイテムには共通性がない。戦士が魔法師用のアイテムを入手したところで、売却するしかない。また、レベルが上がっていくとモンスターのドロップ率も低くなって、ランクアップするためのアイテムが入手しにくくなる。アイテムの多くは店で入手することができるが、それらはドロップされるアイテムに比べて付随能力が地味で、なによりも、びっくりするほど高い。

 ここでコミュニティが重要になってくる。他のゲームの銀行にあたる、倉庫前には多くの人達が集まり、アイテムを売っている。特に序盤のたいていのアイテムは「中古品」が出回っている。余裕があれば、価格にも気をつけたい。大体は、NPCが売っているものより高性能なアイテムが、安価に入手できるはずだ。

 筆者のレベルは現在23。このスピードは比較的遅いほうかもしれない。何しろ、開始2日目の時点でレベル20を越えている人がいたし、現在ではレベル50に手が届くプレーヤーも出始めているとのことだ。

 筆者自身はまだソロプレイが主流だが、レベル35くらいからは、パーティープレイが中心となっていくという。本作ではパーティーメンバーは最大4人。聖騎士が回復を行ない、魔法師が範囲攻撃で敵を一掃。戦士は“壁”として、敵を引き受ける。といった形で戦っていく。魔法戦士である聖騎士が補助役であり、回復役をつとめるというバランスはちょっとユニークだ。

 しかし、現在のパーティーシステムには少し問題がある。本作でお金を得るにはモンスターの「とどめ」を刺さなければならない。キャラクタバランスから、公平にお金を得る方法は難しいだろう。もちろん、R18である本作だから、そこも話し合いで、ということかもしれないが、やはりトラブルのもとになりかねない。今後のアップデートでの改善を望みたいところだ。

【スクリーンショット】
23日の倉庫前の風景。もう既に装備に差がついている。コアなプレーヤーはどんどんキャラクタを強くしているのだ R18ということで、本作は「残酷性」も強調されている。敵をスキルなどを使った強力な攻撃でとどめを刺すと、血しぶきを上げてバラバラになる 街のNPCは、すべて実用的な商人のみというシンプルさ。受けるクエストも、モンスターの討伐が中心だ
死亡すると一定確立でアイテムを落としてしまう。スクロールで瞬時に帰還でき、体力回復薬も安価なので、気をつけていれば危険は少ない モンスターは、グロテスクなデザインが多い。おどろおどろしいフィールドで、多数の敵を倒す感触は、ほのぼの系のゲームの対極に位置する アイテムは序盤のキャラクタにとってトンでもなく高価。しかし、装備条件は比較的緩やかなので、運が良ければ強力な装備で冒険できるかも
キャラクタのまわりを飛ぶ小さな鳥、シュー。レベル5で孵化、以降、10ごとに立派な姿へなっていく 他のゲームの銀行にあたる倉庫の保管箱。預けるのにもお金がかかる 一匹のモンスターにもたついているとあっと言う間に囲まれてしまう。特に魔法師は、距離を取った戦い方が重要だ
キャラクタのスキルもドロップアイテム扱い。レベル制になっており、1が入手できないと、2や3を手に入れても習得できない。交渉や根気が必要となるだろう 倉庫前では、各プレーヤーが中古や不要の装備を売っている。必要な装備の名前を覚えておいて、売り子の声を常にチェックしておかなくてはならない 街からは、お金を払うことで直接違うフィールドに行ける。街でパーティーを結成し、ここから旅立っていくことになるだろう



■プレーヤー間の情報交換で広がっていく世界

 現在リミテッドサービス中ということもあって、まだまだ魅力が隠されている、というのが現状のようだ。公式ページに情報はアップされているが、まだまだ足りない。ゲーム内の情報を調べ上げ、共有していくユーザー間のコミュニティーを上げていきたいというのは、メーカー側の戦略という要素もありそうである。

 本作の特徴として、キャラクタをサポートしてくれる「シュー」という鳥の存在がある。卵の状態から、プレーヤーと同じように経験を積み、レベル5になると孵化し、さらにレベル10以降でどんどん立派に成長していく。

 しかし、プレーヤーが最初に持っているシューには何のメリットもない。商店で売っているシューの卵には「経験値+5%」といったように特典があり、これが成長することで特典も成長する。

 他にも、アイテムの合成や、武器のアップグレードなど、さまざまな「合成」レシピが用意されている。これらの情報は、ゲーム内でNPCが教えてくれることはない。すべてプレーヤーが調べ、情報を共有することで有利になる。力を求めるには、情報もまた大事な要素。プレーヤーの中には、韓国のホームページからも情報を求めてきているようだ。何もない白紙の世界に、自分たちの経験を書き記し、後輩に伝える。「開拓者」としての楽しさを得る、というのは「リミテッドサービスプレーヤー」ならではの楽しみだろう。

