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★Xboxゲームレビュー★
1人称視点により、限られた視界の中でゲームを進めていく本作品。背後や物陰にも注意を払いつつ、様々な武器を使って敵を倒していくことになる。さらに、パンチやキックなど、自分の肉体を駆使した攻撃も重要なポイントにもなる。この手のゲームには珍しく、銃器よりも格闘部分に比重が置かれているゲームだ。
■ すべてが謎のまま、主人公は戦いの中へ ゲームを始めると、主人公の視点でリアルタイムデモが進行する。とある研究施設の一室で主人公が目にするのは、医師と研究員らしい人物。彼等の言葉から、主人公は記憶を失っており、さらに長いこと昏睡状態だったらしい。
目覚めて身体を起こした主人公(もちろんすべて映像は主人公視点のまま)は、ガラス越しの男に言われるまま、3つの部屋で様々なアクションを学ぶことになる。この部分はチュートリアルとなっており、基本的操作を学ぶことになる。
すべての部屋を回り、最初の部屋に戻って食事をとると再びベッドへ。その後、武装した男達が部屋に侵入し、主人公を殺害しようとするところに、ひとりの女性が現れて救ってくれる。主人公を助けてくれた女性「アレックス」に促されるまま、武器を手に建物からの脱出を試みることに……。 ここまでが、ゲーム開始までの大まかな流れだ。主人公が何者なのか、どのような存在なのかもはっきりとわからず、周囲の状況や会話から判断する必要がある。サスペンス映画のような展開でスタートするので、まずストーリーに引きつけられてしまった。 リハビリと称したチュートリアルでは、ゲームの基本となる操作をセリフと画面下のマークで説明してくれるので、マニュアルを読まずに始めても、ある程度の操作は覚えられるはずだ。これにより、FPS(First Person Shooting:1人称視点のアクションシューティング)に慣れていない人でも、戸惑わずに遊べるように配慮されている。ゲームを進めていくと、ここで覚えたアクションを応用した謎解きもあるので、1つ1つのアクションが持つ意味をここで理解しておく必要がある。
何もわからないまま戦いに放り込まれるシチュエーションも、プレーヤーをストーリーに引きつける部分といえるだろう。自分が何者かを知るには先へ進むしかなく、そのためには今置かれている状況から逃れるしか術はない……。ゲーム序盤でプレイ意欲をかき立てるのに十分な展開だ。
■ 操作はシンプルだがクセがある 実際にプレイしてみるとわかるが、一般的なFPS系のゲームでは、前進/後退と左右への水平移動は左スティック、上下の視点移動と、左右へのターンは右スティックと、移動系と視点移動の操作はそれぞれが1つのスティックに集中している。しかし、このゲームでは、前進/後退の移動と左右へのターンが左スティックに、左右への水平移動は右スティックに割り振られている。右スティックには上下への視点移動があるので、PCやその他のゲームでFSP系のゲームに慣れているプレーヤーは、最初操作に戸惑ってしまうと思われる。オプションで操作のカスタマイズができるので、最初にチェックしておこう。 それ以外の操作は、序盤のチュートリアルで学んだとおりで、すんなりゲームを進められる。攻撃の際は、最も近い敵に対して自動的にロックオンされるので、自分で敵を狙ったサイト調節を行なう必要はない。慣れない人には移動とサイト調節を同時に行なうのは非常に難しいため、このシステムは非常に助かる。ただし、自分の狙いたい敵を必ずロックオンするとは限らないので、別の敵をロックオンしてしまった場合は、Aボタンを押して切り替えなければならないのは、敵が複数いる時にもどかしさを感じる部分かもしれない。 また、ロックオンすることで視点がそちらに集中してしまうため、きびすを返して撤退する時にはBボタンでロックを解除しないと振り向けないなど、移動にワンアクション必要になるのも、FPSに慣れたプレーヤーにはもどかしく感じる点ではある。
ただし、これらは銃器を使った場合に感じる部分で、格闘で戦う場合はロックオンシステムは非常に便利だ。格闘を行なう場合、敵の攻撃をかわしたり、立ち位置をより有利な場所へもっていくために、左右への平行移動を利用することがよくある。このとき、いちいち敵へと視点を戻す必要がないので、攻撃に集中しやすい。序盤こそ、手も足も出ず、無敵といっていいトラン兵だが、途中から主人公の力が徐々に覚醒していくことで殴る、蹴るという格闘が対抗手段となっていく。否が応でも格闘することになるので、早めに慣れておこう。
■ 格闘戦での立ち回りが生死を分ける
主人公の力が覚醒すると、トラン兵と呼ばれる人造人間らしき敵と対等に闘えるようになる。銃器による攻撃はトラン兵に通用しないので、パンチやキックなどで戦うことになる。銃器と違って、腕や足では左右異なる攻撃が存在し、L/Rボタンを使って攻撃を使い分けていく。さらに左スティックの下+右トリガーで相手を吹き飛ばすキックを繰り出せるなど、スティックL/Rボタンの組み合わせによって攻撃の性質や威力も変化する。また、R→Lボタンでワンツーパンチ、R→L、Lボタンでワンツーパンチから回し蹴りのコンビネーションが使える。
後半になれば、Rボタンを押し続けることでエネルギーの固まりを相手に投げつける飛び道具も登場する。これらの技を駆使することで、トラン兵をはじめとした、人間以外の様々な敵と戦うことができるようになる。もちろん、人間にも格闘戦は通用するが銃器を使ってくるため、こちらも銃器で応戦した方が楽。未知の生物に対する対抗手段として割り切った方が、使いやすいだろう。銃器か格闘かを選択できるのがこのゲームならではの面白さなので、自由に使い分けていくといい。
