【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】
【特別インタビュー】

「ドラッグ オン ドラグーン」
サウンドクリエイター インタビュー
既存のクラシック音楽を素材とした狂気的ニューサウンド

10月23日収録

 株式会社スクウェア・エニックスより、9月11日に発売されたプレイステーション 2用アクションRPG「ドラッグ オン ドラグーン」。このオリジナルサウンドトラックCDが、株式会社マーベラスエンターテイメントより発売される。vol.1は10月22日に発売されており、vol.2は11月21日に発売予定。価格は各3,150円。

 このvol.2のマスタリングが行なわれたスタジオにて、今作のサウンドクリエイターである、相原隆行氏と佐野信義氏がインタビューに応じてくれた。終始笑いの絶えない楽しい内容ながら、今作のサウンドの特異性や狙いどころについても、興味深い話を聞くことができた。(文中敬称略)



相原隆行氏。株式会社ナムコで「ソウルエッジ」、「リッジレーサー」シリーズなど数多くのサウンドを手がけた。現在は独立、スタジオカルナバルの主宰を務める
佐野信義氏。株式会社ナムコで「リッジレーサー」、「鉄拳」シリーズなどを手がける。現在は株式会社キャビアに在籍

■ クラシックをいじって新しいジャンルを作る

――オーケストラの楽器が使われていますが、明らかに生演奏ではない。どのようにして作られた音楽なのでしょうか?

佐野信義氏(以下佐野) まず音楽はオーケストラにあるものだけに縛りました。それから相原さんとふたりで、クラシックの格好いい音がある曲を探して、そのフレーズの一部分を抜いていったんです。それをサンプラーに採って、エフェクトをかけて。この辺りはクラブ系の手法と同じです。それである程度曲を作った後、オーケストラを用意して、必要なフレーズ部分だけを演奏してもらいました。ある曲の頭3小節だけお願いします、とか。演奏している人もポカーンとしていました(笑)。

相原隆行氏(以下相原) 普通なら、ゲームサウンドにオーケストラを使うことがウリになるのに、それを惜しげもなくそういう使い方をしてる。最近は便利なサンプラーとかも多いけれど、やっぱり生の演奏はサンプラーなどを重ねて作るオーケストラとは全然違う。

佐野 このアイデアは前からありました。ゲームのストーリーは先へ進むにつれてどんどん暗く、狂った方向に進んでいきますが、それを音楽でどう表現すればいいかと思ったとき、この手法はいけるんじゃないかと思ったんです。

相原 最初はオーケストラのフレーズサンプリングに新たにメロディを乗せていくという発想だったのに、いつの間にか、全部フレーズサンプリングになっていた。結果的にはクリエイターの恩着せがましいメロディが抜けてよかった。

――確かに「狂気感」のある音楽だと感じました。

相原 最初はファンタジックなオーケストラものを何パターンか提示した。そうしたら、「ダメです、違います」と。そこで出されたのが「エクソシスト」のサントラだったんですよ。

佐野 映画「エクソシスト」のスタッフロールで流れる音楽があるんですが、これが本当にすごい狂気感があるんです。でも使っている楽器はストリングスだけ。ストリングスだけでこれだけ狂った音楽ができるなら、別の手法でも何か方法があるはずだ、と思ったんです。

相原 音楽の手法としては違うものだけど、方向性はこれが示してくれた。

――CDのvol.1を聴かせていただきましたが、全体的に山場がなく、割と平坦な曲が続くように感じました。

佐野 「トランス感」を出したかったんです。ゲームはとにかく斬ったり打ったりの繰り返しです。これって言わば「トランス状態」ですよね。この感覚を音楽でも煽りたかったんです。そうなると抑揚のある曲よりも、単調な繰り返しのほうが合っているのではないかと。

相原 繰り返しを見てボーっとしてくる感覚は、人間なら誰でもありますから。良い意味で印象には残らない。ゲームであれだけ大勢の帝国軍の兵士が襲ってくるのに、いちいち誰を倒したなんて覚えてないでしょう。音楽もそれと同じ(笑)。

――おふたりのファンがこの曲を聴くと、今までとは随分異なるテイストに驚くと思うのですが。

相原 さぞがっかりだろうね(笑)。でもゲームがそういう音楽を求めているんだから、手段を選ばずやれる方向でやってるだけ。たまたま、今までにはこういうスタイルのものがなかっただけで。今はこのゲームにはこれ以外の音楽はない、と確信してる。

佐野 でも知り合いに聴いてもらうと、ちゃんと「相原節」、「佐野節」みたいなものはあるって言います。

相原 あと僕は割と保守的だから、発想はまずコードやメロディのある曲になるけど、佐野は新しいものは何でも取り入れる。

佐野 好きなんですよ、新しいジャンルって。

相原 今回はクラシックが矢面に立たされたけれど、佐野がやることで今までとは全然違う音が出てきても、僕はあまり違和感があったことはない。「またか!」と思うだけで(笑)。

――新しいジャンルをいきなり取り入れることに不安はありませんか?

