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★Xboxゲームレビュー★
爽快なスノーボードでのトリックを、ゲームの3D空間で誰もが簡単に気持ちよく成功させられる「天空 -Tenku-」の続編。トリックを決めてジャンプすれば、まさに天空へ舞い上がる快感を得られる。本物のスキー場では「ボードを履いた瞬間から立てない」という人も、ゲームの中でなら「エアトリック」や「レイルトリック」も思いのまま。高難度のトリックを華麗に決めるにはそれなりの慣れと練習が必要だが、体力の限界やケガを恐れる必要なく何度でもトライできる。
また「天空2」では、激しいエアトリックや長いレイルトリックを成功させて高得点を上げる以外にも、“いかにスタイリッシュにトリックを成功させたか”がポイントに換算される。ゆっくりとした安定感あるスピンや、レイルに乗ってスムーズにツイストするなど、スタイリッシュなメイクトリックでスタイルボーナスが追加されるシステムになっているのだ。そのお陰で、自分なりのスタイルでライディングを楽しむ幅が広がっている。
■ スタイリッシュなトリックにこだわれる コースには、ジャンプ台やハーフパイプ(半円形のパイプのような設置物)、レイルなどアイテムがいっぱいある。さまざまなアイテム以外にも地形を利用して豊富なトリックをメイクするのが本作の楽しみ。慣れてくれば、ロッジの屋根やリフトのケーブル上など、「こんな場所で?」といった所からのトリックもできる。 ● エアトリックとスタイル スノーボードシーンを思い浮かべて誰もが最初に思いつくのが、ジャンプ中に回転したりボードをつかんで行なう派手な「エアトリック」だろう。ベーシックな「エアトリック」は、「オーリー(スノーボードでのジャンプ)」。Aボタンを押しっぱなしにすると加速し、離したときに「オーリー」する。そして、ジャンプ台の先端から一定の範囲内でタイミング良く「オーリー」すると、大きなジャンプができ、その間に左スティックを左右どちらかに入れると「スピン」、上下どちらかに入れると「フリップ」が簡単に行なえ、斜め方向に入れると高度な「3Dエアトリック」となる。さらにこれらと同時に、右スティックを6つのどれかに入れれば6種類の「グラブ(ジャンプ中にボードの縁をつかむトリック)」が行なえる。 そしてここからが重要で、ただ空中でたくさん回転すればいいというものではなく、「天空 -Tenku- 2」ではスタイルが重視される。トリックによって得られるポイントは、スタイリッシュな動きで行なってこそ、より高いポイントとして計算される仕組みになっているのだ。スタイリッシュな動きをするには、ジャンプ中に左スティックを完全に倒しきらず、ニュートラルと端の中間辺りに保って(そっと半分ほど倒すようにして)入力する。成功すると、スタイルメーターが画面下に表示され、入力を続けているとメモリがぐんぐん上がっていく。だが、いくらメモリを上昇させても「ランディング(着地)」に失敗するとその努力はオジャンになってしまう。トリックの後の「ランディング」まで成功させた時点で、初めてポイントとして加算される。 最初のうちは、高ポイントを狙って空中で粘りたくなり、着地するか、あともう1回転できるか? というせめぎ合いで無理して転倒、全てがパー、ということをよくやってしまった。また、「ランディング」のためにボードを谷に向けたくて、帳尻が合わなくなって途中で左スティックを離してしまい、結局「スタイルゲージ」が表示されたわりには低い点、というのもありがちだった。
スタイリッシュさがアナログスティックの入力タイミングや、少し倒すという操作に反映され、たった1回の「メイクトリック」もシンプルだが奥が深い。「スタイルメーター」を大きく伸ばして「ランディング」まで成功させ、高ポイントを叩き出した瞬間は、普通にトリックを決める爽快感にも増して「決めた!」という実感を強く得ることができる。
● 「レイルトリック」
コースの随所に設置されたレイルを使って、「レイルスライド」が可能。「レイルスライド」とは、これもスノーボードシーンでよく見掛ける、手すりのような棒などに乗ってスライドして行なうトリックだ。ゲームの中では、倒木やリフトのケーブルなどを利用したど派手な「レイルスライド」も行なえる。レイルの近くでBボタンを押すか、多少の段差がある場合は「オーリー」で飛び乗ってBボタンを押せば「レイルスライド」でき、平地から「オーリー」で飛び乗れない高所のレイルも、大抵はその付近の地形を利用してジャンプから飛び乗ることができる。
