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★PS2ゲームレビュー★
氏の計算し尽くされた台詞の棒読み、噛みまくりの怪演は、通常のRPGの一流声優では決して出せない味。「半熟英雄 対 3D」を購入し、鉄拳氏の出る第6話までプレイしてほしい、というのが筆者の切なる願いだ。 ストーリーの概略は、2D世界に存在するアルマムーン王国の若き当主(主人公)が、アルマムーン城ごと3D世界に吸い込まれ3D軍団と闘う派目になるというもの。劇中劇とでも例えるべきか、ゲーム内で2Dゲームと3Dゲームを戦わせよう、という突き抜けた発想は見事としか言いようがない。
セーブデータ(必要空き容量80KB以上)は15カ所作成可能で、プレイ中はいつでもデータの記録ができる。セーブ・ロードにかかる時間はスピーディーで快適。ソフトウェアリセット(L1+L2+R1+R2+START+SELECTボタン同時押し)を使用する機会は多いので、タイトルからゲームに復帰する時間が短いのはありがたい。
■ じっくり取り組めるRTSライクなRPGシミュレーション 「半熟英雄 対 3D」のゲーム内容は、シナリオクリア形式のシミュレーションRPG。シナリオの冒頭にはショートコント型のストーリーイベントが始まり、イベント終了後にフィールドに移行する。フィールドには、自軍と敵軍の城が点在している。敵軍をすべて制圧し、ボスを倒すことでシナリオクリアとなる。 フィールドでの操作は、ややRTS(リアルタイムストラテジー)ゲームに近い感覚だ。基本的な操作は自軍の城から将軍を出撃させ、敵城への進行ルートの指示を出していくだけ。フィールド画面だけ見ると複雑そうな印象を受けるが、内政や戦闘は個別に行なわれるため、本格的なRTSのような同時進行の忙しなさはなく、むしろ手軽にプレイできるくらい。 出撃した将軍が敵城に到達するか、敵部隊と接触するとバトルに突入する。バトルはファミコン版と同じく、肉弾戦とコマンドバトルの2種類。肉弾戦は、将軍と複数の兵士からなる部隊を操作して直接ぶつけ合い、相手ユニットを弾き飛ばすというベーゴマのようなスタイル。ジャンケンの性質を持つ将軍の陣形と、ボタン連打で攻撃力や移動力をアップさせる連打リングシステム、そして将軍の能力が勝敗を左右する。 肉弾戦中、△ボタンを押すことでいつでもコマンドバトルに突入できる。将軍がエッグを持っていれば、ここでエッグモンスターが召喚できる。エッグモンスター召喚ダンスのBGMはファミコン時代からの例の曲だが、今回はこのBGMに歌が付いた。しかし、歌詞も歌声もBGMにミスマッチで、興を削ぐ感が強い。この歌がどうにも苦手で苦痛だという半熟ファンは、○ボタンで召喚ダンスがスキップできる。召喚したエッグモンスターにもよるが、エッグモンスターバトルは非常に強力。コマンドリストから必殺技を選択して、敵部隊を攻撃するといい。
先ほども述べたように、様々な要素が含まれている本作だが、やるべきことは非常にシンプル。敵城に向けて、エッグが使える将軍を数人まとめて出撃させる。バトルに突入したら相手の陣形をチェックして、勝っているようならそのまま戦闘。陣形で不利ならエッグモンスターを召喚すればいい。この繰り返しで、エッグモンスターが封殺されるシナリオまではまず間違いなく進めるだろう。作業的で単調になってしまいそうだが、エッグモンスター戦、ボス戦、月一イベントなど各種イベントのメリハリが効いているので、飽きを感じることはないはずだ。
■ 笑いとスリリングに満ちたエグモンバトル 「半熟英雄」を象徴するシステムが、たまごから何が飛び出すかわからないエッグモンスターバトルだ。「バーリトード」や「キャノン姉妹」のようにストレートな駄洒落のエッグモンスターもいれば、「ハデス」や「ルキュフェル」のような正当(?)なモンスターもいる。エッグモンスターを召喚することが半熟の醍醐味であり、同時にシナリオ攻略成否の鍵を握っているといえる。 エッグモンスターにはランクがあり、同じモンスターを召喚すると能力値がアップしていく。召喚回数が増えると新しい必殺技を覚えるので、弱小エッグモンスターでも道が開ける可能性がある。たまごひとつの使用上限回数は4回と多く、月イチコマンドで消費した使用回数を回復できるので、積極的にエッグモンスターバトルを狙っていけるのは嬉しい限りだ。 エッグモンスターの必殺技は強力で、ボスキャラクタに対抗する有効な手段となる。さすがにエッグモンスター一体でボスに勝利するのは辛いので、敗北しそうになったら「たまごにもどる」でたまごに戻り、再度召喚させたほうがいい。