佐野 好きになるとできるんですよ。ボツになったものも当然ありますけどね。やっぱり愛がないと(笑)。

相原 「こんなの作ってみました」という軽いノリで1作品分作り始めると、7、8曲作ったところで必ず破綻してしまう。今回はよく破綻せずに全曲揃ったなと思う。

佐野 今回は作っていく中で、お互いに発見や驚きがあったので、それにグイグイ引っ張られてできたんだと思います。最後までやって「もう出ない」って思ったことはありませんでした。

相原 音楽論的にも技術論的にも面白かった。今回はこの手法でゲームの音楽を作ったわけだけど、ゲームから切り離して一般の音楽を作ったらまた面白いだろうなと思う。

佐野 一番困ったことは、音楽が完全にオリジナルなものなので、作っているものが格好いいのか悪いのかがわからない。何しろ「ゴール」になるものがありませんから。お互いに「これは格好いいよ」と言いながらやってはいたんですが。

相原 ただサンプリングするだけだと、単にオーケストラがループしているようにしか聞こえないから、デジタル的なエフェクトをかけていく。リバーブ、ディレイは大丈夫かなと思ったけど、モジュレーション系のコーラスやフェーザーを入れると、急に求めない雰囲気が出てダメになっちゃう。純粋にリバーブとディレイだけのほうが面白いものになった。

佐野 やっているうちに徐々に明確にはなっていきましたが、その辺りのあぶりだしが大変でしたね。

「ドラッグ オン ドラグーン オリジナルサウンドトラック」

発売日:
vol.1 10月22日
vol.2 11月21日予定

価格:各3,000円

vol.1は比較的おとなしい雰囲気で、vol.2は狂気感の強い音楽や未収録曲が並ぶ。このニューサウンドを味わってみたい方はまずvol.1を、ゲームにもどっぷりつかったファンはvol.2もオススメ

■ サントラCDについて

――サントラCDになって、ゲームから変わったところはありますか?

佐野 ゲームでは音が圧縮されたりしていてわからないのですが、エフェクトのかけ方で空間の違いを感じられるんです。遠くで演奏してるオーケストラがあるかと思うと、すぐ横にもいたりとか。サントラCDをヘッドホンで聴くとわかると思います。

相原 かなり遠近感の強い音楽になっている。普通では絶対にありえない、フルオーケストラが右から左に歩きながら演奏してるような感じ。

佐野 ちなみにvol.2には例のステージの「答え」が入ってます。ゲームの点数には関係ないですが、あれもちゃんとした音楽になるんです。他にも未収録曲が2曲と、初音さん(フリアエ役)の歌も入ってます。あとvol.2のジャケットもいいですよ。ジャケ買いもアリです。

――最後に、ファンへメッセージをお願いします。

相原 いつものゲームのサントラCDなら、ドライブのお供にどうぞ、というところなんだけど。

佐野 絶対無理ですね、これ(笑)。僕はテクノ系が好きな人に聴いて欲しいです。これをきっかけに出典となるクラシックの曲も聴いてもらって、そちらに興味を持ってくれると嬉しいですね。出典は全部で20曲くらいでしょうか。ゲームのエンディングやvol.2の冊子に書いてあります。

相原 ゲームをやっている間はずっと鳴っている音楽だから、プレイ中に意識していない人も必ず頭に刷り込まれてる。こういうドラッグ的な音楽は、聴いている本人の知らないところで、何らかの影響を与えているもの。サントラを聴けばプレイしていたときの感情を絶対思い出すはずですよ。

――ありがとうございました。



 プレイステーション 2用ゲームソフト「ドラッグ オン ドラグーン」は、中世ファンタジーを基調としたアクションRPG。地上戦と空中戦を巧みに組み合わせたアクションシステムと、独特のダークなストーリーが目立つが、音楽もそれらを上回るオリジナリティを持っている。

 オリジナルサウンドトラックのvol.1には、ゲーム本編の1章から8章までのBGMを収録。vol.2は9章以降と外伝、未使用曲などが収録される予定。ゲームサウンドのファンはもちろんのこと、新しい音楽に触れてみたいという方も是非チェックしてほしい。


(p)&(c)MMV 2003 Original Game: (c)2003 cavia/SQUARE ENIX

□マーベラスエンターテイメントのホームページ
http://www.mmv.co.jp/
□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□キャビアのホームページ
http://www.cavia.com/
□「ドラッグ オン ドラグーン」公式サイト
http://www.square-enix.co.jp/games/ps2/dod/
□関連情報
【7月24日】スクウェア・エニックス、PS2「ドラッグ オン ドラグーン」キャストを発表
ピーターさん、唐沢寿明さん、初音映莉子さんが出演
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030724/dod.htm
【7月11日】スクウェア・エニックス、PS2「ドラッグ オン ドラグーン」サイトオープン
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030711/enix.htm

(2003年11月10日)

[Reported by 石田賀津男、Photo by 佐伯憲司]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.