【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

Korea Amuse World Game Expo 2003現地レポート

MicrosoftとSCEKが初出展
韓国ユーザーは「EYE TOY」に夢中!!

会期:11月20日~24日

会場:COEX Pacific Hall

■「EYE TOY」一本で勝負! SCEKの思い切った展示

SCEKブースはトラックを利用したブース。ひとつのタイトルに絞ったアピール
 今年初めてKAMEXに出展するSony Computer Entertainment Korea(SCEK)。多数のタイトルを持っているにもかかわらず、今回ブースのすべては「EYE TOY」一色、という非常に思い切った出展を行なった。

 E3や東京ゲームショウ(TGS)2003にも出展されていたこの「EYE TOY」は、PS2に接続されたUSBカメラでモニタに自分の姿を表示させ、画面に表示されるさまざまなミニゲームを、手と体を思いっきり動かしてプレイしていくゲームだ。

 プレーヤーはまず、画面の前に立ち姿を記憶させる。モニタには自分とゲーム画面が同時に表示されている。本作の魅力は「自分がゲームのキャラクタになれる」というところ。画面に映る自分の姿は、ゲームの世界に入った自分そのものだ。

 この状態で、プレーヤーはさまざまなゲームに挑戦していくことになる。ボクシングゲームでは、画面に表示されるキャラクタの位置に手を伸ばし、殴りつけると、キャラクタが痛そうにのけぞる。画面の汚れを拭き取るゲームでは、突然画面が泡で真っ白になり、プレーヤーが手でこすり取る動きをすると、手の軌跡とおりに、泡がふき取られていく。

 ユニークなのは“小道具”を使えることだ。モップを手にすると、きちんとゲームはそれを認識、画面をこするようにモップを振ると、ちゃんとモップの形に泡がふき取られる。ボクシンググローブをつけると、あたり判定がそれによって増し、ゲームは有利になる。

 他にもゲームは12種類。左から右へ移動するキャラクタを、足場から落ちないように支えてあげたり、指定されたところに手を置いていくことで、プレーヤーが今ではちょっと懐かしくなった「パラパラ」を踊っているように見えるようなものなど、さまざまなものが用意されている。

 ゲームによって必要とされる動きは全く違うもので、プレイをしている人たちが並んでいる姿は端から見て非常に面白い。右では高く背伸びをして頭上で手を振っているのに、となりでは左前方に向かって小刻みなパンチを繰り返している。さらに隣では何故かモップを振り回しているのだから、道行く人が立ち止まらないはずはない。

 驚かされたのは韓国のプレーヤーのノリの良さ。ゲームが好きそうな男の子はもちろん、女の子も少しも照れずにぶんぶん腕を動かしてプレイをしていく。最初、恥ずかしがるプレーヤーを考慮したためか、SCEKのスタッフはプレイをする人の周りに覆いを設置していたのだが、あっという間に取り払われてしまった。その後もプレイする人がとぎれることもなかった。

 ボクシングゲームをするのを盛り上げるグローブ、画面掃除のモップ、スポンジ製の大きな手など、小道具も積極的に使い、実に楽しくプレイしている様は、日本人との気質の違いを感じさせられた。

 また、中央のブースとは別に、両端に設置されている試遊台も大人気。こちらは障壁が立てかけてあり、ちょっとだけ人目をさけることができる。ここにはサラリーマン風のおじさんが真剣にプレイをしたり、カップルがラブラブな雰囲気でやっていたりと、こちらもプレーヤーがたえなかった。

 韓国では、「体を動かす」アーケードゲームの人気が高い。今回もダンスマニアのようなテクニカルなものから、ぼこぼこに殴っていくサンドバック型のもの、通常の格闘ゲームを全身でプレイするものまでさまざまなゲームが出展されていた。特にサンドバック型のものは、真剣な目をしてものすごい勢いで殴っている男の人や、往復ビンタか突っ張りのように声をあげながら殴っている女の子などに驚かされた。韓国ではこういったゲームを、家庭用に持ち込む風潮が、この「EYE TOY」でやってくるかもしれない。

コンパニオンも、ユーザーもみんなノリノリ。楽しそうにぶんぶん手を動かしていた。
見ていて一番見事な踊りをしていた子。無駄に体が動かず、的確にポイントをとらえる しきりのある試遊台でラブラブプレイ。韓国のカップルは積極的な人が多いかも モップ、グローブ、さまざまな小道具を利用して、真剣にプレイしていた


■数多くのタイトルを戦略的に出展したMicrosoftブース

多くのタイトルを戦略的に出展したMicrosoftブース
 SCEKと同じく今年初めてKAMEXに出展するMicrosoftブース。他の大きなメーカと比べると規模は小さめで、試遊台もほとんどが1タイトルにつきひとつ。しかし、来場者の目が最初にいきやすい会場の入口という絶好のポジションにあった。

