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GBA「新約 聖剣伝説」イベントに開発に関わったメンバーが出席 |
株式会社スクウェア・エニックスが8月29日に発売した「新約 聖剣伝説」の発売を記念し、秋葉原のアソビットシティにおいて開発主要メンバーを集めたトーク&ミニライブが行なわれた。
会場には多くのファンが詰めかけたが、会場は静まりかえり非常にまじめな印象のイベントとなった。というのもスクウェアのプロデューサー石井浩一氏、サウンドコンポーザーの伊藤賢治氏、開発を行なったブラウニー・ブラウンの亀岡慎一氏など錚々たる顔ぶれが揃ったことと、伊藤氏のミニライブが企画されていたからだろう。
イベントの冒頭、「聖剣伝説」が復活について聞かれた石井氏は「『ファイナルファンタジーXI』の開発中にユーザーから『聖剣伝説』についてプレイした感想の思い出話を綴った手紙を頂いた。すごく元気づけられ、また作れればいいなとは思っていた」と語ったが、実際の所は亀岡氏も「でも実現は難しいと思った」という。ところが嬉しいことに制作が決定。石井氏は「スタッフの人数の問題もあったりして厳しかったのだが、亀岡氏にグラフィックだけでなく、ゲームの作るところまでお願いしたかった。というのも、絵だけでなく、その絵に対する思い入れをゲームで表現してもらえるから」とコメント。しかし亀岡氏によれば制作は大変だったという。
一方、伊藤氏は石井氏から「音楽をやって欲しい」と要請があり参加。伊藤氏は「聖剣伝説-FF外伝」などを手がけていたが、石井氏は「フリーになってきて、これまでやってきたことを含んだ、今の伊藤氏を感じさせる曲を作って欲しい」と口説かれ、伊藤氏はジーンとしたという。実際の作曲作業はゲームの制作と同時進行で行なわれたため、シナリオを読み作曲を進めていったという。途中、完成したグラフィックと照らし合わせて手直しはあったが、それほどではなかったという。出来については「納得している」と語った。
トークショウでは「聖剣伝説」のテーマについても触れられた。石井氏は「当初、キャラクタに色々と演技させ表現させることはできないかと考えていたが、ゲームマシンのスペックが上がってきたとき、逆に語りすぎずにユーザーに気づいてもらえるような作品にできないかと考えるようになった」と語り、「プレーヤーがゲームの世界に入り込み、そこで色々と経験することで、自分はどうすればいいのか? と問い直す。そういったゲームになれば、それはほかのゲームとは違ったゲームになると思う」と続けた。石井氏は「ファイナルファンタジーXI」と「新約 聖剣伝説」について「MMORPGとスタンドアローンと違いはあっても、ゲームの作る姿勢は同じ」とコメントしている。こういった一貫した制作姿勢が名作を生む秘訣なのかも知れない。
イベントの途中からは「新約 聖剣伝説」のシナリオを担当した生田さんも登場。今回ヒーロー編とヒロイン編が存在するが、1度クリアしただけでなく、両方クリアすることでよりキャラクタの心情がわかるのだという。生田さんは「ヒロイン編を作るにあたって、どのようなヒロインか考えてみた。今回のヒロインは自分で運命を切り開いていくタイプだが、女性らしく感情を細やかに表現してみた」という。ゲームについては「ヒーロー編をクリアしてヒロイン編をプレイしているときに、ここでヒーローはどのような行動をとっていたかを思い出しながら、ぜひプレイして欲しい」とアピールしていた。
最後に石井氏は「『聖剣伝説』はシリーズを通して挑戦してきた。今回リメイクと言われるが、自分としては知らない世代に対して知って欲しいという気持ちで、今回作り上げた。今後もいい形で (聖剣伝説シリーズが) 続いていき広がっていけばいいなと思う」と締めくくった。
イベントはここで終わりだが、トークショウ中に亀岡氏が「アミーゴシステムでユーザーの輪を広げて欲しい」とこメントしていたのを受けてか、イベント終了後会場の外ではユーザーがアミーゴシステムでGBAを接続してさっそく楽しんでいる姿が見受けられた。伊藤氏のライブでは「ライジングサン」や「ピュアスマイル」といった曲だけでなく、即興リクエストや未発表アレンジも演奏された。時間は1時間程度だったが、実に内容の濃いイベントだったのではないだろうか。
(2003年9月6日)
[Reported by 船津稔]
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