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東京ゲームショウ2003レポート

スクウェア・エニックス、オンライン戦略発表会を開催
「フロントミッションオンライン」などMMOタイトルを複数発表

9月26日発表

会場:ホテル・ザ・マンハッタン

 株式会社スクウェア・エニックスは、本日、幕張のホテルにてPlay Onlineを始めとしたオンライン事業に関する戦略発表会を開催した。同社のフラッグシップタイトルである「Final Fantasy XI」の今後の展開の発表を皮切りに、新しいPlay OnlineタイトルやPC向けのオンラインタイトル、そして携帯電話も含めた重層的なネットワークコミュニティの形成といった戦略的な構想まで盛り込んだ、徹底した「攻め」の発表会となった。


■ PvPシステム、裏エリア構想を発表~「Final Fantasy XI」

スクウェア・エニックス代表取締役社長和田洋一氏
FF11バージョンアップスケジュール。くつろいで座るタルタルが可愛い
 まず最初に壇上に上がったのは、昨日同様、スクウェア・エニックス代表取締役社長和田洋一氏。和田氏は冒頭で「オンライン事業、全面展開」として同社のオンライン事業にかける強い意気込みのほどを明らかにし、今後も事業の柱として位置し続ける「Final Fantasy XI」の2003年度の拡張計画を明らかにした。

 今回発表された中でも大きな要素としては「PvPシステムの実装」と「裏世界エリアの公開」の2つ。言い方を変えると、対人戦と、裏ヴァナ・ディールの実装ということになる。

 和田氏は、PvPシステムについて「PKではなく、従来の人と人との絆を実感できるスタイルで、コンクェストという形での国家間の勢力争い」と説明。FF11は、ユーザー同士の“絆”を全面に押し出しているため、開始当初からPvPはありえないと思われたが、今後は個人同士の絆ではなく、国家単位での絆を全面に押し出していくことになるようだ。

 実装時期については2004年の1月から3月とし、12月にレベル75へのレベル上限の引き上げを行なう方針。同作はバーニングサークル等でレベル制限を設けるシステムを実装しているため、必ずしもメインジョブ75、サポートジョブ37で戦えるとは限らないが、初公開されたイメージ映像では全員アーティファクト装備を身にまとった状態で戦っており、60以上の高レベルバトルになるのは間違いなさそう。

 細かい仕様については不明だが、和田氏が「集団戦」とコメントしていること、サンプルイメージにわざわざブルーネームでキャラ名を載せていることなどから、特殊エリアでのパーティーあるいはアライアンス単位での集団戦闘になるようだ。

 一方、「裏世界エリアの公開」は、従来のヴァナ・ディールとまったく同じ形状をした新しい世界で、説明書きには「四大都市『裏』エリアにおけるバトル」とある。発表会では、ダークなイメージに包まれたウィンダス、ジュノ、バストゥークのスチルが公開され、続いて、同じくダークなイメージのザルカバードおよびボスディン氷河の動画映像が公開された。全貌は不明ながら、一気に新エリアが増えることになりそうだ。

 他のバージョンアップ内容としては、高ランクミッション、各国クエストの追加、新モーション、新コールの追加、他多数としている。中でも同作の魅力のひとつである新モーションについて和田氏は、「座ったまま手を振ったり、笑ったりすることができる」と説明した。

 なお、10月から開始される北米版については、既存の国内ユーザーと北米ユーザーを同一サーバーでプレイさせる方針であることを明らかにした。コミュニケーションの問題や、北米ユーザーのパフォーマンスなど様々な問題が予想されるが、これについて和田氏は「我々としても実験と考えている」とコメント。すでに確定事項であることを強調した。

【Final Fantasy XI】
「ジラートの幻影」以来の大型アップデートとなりそうな「PvPシステム」と「裏世界エリア」。北米では「FF11」が同梱されたPS2専用ハードディスクドライブを2004年3月に発売する方針


■ 「PlayOnline」に「アンブロシア オデッセイ」、「フロントミッションオンライン(仮)」を新たに投入

PS2向けアクションRPG「アンブロシア オデッセイ」のサンプルイメージ。パーティープレイの様子はMMORPG風だが、アクション性が高いとしている
 続いて、和田氏は「PlayOnline」の今後の展開について、「3つのマルチ」構想を明らかにした。ひとつは、すでにFF11で実現しているPS2版とWindows版の両プラットフォームから接続できるマルチプラットフォームサポート。今後はさらに携帯電話も加え、3プラットフォームからの接続をサポートすると明言。

