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★GCゲームレビュー★

悪の軍団「デスフォース」から地球を守れ!
「ガチャフォース」
  • ジャンル:3D対戦アクション
  • 発売元:株式会社カプコン
  • 価格:6,800円
  • プラットフォーム:ニンテンドーゲームキューブ
  • 発売日:発売中(11月27日)

パッケージからはまるで想像のつかない激しいバトルが展開される
 ヒーロー物アニメ風のキャラクタとマシンが登場し、悪の軍団から地球を救う……とことん子供向けの設定で作られた「ガチャフォース」。筆者も最初は、「ああ、子供向けのゲームね」と気にもかけなかったのだが、ある日、店頭で動いているゲーム画面を見て驚いた。遊んでいるのは小学生くらいの子供だったが、その画面の動きは実に高速でなめらか。

 子供でも簡単に遊べる簡単操作で、3Dフィールドを高速に駆け回れるゲーム。これは3Dアクションファンとしては見逃せない。第一印象を改め、きっとお手軽なアクションなのだろうと考えてプレイしてみると、確かに思ったとおり、操作は非常に簡単。しかし遊べば遊ぶほど、それとは別の新たな驚きが生まれてきた。お手軽アクションで済ませられない、奥の深さが垣間見えてきたのだ。

■ 高速アクションの正体は?

 「子供向けお手軽アクション」で済ませられない理由は、戦闘システムにある。攻撃ボタンはメインとサブの2種類。ジャンプはブーストゲージを消費する。敵が複数登場している場合は、ボタンでターゲットを切り替えられる。操作するマシン「ガチャボーグ」にはそれぞれGFエナジー(コスト)が設定されており、その量に応じてチーム編成を行なう。味方と連携して攻撃するとバーストゲージがたまり、MAXになると一定時間パワーアップできる。

 ここまで言えば、ピンとくる人も多いだろう。「ガチャフォース」の開発には、アーケードやプレイステーション 2、ドリームキャストで人気を博した「機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオンDX」を開発担当したスタッフが携わっている。完成度の高いシステムをもとに作られた本作は、さらにゲームスピードを高速化し、弾数やエネルギーに余裕を持たせてある。高速で飛び回りながら弾を撃ちまくるという、高速機動戦闘の醍醐味を存分に味わえる仕組みだ。

 とはいえ、高速化されれば操作は難しくなるものだ。本作ではその調整のために、操作が一部簡略化されている。攻撃ボタンは射撃と格闘という分け方をされておらず、敵との距離によって自動的に射撃と格闘の攻撃が切り替わる。これならば高速移動で敵に一気に接近した際にも、同じ攻撃ボタンを連打しているだけで、射撃から格闘へスムーズに移行できる。

 さらに特徴的なのは、追撃がしやすい点。攻撃を当てるとかなり派手に吹っ飛ぶが、着地して完全に倒れこむまでは、なかなか無敵状態にならない。そこで空中の敵に向かって、さらに追撃を仕掛けていく。もちろん受け身なども取れるようになっているが、受け身を取った場合も無敵は発生しないので、やはり攻撃が繋がる。うまい連携を探すのも、本作の遊びどころだ。

 戦闘が1対1で行なわれることはほとんどなく、2対2やそれ以上の戦闘がほとんど。前後左右から敵に攻撃されることもあれば、こちらが味方と協力して挟撃を仕掛けることも可能。敵味方の位置とユニットタイプを把握し、どう戦うかを瞬時に判断していく。これはなかなか難しいが、そこが本作のアクションで一番楽しいところでもある。

 そのほか、攻撃が連続で命中した際には、画面右上にヒット数が表示されるという、格闘ゲームのような部分もある。また、ボタンを押したままにするチャージ攻撃や、味方のライフを回復させる支援タイプユニットが存在するなど、オリジナル要素も多数見られる。

ブーストゲージを消費してジャンプ。この他に回数制のジャンプゲージもある 遠距離では射撃、近距離では格闘に自動で移行する。得意な距離をキープして戦いたい 空中に飛ばした敵を追撃。位置やタイミングが重要なので、何度も試行してコンボを考えていく


■ 設定も楽しんでしまおう

 少しゲームのシステム面から離れて、舞台設定に目を向けてみたい。

 サハリ町に住む主人公の少年は、裏山に落下した隕石を探しに行ったとき、ガチャボーグのGレッドに出会う。ガチャボーグは惑星メガボーグで生まれたマシン生命体。大きさは10cm程度と小さいが、さまざまな武器や能力を備えている。

