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カプコンが開発スタジオ「クローバースタジオ」を分社、設立
~新作「Viewtiful Joe 2」、「大神」などを順次リリース予定

4月21日 発表

クローバースタジオの代表取締役社長に就任する稲葉敦志氏。カプコンでは第4開発部に所属し、「Viewtiful Joe」や「鉄騎」などのプロデュースを行なってきた
 株式会社カプコンは、これまで「バイオハザード」や「デビルメイクライ」、「逆転裁判」など同社の人気タイトルの開発を行なってきたクリエイターを中心とした開発グループを分社化。ゲーム開発スタジオ「クローバースタジオ株式会社」の設立を発表した。

 2004年7月1日に設立される予定のクローバースタジオは、資本金が9,000万円。すべての株式をカプコンが所有し、カプコンの100%子会社として設立される。クローバースタジオの代表取締役社長には、現在カプコンの第4開発部でプロデューサーを務める稲葉敦志氏が就任。第4開発部から移籍するクリエイターを中心に、総勢64名での会社設立となる見通しだ。クローバースタジオ設立に参加するクリエイターには稲葉氏をはじめ、バイオハザードシリーズのプロデューサー三上真司氏、「バイオハザード2」、「デビルメイクライ」、「Viwetiful Joe」のディレクター神谷英樹氏などが名を連ねている。

ゲームキューブ版、プレイステーション 2版が同時期に登場する「Viewtiful Joe 2」のメインイメージイラスト
 またクローバースタジオ設立発表にあわせて、同スタジオが開発する新作タイトル3作品がアナウンスされた。ひとつは、ゲームキューブ用タイトルとして日本では2003年6月に、北米では10月に発売された「Viewtiful Joe」の続編にあたる「Viewtiful Joe 2」だ。今作ではゲームキューブ版とプレイステーション 2版が同時期にリリースされる。新しいフィーチャーとして、主人公ジョーのガールフレンド“シルヴィア”がプレーヤーキャラとして追加された。直接打撃による攻撃が主体のジョーに対し、銃などの遠隔攻撃を得意としたシルヴィアの登場で、攻略にも幅がでることになる。また同タイトルの特徴であるVFXパワーにもユニークなものが追加されている。

 「Viewtiful Joe 2」がプレイステーション 2のプラットホームにも登場することから、前作「Viewtiful Joe」もプレイステーション 2向けにリリースされることが決まった。「クローバースタジオは移植を行なうスタジオではありませんので、何か新しいアソビを登場させないといけません」と稲葉敦志氏が強調するように、プレイステーション 2版の「Viewtiful Joe」には、デビルメイクライの主人公“ダンテ”が登場するなど新要素が追加されたものとなっている。

 この日発表されたもうひとつのタイトルが、完全新作となる「大神(おおかみ)」。“ヒーリング”をメインコンセプトとする同タイトルは、トゥーンシェードをベースにしていると思われるグラフィックながら、スクリーン上では“和紙”や“筆”あるいは“水墨画”といったイメージを漂わせる特徴的なゲーム画面となっている。ゲーム内容も、怪物によって支配され色彩を失った死の大地を、プレーヤーキャラクタである「天照(あまてらす)」を操作することによって生命力あふれる世界に変えていくというもの。実際に、プレイの初期段階ではまさに水墨画の世界のような画面も、敵を倒したりすることによって色彩豊かな画面へと変化していくことになるようだ。ちなみにプレーヤーキャラクタである天照はオオカミによく似た外見だが、背中に八咫鏡(ヤタノカガミ)を背負った神の使いとして描かれている。同タイトルはプレイステーション 2版で2005年に登場する。いずれのタイトルも現時点で詳細な発売日や価格は未定となっている。

 発表会ではこれら新作タイトルのゲーム映像が上映された。スクリーンショットなどは、各タイトルの詳細とあわせて近日中に掲載できる予定だ。

【Viewtiful Joe 2 / Viewtiful Joe】
「Viewtiful Joe 2」の新しいプレーヤーキャラクタは恋人のシルヴィア(変身前) 変身後。銃などを使った遠隔攻撃の得意なキャラクタとして操作できる プレイステーション 2版「Viewtiful Joe」に追加要素として登場するダンテ

【大神(おおかみ)】
プレーヤーキャラクタとなる天照。背中に八咫鏡を背負った神の使いとして描かれている 「大神(おおかみ)」のメインイメージイラスト 「大神(おおかみ)」のタイトルロゴ


