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マイクロソフト、「Rise of Nations~民族の興亡~」を正式発表 |
価格:未定
マイクロソフト株式会社は、本日都内で発表会を開き、3Dリアルタイムストラテジー「Rise of Nations~民族の興亡~」を正式発表した。会場には開発元Big Huge Gamesの代表兼開発責任者Brian Reynoldsが出席し、完成度の高い英語版を使ってみずからデモンストレーションを行なってくれた。日本での発売時期は今春、価格は未定となっている。
デモを行なうBig Huge Games代表Brian Reynolds氏 |
画面右、青軍の後ろに見えるのが双方の国境線。この戦いの結果によって大きく位置が変動する |
3DRTSでこの精細さは凄い。3Dモデルの戦車やトラックのディテールも抜群 |
RoNのクリエイターであるBrian Reynoldsは、いまや米ゲーム界の至宝として知られるシド・マイヤーの元パートナーであり、彼が所属するFiraxis Gamesの共同設立者のひとりでもある。代表作は「Colonization」、「Civilization II」、「Alpha Centauri」など。全作とも「Sid Meier's」の冠が付されて販売されたタイトルだが、Brian Reynoldsはプログラマ兼ゲームデザイナとして活躍している。
2000年2月に新会社Big Huge Gamesを設立して、2003年春にオリジナルエンジンでファーストタイトルを発売するという離れ業を実現できたのも、過去にこうした経験があったためである。発表会で彼は「RTSとターンベースストラテジーの双方の良さを取り入れた作品だ」とコメント。思えば、AoEシリーズのクリエイターBruce Shellyも、シド・マイヤーの元同僚であり、独立後のファーストタイトル「Age of Empires」で大旋風を巻き起こしたことを考えると、Brian Reynoldsのコメントはある種の期待感を感じさせてくれる。
RoNの細かい内容の紹介に入る前に、グラフィックエンジンについて触れておきたい。同作のグラフィックはパッと見た印象では「Age of Empires II」に近い感じを受けるが、実はフル3Dのエンジンであり、Big Huge Gamesオリジナルのものだ。Pentium III程度のCPUできびきび動作するパフォーマンスの良さを実現しつつ、シームレスなズームインズームアウト機能を備えている。
驚くべきは、どの高さで見ても変わらない精細なグラフィックで、これは「建物のみは2Dで描画する」という、いわば逆転の発想で高精細化を実現している。もちろん、これもパフォーマンスの良さに結びついており、こうした背伸びのないゲームデザインが好印象だ。
さて、RoNの舞台設定は古代から未来までの6000年の歴史を扱っている。と書くと、「Empire Earth」を思い出すRTSファンも多いだろう。が、結果として似てしまっただけで、実際には古代から未来までを取り扱うというグローバルなゲームコンセプトは「Civilization」シリーズがいわば本家で、ゲームシステムもAoEシリーズやEEといったオーソドックスなRTSに比べると、Sid Meier'sブランドのターンベースストラテジーにずっと近い。
基本コンセプトこそ、「国家を興し他国に打ちかつ」というものだが、外交交易が不可避の存在であったり、物理的な形で国境線が引かれてあったり、領土や経済など、軍事的制圧以外の方法での勝利条件が豊富に用意されていたりなど、従来のRTSとは明らかに毛並の異なる作品だ。あまり大きい声ではいえないが、発表以来ちまたで言われ続けている「ポスト『Age of Empires』」というよりむしろ、「ポスト『Civilization』」といった方が内容の本質を突いているような気がする。
中でも大きな要素が国境の概念。ゲームスタート直後は、首都を中心に円形のワクが描かれ、これが自国の国境となる。RoNではこの国境内でしか建物を建てることができず、資源も領内でしか採取することができない。このため、敵の本拠地の近くにいきなり軍事施設を造ったり、重要な資源を奪ったりすることはできない。
この国境ラインは建物を建てるたびに少しずつ広がり、中盤にさしかかると双方の国境が接触するかたちになる。この場合、国境付近に建物を建てることで敵領に食い込むような形で国境を押し広げることができる。この変化はリアルタイムで処理され、この動的変化は当然敵にも認知される。相手としてはこのまま押し広げられれば、やがて敵は首都までたどり着かれるかもしれず、自然その部分が双方にとって戦略的重要拠点となる。こうして戦端が開かれることになるわけだ。
ゲームは8つの時代にわけられ、実時間1時間ほどで古代から未来までたどり着くという非常にスピーディーなゲーム展開になっている。同作では、AoEやEEでは当然のこととして理解されている「時代の進化」についてあまり意識されておらず、そもそも進化ボタンがない。ではどうやって時代を進化させるかというと、テクノロジーの進化が時代の進化に直結しているのだ。たしかにこのほうが自然といえる。
テクノロジーの進化に必要なのはお金と知識。同作ではお金はゴールドではなく、ウェルス(財産)という別扱いのリソースになっていて、これは交易でしか手に入れることができない。交易ではレアリソースと呼ばれるダイヤ、琥珀といった貴重品が取引される。レアリソースは、広大なマップにぽつんと置かれており、無限の金を生み出す宝の山として、領土拡張の第一目標になる。一方、知識は、大学で学者に研究させることで少しずつ蓄積されていく。リソースはこのほかにも、食料、木、金属、石油といったものがあり、実に細かい。このあたりもいかにも「ポスト『Civilization』」らしいところだ。
ゲームモードは、大別して「Conquer The World Champaign」とマルチプレイの2モード。「Conquer The World Champaign」は、シングルプレイ専用のキャンペーンモードで、区画分けされた世界地図を舞台に、アステカ、バンツー、イギリス、中国、エジプト、フランス、ドイツ、ギリシャ、インカ、日本、朝鮮、マヤ、モンゴル、ヌビア、ローマ、ロシア、スペイン、トルコの18カ国が世界制覇を競うというユニークな内容だ。プレーヤーは好きな国家を選び、コマを動かしてひとつずつ国を征服していく。コマを動かした先に敵のコマがいれば戦闘開始というルールだ。
このモードのユニークなところは、ターンベースを採用しているところ。1国家1領土1コマの状態からスタートし、領土が広がるにつれて使えるコマが増えていく。すべてのコマを動かすとそのターンは終了で、ターンが進むたびに古代からひとつずつ時代が進化していく。つまり、この「Conquer The World Champaign」では、戦闘中に時代が進化することはない。その時代の武器やテクノロジーを駆使して敵を倒す必要がある。これにより、全文明の全時代を骨の髄まで楽しむことができるわけで、実に効率的かつ充実度の高そうなキャンペーンシステムといえる。
なお、気になるマルチプレイについては、発表会ではほとんど触れられず、個別インタビューで詳しく聞いてきたので、インタビュー記事でご紹介したい。
18文明は6つの文化圏にわかれ、ユニットや建物のグラフィックも異なる。各文明ごとに複数のユニークユニットが用意されている |
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□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/games/
□「Rise of Nations~民族の興亡~」の公式ページ
http://www.microsoft.com/japan/games/ron/default.asp
□関連情報
【2002年5月23日】Electronic Entertainment Expo 2002現地レポート
Microsoft「Age of Mythology」をはじめバラエティに富んだ大作が目白押し
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020523/e3ms.htm
【2002年2月27日】RISE OF NATIONS~ポストAGE OF EMPIRES!
18文明が繰り広げる軍事、経済、技術戦争
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020228/migf02.htm
(2003年2月10日)
[Reported by 中村聖司]
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