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★PS2/GC ゲームレビュー★

奥深い味わいの人間観察シミュレーション
「ザ・シムズ」

  • ジャンル:ライフシミュレーション
  • 発売元:エレクトロニック・アーツ株式会社
  • 価格:6,800円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2、ニンテンドーゲームキューブ
  • 発売日:発売中(2004年1月22日)



 息の長い人気を誇るシムシリーズから、「ザ・シムズ」が登場した。以前は「シムピープル」というタイトルで販売されていたこのタイトル。最新の日本語版は、英語版と同じ名前の「ザ・シムズ」としての発売となった。

 シムシリーズの箱庭感と、目標をクリアするパズル的要素、そしてなにより、自分の夢の生活が送れるソフトとして、もはや定番とも言えるこのソフト。このレビューではその楽しさをお伝えする。


■ まずはストーリーモード

 このゲームは、シムタウンに自分の分身を住まわせ、生活したり、周りのキャラクタを観察したりするライフシミュレーションだ。各ステージのミッションをクリアしながら進めていくストーリーモードと、自分の住む建物や、自分の家族構成などを思い通りにできるフリーモードが用意されている。

 この中で、プレーヤーが最初に遊べるのは、ストーリーモード。このでゲームを体験し、最初のシーンが終わって夢から覚めれば、フリーモードを選ぶことが可能になるのだ。フリーモードを心待ちにしている方も、数分で終わるシーンなので安心して欲しい。

ゲームメニューはこの画面で行なう。インターネットに接続できる状態だと、オンラインが表示される 暗くてまったりとした雰囲気のクラブ。ここでのキスから物語は始まるのだ


 モードを選んだら、プレーヤーキャラクタの作成に移る。自分のプレーヤーキャラクタは“シム”と呼ばれ、用意されているパーツを組み合わせて作成する。名前と星座を決定し、顔パーツや服装を選べばシムの完成だ。顔のパーツはもちろん、服装やアクセサリも多数用意されているので、かなり思い通りに自分のキャラクタ像を追求できるようになっている。

 外見については選択の幅が広く、イメージ通りのシムが作れるのに対して、名前には、残念ながら漢字とひらがなを使えない。これでは日本人同士のオンラインプレイなどで、日本語名が使いたい場合に困ってしまう。日本向けにセーラー服や学ラン等の学生服も用意してくれている一方で、キャラクタのイメージを決める根底であるネーミング部分で、こういった仕様になっているのは、大変残念。次回作以降では、日本語の名前も使用できると、感情移入などの面でだいぶ変わってくるのではないかと思う。

 ストーリーモードの目的は、大金持ちのマルコム・ランドの邸宅に移り住むこと。とはいえ、最初からマルコムの家に移り住めるわけもなく、各ステージを順にクリアしながらチャンスをうかがうことになる。

 各ステージは建物と住人がセットで設定されている。最初のステージは自分の家。桃色のパジャマを着て、顔に緑色のパックを塗った、「ママ」との同居生活の始まりだ。ママは、取扱説明書を開いたところにも登場するイメージキャラクタ。ちょっと口うるさいが、シムをあれこれ助けてくれるので、積極的に利用すること。特に、掃除や食事の準備などを行なってくれるのがありがたい。

星座によって、性格が変わってくる。狙った職業に向いた性格を探すとよい 名前の入力画面。カタカナと英数字、一部記号しか使用できない。せめてひらがながあれば…… 面白パーツもいっぱい用意されている。とはいえ、この頭で日常生活を送るのは、ちょっと勇気が必要かもしれない

マルコム失踪。ここからストーリーは始まる。マルコムは不思議銃で家具を消すなど大暴れだ これがママ。家事全般をこなしてくれるので、いつでも家が快適。時々踊りっぱなしになる



■ ゲームの進め方

 主人公であるシムは、ある程度自分で快適になるように生活を行なってくれる。とはいえ、自分で誘導した方が、より効率よく行動させられるのは言うまでもない。効率の悪い行動を行なっていると、スキルを磨いたり、昇進のための準備を行なう時間が少なくなってしまう。

 もちろん、このような状態ではゲームをクリアするためにかかる時間も急に長くなってしまうので、効率のよい行動を心がけなければならない。この時、効率のよい行動の目安となるのが、方向キーを上に入れる事で確認できる状態パネルだ。この状態パネルについているアイコンは、お腹の減り具合や入浴の必要性などの8種類。バーが赤くなりすぎないように注意して、シムを誘導しよう。

 万が一、状態を示すバーが真っ赤になってしまったら、それはもうほぼ手遅れ。トイレを我慢させすぎた場合など、想像したくない出来事が本当に起こってしまう。そんなことにならないよう、あれこれと不満を訴え続けるシムを誘導することになる。

助言してくれるキャラも。同居人は助言してくれることもある。聞いておいた方がゲームを進めやすいハズ トイレに行けるようになったら1人前。先に入られると途方に暮れることになる 「友達になってよ」と話しかけまくるシムさん。誉めて話して、ちょっとしつこい位が丁度いいかも?


