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European Computer Trade Show 2003現地レポート

Vivendi Universal Gamesブースレポート 「Half-Life 2」シアターを出展 次世代RTS「Ground Control 2」にも注目

8月27日~29日まで開催(現地時間)

会場:London Earls Court

 現在の体制になってからECTS初出展となるVivendi Universal Games(VUG)。ブースの規模はそれほど大きくはなかったが、ブース中央に、E3 2003のATIブースで初公開され、ダントツの人気を誇っていた「Half-Life 2」シアターを設置し、ブース前には常に長い行列と、その興奮を語るユーザーの人混みができていた。

 ECTSにおいてもやはり大人気だった「Half-Life 2」シアターの内容は、残念ながらE3とまったく同じものだったため、本稿ではその他の出展タイトルについて見ていきたい。

初日のECTS会場の模様。例年同様、今年も中央にバーが設置され、酒やタバコを手に商談を行なう光景が見られた。右の写真はVUGブースの「Half-Life 2」シアター。すでにオンライン上で公開されている映像だが、開場直後から終了まで順番待ちの列が絶えなかった


■ FPSとRTSを融合させた新世代のストラテジーゲーム「Ground Control 2: Operation Exodus」

「Ground Control 2: Operation Exodus」は、E3ではSierraやBlizzardなど大手に場所を取られて地味な出展だったが、今回は大々的に出展されていた
他のタイトルはデモ機1台ずつで、来場者の注目は自然「Half-Life 2」と「Ground Control 2」に集まっていた。手前のタイトルは「The Simpsons Hit & Run」のPS2版とXbox版
ECTSで初公開された沼ステージ。水面への移り込み、影の生成などをリアルタイムでサポートしている
こちらはE3でも公開されていた未来都市の映像。常時、衛星と星雲が間近に見えるなどSF感たっぷりのビジュアルだ
 今回のVivendiの出展でもっとも収穫だったのが、スウェーデンのデベロッパーMassive Entertainmentが開発しているリアルタイムストラテジー「Ground Control 2: Operation Exodus」だ。他のタイトルはいずれもE3でプレイアブルで公開されていたものばかりだったが、これはうれしい誤算だった。日本でも前作をカプコンが日本語マニュアル付き英語版で発売しているので、ご存じの方も多いだろう。

 同社が過去に発売したゲームタイトルは2000年に発売された「Ground Control」1作のみだが、そのクオリティの高さで欧米を中心に高い注目を集めた。その注目の高さを裏付けるかのように、2002年にVUGグループの仲間入りを果たし、「Ground Control 2」はVUGブランドで発売される運びとなった。VUGは、ECTSでは「Half-Life 2」シアターの次に「Ground Control 2」にスペースを割いており、同グループが同作にかける期待の高さを伺わせてくれた。

 「Ground Control 2」の発売時期は2004年初頭を予定しており、発売プラットフォームはPCのみ。ちなみに、現時点では日本語版のアナウンスはいっさいないが、カプコンはVUGタイトルのローカライズに積極的なことから、同作の日本語版が発売されるとすれば、カプコンから発売される可能性が高いと思われる。

 ちなみに「Ground Control 2」は、今年のE3でも出展されていたが、機能が極度に限定されたデモ専用バージョンだった。ECTSでは、それから比べて開発の進んだバージョンが出展され、来場者のフリープレイを含む、完全なプレイアブルバージョンが公開された。E3公開時点で、他のRTSと一線を画すゲームデザインが衝撃的だったが、今回はそれにもましてびっくりさせられた。

 さて、「Ground Control 2」は、前作の300年後に相当する西暦2741年のSF世界をモチーフにしたリアルタイムストラテジー。荒廃し尽くした惑星Morningstar Primeを舞台に、同地の支配を狙うTerranと、民主主義を渇望するNorthern Star Alliance(NSA)の2つの勢力が激突することになる。

 同作はRTSの常識を打ち破るユニークな新要素をいくつも導入している。たとえば、RTSでありながら途中参加離脱自由のマルチプレイモード、MODの制作のオフィシャルサポートなどだ。同作のマルチプレイは、ドロップシップと呼ばれる輸送船に、ユニットを詰め込んで参加するスタイルになっており、いわばFPSにおけるチームデスマッチモードにグループ単位で参加するような感じだ。このシステムは、FPSと同様に、短時間でのゲームプレイを実現すると同時に、参加までのプロセスが簡略化されることから、マルチプレイへの参加意欲を促進させてくれる有力な機能のひとつとして期待される。

 そして同作の最大の特徴が新開発のグラフィックエンジンだ。担当者はFPSクオリティの3Dエンジンという表現を使っていたが、まったくそのとおりで、フライトシミュレータレベルの高位置から俯瞰していたかと思うと、歩兵ユニット単体を画面いっぱいに表示させるレベルまで一気にズームインできる。グラフィックエンジンレベルで、ようやく「Black & White」を凌駕するRTSに巡り会えたという印象だ。