● コンボと「バター」 トリックを連続で成功すればコンボが繋がり、コンボを決めていけば得点が何倍にも増やせる。コンボのつなぎ目のトリックとして重要なのが、ボードのノーズやテールでバランスを取りながら滑る「バター」。コンボは「エアトリック」→「バター」→「レイルトリック」でもいいし、レイルからレイルに渡るときに「バター」を挟んでもいい。プレーヤーが想像力を働かせることで、コース内の様々なポイントでコンボが可能となる。
コンボは最初、正直言って「ゼンゼンできない、難しい!」と思ったし、今も苦手だ。基本の単発アクションはちょっと慣れれば簡単に出せるが、コンボは次々に頭を切り換えて操作していくところで、すぐ切り替わらずあわてて転倒して全てのポイントを無駄にしがち。そこで最初は、決め打ちでコンボを作って踏襲することで、ポイント稼ぎに結びつけるのがオススメ。コンボを指に馴染ませるには、練習が必要。反復練習が重要だという点も、実際のスノーボードと変わらないようだ。
■ キャリアを積んでスノーボード界のトップを目指す
基本モードの「キャリア」は、自分の作ったボーダーを育ててキャリアを積み、スノーボード界の頂点を目指すモード。1つの山にはいくつかのコースがあり、山にはいくつものチャレンジ項目がある。コースはどれを選んでも構わないので、下まで滑り下りる間に配置されたさまざまなアイテムでトリックを行ない、チャレンジを達成していく。チャレンジの達成によって「スキルポイント」を得てボーダーのパラメーターを伸ばしたり、ボーダー自身の「カレントランク」が上がっていく。それによって、さらなるコースや山がアンロックされていくというのが一連の流れだ。
山をアンロックするには、地道に「カレントランク」を上げていかなければならないのだが、「カレントランク」のスタートは250位からとなっていて、チャレンジをクリアして1位、また1位、といった感じで徐々に上がっていく。上位へ上がるには地道な努力と上達を求められ、とてもストイックな印象を受ける。 だが、飽きずに何度も滑れる要素が豊富に用意されている。コース中には「スコアポイント」、「メディアポイント」の他に、いろいろなチャレンジノルマが課されている。山固有の3種類のチャレンジ要素として、「トリック」、「ギャップ」、「スノーマン」がある。「トリック」は単発のトリックを5種類決めるだけ。「ギャップ」は、コース内の5カ所のキラキラ光るエフェクトで示された地点で、規定の動作(スタートボタンで確認できる)を行なうと達成できる。「スノーマン」は山に8個置かれた雪だるまを見つけて体当たりで破壊するだけ。
目指す「スコアポイント」が稼げずに煮詰まったら、とりあえずこれら3つのチャレンジの達成にだけ目標を絞ってみるといい気分転換になる。筆者の場合、「スコアポイント」達成に行き詰まってちょっと拗ねながら「スノーマン」を探しに傾倒していたら、コースの隅々まで回っている間にコースとコースの位置関係、アイテムの位置関係を次第に覚えてきて、これが結果的にポイントを伸ばすのに役に立った。
そして各山にはアンロック要素として「フォトショット」や「プロ」、「スポンサー」が隠されている。特に「フォトショット」と「プロ」は、ミッションクリア型といった感じのミニゲーム的な内容。1コースを滑り下りるのに比べて手短に何度もチャレンジを繰り返せるので、トップを目指す長く険しい道中のちょっとしたアクセントとなっている。
「フォトショット」は、短いコースでカメラマンを満足させる滑りを見せるというもの。黄色いリングを通過しながら、カメラマンの満足度を示すゲージも同時に満タンにしなくてはならない。精密な操作を求められて難度が高いものが多く、ここでやったトリックを通常のコースでも再現すれば高ポイントに結びつけられる。「プロ」では、プレーヤーの前を滑るプロについて短い距離を滑る中で、一定の地点でトリックを成功させていき、プロに勝つと新しいトリックを教えてもらえる。「スポンサー」は、スポンサーの好むトリックをメイクして興奮度ゲージを上げ、「AMPED」状態で滑りきると成功。スポンサーによって、「エアトリック」や長い「レイルスライド」など好みが異なり、それ以外のトリックをメイクするとブーイングが飛んでくる。ひたすら同系統のトリックばかりメイクして、必要ないアイテムを避けて通るので、慣れたコースもいつもと違った雰囲気で滑れる。
