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★PS2ゲームレビュー★
'87年に放映された「機動戦士ガンダム」から、シリーズ最新作「機動戦士ガンダムSEED」までを題材にしたシミュレーションゲーム「SDガンダム GGENERATTION SEED」が発売された。 300体以上のユニットが登場する人気シリーズ「GGENERATTION(Gジェネ)」は、開発・設計で生産ラインを増強し、オリジナルの軍隊を作成できるのが売り。シリーズ最新作の特徴は、「機動戦士ガンダムSEED」のエピソードを再現した「SEEDモード」の実装。本モードは「おまかせ編成」などGジェネシリーズ初心者にも優しい機能が盛り込まれている。
全50話を15ステージにまとめているため、話の流れが掴みにくい部分もあるが、そのあたりをフォローするために全50話分のあらすじを解説した「SEEDツアーモード」を搭載。SEEDファンにも、SEED未見のプレーヤーにも明解な作りに仕上がっている。
■ 徹底的なGジェネシリーズ初心者用ステージ――「SEEDモード」 世に出たゲームのなかに「初心者向け」と称されたモードはいくつもあるが、この「SDガンダム GGENERATTION SEED」 の「SEEDモード」ほど大胆なビギナー向けの仕様を見たのは久しぶりのような気がする。この「SEEDモード」は、Gジェネシリーズの特徴である「モビルスーツの生産、開発、設計」、「ブリッジクルーやグループの編成」を大胆にもカット。あらかじめ用意されたユニットとパイロットでステージを攻略していくモードだ。 実際にゲームを始めてみると「SEEDモード」選択からほぼワンボタンでステージに突入可能というお手軽さ。自軍ユニットの初期配置も済んでおり、プレーヤーのやることはユニットの操作(戦闘や帰艦含む)だけ。たとえ新規ユーザーがプレイしても、戸惑うことはないだろう。
最初にプレイするシチュエーションモードに限定しての話だが、ほとんどのステージは出現する敵ユニットが少なめで、勝利条件は敵戦力の全滅が多い。自軍ユニットを突撃させるだけで撃破できるなど、難度は相当甘く設定されている。マニュアルにも「SEEDから入った新規ユーザーのために用意したモード」とあり、その言葉は確かに間違っていない。新規にGジェネを始める人には、下手なチュートリアルより入りやすいモードといえる。
■ 「SEEDモード」の前に閲覧は必須か?――情報量が膨大な「GALLERY」 登場人物や登場MSの詳細情報を閲覧できる「GALLERY」。このモードで特筆すべきは、今回の「SEEDモード」を楽しむ上で必要不可欠な「SEEDツアーモード」の存在だ。このモードには「ストーリーイントロダクション」と「キーワードイントロダクション」のふたつのコンテンツがある。 「ストーリーイントロダクション」は、「機動戦士ガンダムSEED」TV版の各話のダイジェストが閲覧できる。「SEEDモード」は原作を15ステージにまとめているため、「あれ、ディアッカがいつの間にかアークエンジェルにとっ捕まってる」と話の筋が飛んでしまう場面が多々ある。
こんなときこそ、SEEDの全50話をフォローしている「ストーリーイントロダクション」の出番となるわけだ。各話はタイトル名、2点の画像、あらすじテキスト、次回予告テキストで構成されている。あらすじは800~1,200文字程度にまとめられており、原作を補足するには十分なボリューム。L1、R1のページ送り機能も読みやすくてよい。ただ、サイズの小さい画像しか用意されていないのは残念だ。
また、一見無駄にも見えるSEED版“トリビア的”知識を得られるのも特徴。たとえば「コーヒー豆」の項目を見ると“コーヒーのブレンドに凝るバルトフェルドが使用していた豆。「ハワイコナ」は、ハワイ原産で、苦味、酸味、甘味、のバランスが取れた豆で…(以下略)”と原作ファンのみならず「へぇ~」と興味をそそられる説明文が面白い。
「ストーリーイントロダクション」、「キーワードイントロダクション」は「SEEDモード」をクリアしていなくても閲覧できるので、「機動戦士ガンダムSEED」を未見のプレーヤーは、まずこちらで全話の流れをつかむという力技もアリだと思う。
キャラクタプロフィールは、登場人物たちの生涯を解説したモード。スペシャルアタック使用時のカットイン画像が動画ではない、ボイス集がカテゴライズされていない、など使い勝手の悪さはあるが、解説文はテキスト量も多く「SEEDモード」の人間関係を把握するために重要な役割を果たしている。
このように資料性の高いGALLERYだが、残念なのは、GALLERYをプレイ中に起動できないところ。これは過去のGジェネシリーズから感じていたことだが、ステージ中に新しい登場人物が出てきたはいいが「マニアック過ぎて思い出すことができない」といったう場面が少なからずあると思う。
こんなとき、GALLERYのプロフィールモードを呼び出して、即座にどのような活躍をしたキャラクタか確認できれば、非常に助かるはず。「SEEDモード」のストーリーも、プレイ中にSEEDツアーモードが起動できれば、遊ぶ人の理解力は相当高まったはずなのに……。
■ オリジナルの軍隊を編成可能なGENERATIONモード
自分の好きなキャラクタとモビルスーツで自軍を編成できるのが、GENERATIONモード。こちらをプレイした感触は、目新しさこそないものの、Gジェネシリーズらしい老舗的な仕上がりといったところ。Gジェネファンにはおなじみの「開発」、「設計」、「編成」は健在。全ユニットをSEED系列の機体で固めるもよし、さまざまなシリーズから優秀な機体をチョイスするもよしで、そこには無限のバリエーションが存在する。Gジェネシリーズ初体験という人にも、こちらのやり込み要素を極めていただきたい。
過去のGジェネシリーズは、ガンダムシリーズそれぞれのストーリーが忠実にゲームに落とし込まれており、ガンダムの歴史をオリジナルの軍隊で辿るという展開が、遊んでいて実に楽しかった。 SEEDモードだけでなく、GENERATIONモードもひとつのシリーズにつき10面ほどステージを用意して原作を再現するような作りになっていたら……と筆者は考える。ステージ数は膨大なものになるだろうが、それでもやはり「そうして欲しかった」と思う。
もしそのような仕様であれば、この「SDガンダム GGENERATTION SEED」は、数あるガンダムゲームの中で数少ない“この1本でガンダムの歴史が辿れる!”という決定版になっていただろう。
今作をプレイするのにベストなプレーヤーは、ずばり「機動戦士ガンダムSEED」を未見の方々だろう。現在発売中の「GUNDAM SEED DVD COLLECTION」を全巻観れば済む話だが、多忙な現代人に、なかなかそれだけの時間を作りだすことは難しい。SEED世界の速習効果だけを考えるなら、DVDより断然「SDガンダム GGENERATTION SEED」に軍配が上がる。
この作品から「機動戦士ガンダムSEED」の世界に触れ、DVD、プラモデル、関連書籍などに手を伸ばす……そんなはじめの一歩を踏み出すためのスターターキットとして、手ごろなソフトではないだろうか。3月下旬に「ガンダムSEEDスペシャルエディション 虚空の戦場」の放映も控え、ますますヒートアップするSEEDワールド。SEED初心者の方々は、この番組の放映までを目安に「SDガンダム GGENERATTION SEED」をクリアしてみてはいかがだろうか?
□バンダイのホームページ (2004年3月8日) [Reported by 福田柵太郎]
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