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こだわり抜いたPS2「Train Simulator 御堂筋線」
向谷実氏「大阪市営交通100周年記念フェスティバル」でこだわりを解説

【大阪市営交通100周年記念フェスティバル】
8月1日~10日 開催
会場:大阪ドーム スカイホール
入場料:無料

【Train Simulator 御堂筋線】
10月11日 発売予定
価格:4,800円


制作の最終段階に入っている「Train Simulator 御堂筋線」の画面。2002年に発売された「京浜急行」よりエンジン部分においてさらにブラッシュアップが施され、美しくなっている
 大阪市交通局は、2003年を市営交通100周年とし、各種イベントなどを行なってきたが、それらを総括するメインイベントとなる「大阪市営交通100周年記念フェスティバル in 大阪ドーム スカイホール」を8月1日から10日まで開催する。入場は無料。大阪ドームからエスカレーターを乗り継いでいき9階に上がると、改札口をイメージした入場口をくぐると会場となっている。

 この場で、音楽館が制作し大阪市交通局と北大阪急行電鉄株式会社が発売するプレイステーション 2用ソフト「Train Simulator 御堂筋線」が展示されている。初日にはソフトの制作を担当している向谷実氏も制作発表でソフトの解説を行なうために来場。ブースでも多くのファンの質問に答えていた。

 「Train Simulator 御堂筋線」が制作された経緯は、向谷氏によれば「『Train Simulator 京浜急行(SCEJ)』が終了した時点で、休もうと思ったんだけど、大阪市交通局さんから“シミュレーターを作れませんか”と依頼があった。そこで、距離とネームバリュー、運転の面白さという点で、僕の方から“御堂筋線がいいだろう”と提案した。東京で言えば銀座線なんてほとんど自動化されているけど、ここは手動で、信号機があるにもかかわらずATCであるという点で全国的に見てもおもしろい」といったことからソフトの制作がスタートしたという。

 「京浜急行」の発売が昨年秋であることを考えると約半年という短期間で制作されたことになるが、エンジンをブラッシュアップするなど相当な苦労があったようだ。「エンジンは“京浜急行”と基本は同じなんだけど、さらにブラッシュアップしている。それは映像のクオリティを上げながらもさらに多くの距離を収録できるシステムを考案したから。単純に御堂筋線だけでいえば30km程度だけど、車両や時間によって到着ホームが違っていたり、今回『Train Simulator』シリーズ初の試みとなる夜間走行だけを贅沢に収録している。出発するホームを変えたりした映像を、大阪市交通局さんの協力で1日に3往復6回も専用列車で撮影した」という。

 向谷さんといえば鉄道への妥協無きこだわりを持っているが、今回もかなりのもの。御堂筋線は大阪市交通局だが、江坂から千里中央は北大阪急行なので、北大阪急行の車両が乗り入れている。これもきちんと江坂で運転手が乗り変える音声をいすをバタンと跳ね上げるところまで再現していたり(音声)、もちろんアナウンスもそれぞれ別に収録されている。さらに地下鉄部分においては構内の蛍光灯が運転台に反射してチラチラするといった雰囲気を盛り上げる演出も行なっている。

 ゲームは、まずダイヤ選択で簡単な初級から中級、上級まで選択。今回注目となる夜間運転は中級で、一番難しい上級はラッシュ時間帯となる。それぞれ時間帯が異なると当然運行している車両も違ってくるため、その後に登場する車両選択画面も変わってくる(朝は北大阪急行のPOLESTARは選択できない……など)。運転自体はいつも通りだが、かなりシミュレータよりに作ってあるため、難しいとか。会場でもダイヤを守れずATSに引っかかって「ピー」という警告音が鳴り響くシーンが多数見られた。また、気づきにくいがなだらかな勾配が続くため、地下鉄区間も単純ではなく、運転にかなり気を遣わなければならないとか。ちなみに夜間走行については、暗いと思うかもしれないが、隣接する新御堂の通りの車、ビルの明かりなどうまく撮れていて、思ったより明るく雰囲気が出ていると感じられた。

