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★PS2ゲームレビュー★
デッキと呼ばれるカードの山札を編集し、カードでユニットの召喚やスペルの使用を行ない、対戦相手を倒す――有名な「マジック・ザ・ギャザリング(以下MTG)」を始め、このタイプのカードゲームは世界的に人気があり、熱狂的なファンに支持されている。アイディアファクトリーから発売されたPS2ソフト「カルディナルアーク~混沌の封札~」も、主要であるカードバトル部分はMTGタイプのポピュラーなスタイルを導入している。だが、「カルディナルアーク」は日本人なら誰もが体験しているであろう「ボードゲーム」の要素をゲームにプラスして、オリジナル性を強く打ち出している。
初見では、ボードゲーム+カードゲームという特殊なルールに戸惑ったものの、チュートリアルステージをクリアする頃には、基本も応用もおおよそ理解ができていた。ボードゲームというよりは戦略シミュレーションゲームのニュアンスが強く、最終的には「CPU戦の難易度が易しいカードゲーム」という感想を持つに到った。カードの種類は、多彩なユニット(クリ―チャー)カード、そして心理戦を繰り広げる上で重要なスペルカードが存在し、本格的カードゲームの基盤が整えられている。カードゲーム初心者の方には入門用ソフトとして、この「カルディナルアーク」をおすすめしたい。
「カルディナルアーク」のゲームモードは2種類が用意されている。異世界から召喚されたドミネーター(カードを使用できる存在)となり、CPUの敵ドミネーターを撃破していくストーリーモードと、プレーヤーふたりによる対戦モードだ。メモリーカードでデータを持ち寄れば、ストーリーモードで編集したデッキを使用して対戦することも可能。
参考までに、筆者のストーリーモードのクリアタイムは約20時間。このタイムには、デッキに必要なカードを集めるために、制覇したステージを何度もやり直した時間も含まれている。ステージクリア時の入手カードは最大10枚。当然、入手済みカードを引いてしまうダブリ現象も起こり得るため、200枚以上の全カードをコンプリートするには相当な根気が必要になるだろう。
■ 「スペクトラルフォース」、「学園都市ヴァラノワール」のキャラクタが出演
「カルディナルアーク」には、アイディアファクトリーの一連の作品に登場したキャラクタが登場する。例えば、主人公のガラハドはPS2「学園都市ヴァラノワール」に登場した人物であり、邪神ヘルガイアはPS「スペクトラルフォース」の登場人物だ。シリーズのファンにとっては、最高の演出といえるだろう。ちなみに、会話シーンはフルボイス仕様になっている。
魔と人が覇権をかけて渡り合う場所。戦乱の続く大陸ネバーランド。 古の時代、地上を滅ぼそうとした邪神ヘルガイアは、聖神コリーア、魔王ジャネスら、五柱の神によって大陸の北西に位置する小さな“ウマリー島”の地下、“カルディナル アーク”へと封じられたという。 その封印が破られる事を恐れ、五柱の神々はヘルガイアの力を幾多ものカードに分け、封印の鍵として六枚の封神札を作り上げた。 永きにわたる戦乱によって生み出される、混沌は未だ終わる気配を見せない。 その愚かな争いは地上の混沌を膨れさせ、それによりヘルガイアの封印が解けようとしていた。 ヘルガイアは封印が完全に解けていない自らの分身として、巫女レフィーナの体を奪い、自らの封印を完全に解こうとした。 しかし、世界からヘルガイアを封印する可能性を秘めた者達、つまりスペクトラルカードを持つ者達がエグマにより集められる。 自らの生きる目的を求めて世界を旅していたガラハドは、突然の召喚に戸惑いつつも、スペクトラルカードによって再びヘルガイアを封印しようと戦いに挑む。
■ 複雑に見えて簡潔。ユニットを操作し、土地を塗り替える プレーヤーは、スペクトラルカードを駆使する存在「ドミネーター」として、敵ドミネーターと対戦する。マス目で区切られたボードゲーム風のマップ上で、ユニットの召喚や呪文カードを駆使し、敵ドミネーターの体力をゼロにするのがゲームの目的だ。基本的に、どのステージもプレーヤーと敵ドミネーターは離れたポイントに配置される。ドミネーターのユニットは移動距離が短くHPが多いため、瞬殺されることはまずない。まずはマイペースに自軍のユニットを召喚し、体制を整えておきたい。
このゲームにおいて戦局を左右する重要事項が“コンクエストによるコストの生成”である。マップ上のユニットを移動させマスの色を染めることで、自軍の支配地にできる。コンクエストとは、この支配地の総数の事。コストはカードを使用するために消費する値で、プレーヤーのターン(順番)の始めにコンクエストの分だけ回復する。