 ブースでは、大きなトラックの荷台をステージに、その前にシューティング、スポーツ、レーシングと、テーマごとにジャンルを明確にした展示を行なうことでユーザーにアピールしていた。

 この明確なジャンル分割の出展方法は非常に効果的で、ひとつのゲームをプレイしていると、隣の似たような、しかしまったく違う魅力を持ったタイトルもさわってみたくなる。この作戦は大成功で、プレイをしながらちらちら隣の画面をのぞき込み、次はそちらに移るプレーヤーが多かった。

 最初、筆者は、TGSでの出展と比べて、その規模の小さなことに驚かされた。コンパニオンの数も少なく、服も露出度が少ないところなどは、「儒教の国」である韓国を感じさせられた。

 しかし、規模とは関係なくユーザーの反応はなかなか好調で、特に午後からはどの試遊台にも多くのプレーヤーがブースを訪れた。特に人気が高かったのは「Counter-Strike」。PC版は韓国で絶大な人気を誇っているだけに、追加要素という部分に強い関心を持つ人が多かった。「Counter-Strike」をはじめとしたFPSの並ぶシューティングコーナーを通路側に設置した戦略は成功なようで、道を歩いているときに足を止め、そのままプレイしている人の画面をのぞき込む人の姿が目立った。

 シューティングコーナーの出展タイトルは、この「Counter-Strike」をはじめとして、「Unreal Championship」、「GHOST RECON」の3つ。ブースではXbox Live対応というポイントを強調。ネットワークによる通信対戦を行なっていたのだが、ヘッドセットを装着してボイスチャットをしていたユーザーはほとんどいなかった。

 これはブースのスタッフが積極的に誘導をしなかったことも原因のひとつだが、「言葉」の問題も大きかったようだ。Xbox Liveは国の垣根を越えて世界中のプレーヤーと楽しめるのが魅力なのだが、現在は英語が使えないユーザーは、疎外感を感じざるを得ない。英語圏以外のXboxの普及のためには、この問題は常に出てくるだろう。

 中央ブースでは、イベントの合間にさまざまな作品のデモ映像を流していたのだが、音声は英語で、字幕は日本語ということもあって、映像自身には興味があるが、情報を正確に把握するのが難しい、といった様子で首をひねっているユーザーも多かった。韓国はハングルとアルファベットが主流で、街には漢字の看板も少ない。漢字を見ても、意味が分からない人も多いのだ。日本市場においてもローカライズに関する手間やリリースタイミングの遅れなどは、マイクロソフトだけでなく、各メーカー共通の問題となっているが、日本の映像をそのまま流してしまうところに、Xbox陣営の韓国対策の遅れを感じさせずにはいられなかった。

 だが、イベント自体は非常に盛況で、特に「Crimzon Skies」の対戦ゲーム大会は非常に盛りあがった。中央の大画面のモニタには両者の映像が交互に映し出され、コンパニオンは非常にノリよく対戦を実況。その声に会場の雰囲気も影響され、さらにまた出場者もより真剣になっていく。非常に楽しい雰囲気を持ったものになった。個人的な感想だが、特に高い女性の声だと、韓国語に音楽的な響きが生まれるような感想を持った。意味はわからないのだが、耳障りがいいのである。

「Counter-Strike」

 現代戦をテーマにしたFPSの中で、もっとも対戦プレーヤーを獲得している「Counter-Strike」。出展されたXbox版は、日本では発売されていないタイトルである。韓国ではPC版において抜群の知名度と、ユーザー数を獲得しており、すでに古典とも言えるタイトルだが、今でも人気は衰えることを知らない。それだけにこのブースでも注目度は高く、プレーヤーはXbox Liveでの対戦を楽しんでいた。PC版と比べて「ターバンを巻いたテロリスト」といったキャラクタグラフイックなどが追加されており、それに注目するプレーヤーも多かった。

「Crimzon Skies」

 日本でも発売が予定されている「Crimson Skies」。古き良きアメリカの、架空の歴史を舞台に戦闘機に乗って空を荒らし回る“空賊”たちの戦いを描いたフライトアクションである。当初発表されていなかった、XboxLiveに対応した対戦が可能になったことで話題になった。今回の出展では、対戦大会用ソフトとして出展、コンパニオンによる迫力の実況中継をバックに、プレーヤー達が腕を競っていた。

「MIDTOWN MADNESS 3」

 日本でも発売されているハチャメチャ志向のドライビングゲーム。他の車や障害物をなぎ倒し、街中を暴走していく本作は、レーシングコーナーで一番人気のタイトルだ。ストイックなタイプが多いドライブゲームの中で、アクセルさえ踏み込めば、公園の中だろうが階段だろうがお構いなしに走っていく楽しさは非常に直感的で、別次元の楽しさがある。
 ユーザーは非常に楽しくプレイをしているのだが、いつの間にか左の試遊台のリアル指向な「Project Gotham RACING」や、右のバイクでコースを走っていく「MOTO GP」が気になってくる。ユーザーの心理を読んだ、見事な試遊台の配置である。