 最初のステージである自宅での目標は、仕事について2段階昇進すること。昇進するためには、仕事のレベルアップのための条件と、必要とされている人数の友人が必要となる。仕事を選ぶのは新聞等で簡単に選ぶことができるのだが、友人を作るためには、家に訪問してきた人を捕まえて話しかけるしかない。しつこく話しかけるぐらいでやっと友達になってもらえるので、「誉める」、「話す」、「誉める」、「話す」と繰り返すなど、これでもかという気合いで望みたい。

 実は、最初のうちは友人を作るために必要な時間を割ける生活を送っているシムも、3ステージ目あたりから仕事が忙しくなってくるため、友人を作るために使える時間を取るのが急激に難しくなってくる。このため、最初の方のステージで友人を増やしておくと後が楽になる。

創作のスキルを伸ばしている所。絵は完成すると売却可能なので、2度オイシイ 本棚の本やチェスなどで各種スキルを磨くシム。遊んでるように見えるんですが……とりあえず、勉強、勉強 無事に条件を満たすと、引っ越せるようになる。だが、引っ越すのはまだだ


■ スキルを磨いて仕事をゲット

 スキルを磨くには、何らかのアイテムを使用し、時間を費やさねばならない。最初のステージには、スキルを磨くためのアイテムがいくつか用意されている。このステージで磨けるスキルは、本棚にある本を読むことで「料理」と「技術」。風呂場の鏡で「魅力」。庭のイーゼルで「創作」の各スキルとなっている。これ以外のスキルを伸ばしたい場合は、スタートボタンで呼び出すポーズメニューから、スキルが伸びるアイテムを購入して、配置する事になる。費用はかかってしまうが、昇進すればあっと言う間に稼ぎ出せる金額のハズなので、ためらわずに購入しよう。引っ越しの際にも、いくらかキャッシュバックされることがあり、損はしないはずだ。

 さて、スキルの磨き方を理解したら、次はどの職業に就くかを考える事になる。職業によって必要なスキルや、収入が大きく違うので、注意して選ばなければならない。収入の多い職業を選択すれば、スキルを磨くためのアイテムや、効果の高いアイテムを購入しやすいため、特にこだわりがなければ、収入が多く、最初のステージからスキルを磨くためのアイテムが置いてあるコースを選んでいくのがよい。

 仕事に出かける前に、シムの顔の周りのゲージに緑色のランプを3個表示させておけると安心。この状態で必要な条件を満たしていれば、昇進できるはずだ。

絵を描くと頭の上のバーが伸びていく。一番上までいけばレベルアップする 家具などを買っていた場合は一部返金される。どんどん投資しても安心と言える いつまでも就職しないとママが激怒し、怒られる。すいません、まだスキル磨きたいんです

科学者コースを物色するシムさん。清掃員からスタートする事になるようだ スキル習得のためのアイテムを購入。お金が帰ってくるので、どんどん投資!



■ 詰まってしまった場合には

 ストーリーモードの共通目的となる昇進については、前述のようなプレイを心がければ比較的スムーズに進むはず。とは言え、最初のステージで十分に準備をしないで先のステージに進んでしまうと、かなり厳しい展開が待っている。眠くてふらふらの状態で、無理矢理会社に出社すると、帰ってきたときに疲れが抜けず、疲労を回復させるために風呂に入っていると娯楽が足りなくて……等と、ずるずる悪いパターンにはまってしまうことがある。

 この状態から回復するには、早い段階でハウスメイドを雇い、掃除や家事を肩代わりしてもらうのがいいだろう。また、仕事は2連休しなければ、クビになる事はないので、1回勤務して1回休むと言うパターンがお勧め。このパターンで状態を改善しつつ、スキルを磨いて昇進を狙うのもよいだろう。この方法は当然、収入が少なくなるので、残念ながら疲れた体に鞭打って出勤しなければならないこともでてくる。1人プレイでは、このようなとき助けてくれるプレーヤーはいないのだが、このゲームは2人プレイや、オンラインプレイもできる。仲間と協力することによって、退屈な毎日を充実した日々に変えることもできるのが、このゲームのよいところだ。

 ちなみにゲームキューブ版では、GBAケーブルでゲームボーイアドバンスとゲームキューブを接続し、GBAでミニゲームをするとゲームキューブ版のキャラクタがお金を稼ぐといったフィーチャーも用意されている。ゲームキューブ版をお持ちの人は挑戦してみるといいだろう。

メイドは便利。自分で掃除しなくても、家が清潔に保たれる。ぜひメイドを雇っておきたい 2人プレイで現状を打破するという手もある。壁にぶつかったら、2人プレイで乗り越えよう。まずは話をして仲良くなるべし



■ 2人プレイは別のゲーム。大推薦!

