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★PS2ゲームレビュー★
「世界の男性3人にひとりが持つと言われる(公式サイトより)」大人気の変形ロボット玩具「トランスフォーマー」をゲーム化。3Dフィールド上で特殊能力「トランスフォーム(変形)」を駆使しながら戦うアクションゲームで、仲間とフォーメーションを組みながら敵対勢力のトランスフォーマーを撃退することが目的。ストーリーモードは、サイバトロン、デストロンのいずれか一方のルートを選択可能。それぞれオリジナルシナリオが楽しめる。
■ テレビマガジン「トランスフォーマー手帳」を持っている大人たちへ ロボット形態から、トレーラーやピストルなどに変形する超ロボット生命体トランスフォーマー。シリーズの初登場は'85年で、当時小学生だった筆者の周囲でも瞬く間にトランスフォーマーブームが広がっていった。玩具はもちろん、アニメのオンエアは毎回チェック、テレビマガジンなどの情報誌も定期的に購入していたクチである。 今回レビューを行なう「トランスフォーマー」を楽しむコツは、過去を懐かしむ想い入れのフィルターがプレーヤーサイドに備わっていることが最重要ポイント。「トランスフォーマー? 久しぶりにコンボイ総司令官たちに会いたいな」と思った読者は、このレビューを読み終えると同時に、ゲーム販売店に走ったほうがいいだろう。
約100体の歴代トランスフォーマー戦士が登場するPS2「トランスフォーマー」は、シリーズの持つ雰囲気、キャラクタ性という部分にのみ着目すれば、原作のイメージを損なうことなくゲーム化に成功しているタイトルといえるからだ。
■ トランスフォームシステムが活きたアクションパート
サイバトロン・デストロンの2ルートからどちらかをチョイスすると、プレーヤーキャラクタは2名のパートナーキャラクタを従えて3Dフィールドに出撃する。マップはいくつかのセクションに区切られており、最終セクションはボスクラスのトランスフォーマーと対決することになる。
そのため、プレイ中はパンチとキックを使用する割合が増えるのだが、このゲームは全キャラクタともにパンチとキックのリーチがとても短い。コンボも、3D対戦格闘のコマンド入力のようにレバーとボタンを絡めたものではなく、原則としてボタン連打。このため、接近戦時は「格闘ボタンを連打して、先に当てた者勝ち」という大味なシチュエーションが頻発する。 ガードから敵の攻撃の隙に割り込もうとしても、複数の敵から攻撃されていると逆に反撃をくらってしまうことがある。さらに、ガード不能な背面からの攻撃や射撃を絡められると、プレーヤーが攻撃するターンが回ってこないまま大ダメージという悪循環に陥ってしまう。
テクニックの上達に関わらず、プレーヤー側が一方的にダメージを被る状況が多いため、ロボット形態時のアクションはフラストレーションが溜まりやすいと言えるだろう。
この技は判定の発生が早く、攻撃範囲が広く(真後ろでなければ後方もカバー!)、技の終了間際まで判定が残る。この性質を利用して、まず敵が近づいてきたなら問答無用で回し蹴りで吹き飛ばす。そして、敵の起き上がりに再び回し蹴りを重ねておけば、ボスキャラ以外のCPUキャラはガードせずにくらってくれる。 体力とは別に設定されている「エネルギー」を消費するが、□ボタンによるトランスフォーム(変形)は強力な攻撃。車や航空機に変形することで、180度攻撃と移動のスタイルが極端に変化する。各個体の特徴が色濃く反映される部分だ。
車両系や航空機系の挙動は、さすがにレースゲームやフライトシム級とまではいかないが「トランスフォーマーらしい」動きを見せる。「全戦士を集めて、全てのトランスフォーム攻撃を仲間にしてみたい」といったプレーヤーのモチベーション向上に繋がることだろう。
■ 多彩なアイテム、エネルゴンキューブでキャラクタを強化
また、コンテナの中にはアイテムボックスが隠されていることもある。これらを入手すると、キャノン砲やシールドなど一部武装が変更可能。プレイ中にコンテナを気にする余裕はないかもしれないが、敵と距離を空けることができたらコンテナも破壊したほうがいいだろう。
トランスフォーマーたちの生命力の源ともいうべきエネルゴンキューブは、ステージクリア後のインターミッションでのトランスフォーマーの強化に使用する。集めたエネルゴンキューブを一定量支払うことで、武器やトランスフォーマー自体を成長させることができる。
こうした強化はやり込みがいのある要素だが、惜しいことに、2周目に突入すると1周目の強化がすべてリセットされてしまう。「自軍の全トランスフォーマーを最強にする!」という目標達成は不可能に近いと思われるが「ボス戦で限界まで雑魚敵を出現させて、エネルゴンキューブを稼ぐ」という極まった遊び方はできそうだ。
■ TVシリーズのままの世界感がシナリオパートで爆発! このゲームのマニュアルを一読したところ、次のような興味深い一文があった。
ボイスは全編英語だが、味のある字幕が逆に演出効果を高めているといえる。ただ、各キャラクタのモーションのバリエーションが少なめなのは残念ではあるが……。
各ステージ間のデモの尺は長く、ノースキップだと10分以上続く場合もある。コンボイとロディマスコンボイ、メガトロンとガルバトロンが時空を超えて手を組むシーンもあり、ストーリーの出来は良好。じっくりとトランスフォーマーたちのセリフに耳を傾けたいところである。
サイバトロン、デストロンの2ルートの両方を1周クリアするまでにかかった時間は、約10時間。筆者は難易度ノーマルで挑戦してみたが、全体の難易度は中の上といったところ。これは、最初のプレイでデストロン陣営を選んだ(=メガトロンのパワーでゴリ押し)ということもあるかもしれないが、パートナーを射撃フォーメーションにして回復アイテムを回収していけば、そうそう詰まる場面はないだろう。 裏を返せば、各ステージの戦闘は特色に乏しいということなのだが、「次に登場するトランスフォーマー戦士は誰だろう?」という期待感と、シナリオの先を見たいという欲求がプレーヤーのモチベーションを刺激してくれる。
ファン心理を刺激するタイトルであるが、欲を言えばChara Referenceモードの登場キャラクタ説明が少々淡白なのが残念。各キャラクタの武装、体長、登場TVシリーズなどが紹介されないのは、筆者にはボリューム不足のように感じられた。もし次回作があるなら、このあたりもしっかりフォローしていただきたい。
□タカラのホームページ (2003年11月28日) [Reported by 福田柵太郎]
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