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PS2「九怨 -kuon-」
魍魎が棲む日本屋敷を探索する怪談アクション

4月1日 発売

価格:7,140円

 株式会社フロム・ソフトウェアは、プレイステーション 2用怪談アクション「九怨 -kuon-」を4月1日に発売した。価格は6,800円。

 PS2「九怨 -kuon-」は“怪談アクション”と銘打たれたジャンルのゲーム。主人公の「浮月」と「咲耶」のどちらかを操作し、餓鬼や妖怪といった敵キャラクタを陰陽術(飛び道具など)で退けながら、3Dで構築された日本屋敷を探索するのがゲームの目的だ。

 平安時代という設定と妖麗なグラフィックから生まれる独自の世界は、まさに怪談を聞いているかのようなおどろおどろしさを感じさせる。主人公たちが敵キャラクタから逃走する逆チェイスアクション的なゲーム内容も十分に怖い。主人公たちの決して速いとはいえない移動速度では追走する敵をなかなか引き離せず、プレーヤーにパニック映画のような恐怖を与えてくれる。


【『九怨 -kuon-』プロローグ】

夜な夜な聞こえてくる、鼓の調べとおさなごの唄い声。
亡霊のように彷徨い歩く住人と、闇に蠢く餓鬼たち。
その屋敷に足を踏み入れた者は、二度と戻ってくることはなかった。

平安の世に名を馳せた稀代の陰陽師、蘆屋道満の元に届いた依頼は、その屋敷の謎を解明することであった。
師である道満の命を受け、屋敷に向かった「咲耶」と他の弟子たち。
一行はその屋敷で、姉の帰りをじっと待つはかなげな少女「浮月」に出会う。

妖しく絢爛な平安京を舞台に繰り広げられる、血飛沫舞う戦いと、絡みつく因縁の糸。 すでに異界のごとく様変わりした闇蠢く屋敷で、事件の真相を究明することができるのか。

本当の恐怖は覗いてはいけない……


■ 「九怨 -kuon-」主人公紹介

 「九怨 -kuon-」では、複数の主人公によるマルチキャラクタ制を採用している。これによりひとつの大きな物語を、それぞれの主人公という異なる視点から体験することが可能だ。初回プレイ時は、「陰の章(主人公:浮月)」と「陽の章(主人公:咲耶)」のどちらのシナリオからでも開始できる。

【咲耶(さくや)】【浮月(うつき)】
「陽の章」の主人公。若いが、強い意志を持った陰陽師の少女。師である蘆屋道満の命に従い、3人の兄弟子とともに魍魎の棲家となっているという少納言藤原頼近の屋敷を訪れた。代々陰陽師として知られる賀茂家に生まれ、子供の頃から陰陽の術に明るかったが、女性だからと軽んじる親兄弟への反発のため、正統ではない、民間の陰陽師である蘆屋道満の元に身を寄せている 「陰の章」の主人公。どこか憂いを秘めた眼差しをした少女。消息を絶った父を探すために、姉とともに藤原頼近の屋敷へと訪れた。病弱な姉とともに山中の神社で暮らしており、今まで外の世界に出たことがない。母はずっと前に死んでしまい、父は仕事で留守がちなため、病に冒された姉の面倒をずっと見つづけてきた。以前、自らの不注意が原因で、姉が怪我したことを負い目に感じている



■ 「心拍数」と「眩暈」という怪談ゲームらしいシステム

 「九怨 -kuon-」のメイン画面は、カメラが固定された3Dフィールドスタイル。主人公の浮月と咲耶は、コントローラの左スティックを任意の方向に倒すことで操作する。×ボタンを押しながら左スティックを倒せば走り続けることが可能。ここで重要となるのが、コントローラの振動機能の強弱で表される「心拍数」だ。心拍数は走り続けると上昇し、コントローラのバイブレーションも激しくなる。息切れを起こすと走れなくなるので、無限に走り続けることはできない。

 もうひとつ、フィールドを走っているときに注意したいのが、敵の発する「禍風 (まがかぜ)」。「禍風」は敵が出現した時に生じる突風で、発生時は画面にモーションブラー効果がかかりブレたような感じになる。走っているときに「禍風」を受けると、主人公は「眩暈」状態に陥り、武器のひとつである「符」が使えなくなる。さらには、眩暈状態で攻撃を受け続けるとゲームオーバーとなってしまう。ホラーをテーマにしたゲームは、物陰から突然オブジェクトを出現させてプレーヤーを驚かせる演出が多いが、その演出とゲームシステムが融合しているといえる。

 眩暈状態を回復させる効果のある行動が「精神集中」だ。精神集中はR1ボタンを押しっぱなしにすることで、体力を回復させると同時に心拍数が下げられる。精神集中時は無防備なので、周囲に敵がいないことを確認してから実行したい。

禍風による眩暈のイメージは、突然現れた敵に主人公が衝撃を受けたようなものと思ってほしい 精神集中を続けることで、体力と心拍数を正常な状態に戻すことが可能。戦闘中など精神集中が間に合わない時は、回復アイテムを使おう



■ 陰陽術で魔を退ける戦闘シーン

 「九怨 -kuon-」の戦闘は、△・□ボタンを押すことで発動する、回数制限つきの「符」を使用する。符には即時に効果を発揮する「呪符」と、自立型の式神を呼び出して一定時間画面に停滞させる「式符」の2種類がある。式神を召喚して敵の動きを止めている間に呪符の火の矢で攻撃するなど、2種類の符を併用することで戦術のバリエーションが広がる。呪符と式符をそれぞれ、△ボタンと□ボタンに振り分けて装備しておけば、様々な状況に対処できる。

