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三国志の英傑を操り敵をなぎ倒していく、異常なまでの爽快感を味わえる「真・三國無双」シリーズ。その面白さは三国志のファンはもちろんのこと、原作を全く知らない人までも虜にしている。本シリーズの人気振りは、7月末に発表された「PlayStation Award 2003」で、「真・三國無双3」と、旧作の「真・三國無双2」がそろってプラチナプライズを受賞したことでも証明されている。また9月にはXbox用「真・三國無双3」と、PlayStation2用「真・三國無双3 猛将伝」も発売されており、その勢いが衰える様子は全くない。
……と調子よく切り出した筆者だが、実は前作「真・三國無双2」を友人に薦められるまでは、「真・三國無双」の名前すら知らなかった。そこで今回のレビューは、あえてシリーズの情報は重ねず、本作のみに視点を絞って書こうと思う。 本作を一言で説明すると、3Dフィールドで群がる敵をなぎ倒すゲームだ。こんなゲームならば他にも山ほどありそうなものだが、本作はその究極形と言っても過言ではない。すなわち、もの凄い数で群がる敵を、もの凄い勢いでなぎ倒すゲームなのだ。 メインとなるゲームモードは、ストーリーに沿ってステージをクリアしていく「無双モード」だ。選んだ武将の陣営によってストーリーが展開され、ストーリーを進めていくごとに使用できる武将が増えていく。クリアすると新しい陣営の武将が増えることもあり、また新たなストーリーを楽しめる。 「無双モード」での主目的は、敵の総大将を討ち取ることにある。ただし実際にゲームをプレイしてみると、その主目的は大抵、後回しにされる。本作の面白さは、途中の敵兵を蹴散らすところにあるからだ。そもそも敵の総大将までの道のりには、多くの敵兵と屈強な敵武将たちが待ち構えているので、否応なく戦うことになるのだが。 移動は左アナログスティックで行なう。3Dアクションゲームではオーソドックスなスタイルで、直感的に操作しやすい。そして攻撃は基本的に「通常攻撃」と「チャージ攻撃」の2つのボタンしか使用しない。「通常攻撃」はボタンを連打しているだけで、最低でも4連続の攻撃を仕掛けられる。はっきり言って、最初はこれだけでも十分戦えるほど強い。何も考えずに敵中に突っ込み、ボタンを連打しているだけで敵が吹っ飛んでいくのだ。アナログスティック1本とボタン1つで、ここまできちんと遊べるアクションゲームも稀有な存在だろう。さらに「チャージ攻撃」を使うと、締めの強力な攻撃が出せる。通常攻撃から繋ぐタイミングによって、相手を気絶させる攻撃や、広範囲の敵を吹き飛ばす攻撃に変化する。状況に応じて使い分けられるようになると、さらに爽快感も増してくるはずだ。 2つの攻撃以外に、もうひとつの必殺技がある。敵を攻撃したり、自分がダメージを受けたりしたときに、画面左下の「無双ゲージ」が増加していく。これが最大までたまると「無双乱舞」が発動可能となる。これもボタン1つで使用でき、発動すると掛け声とともに特殊攻撃を繰り出す。攻撃のパターンは武将によって異なるが、発動中は無敵状態になっているため、一方的に攻撃を仕掛けられる。また体力が少なくなっているときに使用すると、「真・無双乱舞」という、より強力な攻撃に変化する。攻撃の強さもさることながら、武将ごとに異なる派手な演出にも注目してほしい。
対してやられ役となる敵兵だが、こちらは1人でかかってくることはまずない。基本的に5人で1つのグループを形成しているため、少なくとも5人で襲い掛かってくる。もちろん複数のグループが同時に襲ってくることもあるし、敵武将は特に多くの兵士を連れているため、あっという間に画面中が人だらけになる。しかしそこで広範囲の敵を吹き飛ばす攻撃を出せば、1撃で敵兵を一網打尽にできる。また危ないと思ったら「無双乱舞」という手もある。一騎当千の強さを、簡単な操作と派手な演出によって楽しませてくれるわけだ。 他にもゲームを盛り上げる演出の1つとして、画面右下のカウントがある。これは「K.O.COUNT」、つまり倒した敵の数を表している。倒した敵が50人を突破するごとに、「50人突破!」というメッセージとともに、味方の武将が何か台詞を言ってくれる。これ自体に大きな意味はないが、戦いを盛り上げる点に寄与していることは確かだ。また1000人を倒したときには、専用のメッセージが表示される。かなり難しいが、一度はチャレンジしてみて欲しい。 自分のキャラと敵のことばかりを語ってしまったが、戦場にはもちろん味方の兵士や武将もいる。ここで強いて残念な点を挙げるとすれば、敵味方の区別がつけにくいことだ。舞台設定から考えれば仕方のないことだが、いずれの兵士も見た目が似ており、やや色が異なるだけ、という場合が多い。この対処として、敵の頭上に体力ゲージを表示するモードがある。これを使えばライフゲージの見える兵士は敵だと判断できるし、もちろんどの兵士が弱っているのかも一目瞭然だ。ゲーム中でもボタン1つで表示の切り替えが可能なので、常にこれを使用しておけばまず問題ない。しかしこれは基本設定ではなく、さらにステージが変わるごとに設定が初期化(体力ゲージ非表示)されてしまう。