 「惑星メガボーグは、悪のガチャボーグ軍団『デスフォース』に滅ぼされてしまった。奴らはサハリ町に秘密基地を作り、地球を征服しようとたくらんでいる。私は『デスフォース』の悪の首領『デスブレン』を倒すため、地球へやってきた。正義の『GFコマンダー』として君の力を貸してくれ!」とGレッドは言う。

 主人公だけではなく、他のサハリ町に住む子供たちも、正義のガチャボーグと出会っていた。みんなの力を合わせて、悪のガチャボーグ軍団「デスフォース」から地球を守れ!

 ……というストーリー展開。「10cmくらいのロボットで地球を征服なんてできるか?」とか、「なんで子供限定?」とか、突っ込みたいところは多々あるだろう。ゲーム中でも、大人たちは子供がオモチャで遊んでいるくらいにしか考えていない。この辺りはストーリー後半できちんと筋を通してくれる(この筋の通し方も、また豪快で面白い)ので、まずは子供たちの視点に立ってストーリーを進めていただきたい。とにかく悪の手から地球を救うため、サハリ町の子供たちが一緒になって戦うのだ。

 それにしても、ここまではっきりした勧善懲悪のストーリーも、いまどき珍しい。最後まで「デスフォース」から地球を守る、というスタンスが変わらない、潔いストーリーだ。しかし、これはこれでスピーディで派手な戦闘シーンとはマッチしているように感じる。子供の頃にテレビで見ていたヒーロー物の特撮番組のノリで、悪く言えば古臭いが、誰もが懐かしさを感じる内容でもあるはずだ。

 登場するキャラクタも、一昔前の「よくある子供向けマンガ」っぽいところがある。さっぱりした印象の友達や、とにかく元気な女の子、熱血スポーツマンタイプの少年に、ちょっと嫌味のある上級生。ありきたりではあるが、各キャラクタの個性もきちんと作ってあり、彼らの掛け合いは見ていて楽しい。

 演出もアニメっぽいところが多い。戦闘画面はコントラストがはっきりしたセル画風に描かれており、エフェクトもかなり派手に発生する。またバーストゲージを使用した瞬間は、掛け声とともに、主人公とパートナーのイラストがでかでかと表示される。

 このほか、ゲームのオープニングとエンディングには、アニメーションも用意されている。テーマソングは高取ヒデアキ氏が歌うパワフルなサウンドで、ボス戦などのBGMに使われている。いずれもこの作品らしさを感じさせるところではあるが、その他のシーンではアニメーションは見られない。またシナリオ進行中のキャラクタも、噴き出しに文字が流れるだけでフルボイスにはなっていない。この辺りはもう少し積極的に使ってもよかったとは思うが、おかげでテンポよくゲームが進むという意味では評価してもいいかもしれない。

オープニングアニメより。ゲームが元々アニメに似せた作りなので、違和感なく楽しめる。できれば続きを見たいところだ
ほどんとのガチャボーグは全長が10cmほどしかないので、子供部屋の中などが戦闘の舞台になる 特訓シーンで、ネコベーを嫌がって強引に交代するうさぎ。この辺りのやり取りも楽しい バースト使用時の演出はかなり派手。掛け合いのセリフもキャラクタごとに異なる


■ ガチャボーグのコレクション

 サハリ町の子供たちはあくまで「GFコマンダー」という指揮官であり、実際に戦闘をするのは、ロボットのガチャボーグ。このガチャボーグは、戦闘に勝利することで新たに入手できる仕組みになっている。

 200種類にものぼるガチャボーグには、さまざまなタイプが用意されている。Gレッドのような人間型のほかにも、戦車タイプや空中飛行型、味方の支援用の能力を持ったもの、果てはロボット物の夢(?)である、合体ユニットまで登場する。GFエナジーの使用量もピンキリで、10倍以上の差がついているものもある。

 ゲームをクリアしたあとは、ガチャボーグのコレクションを集める楽しみがあるというわけだが、1回クリアしたくらいでは全然揃わない。しかも、何度もクリアしたからといって欲しいガチャボーグが手に入るとは限らない。そこで本作には、他のプレーヤーが集めたガチャボーグと交換ができる「トレードモード」を搭載している。一緒にコレクションを楽しむ友人がいれば、より長く楽しめることは間違いない。