 このほかにも細かいところまで行き届いていて、オプションではモーター音のオン/オフが可能となっている。これは「車両にモーターが付いていないにも関わらずゲーム中にモーター音がするのはおかしい」というユーザーと「モーター音がないと雰囲気がでない」という両方のユーザーがいるため。その両方に配慮するため、オプションで切り替えることができる。オプションのほかに「鉄学」というコーナーもあり、こちらでは、「御堂筋線」では時間によって信号が変わり運転を難しくしているが、その勉強するための標識説明や、車両の解説などが掲載されている。

 このソフト、あいかわらず鉄道好きにはたまらないのだが、そうでない人にとっても是非とも手にとってもらいたいソフトに仕上がっている。たぶん普段気づかないところが、このソフトのこだわりの果てに見えてくるだろう。さて、購入方法だが、じつは一般店舗で購入することはできない。販売は通信販売と、駅の売店のみとなっている。今回のイベントで予約すれば、発売日前に代金引換で郵送してくれるという。大阪近辺の人はこのイベントに足を運び、この機会に予約した方がいいだろう。ちなみに、本日この場に足を運んだ山形や横浜のユーザーはすでに予約を済ませていたようだ。なお、同社ホームページなどで通信販売が開始されれば、弊誌でも追ってお知らせする。

制作発表会には多くの観客が詰めかけ、熱心に向谷氏の解説に聞き入っていた カシオペアで活躍中の向谷氏だが、鉄道マニアとしても知られている。今回もこだわって制作されたソフトのポイントをおもしろく解説 オープニング収録されている。こちらも見る人にとってはニヤリとさせられるマニアックな内容
今回のダイヤ選択画面。中級の「なかもず→江坂」が夜間走行になっているところに注目。長いTrain Simulatorの歴史始まって以来初となる 試験モードと運転モードに分かれている。試験モードは終了後に運行を評価してくれる。うまく運転すれば「何かでるかも……(向谷氏)」とか 駅選択画面だが、江坂までは大阪市交通局であるが緑地公園からは北大阪急行電鉄であるため、デザインもそれに併せて変わっている。凝った演出だ
難しくないところでは立ってコントローラを操作していたが、上級編をプレイするときは座って熱心にプレイする向谷氏 「Train Simulator」ブースは大盛況で、人がとぎれることがなかった。小さな子供多かったが、「Train Simulator」を目当てにしている人も多かったようだ。中高年齢の人が「よくできている」と感心する場面も見られた。なお、ブースではソフトの予約も行なっている
「Train Simulator 御堂筋線」の製品解説が書かれたパネル 左写真が「Train Simulator 御堂筋線」のパッケージ。右写真が同じ会場内に展示されている、パッケージのベースになった開業当時のポスター。向谷氏によれば、昔のポスターのデザインをベースに最新の車両を描くことで、PS2という最新のプラットフォーム上でシミュレーターが再現されていることを表したかったのだとか



大阪市営交通100周年記念フェスティバルに用意された大阪市営交通のグッズショップ。なかなか貴重なグッズも多い。なかでも「チョロQ 100周年記念セット チョロQなつかしセット」は1人1個限定であるにもかかわらず、初日は完売。毎日限定数に達した時点で販売終了となるので、午前中の早めの時間に購入した方がいいだろう 会場のキッズ広場には大阪をプラレールによって再現されたコーナーもある。かなりの大きさ こちらもキッズ広場。タイヨーの1/36スケールの大阪市営バスが10台程度あり、自由に遊ぶことができる
入場無料だが、入るとき切符型の券をくれる。入口も改札風になっていて気分を盛り上げてくれる 古い市電切符など貴重な資料も展示されている 古い車両を再現した展示物が豊富


□大阪市営交通局のホームページ
http://www.kotsu.city.osaka.jp/
□「大阪市営交通100周年記念フェスティバル」のページ
http://www.kotsu.city.osaka.jp/100th/event05.html
□音楽館のホームページ
http://www.ongakukan.co.jp/

(2003年8月1日)

[Reported by 船津稔]


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