■ 遊びの幅を広げるマルチプレイと「Xbox LIVE」 「マルチプレーヤー」では、画面分割で最大4人、Xbox本体をLANでリンクさせたり、「Xbox LIVE」に接続することで最大8人で同じコースを滑ることができる。「マルチプレーヤー」のゲームタイプは大きく2つに分けられ、ノルマを設定して競い合う「セッション」と、設定タイムまでコースを自由に滑れる「ジャストライド」がある。「セッション」には多人数プレイを盛り上げるルールが用意されていて、中でもコースに配置された星マークを奪い合う「King of the Mtn.」が熱い。星のある位置に近づくと画面がフォーカスされて、そこでトリックを決めると星が獲得できる。「Xbox LIVE」で筆者がプレイしたときは、「取られた!」、「もう星が無い!」などと言い合いながら入り乱れての星取り合戦が面白かった。Xboxを8台繋げられる環境はそうそう無いが、「Xbox LIVE」では比較的簡単に最大人数が揃うところもありがたい。
また、「Xbox LIVE」のコンテンツダウンロードで、「SlopeStyle」のコースをスノースケートでライディングできる「SlopeStyle 2」をダウンロードできる。「キャリア」を進めていけばスノースケートでライディングするステージがアンロックされるが、それを待たずにスノースケートを操作できる。スノースケートの基本的なアクションはスノーボードと同じで、最大の違いは「キックトリック」ができること。空中でXボタンを押せば、足でくるっとスノースケートを回転させて「キックトリック」を行なう。ダウンロードすれば、プロライダーを操作できる「フリーライド」モード内に追加されるので、プロライダーを使ってスノースケートで、実在の「SlopeStyle」でメイクトリックというのもひと味違う楽しみがある。
■ 雪山を堪能しながら、やがてプロの頂点へ 際立ったストーリー性がないのにこんなに楽しくて繰り返しプレイしてしまうのは、スノーボードの持つ根本的な面白さをリアルに追求し、それを再現することに成功しているからだと思う。スタイルというよりも単純に筆者の好みは「エアトリック」で、せっかくだから飛ばなきゃ損とばかりに飛びまくって回転しまくるのが楽しくて仕方ない。実際なら小さなコブから体が浮くだけでも恐くて腰が引けそうなところだけれど、「天空 -Tenku- 2」の中では果敢に大技にチャレンジして、崖っぷちからのジャンプにだって挑戦できるところがすごい。 ランディング中、シャッフルで盛り上げてくれるBGMの豊富さもさりげなくポイントが高い。インディーズバンドによる300曲以上の曲が収録されていて、ちょっとプレイを休憩する間も放置しておくと、部屋の中に居てゲレンデ脇で休憩しながらゲレンデのスピーカーから流れるBGMを聞いているような感じだ。
本物のスノーボードが好きだから本作を手に取る人のほかに、ゲームとしてスノーボードをやりたくて始める人がいると思うが、筆者は後者の方だ。そんなスノーボード未経験者に対して、アンロックされるプロボーダーたちの映像と生の声がメディアアピールの大切さを教え、プロの世界に引き込んでくれる。映像の中では、スポンサーの期待に応えることが大切だと語るプロも居れば、一生懸命やっていれば何とかなるというプロ、そんなに甘くないと説くプロもいて、普段関わりの薄い世界なのに「こういう人達がトッププロなんだ」と、興味は尽きない。スノーボードに多少の興味があって「天空 -Tenku- 2」を手に取ったら、いつしか画面内の自分の分身を操ってトッププロを目指している自分に気付くだろう。 (C) 2004 Microsoft Corporation. All rights reserved.
□Xboxのホームページ (2004年3月5日) [Reported by 河本茉澄]
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