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ゲームやアニメなどエンタテイメント産業に精通した法律家を育成 |
弁護士とエンターテインメント業界の識者が集まり、エンターテインメントに精通した弁護士を育成する「エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク (仮称)」の設立が発表された。
理事長には弁護士の久保利英明氏が就任し、理事には角川書店の角川歴彦氏、小学館キャラクター事業センターの久保雅一氏、漫画家の里中満智子氏、エイベックスの依田 巽氏、フジテレビの日枝久氏といった業界関係者ほか、9名の弁護士で構成される。4月13日の時点での会員数は弁護士108名となっている。
「エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク」設立の経緯は、ゲーム、アニメ、映画、音楽、マンガといった日本が得意とする分野をはじめとしたコンテンツ全般において、複雑になる権利関係や利用形態、流通といった点に関してクリエイターに利益還元される法律が未整備である点や、知的財産権に関する法的問題点に対して解決手段を行使するのに、現状ではコンテンツ業界に精通した弁護士の数が少ないといった問題点を今後早急に対応するために設立されたという。
設立記者会見に出席した久保氏は、ポケットモンスターのアニメにおける海外展開時の訴訟問題に触れ、また角川氏も「リング」や「失楽園」のアジア各国での公開時に起きた訴訟問題を挙げ、法的問題だけでなくエンターテインメント業界に精通した「エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク」への期待感を表明した。
この会合では法律に片寄らず、コンテンツの現場に近い位置から流通や、ファンドなども含めた総合的な研究が行なわれる予定となっている。
理事長の久保利氏は「米国の弁護士が10万人で、現在日本にいる弁護士は約2万人。音楽は得意だが、マンガは詳しくないといった具合に、日本でコンテンツ業界すべてに精通している人はあまりいない。流れが速い時代にのんびり育てるといったことはできないので、1年、1年積み重ねていき早急に育てていきたい。2万人の1割がこういったことに興味を持ち、専門的な意識を持ち、それが母体となればその1/4 (500名) はスペシャリストとしてなると思う。この人数を3年間で達成したいと思う」と意気込みを語った。
「エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク」の活動としては、1年に1回シンポジウムを開催する予定であるほか、月1回の研修会を予定している。弁護士、弁理士、税理士は年会費1万円、法科大学院など教員、学生、研究者、修習者は年会費3,000円、賛助会員は1口10万円からとなっている。
なお、5月22日に東京・虎ノ門パストラルにおいて設立シンポジウムが開催される。東京大学の中山信弘氏の基調講演が予定されているほか、パネルディスカッションでは角川氏、久保氏、里中氏といったパネラーも参加する予定。ちなみに同会によれば、ヒットメーカーの熊谷美恵氏のこのシンポジウムへの参加の内定を得ていることを明らかにしている。参加費は無料だが、参加申し込み書をマックス法律事務所に送る必要がる。定員は300名で、締め切り次第、マックス法律事務所のホームページに掲載されるという。
理事の角川歴彦氏 | 理事で漫画家の里中満智子氏 | 理事で「ポケモン」の劇場版の製作総指揮なども手掛けた久保雅一氏 |
(2004年4月13日)
[Reported by 船津稔]
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