より高次のエッグモンスターを召喚するには、半熟値を貯めて半熟レベルをアップさせる必要がある。半熟値はバトルで勝利することで入手可能。半熟値がレベルアップすると、お染ブラザースが祝福してくれるという、大変おめでたい演出が拝める。
■ 様々な内政を行なえるターン「月イチコマンド」 ゲーム内の時間経過で一月ごとに、さまざまなイベントが発生したり、内政が実行できる「月イチコマンド」のターンになる。このターンのおかげで、築城や将軍募集といった内政業務をリアルタイムで行なう必要がなく、フィールドシーンでは戦闘と将軍の移動に専念できるという寸法だ。 収入が伸びにくいこのゲームでは、内政コマンドの優先順位を設定したほうがよい。最優先で設定しておきたいのが、エッグモンスターに関する内政の「たまご回復」と「たまご復活」だ。エッグモンスター召喚が戦闘の肝であるこのゲームでは、消費したたまご使用回数の回復と、割れてしまったたまごの修復を何よりも優先すべきだ。 次に兵士補充で戦力を補強し、それでもお金が余るようなら将軍を募集する。将軍募集時のシャッフルを見切ることはできず、有能な将軍(たまごを持っていることが最低条件)が来るかどうかは運次第。そのため、将軍募集をかける前には必ずセーブをしておきたい。たまごを持っていない将軍を引いてしまったら、即座にソフトウェアリセットだ。 戦闘で入手した切り札ブロックを用いて、戦闘で威力を発揮する切り札アイテムを開発するのも「月イチコマンド」だ。ロシア産の某パズルゲームに似た切り札ブロックを、パネルにはめ込み合成することで新しい切り札が完成する。開発のヒントは、ときおりフィールドに出現する「モモリス」という小動物が所持している。将軍が触れることでモモリスをゲットできるので、泣き声が聞こえたらフィールドを探索しよう。
このゲームでは、エッグモンスターによるゴリ押しでスピードクリアが可能なシナリオが多い。築城をして地道にお金を稼がなくても何とかなる。
「半熟英雄 対 3D」の難易度は、中程度といったところ。フィールドでの移動操作やバトルシステムに戸惑うかもしれないが、第一話がチュートリアル的な役割を果たしているので、すべてのシナリオをその応用でクリアすることが可能だ。エッグモンスター図鑑、将軍図鑑のコンプリートなどやり込み要素も多数備わっているため、長く遊べるシミュレーションRPGといえるだろう。 ファミコン版、スーパーファミコン版をプレイしたユーザーならわかると思うが、プラットフォームがPS2に変わっても「半熟らしさ」は相変わらずキープされている点が素晴らしい。10年経っても変わらない老舗の味といったところだろうか。これからも「半熟英雄」の灯を絶やすことなく、自社製品をネタにしまくった新作を出し続けていただきたい。ちなみに、本作は「FF」のパロディが多かったが、次はさしずめ「DQ」シリーズが標的になるのだろうか……。 最後に、キャラクタ会話時の早送りに関する不満点を指摘したい。ボイスのあるキャラクタのセリフはスキップできず、早送りのみ可能。セリフの文章を読み終えたプレーヤーのなかには、ボイスが終わるのを待たずに早送りしようとする人もいるだろう。 だが、ボイスがあるキャラクタの後に大臣などのボイス無しキャラのセリフがあると、早送り停止が間に合わず高速で文章がスキップされてしまい、読むことが困難になってしまう。つまり、会話を楽しむにはボイス有りのキャラクタが喋り終わるのを待つしかなく、これが非常にかったるい。
オプションに文字表示速度や文末停止速度の調節機能、バックログ閲覧機能を付けるだけでも随分快適になったはずだ。キャラクタの会話が面白いだけに、この問題点は非常に惜しい。もしあるならば、次回作では改善されていることを期待したい。
□スクウェア・エニックスのホームページ (2003年7月11日) [Reported by 福田柵太郎]
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