せめてオプションで固定設定を可能にしておいて欲しかった。 大勢の敵を蹴散らす通常戦のほかに、敵武将と鉢合わせた際に、1対1の戦闘を行なう「一騎討ち」が発生することがある。操作方法に変わりはないが、対戦格闘ゲームのような、限られたフィールド内で制限時間つきの戦闘となる。勝てばその武将を倒したことになるが、負けると即ゲームオーバーという厳しい設定だ。しかも敵武将の動きが通常時よりも格段によくなるため、ちょっとしたミスで大ダメージを取られてしまう。「一騎討ち」を受けないことも可能だが、その場合は兵士の士気が下がる。そもそも操作形態が1対多に特化しているので、対戦格闘ゲームのような奥深さも期待できず、このようなデメリットばかりが目立ってしまっているように思える。短時間だけ他の兵士の影響を受けないような設定にして、通常戦からシームレスに移行できるようになれば、地形なども利用できて面白かったかもしれない。
■ 数々のやりこみ要素 プレーヤーが使用する武将たちは、プレイを繰り返すごとに成長する。まず敵を倒すことによって得られる経験値によって、武器が徐々にグレードアップしていく。攻撃力が上がるだけでなく、連続攻撃の回数増加や、攻撃範囲の拡大もあるため、その武将の本当の強さを知るためには、ある程度使い込む必要がある。 また武将の強さのベースとなる体力や無双(無双ゲージの量)、また攻撃力や防御力のステータスが、武器とは別に存在する。体力と無双を上昇させるアイテムは、ステージに配置された箱や壷に隠されており、それらを破壊して取得する。攻撃力と防御力は、敵武将を倒してアイテムを取得することで上昇する。強い武将を倒したときほど強力なアイテムを落とすので、なるべく多くの武将を倒しておきたい。一目散にステージクリアを目指すよりも、倒せるだけ倒しておくほうが後々楽に進められるのだ。 育てた武将のステータスが下がることはないが、武将ごとに固有のステータスなので、使っていない武将は初期状態のままだ。数十人いる武将を全て成長させるには、相当な時間が必要だ。ただ全てのシナリオを見るためには、最低でも各陣営ごとに1武将を選ぶことになるので、最低でも5,6人の武将を育てることになる。またこのほかにも、特殊な条件が揃うことで取得できる最強の武器が存在する。これは1つ取るだけでもかなり難易度が高く、全ての武将の最強武器を取るには相当な労力と時間を費やすことになる。もちろんこれは義務ではないので、好みの武将だけをとことん育ててみるという楽しみ方もあるだろう。 武将固有の能力アップだけではなく、装備アイテムによっても能力強化を図れる。単純なステータスアップだけでなく、歩行速度の上昇や、騎馬戦の能力を向上させるアイテムもある。また武器に特殊な能力を付加する「玉」、馬に乗ってステージを開始できる「鐙」といった特別アイテムも存在する。さらにこれらのアイテムにはLvがついており、よりLvの高いアイテムを取得することで効果が増大する。難しいステージほど高Lvのアイテムを拾いやすくなるので、強いアイテムを拾うためには何度もプレイする必要がある。 また成長するのは武将だけではない。身辺を固める護衛兵も、戦闘に連れて行き、敵を倒すことで成長していく。たとえ武将が初期状態に近くとも、護衛兵が強力ならば、おんぶだっこで難しいステージにも挑戦できる。過剰に意識する必要はないが、最強の護衛兵軍団を作るというプレイも、やりこみ要素のひとつになるだろう。
■ 複数のゲームモード 本作には「無双モード」以外にも、「フリーモード」、「チャレンジモード」、「対戦モード」のゲームモードがある。 「フリーモード」は、「無双モード」で一度クリアしたステージを、任意の武将で遊べる。アイテムや経験値も取得できるため、新しい武将を育てたいときにも便利なゲームモードだ。「チャレンジモード」は、スコアアタックやタイムアタックのゲームモード。100人撃破までの時間や、倒されるまでに何人の敵を倒せるかを目標としたモードが用意されており、インターネットランキングにも対応している(ただしPlayStation2版のランキング登録は2003年9月3日まで、以後はXBOX版に移行)。「対戦モード」は文字通り二人用の対戦モード。一騎討ちシステムでの対戦はもちろん、お互いの馬車を先に撃破したり、途中の武将を味方につけながら敵を撃破するモードなど、バリエーションは豊富だ。
これらのゲームモード以外にも、「エディットモード」という、オリジナル武将や護衛兵を作成できるモードがある。オリジナル武将は、武器と外見の選択が可能。特に武器はエディット武将でしか使えないタイプの武器も存在する。また作成した武将は「無双モード」でも使用可能で、しかも全ての陣営に参加できるため、育てたエディット武将で複数のシナリオを楽にクリアできる利点もある。ただ、外見を変える選択肢はそれほど多くはなく、オリジナルキャラと言えるほどの特色を出せない点はやや残念だ。加えて筆者は根っからの三国志ファンなので、やはり三国志の名武将たちでプレイしたいという気持ちが強く、あまり乗り気にはならなかった。