 他に、スポーツブースには、「Outlaw Volleyball」、「SSX Tricky 」、「TOPSPIN」。ステージの両脇にはアクションゲームの「Voodoo Vince」「SPRINTER CELL」を出展していた。

非常に人気を集めていた「Age of Mythology」。唯一の出展されたPCタイトル Microsoftブースも、大きなトラックのコンテナを使用したものが中心となっている 「Crimzon Skies」の対戦大会。日本でも発売が期待されているタイトルだ
「Dinosaur Hunting」の映像出展。日本語のままでの紹介映像が上映された 午後になると、試遊台は常に人がプレイしているような人気に 「Counter-Strike」韓国でも著名なタイトルなだけに、ユーザーの注目が高かった


■韓国ギャルゲーを“逆輸入”するPANTHER SOFTWARE Korea

PANTHER SOFTWARE Koreaブース。決して派手ではないが、独特の雰囲気を持っている
 KAMEXの会場を歩いていて、ちょっと他とは雰囲気の違うブースが目にとまった。ブースの前のモニタには、目の大きな、丸い頬のラインの女の子のアニメーションが上映され、独特の雰囲気を演出している。

  かわいいキャラクターのアニメーションといえば、Gravityの「ラグナロクオンライン」のデモも上映されているのだが、あきらかに“違う”のである。日本の“萌え”を醸し出しているのだ。昨年に引き続き、出展を行なっているPANTHER SOFTWARE Koreaである。

 このPANTHER SOFTWARE Koreaは、日本のメーカーであるパンサーソフトウエアの韓国での子会社。本社の商品を韓国語にローカライズを行なって販売しているという。同社は決してギャルゲー一色のメーカーではなく、ダンジョン探索ゲーム「メタルダンジョン」というゲームも出している。現在はオリジナルタイトルをXboxで制作しているほかに、「加奈 ~いもうと~」といったPCで人気の高かったゲームをXbox版に移植している。

 今回、PANTHER SOFTWARE Koreaのブースで一番注目を集めていた「青い涙」も最初PC版として日本語版が制作され、Xbox版に移植、そして韓国語にローカライズされることになったタイトルだ。しかし、実はこのゲームはすべて韓国スタッフによって制作されているのである。市場規模を考えて、最初に日本語版を制作、ローカライズを経てXboxタイトルとして発売されることになったという。

 ブースのテーブルにはこの「青い涙」のプロローグを紹介したムックが置かれていたのだが、ものすごいペースでユーザーがそれをもらっていく。このグッズは限定品で、ホームページで告知をしていたので、これを目当てにブースに来るユーザーも多いとのこと。韓国のスタッフが制作したゲームということもあり、韓国のユーザーの注目は非常に高いようだ。

 「EYE TOY」で韓国のパワーに圧倒されたが、こちらでは韓国ユーザーの「内気さ」を見たように思う。ブースの周りにはたくさんの人がいて、ちらちら中のゲーム画面を見ているが、ほとんどの人がブースの中に入って、出展映像を間近で眺めることはない。来場者は決して少なくない。多くの人がグッズをもらっては、足早に立ち去るのだ。他のブースでグッズをもらうのとは、あきらかにちょっと違った、恥ずかしがっているような雰囲気なのである。やはり、こういったゲームが好きだということを、人に知られたくないという、ちょっと硬派な気持ちがあるのだろうか。

 「日本人が描くような、可愛い女の子の絵は、韓国でも非常に人気が高いんです」と、ブースのスタッフは語る。確かに「青い涙」のグラフィックは、話を聞かなければ、日本人の手によるものと思いこんでしまう。また、今後も韓国のスタッフによる、日本のPC向けゲームを、韓国語にローカライズしていく計画もあるとのこと。韓国で日本向けに作られたものが、さらに国内用に手を入れられるというのは、ユニークな「逆輸入」現象である。

ポスターやグッズをゲットして、うれしそうなファン達。日本でもおなじみの光景だ 朝にはこのように並べられていた「青い涙」のムックも、あっという間になくなってしまった ブースの中には反対に人が少ない。外から中をのぞき込むファンは多いのに、ユニークだ


【青い涙】
 生まれたときから傍らにいて、母のように、時には恋人のように、主人公に接してくれるマナ。彼女を中心に、さまざまな女性に囲まれた幸福な生活を主人公は過ごしている。しかし、やがてその生活に変化が訪れていく……。前世や、“現実世界”といったキーワードが絡んでストーリーが展開。プレーヤーの選択によって様々なストーリーに分岐していく。ジン・ユリという韓国人のキャラクターも登場する。

□Sony Computer Entertainment Koreaのホームページ
http://www.scek.co.kr/
□Microsoft koreaのホームページ
http://www.microsoft.com/korea/ms.htm
□PANTHER SOFTWARE Koreaのホームページ
http://www.panther.co.kr

(2003年11月22日)

[Reported by 勝田哲也]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.