 しかもガチャボーグはそれぞれに経験値が設定されていて、敵を倒すごとに成長していく。同じガチャボーグでも、使えば使うほど強くなるというRPG要素まであるのだ。全てのガチャボーグを集めて、レベルを最高まで上げる、ということはまず不可能と思えるほどの長い道のり。気に入ったガチャボーグを集めて、最強のガチャフォースを作り上げていくだけで、相当にやりがいがあるはずだ。

戦闘に勝利すると、ガチャボーグや一部のデータが手に入ることがある。とにかく集めるしかない ガチャボーグにも経験値がある。好みのガチャボーグを使い込んでパワーアップさせよう 限られたGFエナジーの中で、どのガチャボーグをどう配置するかが悩ましい
ガチャボーグのバリエーションは非常に多彩。自分が操りやすいガチャボーグを探すのはもちろん、ステージにあわせた編成を行なえるよう準備をしておきたい


■ 「対戦モード」と「チャレンジモード」

 ここまでは「ストーリーモード」の話をしてきたが、その他のゲームモードについても紹介したい。

 「対戦モード」は、その名の通りの対戦用ゲームモードで、最大4人までの同時対戦が可能。各自が育てたゲームのデータを持ち寄れば、それぞれのフォースで戦える。もしメモリーカードを持っていない人がいても、1つのデータを複数人で同時に使用できる。またコストに差をつけたハンデ戦もできるので、腕前に合わせて調整すれば誰とでも楽しめる。

 画面分割で戦う「対戦モード」は、ややフレームレートが低下する。ゲームスピードには変化がないが、画面が小さくなっていることもあり、攻撃が見にくい場合もある。ただ、どうにも遊べないというほどには酷くはなく、少し遊んでいれば慣れる程度だ。

 「チャレンジモード」は、ステージクリア型のゲームモード。難易度が3段階用意されており、それぞれのコストにおさまる編成で、ステージをクリアしていく。ひとりでプレイする場合はCPUがパートナーを担当するが、ふたりで協力プレイもできる。

 3段階の難易度のうち、下の2段階は比較的簡単にクリアできるだろう。しかし最高難度の「超ムズ」は、名前どおりに半端な難しさではない。このモードで負けた場合は即ゲームオーバーとなってしまうため、後半のステージまで進んでも、負けたらまた最初からやり直しになってしまう。

 筆者も「ストーリーモード」をクリアした後、既に10回近くトライしているが、まだクリアできていない。1プレイに1時間以上かかる上、その間に集中力を切らさずにプレイしている(ポーズをかけて休めばいいのだが……)ので、連続で挑戦するのはやや辛い。もちろん、それだけやりがいがあるという証拠ではある。

 上記の2つのゲームモードに、強いて残念な点を挙げるとすれば、戦闘中にセリフがないことだ。「ストーリーモード」では主人公やパートナーがいろいろと喋っているのだが、対戦はそれが全くない。せっかくいい味を出しているキャラクタがたくさんいるのに、それが対戦で使えないのは惜しい。

「対戦モード」では画面を分割して戦う。ひとりで戦っている時とは違い、味方との連携も重要 「チャレンジモード」は難易度ごとに使用できるGFエナジーの量が決まっている ステージを進めていくと、とんでもない攻撃を仕掛けてくる敵ガチャボーグも……


 設定やシナリオはあまり難しく考えないでいただきたいが、戦闘システムは大いに考えて、真剣にプレイしてほしい。高速な戦闘を実現しているということは、それだけ素早い操作や判断が必要とされるということでもある。見た目どおり、子供でも遊べる単純なゲームとしても楽しめるし、コンボや戦術を考えて戦う本格的アクションゲームとして見ても十分な価値がある。とにかく、ゲームの動きを一度でも見れば、本作の凄さがわかってもらえるはず。

 「ヒーロー物上等!」と笑いながら遊べる方には、何を置いてもオススメしたい1本だ。あとは子供と一緒に遊びたいお父さんにも是非。「お父さん弱すぎて面白くない」と言われないよう、子供と競い合って遊んでいただきたい。

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□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「ガチャフォース」のホームページ
http://www.capcom.co.jp/gotchaforce/
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(2003年12月25日)

[Reported by 石田賀津男]


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