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★Xboxゲームレビュー★
■4人の能力を使い、戦場をかける
本作の最大の特徴は4人の異なる能力を持ったキャラクタを状況に合わせて使いこなし、過酷な戦場をやすやすと駆け抜ける爽快感にある。 リーダーの“テックス”は、重火器を装備する最もスタンダードな能力。自己再生能力と暗視能力を持つ“ブルータス”。姿を隠し、偵察活動ができる“ホーク”。狙撃能力に特化した“フリント”。 彼ら4人は弾薬も回復アイテムも共有したチームで戦場に挑む。プレーヤーは操作するキャラクタを状況に応じて使い分けていく。キャラクタによって武器、戦法が異なる感覚はちょっと独特なものがある。キャラクタ達の特殊能力には時間制限があり、この能力をうまく使いこなすことで、ゲームをより有利に、楽しく進めていくことができるだろう。 フリントの狙撃スコープで周りを見回したり、ホークのステルスで偵察を行ない、ブルータスで敵に肉薄する。敵が多いところはテックスで弾をばらまくのも有効だ。クリアを目指してプレイするのも楽しいが、コマンドを使いこなし、仲間と共により有利に戦えるようになるとさらに楽しい。やりこみ要素も充分に持っているゲームなのだ。 ■激しく、熱い戦い 本作の難易度はちょっと高めである。「Halo」や「メダル オブ オナー」など、コンシューマーで楽しめるFPSも増えてきてはいるが、左のスティックでキャラ移動、右のスティックで視点移動という操作性自体にとまどう人も多いかもしれない。 敵が不条理なまでに“敏感”なのも首をひねってしまうところ。米粒のようにしか見えないはるか遠くのところから、あっという間にこちらを見つけて弾を撃ち込んでくるのだ。こちらは敵の射線でようやく敵の位置を知り、身体に弾を撃ち込まれながら応戦、といった場面も少なくない。ここまで敵の探知能力が高いというのは、多少「価値観の違い」を感じざるを得ない。プレーヤーに厳しい仕様で、これにうち勝つ爽快感がウリなのだろう。 たしかに、厳しい戦いだからこそ「圧倒的な不利を覆す」という楽しさがある。じりじりと進み、確実に敵をしとめていく楽しさは、敵の射線がやみ、静寂が訪れるたびにプレーヤーの心にこみ上げてくる。緩急のあるステージ構成が、危機をくぐり抜けていく爽快感をもたらしてくれるのである。 各ステージは特徴的で、非常にグラフィックが美しい。溶岩が流れる惑星オシリス、ジャングル惑星のフェリックス、南米を思わせる四角いピラミッドの建つエスチュアリなど、特徴的なステージがプレーヤーを待ち受ける。 また、立ちふさがる敵も強烈だ。過酷な世界に身体を変異させてしまったミュータント、脳味噌が大きな超能力を使う種族シアー族、トカゲ人間のフェラル族。彼らのテリトリーは彼らならではの「生活」を感じさせる建物があり、緻密なグラフィックでかきおこされたそれは、探索する楽しさを増してくれる。世界観に非常にこだわって作られているのである。 このゲームはFPSとはいっても、自分の姿が見えているタイプなので、動きの早いホークやフリントを使っている場合は敵弾の軌道をみて、かわすことができる。もちろん、複数の場所から撃たれてない場合に限るが、すいすいと弾をかわし反撃をするのはちょっとした達人気分になれる。 敵のAIの賢さは、米国でも話題になるほどだが、「ちょっとずるいかな」というのが筆者の感想だ。物陰に隠れて、非常に正確な射撃を行なってくるほか、自キャラができない地面を転がる「緊急回避」まで使ってくる。照準を合わせるだけでも四苦八苦の初期プレイではストレスが貯まることは必至だ。 もちろん、これはプレイがうまくなることで低減していくのだが、大量に、突然出現する場合でも彼らのAIはこんな感じで、隠れて撃ってくる。こちらは敵に弾を当てるためには正直に射線に全身をさらさなければならないので、ルールの上でもかなり不利な気がしてしまう。 こうなってくると敵キャラへの殺意というか、感情移入満点で引き金を引くことになり、倒したときは本気で爽快感がこみ上げてくる。