 また、単にダイナミックなズームイン、ズームアウト機能を備えているだけでなく、オブジェクトのディテールも抜群で、段階的LODを採用により、どの高度から見ても自然に映るようになっている。さらに俯瞰視点からは米粒ほどの大きさに見えるすべてのユニットに対して、リアルタイムシャドウとセルフシャドウが施されている。水面に対する周囲の風景の写り込みも丁寧に処理され、ミサイルに対しても独立した光源が与えられ、地面にまばゆい光と陰を残しつつ、低空を高速で飛行していく。

 ミサイルの爆発やレーザー砲の照射エフェクトも実に綺麗で、「Commando & Conqueror: Generals」を上回る派手なド戦闘シーンが展開される。その割にはパフォーマンスも良好で、Pentium 4レベルのCPU、Ge Force 4 Tiレベルのビデオカードでぐりぐり動かすことができる。現状、グラフィックおよび演出の面で、同作を上回るRTSは存在しないと言い切っていいクオリティだ。

 キャンペーンモードは、NSAのキャプテンJacob Angelusとなって解放運動を進めていくシナリオが15本程度収録されており、インターネットを介して複数人でキャンペーンにチャレンジすることも可能。さらに、同梱のキャンペーンエディタを使ったオリジナルキャンペーンもマルチプレイでプレイすることが可能なようだ。

 マルチプレイモードは、シングルプレイとは別のマップが用意され、最大12名での同時対戦が可能。先述したように、人数が全員そろわなくてもゲームをスタートでき、既存ゲームの途中参加も可能という、FPSライクなシステムを採用しており、他のRTSと比べ格段に遊びやすくなっている。発売が楽しみなRTSだ。

【Ground Control 2: Operation Exodus】
地表に米粒のように見えるのが歩兵ユニット。遠い未来の話だけあって、超巨大な建造物がいくつも存在し、それらがターゲットになることも多い。画面ではすべて曇り空だが、嵐や雨、雪といった天候もリアルに再現する

【The Simpsons Hit & Run】
北米の人気アニメ「The Simpsons」の世界観をモチーフにしたドライブアクションゲーム。街を自由に走り回って、人々からさまざまな頼み事を聞いて、それを達成していくことになる。街中でいきなりコイン集めがスタートしたり、タクシー代わりをつとめたりなど、ユーモラスな雰囲気の街を自由に走り回る感覚が楽しい。発売プラットフォームはPS2、Xbox、GC、PCで、発売時期は北米で9月発売予定(PCのみ11月)

【Crash Nitro Kart】
「Crash Bandicoot」のキャラクタたちが登場するカートレースゲーム。主人公Crashがエイリアンにさらわれてしまったという設定で、脱出すべく異星人を相手にレースバトルを繰り広げていくことになる。微妙にパースのずれた独特の世界描写が特徴的。発売プラットフォームはXbox。北米で11月発売予定

【SWAT: Global Strike Team】
「SWAT」シリーズ初となるフランチャイズ作品。今回はSWATチームを率いて世界を転戦していく。Xbox版ではボイスチャットで部下に声で直接命令を与えられる機能を盛り込む。マルチプレイは画面分割式。プラットフォームは、PS2、Xbox。発売時期は北米で10月

【SWAT: Global Strike Team】
「SWAT」シリーズ初となるフランチャイズ作品。今回はSWATチームを率いて世界を転戦していく。Xbox版ではボイスチャットで部下に声で直接命令を与えられる機能を盛り込む。マルチプレイは画面分割式。プラットフォームは、PS2、Xbox。発売時期は北米で10月

【Metal Arms: Glitch in The System】
かわいらしさ満点のロボットアクションゲーム。架空のロボット世界を舞台にしており、子供にも喜ばれそうなコミカルかつユーモラスな雰囲気になっている。ロボットのパーツの動きが細かく、敵のロボットにハッキングして、敵と会話したりすることも可能。発売プラットフォームはPS2、GC、Xboxで、北米で11月発売予定

【Hobbit】
「Hobbit」は、トールキンの同名の原作小説をベースにしたアクションアドベンチャーゲーム。対象年齢は10~15歳と低めで、全体的に可愛らしいつくり。発売プラットフォームはPS2、GC、Xbox。北米での発売時期は11月

□ECTSのホームページ
http://www.ects.com/
□Vivendi Universal Gamesのホームページ
http://www.vugames.com/
□「Ground Control 2」のホームページ
http://www.groundcontrol2.com/

(2003年8月28日)

[Reported by 中村聖司]


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