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Xbox「N.U.D.E.@ Natural Ultimate Digital Experiment」 |
価格:6,800円
数々のゲームを作り上げてきた広井王子氏が総合プロデュースを行なったXbox用ソフトとして注目を集めている「N.U.D.E.@ Natural Ultimate Digital Experiment」がついに発売となる。ジャンルが“同居型コミュニケーションドール”ということで、いまいちピンとこない人も多いかもしれない。簡単に言えばゲーム内に登場する美少女型ロボット“P.A.S.S.”とコミュニケーションをとるソフトだ。
そのコミュニケーションもこれまでのように選択肢を選ぶといったものではなく、そのほとんどがボイスコミュニケータと呼ばれる同梱のマイクデバイスで行なう。この点が重要で、これまでにないリアルさを生んでいると言っていいだろう。さらに、声優さんなどがセリフを喋り、その音声を収録し、こちらに応じて再生するのではなく、“P.A.S.S.”は合成音声で喋る。そのフレキシブルな感じが、またいい感じなのだ。
それではどのように“P.A.S.S.”と接し、育て、コミュニケーションをとっていくのかをお伝えしていこう。
■ 美少女型ロボット“P.A.S.S.”とは……
ゲームでは“P.A.S.S.”は、総合家電メーカーのArk社が制作した美少女型ロボットのプロトタイプが、量産一歩手前というところまで開発が行なわれているという設定だ。このプロトタイプのロボットが一般家庭で実用可能なのかどうかのβテストの募集にプレーヤーが応募。晴れて当選し、ついに“P.A.S.S.”が家に到着。起動した彼女 (P.A.S.S.) の第一声は「私にモノの名前を教えてください」だった……。
“P.A.S.S.”とは、「Personal Assist Secretary System」の略で、いわば商品名のようなものだ。意味としては「ライフスタイル順応型サポートロボット」としての役割を持っており、プレーヤーの生活時間に沿って彼女も一緒に生活し、コミュニケーションをとることで人の生活をサポートするロボットということだ。「N.U.D.E.@」はXbox内蔵の時計機能に準じて動作しており、実際にプレーヤーと生活しているかのように感じることだろう。また誕生日や1年の中で起こる特別なイベントにも対応しているし、時計機能により、季節なども織り込んだコミュニケーションが可能だ。
初めに言ったように“P.A.S.S.”とは商品名のようなものだ。彼女固有の名前は、ゲームを進めていくことで、名付けることができる。ゲームを始めた時からじっくりと考えておきたいところだ。
■ 初めはものの名前を教えていく
彼女から「私にモノの名前を教えてください」と言われ、さっそく教え始めることになる。部屋の中にあるものは“テレビ”や“ビデオ”、“ラジカセ”、“ノートパソコン”、“エアコン”や“窓”などなど。これらの名前を教え込んでいくことになる。
まずはどれを教えるか、モノを選択する。“電話”であれば、赤いカーソルを電話まで持っていき、Aボタンで選択。すると彼女は電話の前まで移動する。そこでマイクをオンにして「電話」と喋りかける。すると彼女は「で・ん・わ」とたどたどしく繰り返すはずだ。もっとも一回で「で・ん・わ」などと憶えてくれない。「でん」とか「でんでん」とか、意味不明な言葉を喋って間違えることだろう。ならば何度でも繰り返し覚え込ませるしかない。何度か繰り返し「でんわ」と発音して教えてあげるとそのうちだんだんと、間違えも少なくなりまともな発音になってくる。
そこで、彼女に聞いてみる、「憶えた?」と。すると彼女は色々なリアクションを返してくれるはずだ。例えば、「わかりません」とか、「なんとなく」とか、「だいたい」とか。こういった状態ではきちんと憶えているとはいえないので、さらに何度か繰り返し「でんわ」と教えてあげると、そのうちこっちにクルッと向いて「でんわ、憶えました」と明るい声で答えてくれる。これでやっとひとつの単語を憶えたことになるのだ。
初めてプレイしたとき、この「憶えました」というのがえらく嬉しかった。別にものすごく苦労したわけではないのだが、リアルに向き合って喋っているというのが、“ゲームっぽさ”を薄めてなんだかリアルな気持ちにさせたに違いない。コントローラではなく、声でゲームを進める重要性がこういったとこに現われているのだと思う。