使用したその場で符を消費する呪符の「緋針」を発動。小さな火の矢を前方に飛ばす。呪符は所持している符の枚数だけ放つことが可能 ピンク色の肉塊のような式神「麗蟲」を召喚する式符。敵を引きよせる性質を持ち、敵の目を盗んでかわす回避用の式符 方陣を生み出して、敵の動きを封じる「不動縛」。ダメージを与えることはできないが、足止めとして便利だ


 敵をロックオンするボタンは無く、攻撃時は敵方向に対してしっかりプレーヤーの向きを変える必要がある。攻撃系の符の多くは、当たり判定が見た目より大きく設定されているので、当てること自体はそれほど難しくない。テクニックを要求されるのは、符を使った際の硬直時間に敵に接近されない状況を作り出すこと。符攻撃で敵をよろけさせている間にすばやく距離を離してふたたび符攻撃、といった具合に状況を把握しながら戦うことが大切になる。

符の残数が尽きる、または装備アイテムを解除することで近接武器攻撃ができる。雑魚との戦闘なら小刀(扇)で十分だろう
 符の残数を回復させるには、フィールドに落ちているアイテムを拾う必要がある。アイテムはキラキラと点滅しているので発見は容易だ。また、符の残数が尽きても近接武器(浮月は小刀、咲耶は扇)で攻撃可能。近接武器は攻撃力こそ低いものの、使用回数に制限はなく連続攻撃も可能なので、符を節約したいときに使っていきたい。


■ 複雑に伏線が張り巡らされた各ストーリーの冒頭を紹介

 ここでは、陰の章(浮月)と陽の章(咲耶)の序盤のプレビューを紹介したい。ストーリーの要所には、妖美なムービーシーンがふんだんに挿入される。血飛沫飛び散るムービーシーンは、ホラー的なビジュアルインパクトを与えるだけでなく、ストーリーを進行させるためのヒントにもなっている。

【陰の章プレビュー】

屋敷に出向いた父親の帰りが遅いため、浮月は姉である暮葉と連れだって、山のふもとにある屋敷を訪れていた。屋敷内に足を踏み入れた浮月であったが、どこか違う雰囲気にためらいを覚えていた。そして突如として聞こえてくる「わらべ唄」。暮葉は何かに誘われるように、ひとり屋敷の奥へと消えていった。

 姉を探して屋敷内を彷徨う浮月であったが、庭にある大きな桑の木の下で、徘徊する餓鬼に襲われてしまう。そこに、屋敷の調査に訪れていた咲耶に助けられるのだった。浮月は咲耶から「式神の符」を数枚もらい受け、再び姉の暮葉を捜すのだった。


藤原頼近の屋敷へと父親を探しに来た浮月と暮葉の姉妹 餓鬼に襲われている浮月を助けるため、狼の式神を召喚する咲耶 咲耶から符を譲り受ける浮月。ここで始めて符が使えるようになる


【陽の章】

藤原頼近の屋敷から連絡が途絶えてから早1カ月が経とうとしていた。

これまでに幾人の宮廷陰陽師が調査に乗り出したが、誰一人として帰ってくるものはいなかった。そんな中、師である道満の命を受け、咲耶と弟子達はその屋敷の調査に取り掛かった。

そこで咲耶たちが見たものは、屋敷の中には人ではない物の怪が横行し、異界と化した世界であった。そして、それぞれが方々に詮索を行う中、咲耶は中庭の桑の木の下で、餓鬼に襲われるひとりの少女「浮月」に遭遇する。咄嗟に式神を召喚し、浮月を助ける咲耶であった。


門前に集まる咲耶たち一行。全員黄色の装束なのでわかりやすい 稀代の民間陰陽師・蘆屋道満から密命を受ける咲耶 封印された扉の解除方法を兄弟子の道涼に教えてもらう



■ メインビジュアルに人気画家「智内兄助」氏を起用

 「九怨 -kuon-」は世界観を包括したメインビジュアルに人気画家の「智内兄助」氏が起用されている。智内氏は、映画にもなった坂東眞紗子さん著の「死国」の文庫本表紙イラストなどを手掛けている。その作風は「九怨 -kuon-」のコンセプトである「妖麗耽美」、「怪談恐怖」に非常にマッチしている。特にパッケージイラストに描かれた横たわる少女など、絶対零度的で「あちら側の世界」を想起させるにふさわしい作品といえる。

 怪談アクションである「九怨 -kuon-」は一般的なホラージャンルのゲームとは一味違った恐怖の与え方を考察した作品。ぜひ、画面全体から圧倒され追い詰められる感覚を味わってほしい。

【智内兄助プロフィール】

 '48年、愛媛県越智郡波方町に6人兄弟の末っ子として生まれる。東京芸術大学に進み、在学中の'71年にはシェル美術賞展で佳作賞を受賞する。'74年に東京芸術大学大学院を修了後は本格的に画業に専念し、国内外の主要な展覧会、有力コンクールで数々の受賞を重ね、'87の第30回安井賞展で人気投票による特別賞。'90年には第33回安井賞展で佳作賞を受賞するなど現代画壇の実力派の一人として高く評価さている。また、'92年3月から'93年4月にかけて、毎日新聞朝刊連載小説「藏」(宮尾登美子作)の挿絵を担当。



(C)2004 FromSoftware, Inc. (C)智内兄助

□フロム・ソフトウェアのホームページ
http://www.fromsoftware.co.jp/
□「九怨 -kuon-」公式サイト
http://www.ku-o-n.net/

(2004年4月9日)

[Reported by 福田雄一郎]


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