なお、左スティックを押し込むとガードを行なう。押し込んでいる間はガード状態を維持し、視野内に対してのみ防御効果がある。背後からの攻撃はさすがにガードできないものの、視界内では銃器の攻撃ですら防ぐことができるので、様々な局面で利用できる。ガードしたままの移動も可能。離れた敵へ突進する時や敵から離れる時などに利用すると、ダメージを受けずにすむ。ただし、ゲーム序盤では主人公の力が覚醒していないため、ガードの効果は全くないので注意して欲しい。トラン兵を格闘で倒せるようになってから、ガードは本来の能力を発揮することになる。
■ 各所に散りばめられたワナが緊張感をかき立てる 銃器や格闘で敵を倒すだけではなく、施設自体にも様々な仕掛けがある。ただし、仕掛けを解く際に自分が無防備になってしまう。ここを上手くついてくる、いわゆるプレーヤーを陥れる“ワナ”が随所に用意されている。序盤では、銃器が効かず、また格闘でも倒せないトラン兵が徘徊する通路。ここにあるエレベーターから別の階へ移動することになるのだが、ボタンを押してもエレベーターは作動しないというシチュエーションがあった。
実は天井に開いている穴にジャンプして掴まり、そこからエレベーターシャフトへと逃げ込むのだが、トラン兵に追われている状況でエレベーター内で見上げる余裕などまずない。ここに気付くまで10分以上かかり、何度もやり直した著者としては正解を見つけたとき、「やられた、騙された(笑)」と心底思った。それまで、視点を大きく移動させて仕掛けなどを見つけることがなかったので、目先のギミックへ神経を注いでいたために、見事にこのような状況に陥ったのだ。ここは開発者の思惑(?)にハメられた形になった。非常に意地の悪いワナだと思ったが、よく考えてみるとここまで移動してきて、1度もエレベーターを使わなかったことと、数あるボタンがどれも作動しなかったこと、この2つが伏線だったのを見落としていた自分の責任と気付いて苦笑した。
しかし、すべての仕掛けに伏線があるわけではなく、最初にハマってみて気付くワナも多い。ちょっと頭を捻れば気付くのだが、戦闘中や敵に追われている時など、考える余裕のないところにワナが仕組んであるのだ。謎解きの難易度は高くないが、代わりにこのようなワナを用意してプレーヤーを陥れてくる。人によってはただの腹の立つ仕掛けと感じられるかもしれないので、もう少し数を減らしてもよかったような気がするが……。開発者との知恵比べ、といった感じで割り切ってしまえば面白いのだが、ここは好みがはっきりと分かれるだろう。
■ 自分以外はすべて敵、3つどもえの戦いが展開される 主人公に襲いかかってくるのは、武装した人間以外にも前述したトラン兵がいる。トラン兵は主人公以外にも、武装した人間とも敵対しており、ゲーム中で何度も人間達と小競り合いを起こしている。 問題はトラン兵と人間、どちらも主人公を攻撃してくる点。トラン兵と人間の戦闘に割り込むと、どちらからも攻撃されて袋叩きに遭ってしまう。時には戦いの様子をうかがって、どちらが全滅するのを待ってから戦いを挑むこと(大抵はトラン兵が人間を駆逐するが)。さらに、ストーリーが進むとトラン兵側の敵に、姿を隠して襲いかかってくるものや、レーザーを放つものなどが登場する。敵の能力によって、闘い方を変える必要があるので、ただ殴ればいいというわけではない。
そして、物語のカギとなり、ライバルとも言える「ソウラス」の登場によって、戦いはさらに激化していく。ストーリーの展開が上手くできており、主人公、人間(軍部)、ソラン兵やソウラスと、3つの勢力による戦いが物語を盛り上げてくれる。
最後までプレイしてみて感じたことは、操作を簡略するために細かい部分が犠牲になったところがあると感じられる。例えば、視点を上に向けたまま移動しようとすると、勝手にデフォルトの位置に戻され、上を向いたまま移動ができないところ。これは、周囲の状況を判断して移動する時に困る。ものに掴まったりする場合、見上げたまま移動することが多いので、強制的に視点を戻されると距離感が掴みにくい。 他にも、敵に殴られた時やぶら下がりから上る時など、視点が大きく動くので、FPSに慣れていない人は10分もしないうちに酔ってしまう(俗に言う3D酔い)。これに関しては何度も休憩を挟みながらプレイして克服するなどするしかない。様々なFPSをプレイしている著者でも3時間ほどで少し酔ってしまった。今では、全く問題なく長時間プレイできるが、それでも視点の動きが激しいことは確かだ。FPSに興味はあるものの、すぐ酔ってしまう人にはお勧めしにくい。
以上の不満は感じたものの、ゲームの作りはしっかりしており、演出やゲームバランスはよくできていると思う。即死亡というトラップがいくつかあるが、再開ポイントが細かく設定されており、ひとつのエリアも丁度よい長さのため、やり直しもそれほど苦にならない。海外のFPSのように徹底的にやり込まないとクリアできないほど、コアなゲームではないので、ストーリーが気になるライトユーザーにもお勧めしたい作品だ。 (C)2003 NAMCO LTD,.ALL RIGHTS RESERVED.
□ナムコのホームページ (2004年2月16日) [Reported by 渡辺洋二] また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved. |
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