なんだかこう書いていくとあっさりとゲームが進んでいるかのような印象だが、彼女はけっこうネタとしか思えない間違いかたをするときがある。イヤ、偶然なのだが、「テレビ」を教えているときに変な風に間違えたのだ。
さて、「N.U.D.E.@ 」はゲームであるため、Phaseが区切られており、そこでクリアするべき項目をクリアすることでどんどんと先に進んでいく。ある一定時間内にチェック項目をクリアできなければ、“P.A.S.S.”の回収 (ゲームオーバー) もあり得るというわけだ。この制限時間はそれほど厳しくはないようで、Phase1はたっぷり2日ぐらいある。逆にこの2日が経過しないとゲームが次のPhaseに進まないため、のんびり彼女の顔を見ているくらいしかやることがない状態となった。
もちろん先のPhaseになれば彼女とコミュニケーションを取ったりすればいいのだが、Phase1ではやることも少なく、ちょっと手持ちぶさたな時間となった。ある意味このゲームは毎日ちょっとづつでも起動して、のんびりと一緒の時間を楽しむコミュニケーション主体のゲームと言えるかもしれない。
付け加えると、Phase1でもテレビやビデオでXbox用ゲームのプロモーションビデオを見たり、CDを聴いたりすることはできるし、写真を撮ることもできる。さらにPhaseが進んでいけば「P.A.S.S. O.S.」でブラックジャックを楽しんだり、競馬の予想をしたり、やれることは山のようにある。
■ マイクの感度は良好
マイクを使ってプレイしていると、コイツ本当に憶えてるのかと思って、声がどんどん大きくなっていき、真夜中に隣人から「『テレビ』、『テレビ』って何度も何度もなに怒鳴っとんじゃ!!」と怒鳴り込まれることもしばしばだが、じつは同梱のマイクの感度は実に良好で、ささやく程度でも充分音を拾ってくれる。ボソッと「憶えた?」と聞いても彼女は「憶えました」と答えてくれた。
これまでPhase1のプレイ状況を説明してきたが、ここまでではなんだか育成ゲームのようだが、Phaseが進んでいけば彼女は“行動”することを憶え、どんどんと生活の幅が広がっていく。そうなると彼女との関係が教え、教えられている“親子”からコミュニケーションを行なう“パートナー”になっていくことに気付くだろう。事実、部屋に来た当初の彼女は全くの無表情だが、Phaseをクリアしていくと表情が豊かになっていく。そういった点も見逃せない点だろう。
個人的には彼女と漫才ができたらなぁ……とか思う。いや、偶然にせよあのボケっぷり、彼女、才能あるって。ネタを仕込んで、コミュニケーションの一環として漫才までできちゃうゲーム。ゲーム大会などで「Halo Championship」とかあったけど、みんな集めて「爆笑オン エア バトル」みたいにXbox上のキャラクタと漫才やっちゃう。もちろんその再生データはネットワークにアップとかできたりして……いや、そりゃもう別のゲームかぁ。ま、そんなくだらない夢を持っちゃえるほどの仕上がりといえるだろう。
わりとゆったりした雰囲気のゲームなので、これまでのゲームの感覚で“早く、早く”前に進むことだけを考えてプレイしていると、ちょっと辛いかもしれない。ゆったりした気分で楽しみたいところだ。
□Xboxのホームページ
http://xbox.jp/
□「N.U.D.E.@」のページ
http://xbox.jp/software/nude/
□関連情報
【2002年9月19日】レッドとMSが音声認識を使った美少女ロボット育成シミュレータ
Xbox「N.U.D.E.@ Natural Ultimate Digital Experiment」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020919/xbox.htm
【2002年9月21日】広井王子氏の新作「N.U.D.E.@」発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020921/xbox4.htm
【2月12日】声で会話して育て上げる、Xbox同居型コミュニケーションドール
「N.U.D.E.@ Natural Ultimate Digital Experiment」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030212/nude.htm
(2003年4月24日)
[Reported by 船津稔]
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