 2つ目は、国境を選ばないという意味でのマルチ。例として10月に開始される北米版「Final Fantasy XI」を挙げた。3つ目はゲーム間のコミュニケーションのサポート。これは今後「PlayOnline」を通じて提供されるすべてのオンラインタイトルをプレイするユーザーが同一の場でコミュニティを形成できるという構想である。

 この「3つのマルチ」を具体化させるためのプランのひとつとして、PS2向けネットワークアクションゲーム「アンブロシア オデッセイ」と、PS2/Windows向けMMOアクション「フロントミッション オンライン(仮)」の2タイトルを公開した。

 「アンブロシア オデッセイ」は、オリジナルのファンタジー世界を描いたアクションRPGで、和田氏は「敷居を低く設定し、オンラインプレイだけでなく、シングルプレイも可能にしている」と説明。ダンジョンなどは自動生成されるということで、「Diablo」ライクなシステムを採用したアクションRPGのようだ。2004年春にβテストの募集開始が予定されている。

 「フロントミッション オンライン(仮)」は、同社の「フロントミッション」シリーズの世界観をモチーフにしたMMOアクション。同シリーズはシミュレーションゲームだが、デモ映像で見た限りでは、3人称視点のロボットアクションゲームで、重厚なロボットのモデリング、重量間たっぷりのアクションは、「Mech Warrior」シリーズのイメージに近い。こちらも2004年春にβテストの募集が開始される予定となっている。

【PlayOnlineタイトル】
一般公開可能なスクリーンショットはなし。続報を待ちたいところだ


■ PC向けにはMMOロボットアクション「JUNK METAL」を発表

第10開発部執行役員斉藤洋介氏
「PlayOnline for mobile」のイメージ図。携帯から「FF11」のチャットに参加することも可能になるようだ
クロスゲート累計会員1,000万人への軌跡。中国だけで1,000万に届こうとしている。あくまで累計数とはいえ、それにしても桁違いの会員数だ
 続いて第10開発部の執行役員斉藤洋介氏が壇上に上がり、モバイル事業と同開発部が手がけるPC向けオンラインタイトルについて説明を行なった。

 モバイル事業に関しては、昨日公開された情報がほとんどだったが、「PlayOnline」と関連して、携帯からPlayOnlineにアクセスして、ゲームをプレイしているフレンドを確認したり、直接チャットを行なったりできるようなシステムを検討していることを明らかにした。

 またPC向けオンライン事業については、「クロスゲート」が中国と台湾で累計登録会員数が1,000万人を突破したことを明らかにした。同社ではこれを記念して「クロスゲート プレミアムバリューパック」を11月6日に発売する。内容は、「クロスゲート」本編およびパワーアップキット「竜の砂時計」、おまけとして「疾走、ヤンキー魂。」と「コスモぐらし」のクライアントが同梱されている。価格は2,980円で2万本限定。

 続いて、PC向け新作タイトル「JUNK METAL」を公開。「JUNK METAL」は、ジャンクメタルと呼ばれるロボットに乗り込み、傭兵稼業を楽しめるPvP主体のMMOアクション。斉藤氏が「近々βテストの募集を開始する予定」というだけあってすでに完成度も高く、同社ブースでもプレイアブルで出展されている。

 基本的なゲームシステムは、傭兵として戦場で活躍し、稼いだお金でロボットのカスタマイズを行なっていくというもの。FPSでは比較的お馴染みだが、MMOタイプでは珍しいシステムだ。450種類のパーツのほかに、ハードウェアやソフトウェアも数百種類を用意。ロボットを稼働させるための「OS」という要素もあるという。カスタマイズによっては外見もガラリと変わり、足回りだけ見ても、ホバータイプやキャタピラタイプ、二足歩行タイプなどがあるようだ。

 ちなみに同作は「PlayOnline」タイトルではないが、これはPC専用タイトルだからというわけではなく、「PlayOnline」が旧スクウェアのプロジェクトに対して、「JUNK METAL」は旧エニックスのオンラインゲーム部門のプロジェクトであるためだ。「JUNK METAL」は、「PlayOnline」タイトルではないため和田氏が掲げた3つのマルチには含まれないようだ。

 オンライン戦略発表会において明確化されたこの内部組織的な理由による矛盾について、和田氏は質疑応答の中で、「(PlayOnline事業と第10開発部は)今後も併存していく」とコメント。最後にやや迷った様子をしたあと「ひょっとすると全部つながるかもしれない」とした。

【JUNK METAL】
街では普通に人間の姿で歩き回り、野外はロボットで、というのが基本的なプレイスタイルになる模様。画面構成は非常にシンプルで、FPSの雰囲気に近い。ロボットのステータス表示の細かさには驚かされる

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/

(2003年9月26日)

[Reported by 中村聖司]


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