もうちょっと敵が間抜けな方が「リアル」な感じがするが、この「気持ち」まで考慮されてバランスが練られてるとしたら、それは成功だと言えるだろう。歯ごたえのある敵との熱い戦いが楽しめる、というわけだ。 また、日本のアクションゲームに見られるような、攻略法が極めて限定された「ボス敵」というのはほとんど登場しないところも面白い。「雑魚」との熱い駆け引きこそがこのゲームの楽しさであり、だからこそすべての敵がもろいかわりに狡猾で強いのかもしれない。日本と外国の制作者の感覚の違いを体感できるゲームである。 敵の高い探知能力は、味方にも影響していて、彼らの自動攻撃は不慣れなプレーヤーの心強い味方になってくれる。敵を探してる間に味方のAIで一掃されてしまう、とまではいかないが非常に頼りになる。彼らをもっと的確に配置すれば、より効率的に倒せることもわかるのだが、現在の筆者の腕では頼りになるバックアップとして使うので精一杯だ。 筆者自身のお気に入りはフリントで遠距離の敵を倒し、味方には弾幕を張ってもらって近くの敵は味方に倒してもらう、という戦法。足が早く、サイボーグであるフリントは狙撃時に呼吸で照準がぶれないため狙撃が容易なので、敵の配置とかみ合ったとき、自分のプレイに酔えるようなカッコイイ活躍が可能になる。 ゲームはいくつかのチャプターに分かれたステージで構成されている。チャプターごとにセーブされ、さらに例え全滅しても「クローン再生」を選ぶことで、減らした敵、状況をそのまま引き継いで、プレイが可能である。チームメイトが倒れても、最後の1人まで敵を減らし、歩を進めておくことで、復活したときは確実に有利になっている。頑張ればあまりうまくないプレーヤーでもステージを進めていくことができる。この命で距離を稼ぐような殺伐とした感覚は、このゲームに非常にマッチしている。 ステージクリアの条件としては敵の殲滅以外にも、決められたポイントに設置されたオブジェクトにさわるというステージもある。これらはレーダーには表示されるのだが、場所に高低差があったりすると、ちょっとわかりにくく、迷ってしまう場合も多かった。この感覚もまたアメリカのゲームらしいところかもしれない。
■全編にみなぎる「洋ゲー」パワー 本作を全編において貫いているのは非常にアメリカっぽい殺伐さである。それは主人公達の紹介ムービーからもう全開である。ブルータスをのぞく3人はすべて、その「最期の時」が華々しく紹介されるのだ。絶望的な戦場に投入され、敵に追いつめられ、無惨に倒される。そして次の瞬間、基地でクローンとして「再生」され、次の過酷な任務に投入されていく。
最後にマルチプレイに触れておきたい。本作は複数のコントローラを用意することで画面分割による対戦や協力プレイが楽しめる。キャンペーンも複数でプレイできるほか、さまざまなキャラクタ達を操った対戦プレイも楽しめるのである。 さらに、Xboxとテレビを複数台用意すれば、迫力の多人数対戦も可能だ。対戦は専用ステージがいくつも用意されており、シングルプレイとは違った種族のキャラクタを使用可能なので、一味違った戦いを楽しむことができるだろう。 しかし、海外ではそれこそパソコンすら持ち寄ってLANでつないだ対戦イベントを楽しむ土壌があるが、正直、特に日本ではXboxとテレビを持ち寄っての対戦は不可能に近い。 本作のXboxLiveの対応は、コンテンツダウンロードのみなのである。本体発売時のタイトルであった「Halo」ならまだしも、XboxLiveがすでに存在している時期に発売された本作に通信対戦機能がないことは、疑問を感じざるを得ない。 トカゲ人間や脳味噌宇宙人が入り乱れる奇妙で、熱い戦いが通信対戦で楽しめないのは非常に残念である。 (C)2003 Microsoft Corporation. All Rights Reserved.
□Xboxのホームページ (2003年11月**日) [Reported by 勝田哲也]
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