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★PS2ゲームレビュー★
街がネオンに彩られる頃、どこからともなく集まってくる「鋼鉄の騎士」たち。奴等が駆る馬はガソリンを爆発させる心臓を持ち、大地に喰らいつく4本の脚は大気を裂いて疾走する。ギンギンにノリノリなサウンドのボリュームを上げろ。覚悟はできているか。ココで称賛を得られるのは、ハデでイカしたスピードだけだ。強くて速いヤツだけが生き残る事のできる過酷なエリアを「鋼鉄の騎士」がフルスロットルで駆け抜ける。
■ テンションデンジャラスなオープニング
レースゲームと言えば、国内でもソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)の「グランツーリスモ」シリーズや、元気の「首都高バトル」シリーズなど数多くリリースされている。その激戦区に海外から殴り込んで来たのが「ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド」だ。オープニングデモからバリバリに展開されるハイテンションな世界観は、正直ド肝を抜かれる。きらびやかな画面構成は独特の雰囲気を持ち、圧倒的なスピード感はプレーヤーのアドレナリンをドバドバと分泌させてくれるのである。
■ ゲームモードは大別して3種類
本作品には大別して3種類のモードが用意されている。走り屋たちのレースイベントをクリアして最速を目指す「GO UNDERGROUND」、シングルプレーヤーレースを自由に楽しむ「QUICK RACE」、画面を2分割しての対戦プレイができる「SPLIT-SCREEN」の3種類だ。
次々に周囲の情景と、プレーヤーの置かれた状況がフラッシュショットのデモで表示されるた後に、唐突にレースバトルがスタートする。プレーヤーはバリバリにチューンナップされた“インテグラTYPE-R”でのバトルに参加。しかも、最速ドライバーを決める天王山バトル。ゲームを初めてすぐに、最高のマシンで最高のバトルに挑戦できるのは、RPGに例えれば「いきなりボス戦」に匹敵する。ここでまず、プレーヤーに本作の持つゲームポテンシャルの美味しい部分を体験させてくれるのである。
■ 初期の愛車は5車種から選択
「GO UNDERGROUND」でプレーヤーが最初に購入できるマシンは、以下の写真の5車種から選択することとなる。いずれも見慣れた普及車レベルのマシンではあるが、秘めたポテンシャルは侮れない。マシン性能として「ACCELERATION(加速力)」、「TOP SPEED(最高速)」、「HANDLING(操作性)」の3つのデータが表示されているので、選択の参考にするとよいだろう。とはいえ、現段階では大きな性能差は無いので、好みで決めてしまってもよいのではないだろうか。
■ 最速の走り屋となるために
本作にはマシン性能だけでなく、プレーヤー(ドライバー)にも3つのパラメータが存在する。車などを購入するときに必要となる「BANK」。そして「Style Points(スタイルポイント)」、「Reputation(評判)」があり、このふたつの存在が、本作がほかのレースゲームと一線を画している点なのである。先記のように、マシンやパーツの購入、チューンナップやドレスアップは「BANK」を消費して行なう。だが、開始当初はほとんどのパーツやチューンナップの項目は選択できない(ロック状態となっている)のだ。この「ロック状態」を解除(アンロック)するためには、「Style Points」をためなくてはならないのである。 さらに「Reputation」も忘れてはならない。このパラメータは、プレーヤーがどれだけ「目立っているか」を示している。どんなにハデなドリフトやキレた走りを実現しても、プレーヤーが目立っていなけれは誰も気付いてはくれない。だからこそ、マシンをケバケバしく塗装し、エアロを装備し、デカールやステッカーを貼って目立つのだ。目立てば目立つ程、獲得できる「Style Points」も多くなっていくのである。 その結果として、まずマシンはドレスアップを重視し、チューンナップはその次という、およそレーシングゲームとしては正反対な優先順位が成立してしまうのである。つまりは「目立て! そして勝て!!」が本作の基本コンセプトと言えるのである。
それでは本作のゲームコンセプトを理解していただいたところで、以下にプレーヤーが挑戦するレースイベントにどのようなものがあるのかを紹介しよう。
■ 派手な演出を支える細かい心遣い 正直言えば、海外モノのゲーム、いわゆる“洋ゲー”というヤツは素直に評価する気になれない。なぜなら、海外で制作されたゲームは、考え方や生活習慣も異なったスタッフが制作しているのだから、日本人から見れば新鮮な驚きを抱くのはあたりまえだし、そもそも本国で好評を得たモノが移植・輸入されて来るのだから面白くて当たり前だと思えてならないからだ。ところが、この作品は、そんなヒネクレた理屈屋を軽々とネジ伏せて、アッと言う間にゲームの世界に取り込んでしまう。 まず最初のレースで、最高のマシンの爽快感を体感させた後に自分のマシンを購入するという演出は、プレーヤーに与える目的意識を明確なものとしてくれる。開始早々にゲームの美味しいところを味わわせてもらった後に素っぴんのマシンを与えられて、「なるほど、いずれはああいったマシンに乗れるのだな」とプレーヤーに悟らせる。 チューンよりドレスアップを優先するゲーム手順は車に詳しくない人にもとっもとっつきやすく、車好きにもたまらない。ともすれば、長く退屈な時間となってしまうロード中には、ゲームで役立つ様々なアドバイスが表示される。ゲームを盛り上げるBGMはさながらジュークボックスのように、ロックやラップ、レゲェにヒップホップと、さまざまなジャンルのイカした曲が流れ続ける。レースバトルの最中、マシンがジャンプしたりクラッシュするとカメラアングルが切り換わり、スローモーションで表示される瞬間などは、ついつい「今の俺、目立ってるなぁ!!」と、自分のカッコイイ瞬間を自覚させてくれる。
そして気が付けば、ゲームの世界にズッポリとハマリ込んでしまっている自分に気付くのである。
リアルとアンリアルのバランス配分 リアルな映像のレースゲームがリリースされると、必ず「挙動がどうだ」とか「リアリティがこうだ」といった話題が登場する。しかし、そういった話題に終始するのはどうなのだろうか。リアリティを追及するあまりにゲーム性を損ねては意味がない。ある程度の「嘘」があるからゲームは楽しいのだ。もちろん「嘘」さえあればゲームが面白いかと言えば、それは誤りであろう。だがしかし、同様に「リアル」であればゲームが面白いかと言えば、それもまた誤りなのではないだろうか。本作品はそういった意味で「リアル」と「アンリアル」のバランスが絶妙に配分されている。その点において「シミュレーター」ではなく「ゲーム」として優れた完成度を持つタイトルとして、高く評価したい。 そのうえで敢えて苦言を呈するとしたら、Bumper Can(ドライバーズ視点)でのルームミラーがデフォルト状態でoffになっている点。そして、そのルームミラーをオンにする方法がとても解り難いとういうコト。冗談まじりに「ルームミラーもスタイルポイントを貯めてアンロックするのか?」と思った程だ。親切な読者のご指摘で、レース中のオプションメニューからDisplayを選択すればRearview mirrorのオン/オフが選択できるとようやく解った訳だが、この辺の不親切さはぜひとも改善して欲しいところだ。
ともあれ、小生のようなヒネクレゲーマーをもドップリとハマリ込ませてくれる、そんなゲームらしいレースゲームの本作品。ぜひとも楽しんでみてはいかがだろうか。
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□エレクトロニック・アーツのホームページ (2004年1月21日) [Reported by 松野桂司(冒険企画局)]
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