東京ゲームショウ2003レポート

会場：幕張メッセ

　今年初めて単独でブース出展を果たしたガンホー・オンライン・エンターテインメントは、プロンテラ城をイメージしたメインステージを主体としたブース構成で、初日のビジネスデイからダンスパフォーマンスやラグナロ娘の新曲披露を行なうなど、予想どおりの賑やかな内容だった。

　出展タイトルは、有料課金者数30万人を擁するMMORPG「ラグナロクオンライン」が中心で、発表会で発表されたタイトルも含めると全7タイトル。本稿ではメインステージで発表された「ラグナロクオンライン」の今後の展開について紹介していく。

■　「Episode 3.0 Labyrinth of Lost Memories」の全容を公開

ガンホーブースで、ある意味最大の目玉なのが、初公開されたアニメGM橘紀菜。賑やかし担当のアルバイトGMで、趣味は独り言。彼女の左上にあるカメラで来場者を認知し、一方的にしゃべりかけてくる。「お帰りは京葉線ですかぁ～、京葉線は混みますよぅ」といった具合。同社ゼネラルマネージャー堀氏肝いりのプロジェクトだという。さて今後どうなるか

ガンホーテクニカルサービス部ゼネラルマネージャー堀誠一氏

新二次職の実装を記念してダンサーバージョンの壁紙

　初日に行なわれたプレス向けの発表イベントでは、「ラグナロクオンライン」の次期大型アップデート「Episode 3.0 Labyrinth of Lost Memories」の情報が中心となった。期待された「プロジェクトA3」や「TANTRA」といった新作タイトルは、7月に開催されたOnline Game Fantasistaからのアップデート情報はほとんどなく、来場者の注目は自然「ラグナロク」1本に絞られた形となった。

　「Episode 3.0」の紹介は、同社テクニカルサービス部ゼネラルマネージャー堀誠一氏が担当した。堀氏はまず、これまでに行なわれた2度の大型アップデート「Episode 1.5 Attack of the Ancient」、「Episode 2.0 Under the Illusion」について触れ、同作3度目の節目となるEpisode 3.0のサブタイトルを「Labyrinth of Lost Memories」としたと発表した。ちなみにこのEpisodeは1.5の頃から日本独自のサブタイトルを使用しており、バージョンの付け方も内容も韓国のEpisodeとは大きく異なっている。

　「Episode 3.0 Labyrinth of Lost Memories」の内容は、大きく分けて新エリアの実装と、新しい職業の追加の2つに分けられる。新エリアは、天空の都市「ジュノー」と異国の地「天津(AMATSU)」、それから名称不明のエリアの3つ。それぞれ単一のマップではなく、街とフィールド、ダンジョンといった複数のマップで構成されており、実装時期もジュノーの10月7日の第一次バージョンアップを皮切りに、年末までにかけて段階的に行なわれる。

　一方、新しい職業として用意される新二次職は、10月7日に7ジョブが一気に実装される。転職のためのクエストも同時実装で、新二次職待ちでずっと一次職のままプレイしてきたユーザーにとってはまさに待望のアップデートとなる。なお、アルケミストは一部スキルに未実装のものがあるようだ。

　各職業の基本的な内容についてはすでに何度も触れてきたので省くが、基本的にパーティープレイやギルド攻城戦を念頭に置いて設計されており、これまで一方的な強さを誇っていた既存スキルに対するカウンタースキルを備えたものが中心となっている。たとえば、物理攻撃に対しては仲間を守る能力に特化したクルセイダー、魔法攻撃に対してはウィザードの魔法攻撃をキャンセルする能力を持つセージなどが代表的だ。

　発表会では、これまでごく一部のイメージイラストしか公開していなかった新エリア「天津」の映像を公開。天津の街の全景を始め、桜満開の美しい風景や広大な畳敷きのダンジョン、真っ暗なダンジョンなどを確認することができた。

　第3の新エリアについては、ガンホーが企画した日本風の街「天津」に呼応して、韓国で並行して進められているGravity企画の新エリアになる模様。第3の新エリアの初公開は、11月に韓国で開催されるゲームショウKAMEXとなるようだ。この第3の新エリアが実装されて、それぞれに関連したエピソードが追加されて「Episode 3.0 Labyrinth of Lost Memories」は終了、Episode 4.0へということになる。