シンクが壊れてしまった! とはいえ、技術のレベルが高いシムを呼んで来れば、あっと言う間に修理完了
 このザ・シムズは、2人プレイが可能だ。リアルタイムのシミュレーションゲーム、しかも環境系の箱庭ゲーとしては、かなり珍しいと言えるだろう。2人プレイの画面は下の写真を見ればわかるように画面分割タイプだ。ちょっとドキッとする斬新なナナメ分割画面だが、そこがまた、ドタバタしたこのゲームの内容とあっていて、普段は味わえない独特の操作感となる。

 トイレや風呂場の取り合いなど、日常生活ではそれとなくお互いが配慮する部分だが、ゲームとして遊ぶときには、それとない配慮が行なわれるとは限らない。気がつくと熾烈なトイレ争いが行なわれていたり、寝不足でふらふらになってしまうまでいちゃついたりと、非常にばかばかしい出来事が頻発する。特に隣でコントローラーを握っているプレーヤーに遠慮がないと、この状況は加速する。ぎゃあぎゃあと騒ぎながらプレイすると、いつものストイックなシムズとのギャップで思わず大笑いすること請け合いだ。

 この楽しさは、1人で遊んでいるときとは似ても似つかない楽しさだ。このように複数の遊び方ができるのは、よいゲームの証。ストーリーモードで詰まってしまったら、そして、新たな楽しさが欲しくなったら、ぜひこの2人用モードで遊んでみて欲しい。


■ フリーモードは本当にフリー

 さて、ここまでがストーリーモードの紹介だ。ここからは、待ちに待ったフリーモード。気楽に豪邸を建てる事も、疑似家族を作って遊ぶことも、ハーレムを作ることだってできる本当に自由なモードだ。

 しかし、このモードで生活をしているシム達だって、現実世界の我々と同じようにいろいろな悩みを抱えている。具体的に言うと、キャラクタの操作などを含むゲームの流れは、ストーリーモードと変わらない。シム達の健康で幸せな生活は、同居人がいないぶん、プレーヤーの操作にかかっていると言えるだろう。ただし、こちらのモードであれば最初の所持金が多く、自分好みの家を建てることもできる。家を自分で建てれば、ストーリーモードで生まれがちな、生活に必要な物が人数分ないという大問題にも直面せずに済む。

 また、自由に家のデザインを楽しむことができるのも、長年のファンにはたまらない点だろう。こちらの方も手抜かりなく、600種類ものアイテムを用意してプレーヤーを待っているのだ。

家族を増やして遊ぶこともできる。家族は4人まで作ることができる シムを切り替えるのはR2、L2の各ボタン。うまく家事等を分担するとよいだろう


 家を建てる場合にはもちろん、家具や壁などの建築物を購入しなければならない。所持金は多いので、ゴージャスな家を建てなければ、普通に満足の行く家が建てられるだろう。

 ただし、この時注意したいのは壁の方向。ナナメの壁を多用すると、家具やドア、窓などをうまく配置することができない。ナナメの壁には、壁沿いに配置する家具がいっさい置けないくらいのつもりで、家の間取りを考えよう。窓の配置が悪いと家の中が暗くなってしまったり、排水や床とその上に配置できる家具の関係など、考えなければいけないことも多い。まずは、紙の上などに鉛筆でイメージを書き込み、それから順に建物にしていくのがよいだろう。

 また、こちらもシム達が成長したり昇進したりするのは同じ。子供は子供らしくスクールバスに、大人は仕事にバスで向かうという日常生活がまっているのだ。

窓がない部分が暗くなっていることに注目。予算不足で必要な物が足りていない お客様が来ているが、この家は建て直し中だ。全てを売れば、所持金は元に戻るのでリトライは簡単!



■ 非日常の世界で日常を楽しむ

 ちょっと欧米の香りの強いシムたちの生活。家にはメイドが掃除にやってくるし、楽しいパーティーを開くこともできる。軍人さんと科学者が手を取り合って笑っていたり、クラブでキスし放題だったり。そんな楽しい非日常の世界で、彼らは生きている。

 それは、日常生活を送っているリアルな我々プレーヤーとはちょっと離れているわけだが、シム達だって、仕事に煮詰まったり、遊びに行けなくて不機嫌になったりしているのだ。彼らに気分転換が必要なように、我々にも気分転換が必要な場合もある。

 そんな息抜きにぴったりなのが、このシムズ。時々現実世界に引き戻されるこの苦みは、ブレイクタイムにコーヒーと一緒に楽しむビターチョコレートを思い出させる。ビターチョコレートもこのシムズも、甘ったるいモノではない。だが、それだけに奥深い味わいを持った逸品なのではないだろうか。

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□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.japan.ea.com/
□製品情報
http://www.japan.ea.com/teaser.phtml?ProductCode=ESPD-7052(PS2)
http://www.japan.ea.com/teaser.phtml?ProductCode=ENGC-7015(GC)
□「ザ・シムズ」の公式ページ
http://www.simpeople.com/thesims/
□関連情報
【2003年12月26日】エレクトロニック・アーツ、「ザ・シムズ」をPS2、GC、GBAで2004年1月22日に発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031226/sims.htm

(2004年2月6日)

[Reported by 岡本直大 (冒険企画局)]


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