序盤にコストの安いユニットを召喚し支配地を拡大することで、後半はコストの高い強力な威力を持つカードが使用可能になる。敵軍の支配地は自軍のユニットを通過させることで、自軍の支配地に塗り替えられる。敵の支配地を減らし入手コストをカットして、カードの使用を不可能にするという、陣取りゲーム的な戦略も有効だ。 実際のゲームの進行は、カードゲームらしくプレーヤーのターンが3フェイズで構成されている。画面に表示される情報量が多く、最初のうちは混乱するかもしれないが、まずは進行のフェイズの流れを掴むことから始めよう。 プレーヤーのターン開始時に存在するのが、「カードフェイズ」である。カードフェイズは……
↓ 「コストの生産(自動:総コスト回復。そこからユニットの維持コストを引く)」 ↓ 「カードの使用(手動:ユニットの召喚やスペルの発動)」
……という、一連の自動処理と行動で成立している。ストーリーモードにおける最初のカードフェイズでは、コンクエスト(支配地域)がゼロのため、召喚もスペルの使用も不可能という点に注意したい。長期戦になり、デッキの残りカード枚数が尽きた場合は、もう一度デッキが作成される。コストが残っている限り、配置制限に達するまで何体でもユニットは召喚可能。早期に支配地の拡大に努めることが勝利の鍵だ。
カードフェイズ終了後は、実際にユニットを移動・攻撃させる「アクションフェイズ」へと移行する。ここで自軍のユニットを移動させて、支配地を拡張。敵ユニットを攻撃対象に選ぶと「バトルフェイズ」に突入する。 バトルフェイズでは、一枚だけスペルカードが使用できる。体力回復スペルを使うも良し、マジックボルトで敵ユニットの体力を削るも良し。スペルカードの駆け引き次第で、貧弱なユニットで強力なユニットを撃破することも夢ではない。
残念なのは、戦闘時のアニメーションが、お世辞にも出来の良い物とは言えないことだ。カードのグラフィックを表示して、ダメージ数値を報告するだけでもよかったのではないだろうか。
このゲームのユニットはHPの平均が2~3程度で、必然的に防御力をアップする手段が必要になってくる。そこで効果を発揮するのが、ユニットの特殊能力だ。なかでも、自動的に発動する「パッシブ特殊能力」を使いこなさないと勝利は遠い。
パッシブ特殊能力「援護防御」を所有しているユニットに隣接している自軍ユニットはディフェンスに+1が加算される。維持コストが低いキャラクタでも「援護防御」といった特殊能力のあるユニットは多い。まとまった数を出せば、ディフェンス+3以上という化け物のようなユニットが完成する。
■ コレクターの収集欲をそそる200種類以上の多彩なカード
カードグラフィックは、ファンタジーの世界観で統一されている。複数のイラストレーターが参加しているが、全体の雰囲気はまとまりがあり違和感を感じることはほとんどない。ここでは、カードの種類を紹介していこう。
【ユニットカード】
ユニットカードは、コストを消費してボード上に召喚できる。それぞれのユニットは、異なる特殊能力や属性を持っている。
【スペルカード】
カードフェイズや、戦闘中に使用して戦闘をサポートするカード。ユニットやドミネーター、土地などに対して効果を与えられる。
【ベースカード】
右写真の「癒しの泉」は、効果範囲内の全ての自軍ユニットを対象に、毎ターンHPが1回復する。ユニットの体力を回復させる有効な手段だけに、必ずデッキに組み込んでおくべきカードといえる。
【ドミネーターカード】
プレーヤーの代理となるドミネーターカードは、マップ上に初期配置されている。一般ユニットに比べ、体力がケタ違いに多いのが特徴。
筆者が評価したいのは、「カルディナルアーク」におけるデッキの事故率の低さである。本作では、デッキのカード枚数を30枚ジャストで編成しなければならない。デッキを使用するタイプのカードゲームにしては、デッキの上限30枚は少ない印象があるが、そのおかげでゲーム中のカード回転率が早く、キーカードが引けないという事故が激減している。ランダム性に左右されることなく、自分の想定したデッキのコンセプト通りに進行できるカードゲームというのも珍しいものである。
冒頭でも述べたが、ストーリーモードはCPUのアルゴリズムがイージーに設計されているため、デッキに必要なカードが揃わなくとも、ボード上の戦略次第で凌げる状況が多々見受けられた。カードゲームに関心はあるが、今一歩踏み出せないでいるユーザー、もしくは世界観の共有という意味で、アイディアファクトリーの熱心なファンなら購入すべきタイトルといえる。
【応募方法】
応募締切 :8月15日 12:00(正午)まで
※ 応募フォームの送信はSSL対応ブラウザをご利用ください。SSL非対応のブラウザではご応募できません。
(C)2003 IDEA FACTORY
□アイディアファクトリーのホームページ (2003年8月8日) [Reported by 福田柵太郎]
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