【Episode 3.0 Labyrinth of Lost Memories】
Episode 3.0に盛り込まれる内容。ジュノー、天津、未発表の新エリアと3回のアップデートで順次実装されていく。天津の実装に合わせて、カプラ職員がいなくなるというエピソードがスタートするようだ

【ジュノーと天津のバックグラウンド】
ジュノーと天津のバックグラウンド。いずれも地下に広大なダンジョンを擁しているということだ

【ジュノーエリアの風景】
ジュノーエリアの風景。いまの季節に合った秋のイメージになっているということだ。街の中は光に満ちた石像やSF的な施設など、これまでにも増してユニークな内容となっている

【天津の様子(村編)】
天津の街の様子。船着き場があり、そこから天津の村にアクセスできるようだ。村エリアの1/3を占める城の中が気になるところだ

【天津の様子(フィールド・ダンジョン編)】
天津のフィールドマップとダンジョンの様子。桜満開の並木が美しい。一度は訪れる価値のある新エリアだ。畳敷きのマップにはびっくりというか、いくらなんでもやりすぎだろうという気が

■　クエストシステムなど、今後の構想も一部公開

そのほかのアップデート項目。ポータルメモ機能の制限が痛いか

Episode 3.0以降のアップデート予定。開発が早まればEpisode 3.0の一部として実装される可能性もある

クエストシステムのサンプルイメージ。基本的におつかい系のクエストから導入していく方針のようだ

　そのほか細かいアップデートについては、確実なものとしては30種類以上の新モンスター、新アイテム、カード効果の大幅仕様変更、ペットウィンドウのイラスト化などがある。そして堀氏が「アコライトの人には残念な話になりますが」と前置きした上で、10月7日のEpisode 3.0スタートを期に、ポータルメモの記憶位置が街近辺限定になることを明らかにした。

　堀氏に直接話を聞いたところによれば、ポータルメモの乱用によって多くのユーザーが世界を狭く感じている事情を示し、目的の達成のために必要不可欠な徒歩での移動が行なわれなくなっている現状を変えるために導入したということだ。

　これは直接的には「ジュノには全員歩いて行って欲しい」ということでもある。堀氏によれば、ジュノまでの道のりには、死も含んだワナが仕掛けられているという。セージへの転職を目指す若いマジシャンには苦難の道のりとなりそうだ。

　最後に堀氏は、「これはいつになるかわからないが」と前置きした上で、Episode 3.0以降の展開も一部明らかにした。ひとつは現状カプラ職員限定となっているNPCのイメージ表示を、他のNPCに適用していく。サンプルとしてモロクの兵隊やプロンテラの門番(実は女の子だったというオチ付き)が紹介された。

　2つ目は、以前からの懸案のひとつであるクエストシステムの導入。総数や規模については未定としているが、実際にクエストを受ける画面も公開され、実装はそう遠い話ではないことを伺わせてくれた。クエストの受け方は非常にシンプルで、ALT+Qを押すと、いつでもどこでもクエスト一覧が表示され、好みのクエストを選択するというもの。

　もうひとつはカードエディション機能で、これはイラストを一般公募し、第何版という形で定期的にリリースし、ユーザーはそれをダウンロードして、好きなイラストをプレイ中に使えるようになるというもの。ゲーム本編とは直接関係のないファンサービス的な意味合いの強い内容だが、イラストのファンも多いだけに実装が待ち望まれるところだ。

【新しいNPCイメージ】
アサシンの指導者とプロンテアの門番のイメージ。門番は女性だったというのはいかにもラグナらしい展開

【カードエディション機能】
堀氏の話によれば、ファンブック的なイメージでコレクションを楽しめるという。同作の新しい楽しみのひとつになりそうだ

□ガンホーのホームページ
http://www.gungho.jp/
□「ラグナロクオンライン」のホームページ
http://www.ragnarokonline.jp/
□関連情報
【7月25日】ガンホー、新作MMOタイトル5本を一挙公開
Gravityとの独占包括永続提携も発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030725/ogf1.htm
【5月23日】「ラグナロクオンライン」の祭典「RAG-FES 3」が開催
新サーバー、ギルド戦争、新大陸、新2次職など新情報続々
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030523/rag.htm
【5月14日】ガンホー、「ラグナロクオンライン」に5月27日より
「EP2.0 Under the Illusion」を実装決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030514/ragna.htm

(2003年9月26日)

[Reported by 中村聖司]

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