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★PS2ゲームレビュー★
ゲームの原作は、週刊少年ジャンプで好評連載中の忍者漫画『NARUTO -ナルト-』。アニメも絶賛放送中の人気作品で、ゲーム化されたのは今作で早くも6本目というから、その人気のほどがうかがえるだろう。カードゲームやボードゲーム、対戦アクシションなど様々なジャンルでゲーム化されている。本作は3D対戦アクションだが、ゲームキューブで発売された「NARUTO -ナルト- 激闘 忍者大戦!」(発売元:トミー)の続編ではなく、ゲームシステムのまったく異なる新シリーズ。
制作は「.hack//」シリーズを手掛けた人気メーカー、「Cyber Connect 2(CC2)」。独創的なアイデアを盛り込んだゲーム作りに定評のある“CC2”だけあって、本作のゲームシステムには目新しい要素がいくつもある。「激闘 忍者対戦!」とはテイストの違う、新たなる『NARUTO -ナルト-』対戦格闘アクション(パッケージ記載のキャッチコピーは超爽快3D立体忍者アクション!!)に仕上がっているので、原作のファンならずとも、対戦アクションが好きな人であれば間違いなく楽しめる一本だ。
■ なんでもアリの“超爽快3D立体忍者アクション”ゲーム!? ゲームモードは、キャラクタ別にストーリーが展開する「シナリオ」、条件付きのバトルに勝つとお金が貰える「任務」、対戦プレイのできる「フリー対戦」の3つがメイン。そのほかに、技の練習ができる「練習」、お金を使って3種類のガシャポンが楽しめる「売店」、ガシャポンなどで入手したアイテム類を閲覧できる「ナルトの自宅」がある。
1対1で戦い、制限時間内に相手の体力をゼロにすれば勝ち。時間切れになった場合は、体力の残量が多い方の勝ち。基本的なルールは以上で、いわゆる“格ゲー”となんら違いはない。では、どのへんが目新しいのかというと、対戦の舞台となるステージに秘密がある。どのステージにも奥行きや段差が存在し、軸移動(↑or↓+×ボタン)やジャンプで自由に行き来できるのだ。例えば、“ラーメン一楽”というステージには4段階の奥行きがあり、試合開始時は一番手前の軸にいるが、画面奥へ軸移動(↑+×ボタン)をすると屋根の上にあがることができる。ここで画面手前へ軸移動(↓+×ボタン)すれば戻ることができ、ジャンプするとロープの上へ。さらにそこからジャンプでベランダに行けて、そこが一番奥の軸になる。ここで画面手前に軸移動すると、一番手前の軸まで一気に戻る。違う軸にいる相手は□ボタンの飛び道具でしか攻撃できないので、軸移動で追いかける、または逃げるという駆け引きが生まれる。
また、ステージの背景には、いたるところに破壊可能なオブジェクトがあって、攻撃を数回当てて壊すとアイテムが出現する。"ラーメン一楽"を例にすると、「ぶら下がっているちょうちん」「屋根の上にあるタンク類」「立て掛けてある畳」などが破壊可能なオブジェクトだ。アイテムには体力やチャクラが回復するモノや、飛び道具として使える攻撃用アイテム、攻撃力や移動速度がアップする戦闘補助アイテムなど、様々な種類・効果がある。どれも役に立つモノばかりなので、ゲットすればバトルを有利に進められる。軸移動を使いこなすことは、ステージを隅々まで周れる=アイテムの回収率にも影響するのである。
■ 簡単操作でバツグンの爽快感!! 対戦アクション初心者でも心配無用!! キャラクタの基本操作を大雑把に説明すると、方向キーor左スティックで移動、×ボタンでジャンプ(2段ジャンプ可)、×ボタンを素早く2回押すと高速移動ができる。ガードはL2orR2ボタン、または相手の反対側に方向キーor左スティックを入れる。攻撃は○ボタンが通常技、□ボタンは飛び道具(攻撃用アイテム)、△ボタンで奥義を使える(詳しくは後述)。 ポーズメニューで使用キャラクタの技表を見れるが、どのキャラクタも技の入力コマンドがほぼ同じで、さらに入力のむずかしい技はないといっていい。例えば、“○○○”の3連コンボは○ボタンを適当に連打していれば出せる。1発目がヒットすれば、まず3発目まですべてヒットするので、ヒット時は“○○○→+○”などの4連コンボにつなぐ。その場合も、○ボタンを連打しながら、3発目のあとに“→+○、→+○、→+○”と3回くらい入力していれば出せてしまう。対戦アクション初心者でも、すぐに一通りの技を出せるようになれるので、敷居が低くすんなりと入っていけるハズ。
また、爽快感のある「追い討ち」と「追い討ち返し」が簡単操作で出せるのも、本作の魅力の1つといえる。“○○○→+○”や“○○○↑+○”、投げ技(近距離で←+○ボタン)などで相手をふっ飛ばしたら、追い討ちを狙うチャンス。相手をふっ飛ばした方向+○ボタンをすぐに入力すると、瞬身の術で背後に移動してから追い討ち攻撃が決まる。このとき、追い討ちの演出カットが挿入されるのだが、テンポが良く非常に気持ちイイ。気持ちイイのだが、追い討ちは「追い討ち返し」で反撃可能となっている。追い討ち攻撃がヒットする寸前に、相手の出現した方向+○ボタンを入力すると、瞬身の術からの追い討ち返し攻撃を受けてしまうのだ。ところが、この追い討ち返しを「追い討ち返し返し」で、追い討ち返し返しを「追い討ち返し返し返し」で~というように何度もやり返すことができる。相手に追い討ちをされたときに、とっさに反応して追い討ち返しができるようになると、これがまた気持ちイイので病み付きになるかも!?
