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「Ultima X: Odyssey」開発者インタビュー |
会場:エレクトロニック・アーツ本社内
エレクトロニック・アーツ本社内で、プレスカンファレンスに続き、インタビューが行なわれた。今回はゲームの大きな魅力である「徳」の概念と、PvP、さらにPKに関しての疑問をぶつけてみた。お答えいただいたのはシニアプロデューサーのリック・ホール氏と、リードデザイナーのジョナサン・ハンナ氏である。
Q. 今回のカンファレンスで、「Ultima X: Odyssey(以下、UXO)」は戦闘の醍醐味や、駆け引き、と言う部分に非常に強くこだわって作られているという感想を持ちました。また、「ウルティマオンライン(以下、UO)」で提示された生産や家を建てる、といった「仮想の生活」とは違うアピールを強く持ったゲームと感じました。UOでプレイしているユーザーとは、少し違ったユーザーに向けてのセールスポイントを持つゲームなのでしょうか?
A. そうです。UOは、現在のスタイルで多くのプレーヤーに評価されていて、私たちは「同じものを複製する必要はない」というスタンスで、UXOの開発に取り組んでいます。まったく違うゲーム性を追求して作っているということですね。
UXOは戦闘が楽しめるゲームとしてデザインされています。しかし、単純に反射神経が高かったり、回線が早いから有利、と言うわけではなく、もっと戦略的要素の強いものを目指しています。反射神経や、環境に頼った戦闘は、目指すものではありません。アクション性は、戦略的なところを中心に追い求めているわけです。
実際は戦闘システム自体が戦略的なので、「頭の回転が速い人」のほうがうまく立ち回れると思います。ディフェンス、コンボなど、アクション的な要素もありますが、そういったものを使うタイミングや、プレーヤー間での協力により繰り出せる強烈な攻撃は、戦闘の経験を積むことで、より有効な戦い方を見いだしていけるはずです。経験により戦闘の「巧者」となっていけるようなシステムにしていきます。プレーヤー間での、より効率のいい戦法への議論なども生まれてほしいですね。
Q. 8つの徳を追い求める、というのがゲーム内の大きな目的のひとつとして提示されているわけですが、プレーヤーはそれぞれの徳によって違うプレイスタイルをとる必要があるのでしょうか? それとも、全く同じプレイを8回繰り返し行なうということなのでしょうか?
A. 徳は戦闘などで経験を積んでレベルを上げて強くなったキャラクタがクエストを成し遂げることで、少しずつ高めていくことができます。挑戦するキャラクタはユーザーによってさまざまで、戦士でひとつの徳を高めたから、次は魔法使いに、というように次々と新しい職業にチャレンジする人もいるでしょう。また、魔法系が大好きなら、魔法ばかりを極めていくというプレイスタイルも可能です。プレーヤーの選択次第でさまざまなキャラクタで、徳への挑戦が行なえるわけです。
徳を求めることによって挑戦するクエストも異なっていきます。これによっても多彩なプレイスタイルが楽しめます。極めようとする徳によってプレーヤーの行動が変わる、というところは、クエストに対するアプローチの仕方によって再現していきます。“武勇”と“慈悲”ではやらなくてはならないこと、プレーヤーがしていくことは全く別なものになり、それでもプレイスタイルは十分変わっていくことになります。
たとえば、「ドラゴンにさらわれたプリンセスを助ける」というクエストでは、武勇の徳を追い求めるものは、直接ドラゴンに戦いを挑みますが、慈悲の徳を高めるにはドラゴンの友達を探し、説得するといった方法で解決します。ひとつのクエストには必ずふたつ以上のアプローチの仕方があって、それぞれで上がる徳が異なっていきます。求める徳によってプレーヤーの行動は変化し、体験するシナリオもまったく異なっていくのです。クエストに関係あるNPCの意外な一面を見ることができるかもしれません。
Q. 現在、プレイの究極の目的として提示されている「アバタール」についてですが、アバタールになったキャラクタは、たとえば後光が差すなどの、他のプレーヤーが一目でわかるような見た目上の特徴を備えているのでしょうか? また、アバタールになったキャラクタはどんな能力を持ちますか? 「徳の体現者」として、他のプレーヤーを導いたり、初心者プレーヤーに対して保護の義務を負ったりするものなのでしょうか?
A. 実際にアバタールになった場合には、グラフィカルな意味での容姿の変化は考えています。いまのところ、いくつかのオプションの中から、どのような外見を持つか、というものを選択するというシステムを考えています。アバタールの能力や、責任などについては最終的な仕様がまだ決まっていません。アイデアはいくつも出ていますが、最終的に決まってから、正式アナウンスしたいと思います。
Q. 次にPKのことについてお聞きしたいと思います。今作では、プレーヤーがいきなり他のプレーヤーを襲うということができず、双方了解の上でのみプレーヤー同士の戦いを行なえるわけですが、これはUOのプレーヤーの要望を反映したものなのでしょうか?
A. もちろん、UOの経験もありますし、他のゲームを見て考えたところもあります。相手の承認も得ずどんどん他人を殺していくPKという行為は、されたほうは被害者になるというだけです。他のゲームを見てもPKという行為、機能が“楽しい”というか、ゲームとして面白いという要素になっているものが見られない、と考えています。
こうした考えから、相手と承認を得て行うPvPというルールがいちばんいいだろう、と結論づけました。 そしてもちろん、PVPをゲームのルールとして取り入れたのは、“楽しいから”にほかなりません。PvPに対して戦略を練ったり、強者を目指すことは一見、“徳”を獲得し、アバタールを目指すというゲームとして提示されている目的からはずれているように見えるかもしれません。しかし、巧みなデュエリストやチームは、プレーヤー間で大きな「名誉」を獲得できます。
それは、ゲームのシステム上のものではなく、その「世界」での名声となるわけです。お互い合意の上で戦い、勝利を目指すことは自分を高めることにほかなりません。これは、アバタールを目指す本作の目的として、決して相反するものではありません。逆に不意打ちであり、相手を殺すことのみが目的のPKこそ、自分を高めようとするこのゲームの目的とは反する存在になるわけです。
ゲームの目的は「自分を高める」ことであり、お互い満足するような勇敢な戦いや、見事な戦法を編み出したことで得られる賞賛などは、このゲームの大きな目的のひとつなのです。
Q. ルールの上ではなく、ゲーム社会での、プレーヤー間の名誉を得るためのPvPシステムの導入、ということなのですね。
A. そうです、その通りです。
本日はありがとうございました。
□Electronic Artsのホームページ
http://www.japan.ea.com/
□「Ultima X: Odyssey」のホームページ
http://www.uxo.jp/
□関連情報
【2003年8月23日】Origin Systems Senior Producer Rick Hall氏インタビュー
「Ultima X: Odyssey」のバックグラウンドと今後の構想を聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030823/uxo3.htm
【2003年8月23日】Originが放つ3DMMORPG「Ultima X: Odyssey」詳報
MMORPG界の台風の目となりうる新システムの数々に注目!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030823/uxo2.htm
【2003年8月22日】EA、シリーズ最新作「Ultima X: Odyssey」を正式発表
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http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030822/uxo.htm
(2003年11月18日)
[Reported by 勝田哲也]
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