■ 三国志ファンの視点で見ると…… ここからは少し趣向を変えて、本作の素材となった三国志のファンとしての視点を強めて書いていきたい。本作の舞台となっているのは、約2000年前の中国、三国時代を描いた物語、三国志だ。しかし本作は三国志の世界をあくまで素材として扱っている。 「無双モード」で語られる内容は、史実や物語とは異なる内容となっているものが多い。各陣営ごとに作られたシナリオは、その全てが最終的に天下統一を成し遂げるものとなっているため、これは異なって当然だ。つまり三国志の「ifの世界」だと思っていただければよいだろう。赤壁で孔明が風を起こせないように祈祷を邪魔したり、「泣いて馬謖を斬る」はずの馬謖の策略を成功に導いたり、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」はずの孔明が本当に生きていたり……と何でもアリな内容だ。熱心な三国志ファンの中には、我慢ならないという人もいるかもしれないが、これが本作の面白いところでもある。自ら武将を操って、物語を自分の手でねじ曲げていくところは、ファンにはたまらない感覚だ。 また一部のシナリオでは、軍師が策略の指示を出してくる。敵を罠に陥れたり、逆に敵の策略を看破して阻止したりと、プレーヤーの働き次第で戦況が大きく変化する。このあたりのダイナミックな演出はゲームとして魅力的であるし、さらに孔明や司馬懿などの名軍師の策略を破ったときには、格別の感動が味わえるはずだ。 次はサウンドに注目してみたい。この手の歴史物のゲームでは、その時代設定に合った楽器や楽曲を用意してあることが多い。本作であれば中国風のゆったりした音楽がイメージされるし、確かにそういう音楽も一部にはある。しかしゲーム中の音楽は、なんとメタル調。とにかくギターが強調された音楽で、およそ歴史物の舞台にあわせるものではないはずなのだが、そんな固定概念も打ち破るほどのノリのよさがある。しかも戦況によって音楽が変わるので、演出にもかなりの効果を発揮している。三国志とメタルのファンが交差する点があるのかどうかはわからないが、音楽好きの方には是非チェックしていただきたい。 ゲーム本編以外に、オープニングにも凝った作りがなされている。ムービーとデモの2つのオープニングのうち、デモのほうはさらに魏・呉・蜀とその他の陣営ごとに特化した4タイプが用意されており、メタル調の音楽に乗せて武将たちが華麗なアクションを見せてくれる。三国志ファンならば眺めているだけでも楽しめるだろう。またエンディングも陣営ごとに違ったデモが用意されている。こちらはコメディタッチで作られていて、武将のイメージに合わせたネタが面白い。 長々と三国志ファン向けの話をしてしまったが、原作が気になったというプレーヤーのために、「事典」が用意されている。ここには三国志のあらすじと、登場武将のプロフィールが書かれている。かなりのボリュームがあり、ファンにも納得してもらえるだけの充実したデータベースに仕上がっている。本作をより楽しむためにも、一度目を通しておいて損はないはずだ。
とにかく本作は間口が広く、かつ奥の深い作品だと感じた。子供でも簡単に扱えるシンプルな操作でありながら、戦況を把握して的確な進め方を考えていける戦略性を兼ね備えている。やりこむ要素は多分にあるし、こと三国志ファンにはたまらない部分も多い。気軽に爽快感を求める人にも、コアなアクションゲームプレーヤーにもお薦めできる秀作だ。ただ、三国志という限定された舞台と、既に完成度の高いシステムをもって、前作を上回る続編を考えていくことは、おそらく相当な難問だろう。この爽快感と戦略性をどのように繋げ、発展させていくのか。今後のシリーズ作品にも注目していきたい。 (C) 2003 KOEI Co.,Ltd. □コーエーのホームページhttp://www.gamecity.ne.jp/ □「真・三國無双3」のページ http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/smusou3/ □「真・三國無双3 猛将伝」のページ http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/smusou3m/ □関連記事 【7月29日】「PlayStation Awards 2003」最も売れたソフトを表彰 ダブルプラチナプライズは「FINAL FANTASY X-2」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030729/psawa.htm 【3月11日】コーエー、「真・三國無双3」が9日間でミリオンを達成したと発表 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030311/koei.htm (2003年11月18日) [Reported by 石田賀津男] また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved. |
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