「評価が高く、期待の持たれるタイトルを高いレベルで維持し続けていくのも僕らの仕事のひとつです」と稲葉氏。前作の“地球にあと2回危機が訪れる……”という思わせぶりなエンディングを引き継いで登場する「Viewtiful Joe 2」は、5月に米ロサンゼルスで開催されるE3 2004でプレイアブルバージョンが出展される予定 プレイステーション 2版で「Viewtiful Joe」に追加される新しいアソビ。スタイリッシュでクールなアクションゲーム「デビルメイクライ」のキャラクタ“ダンテ”をSD風にデザインし直して、Viewtiful Joeの世界を二丁拳銃を手に駆け回るという 「僕たちがこれまで作ってきた作品を振り返ると、内容に毒があったりあるいはリアルタッチを追求していたり……。そう考えると意外かもしれませんが、「大神(おおかみ)」は、僕たちの心とクローバースタジオの行く先を表す作品になります」と、コメントする稲葉氏


 クローバースタジオの設立について稲葉氏は「もう一度“アソビ”を原点からとらえ直してみたかった」と説明。「(デジタルの基本である)0と1から組み立てられるいかにもハイテクなゲームですが、実際は植物を育てるような地道な作業です。だからこそ人の温かみが感じられるような作品を作りたい」という。

 設立に参加したのはこうした考え方に共感したクリエイターで、モノ作りが人生の大部分を占めるような、クリエイティブを愛するスタッフがスタジオそのものの姿だという。カプコンの第4開発部において三上真司氏の指導のもとモノ作りについて教え込まれたスタッフの約半数となるが、残りの半数はその精神をうけついでカプコンに残留し、本社クリエイターとして作品作りを続けるという。

 稲葉氏が「僕たちの心とクローバースタジオの行く先を表す作品になります」という「大神(おおかみ)」については、「新しいモノといっても新しい映像を作っただけでは、新しいアソビにはならない。そこは誤解してもらっては困ります。アクションゲームのスタイルでゲームを進め、ほかに生活している人間達とかかわり、交流が大切になっています。大地にどういう風に生命力を取り返していくのか考える深いアドベンチャー要素。自分のプレイした結果が、美しいグラフィックでモニタに再現されるのが喜びになります」と説明。「スタジオの価値を切り開き続けていかなければならないクローバースタジオのチャレンジ」と位置づけた。

 またクローバースタジオに参加する三上真司氏について稲葉氏は、自分をはじめとする第4開発部のスタッフに、モノを作るということの厳しさを骨の髄まで叩き込んでくれた人と説明。しかし、三上氏本人がやりたかったのはプロデュースや監修といった現場から一歩引いた立場ではなく、自分自身が現場で仕事をしていきたいと思い続けていたクリエイターだったとして、クローバースタジオがそれを実現する環境になると紹介した。

 (開発スタジオとして独立して)新しいコンテンツを生み出すことに専念できるのは嬉しいが、それには作品の価値で答えるとともに、ユーザーの声をはじめすべてのことに責任を負っていかなければならない。厳しいようにも思えるが「言い換えれば幸せな立場です。そしてクローバースタジオという名前が、新しい価値を作る、新しいアソビを作るという意味の代名詞となれるように頑張っていきます」と稲葉氏は意欲を見せていた。

【スクリーンショット】
カプコンの辻本憲三代表取締役社長はクローバースタジオの設立について「マネージメント力、開発力を世界レベルにあげるための試み」と説明。また「新しい価値の創造を行なってほしいという思いがある。独立採算となり責任の所在も明確になる。厳しい環境におかれることになるが結果を出してほしい」とコメントした カプコンの辻本春弘専務取締役は「ゲームの制作においては、チャレンジの必要な新作ソフト、ブランド化しているソフト、それぞれに投資基準が異なる。クローバースタジオはカプコンのタイトルとひと味ちがう彼らの個性が前面にでたとんがったタイトルを制作してほしい」とコメント。さらに、本社内の開発部と相互に刺激しあえる存在になることにも期待を寄せていた 最後にコメントしたバイオハザードシリーズのプロデューサー三上真司氏は「14年間の勤務のなかで7年は現場をしりぞいてプロデュースをしてきた。いまは費やせる時間を(現場で)モノを作るために費やしたい。こういう機会を与えてくれたボスの辻本(辻本憲三社長のこと)に感謝したい。これまでいろんな過ち、勘違い、すれ違い、失敗を繰り返してきたと思う。それらは大きな財産として原点に立ち返り、ユーザーの満足へとつなげていきたい」とコメントし、稲葉敦志氏と固く握手を交わした


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□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□関連情報
【3月31日】カプコン、開発の一部を子会社化。新設会社の名前は
「クローバースタジオ」、社長には稲葉敦志氏
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040331/capcom.htm

(2004年4月21日)

[Reported by 矢作晃]

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