ガードが簡単にできるのも、本作の大きなポイントである。“立ちガード”や“しゃがみガード”といった区別がなく、L2orR2ボタンでガードしている間は、投げ技(近距離で←+○ボタン)とガード崩し(↓+○)以外の攻撃をほぼ防ぐことができる(飛び道具と一部のサポートアイテムがガード不可)。さらに、「変わり身の術」という強力な緊急回避技があり、相手の攻撃が当たる寸前でタイミングよくガード入力をすると、相手の背後へ瞬時に移動(ワープ)できる。この「変わり身の術」は全キャラクタが使用でき、攻撃を食らっている状態でも使用可能なので、対戦で一方的に攻め続けることはむずかしい。また、ダウンしたキャラクタが起き上がった直後は無敵状態となっているため、格ゲーにありがちな「ガードを揺さぶられてダウンし、起き上がりを攻められ、なにもさせてもらえずに敗北……」という“初心者殺し”な展開にはまずならない。
■ テンポのいい演出&コマンド入力の「奥義」が爽快感をさらに高める △ボタンで使える「奥義」はチャクラを必要とし、チャクラゲージの量に応じて3段階ある。△ボタンを1回押すと「レベル壱」、2回押すと「レベル弐」、3回で「レベル参」のオーラをまとった状態になって、○ボタンで「奥義発動技」を出すことができ、それが相手にヒットすると「奥義入力画面」に移行する。オーラは一定時間が経つと消えてしまい、しばらく奥義を使えなくなるが、チャクラゲージは減らずに済む。奥義発動技が空振りorガードされた場合も同様。 奥義入力画面では、使用キャラクタの奥義レベルごとに異なる“奥義ムービー”とともに、奥義の追加コマンドが表示される。追加コマンドは“○×△□”といった順番にボタンを押すもので、追加コマンドの下に表示されているタイムゲージがなくなる前に入力を終えれば成功、間に合わなければ失敗となる。また、奥義を食らった側にも追加コマンドが表示され、入力に成功すれば奥義で受けるダメージを軽減できるようになっている。そして、追加コマンドが成功した場合は奥義が“進化”し、さらなる奥義ムービーと追加コマンドが表示される。奥義の進化する回数は各キャラクタごとに異なるが、最後まで追加コマンドを成功させるとダメージが大幅にアップする。
スピード感のあるムービーと、ボタンを順番に素早く押すというコマンド入力が絶妙にマッチしていて、バトルの爽快感をさらに高めるものとなっている。奥義を食らった側もただ見ているだけではなく、ダメージ軽減のコマンド入力をするので画面から目が離せず、対戦では“お互いに奥義入力画面を見入っている”のがなんとも楽しい雰囲気まで生み出す。奥義を発動した側が追加コマンドを失敗するとガッカリ、なんていう人も多いのではないだろうか。
■ 対戦アクションとしては及第点だが、対戦ツールとしては…… 爽快感が高くテンポのいいゲーム展開、原作ファンを満足させる各種モード&要素、そして対戦アクション初心者でもとっつきやすいゲームシステムなど、誰がプレイしても楽しめる作品といえる。しかし、対戦ツールとしては不満な点もあり、やり込むにつれて「初心者にも優しい敷居の低さ」が「コアな対戦ユーザーには物足りない」という形で浮き彫りとなってしまう。具体的にいうと、接近戦でガードを揺さ振る選択肢が少なく、どのキャラクタも似たような技ばかりなので、攻めが単調にならざるを得ない。さらに変わり身の術もあるので、積極的に攻めてもすぐに返されてしまう。攻撃を“○”や“○○”で止めて相手の変わり身の術を誘う、というような駆け引きもあるが、結局は「投げ」や「ガード崩し」を決めてもダメージが低いこともあって、対戦がダラダラと長いものになりがちになってしまう。
大ダメージを与えられる奥義すらガードには無力なので、攻める側にも守る側にも緊張感が乏しい。対戦の設定で、タイムやアイテム出現率、ハンディキャップなどを調整可能だが、それも結局は「ユーザーにお任せ」なので対戦ツールよりもパーティーゲームに近いという感じである。例えば、変わり身の術の再使用が一定時間制限される「中忍モード」や、奥義発動技がガード不能(ただし空振り時にチャクラゲージが減る)になる「上忍モード」というような対戦モードを、ソフト側でいくつか用意してあればコアな対戦ゲーマーも満足できたのではないだろうか。そのあたりが非常に残念に思える。
(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・スタジオぴえろ
□バンダイのホームページ (2003年11月21日) [Reported by 藤沙 環]
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