 A3のイメージキャラクタでもあるセクシーな美女・レディアン。他にも、さまざまなキャラクタがストーリーを織りなすことが、公式ページには語られている。本作は重厚な世界や、神話を思わせるストーリーが展開するのがウリのはずだが、レベル20台では、彼らの姿は全く見かけることができない。どうやらクエストをクリアしていくことで得られる「ロア」という数値が重要になってくるようだ。

 フィールド上には思わせぶりな廃屋や、さまざまなダンジョンがあるが、今のところ筆者のレベルではダンジョンには入れないし、フィールドのオブジェクトはほとんどレスポンスがない。レベル20台では、ただひたすら戦い、強くなることを目指していくゲームである。これからどんなことが待っているかは、コアなプレーヤーの「報告」を待ちたい。

【スクリーンショット】
騎士団が結成できる要となる騎士像。レベル80以上の強さや、困難なクエストなど、ハードルは高いようだ 筆者は倉庫にルーンをため込んでいる。合成のレシピを調べて、有効に使う日を夢見ているのだが…… ドロップ率の低いアップグレードストーン。貴重な宝石だが、序盤は売ってしまって、それで装備を調えるという手も
もうひとつのスタート地点テモズの街。山間にある街で、海の街クァナトと対をなしている 網目模様になっている部分は、不気味に蠢動している。見続けていると酔ってしまいそうなフィールドの仕掛けだ 沼中央にある棺のようなモノ。近づいても何も起きなかったが、クエストなどで意味を持つのだろうか
魔法師の強烈な炎が敵を焼き焦がす。レベル20をこえたあたりからは、パーティープレイも視野に入ってくる ドロドロとマグマが流れる。冒険が進めば、もっと驚異的な風景を目にすることができそうだ 試しに入り、瞬殺されてしまったダンジョン。奧には一体何があるのだろうか……。



■いつかは最強の騎士団を! 後輩を鍛えるサポーティングシステム

 本作の「先人」としての楽しさは、情報だけではない。2人のレベル差が11以上ある場合、通常のパーティーではなく、「サポーティングシステム」という関係を築くことができる。後輩を教え導くためのシステムで、後輩プレーヤーにより多く経験値が得られるようにバランスが調整されている。プレーヤーによっては「ついてきますっ! 先輩!」といった感じのロールプレイが体験できるだろう。

 知り合いをゲームに呼んでも、レベル差があるためまったく一緒に楽しめない、というのはキャラクタ育成に時間がかかってしまうMMORPGならではの問題点であった。このシステムがそういった問題にどういった効果をもたらすかは、興味のあるところだ。

 サポーティングシステムはまた、先輩プレーヤーが設立する騎士団の「カリスマ」を高めるためにあるとも言える。騎士団を設立させるには、最低でもレベルが80以上なければならない。ひょっとしたらゴールデンウィーク中に最初の騎士団は生まれるかもしれない。そこから先は、「君主」を目指す戦いが待っている。1カ月先には、本作のプレーヤー達は全く別な「社会」を形成しているかもしれない。

 欧米型のMMORPGは、テーブルトークロールプレイングゲームから進化し、世界観を重視したワールドを構築、仮想世界の「一人の住人」として、生活を楽しんでいくことに重点が置かれている印象がある。韓国産MMORPGは、強さを求め、組織を作り、世界に覇を唱えようという「征服ゲーム」の傾向が強い作品がいくつかあり、「生活ゲーム」とはちょっと違った世界を構築している。

 本作はその中でも、トップクラスに位置すると言っていいほど「実利的」な作品である。アイテム、システム、スキル、ルール……余計なものはほとんどない、すべてが強いキャラクタを作り、よりエキサイティングな戦いを目指すために戦いを繰り広げていくために存在している。さまざまなMMORPGが生まれている今、プレーヤーは自分にあったゲームを探すという時代になってきたといえるだろう。

(c)2004 Actoz Soft Co., Ltd. All Rights Reserved.
(c)2004 GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.


【A3】
  • CPU:Pentium III 600MHz以上(Pentium III 1GHz以上を推奨)
  • メインメモリ:256MB以上(512MB以上を推奨)
  • HDD:1GB以上の空き容量
  • ビデオメモリ:32MB以上(64MB以上を推奨)


□ガンホーのホームページ
http://www.gungho.jp/
□「A3」のページ
http://www.a3online.jp/
□関連情報
【3月29日】ガンホー、「A3」秋葉原ジャックイベントを開催
リミテッドサービスは4月20日午前0時スタート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040329/a3akiba.htm
【3月5日】ガンホー、「A3」オフィシャルクレジットカードを発行
「オリジナルピンバッジ」プレゼント特典つき
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040305/a3.htm
【3月3日】ガンホー、MMORPG「A3」クローズドβテストの応募を
3月3日午後3時より受付開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040303/a3.htm
【2月13日】「A3」プレミアムキットを300名にプレゼント
18歳以上限定MMORPGへの唯一のパスポート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040213/a3pre.htm

(2004年4月28日)

[Reported by 勝田哲也]


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