|
★Xboxゲームレビュー★
■ 宇宙移民船内で繰り広げられるサバイバルアクション 恐竜との死闘をテーマにして、全世界で350万本以上のセールスを記録した「ディノクライシス」シリーズの最新作「ディノクライシス3」がついに発売された。ドリームキャスト、プレイステーション、PCなどで好評を博した本シリーズだが、「ディノクライシス3」ではプラットフォームをXboxに移行している。 既存シリーズでは、孤島や白亜紀など恐竜が生息する(またはしていそうな)フィールドが舞台となってきたが、「ディノクライシス3」の舞台は何と宇宙。宇宙移民船というソリッドで密閉された世界設定が、未来的なイメージとパニック感覚を倍増させている。 プレーヤーの目的は、主人公パトリックを操作し、進化恐竜が解き放たれた巨大な宇宙移民船オズマンディアス号から脱出する事。本作品の変更点は、プレーヤーの操作にジャンプが実装されたこと。宇宙船の複雑な内部構造を移動するため、アクションシステムに大幅なリファインが施されている。さらに、本格派のSF世界らしく、レーザー兵器やブースターユニットによるホバー移動などが導入されている。
ゲームのボリュームは、アクションアドベンチャーというジャンルだけあって長すぎず短かすぎずという感じ。参考までに、筆者のクリアタイムは9時間17分53秒(難易度ノーマル)。クリア後のランキング判定では、ゲームモード、クリアタイム、セーブ回数、総タクティカルクレジットが審査される。
■ カプコンアクション最高クラス! 難易度AAAのジャンプアクション 本作では、メインの移動手段である歩きと走りに加え、ブーストユニットのホバー移動が採用されている。ホバー移動は3Dフィールドを高速で駆け抜けるため、実にノンストレスで移動できる。ジャンプアクションは、ブーストユニットによる滞空制御などが可能。「ディノクライシス3」のフィールドは、段差を超えたり、移動床を突破したりと、ジャンプアクションがメインになるシーンが多く難易度は非常に高い。
ジャンプアクションシーンの難易度を跳ね上げている最大の要因は、頻繁に切り替わる固定視点。本作は、「バイオハザード」シリーズのような3D固定視点のカメラワークが採用されている。このため、ジャンプ中に固定視点の切り替えポイントに入ってしまうと、着地点の目測どころか、進行方向の認識さえも狂ってしまうのだ。自分の力量が問題でジャンプを失敗するなら文句もないのだが、どう考えても非は固定視点の切り替えにあるため、何ともいえない不条理さを感じてしまうのが残念だ。
バトルアクションでは、プレーヤーキャラは通常兵器であるメインウェポンと、小型の飛行兵器であるサブウェポンのワスプを駆使して恐竜と戦う。メインウェポンは弾数制限無しのバルカンのほか、ショップで購入できるワイドショットやレーザーなど、おなじみの兵器が登場する。種類こそ少ないが、使い勝手のよい兵装が揃っている。
ワスプ攻撃は、小型の飛行兵器ワスプを射出して、敵を自動的にサーチしてダメージを与える。敵の出現するシーンでは、ワスプを2~3発ばら撒いておくだけで戦闘の負担が非常に低減される。弾数制限こそあるものの、ボスモンスター戦にも必須のウェポンだ。
■ グロテスクな表現は控えめ。Xboxで再生される恐竜軍団
このゲームのウリである恐竜は、恐竜のDNAをベースに他生物のDNAを配合・操作して作り出された、グロテスクな進化恐竜。残念ながら、前作までに登場していたプテラノドンなど、太古に実在したとされる恐竜ではない。だが、クリーチャーのマンネリズムから脱却し、独創性を増したという意味では、大きな成功を収めているといえる
敵を倒した後、一定時間内に新たな敵を倒すことでエリミネイトコンボが繋がる。エリミネイトコンボでタクティカルクレジット(得点)を稼ぎ、ショップでアイテムやステータスアップを購入することになる。ワスプを使用すれば、お手軽にエリミネイトコンボが繋がるため、資金繰りで困るということはなかった。
パッケージには「このゲームには、暴力・ホラー、その他グロテスクな表現などが含まれています。」と表記されているが、筆者の見解としては、描写はマイルドに抑えられていると思う。オープニングムービーでは、無数のヒル状の生命体が、T-レックスに似た大型生命体の皮膚を食い破るというインパクトのあるシーンがガツンとくるが、ゲーム内でそれを上回るような衝撃映像は見当たらなかった。ホラー的な演出を好む人には物足りないかもしれないが、そのぶん間口は広いといえる。
■ シリーズ最大級のスケールを持つ、大作ハリウッド映画的なシナリオ 「ディノクライシス3」全体の雰囲気を一口で語ってしまうと、大作ハリウッド映画の流れに忠実な展開であるといえる。スケールの大きなストーリーを支える派手で豪華なムービーもカットインされ、「本編を編集すれば、そのまま映画として放映できるのでは?」と思わせるほどだ。イベントシーンが多いわりに登場人物が描写されるシーンは少ない気もするが、恐竜を倒して脱出するという大筋の部分はダイナミックに伝わってくる。
筆者が思わず惚れこんでしまったキャラクタは、主人公パトリックの上官であるジェイコブ隊長。大作ハリウッド映画を多く見てきたプレーヤーなら、登場人物を見ただけで、何となくポジションというか、運命が予想できてしまうはず。そしてこのジェイコブ隊長も予想を裏切らず、最も泣かせる役どころを基本に忠実に演じてくれた。ジェイコブ隊長の男気溢れる烈士ぶりを、ぜひ本作で確認してほしい。
正直な話、筆者は「ディノクライシス3」に対して、アドベンチャーゲームとアクションゲームの特性をミックスしたライトなゲームというイメージを抱いていた。しかし、現物はアクション性にウェイトが置かれた内容で、手痛いカウンターをくらう格好になったわけだ。アクションゲーム(特にジャンプアクション)を長いことプレイしていないユーザーにとって「ディノクライシス3」は良きリハビリタイトルとなってくれるはずだ。 (C)CAPCOM CO., LTD. 2003 ALL RIGHTS RESERVED.
□カプコンのホームページ (2003年7月28日) [Reported by 福田柵太郎]
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved. |
|