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★PS2ゲームレビュー★
「ダーククロニクル」は非常に魅力的なグラフィックと、ふんだんに詰め込まれたアイデアが光るRPG。「ドラゴンクエストVIII」の開発も担当するという、株式会社レベル5の開発という点でも、注目のタイトルだ。 時空を巡る冒険というストーリー、そして高いゲーム性、さらに「寄り道」が楽しいという、盛りだくさんなゲームである。 ■ 奪われた歴史を元に戻す大冒険
ユリスは、「パームブリンクス」という街に住む少年。ある日、街の外の世界は15年前に滅亡している事を知らされる。世界を滅ぼそうとする「グリフォン大帝」により、過去が改変され、世界に有益だったさまざまなものを消し去られてしまったのだ。ユリスはモニカや彼の仲間と共に、さまざまな場所と時代を巡り、世界を元に戻していく。 ゲームは大別するとふたつのパートに分けられる。迷宮を突破していく「アクションパート」と、決められた土地にさまざまな建物やオブジェクトを配置、条件を満たすことで未来を取り戻す「ジオラマパート」。アクションパートを進めることで、ジオラマの条件が明らかになっていき、冒険で得た材料でその条件を満たしていく。何もなかった未来の世界が、プレーヤーの行動によってどんどん復興していく感覚は、独特のものがある。 ゲームを彩るグラフィック・音楽が非常に美しいということも触れておきたい。近代のパームブリンクスのような、機械と歴史が混然となったパームスプリングスの街を初め、未来の幻想的な建物の数々。オブジェクトひとつとっても、高いこだわりを感じさせる。 また、非常に「寄り道」が楽しいのもこのゲームの特徴だ。さまざまなミニゲームと、成長要素。ストーリーを進めることもさることながら、提示されている小さな目的を突き詰めるために没頭してしまうような、そんな楽しさも持ったゲームである。 ■ アクションと成長要素 「戦闘」というものはRPGで重要な要素である。この「ダーククロニクル」はアクション要素の高いRPG。ユリスとモニカは、多彩なアクションで敵と戦う。 マップはランダムで姿を変え、モンスターと宝箱が配置される。迷宮を突破する「ゲートキー」を入手し、決められた場所に行けばクリアできるのだが、ついつい敵を全滅させることに熱中してしまう。敵と戦うには、ある程度敵の特性を知らなくてはならず、慣れが必要だ。ガードをうまく使いこなし、ふんだんに回復アイテムを持っていく必要があるだろう。 ユリスとモニカはそれぞれ遠距離攻撃と近距離攻撃を持っていて、さらに強力な「ライドポッド」というロボットにも乗ることができる。成長は武器ごとの経験値と、アイテムで行なうシステムだ。 攻撃は、特に近距離の連続攻撃が爽快だ。もちろんただの力押しでは勝つことは難しい。タイミングをはかり、一気に攻撃をたたき込むのが楽しい。敵の中には高い防御力と攻撃力を持つものがいて、その敵はライドポッドで戦うのが望ましい。 ライドポッドはエネルギーの補給が難しく、切り札的な使い方をする必要があるのが、バランスがとれていて好感が持てる。もちろん成長させることで主力として使うことも可能だが、攻略にはすべての武器をバランスよく育てていく必要があるだろう。 マップはクリアすれば何度でも挑戦できる。ライドポッドで強引に進んだ後に、じっくりとユリスとモニカの武器を育てるというのも悪くないかもしれない。 武器にはそれぞれ系統があり、「ビルドアップ」を行なうことで、より強力な武器へ変化させることができる。武器にはパラメーターが設定されていて、さまざまなアイテムを合成させることで能力を成長させていく。合成アイテムはふんだんに入手でき、しかも“次”を提示させられているというのは、とても魅力のある誘導方法だと言える。前のマップに戻れることもあり、私はストーリーを進めずに武器成長に没頭してしまったこともあった。 キャラクタの防御力や最大体力値の成長はフィールドに設置されている「つづら」の中のアイテムで行なう。ジオラマを作り、未来を作ることでこのつづらの設置場所が増えていく。ゲームの進行に合わせた良いアイデアだと思うが、多少見つけにくい感じがした。しかし、逆に探し出すという楽しみもあるとも言えるし、近づけばキャラクタの頭の上に表示も出るので、とまどう人は少ないかもしれない。 ■ 未来を「創る」ジオラマパート ゲームが進むと、小人たちの技術によって作られた巨大機械・カーペントリオンで、ジオラマを作成することができる。木や家を配置し、そのマップを「フィールド」として走りまわれるのは、最初は驚きがあるだろう。作ったマップを住人の視点で眺められるのは単純に楽しい。 このフィールドには細かい条件が設定されていて、それをクリアすることで未来に変化が起こる。グリフォン大帝の操作によって歴史から消されてしまったものが、復活していくのだ。 フィールドの条件は、ステージにおかれている「ジオストーン」を収集することで明らかになる。ひとつのジオストーンで明らかになる条件は少しだけなので、マップをある程度進めてから、ジオラマ制作に取りかかる方が賢明だ。 建物には、住人を住まわせることができる。主にパームブリンクスの人々に協力を要請するのだが、協力してもらうには、彼らの提示する条件をクリアしなくてはならない。この条件が実にさまざま。決められたアイテムをとってくるものから、ミニゲームのクリア、さらに「池のボートにさわって規定時間まで帰ってくるように」というユニークなものまである。こうして集めた住人達を住まわせることで、未来に変化があらわれる。 ジオラマ制作前から現代と行き来ができるのだが、変化は非常に劇的だ。何もなかった未来の世界に大きな建造物が築かれ、住人が現れる。それは現代のジオラマを制作し、共同体を作っていく楽しさとリンクしている。未来の街は、非常にユニークなデザインになっていて、見ているだけでも驚きがある。まして、自分たちが作った街の結果だという感慨は、このゲーム独特のものだろう。さらに条件をクリアした後も、手を加えることで自分なりのきれいな街を作るという楽しみ方も可能だ。
■ 寄り道の楽しさ このゲームには、盛りだくさんとも言えるアイデアが詰め込まれている。それは、ゲームの枠を広げる楽しさとともに、ゲームそのものを深めている要素でもある。 このゲームはオブジェクトの配置、さらにデザインに非常に凝っており、独特の「世界観」を醸し出している。これを補強するのが「カメラ」というアイデア。ユリスはカメラを手に、さまざまな写真を撮ることで、発明のためのアイデアを入手、それを合わせることでアイテムを制作できる。例えば、「ベーカリーの看板」、「暖炉」、「小麦粉」の3枚の写真を使うことで「ふんわりパン」というアイテムの製法を入手できる。 発明の有用性もさることながら、単純に写真が撮れることが楽しい。「かまど」や、「窓」、「リヤカー」……。有用な写真はきちんと名前で分類される。私は街にあるものを片っ端から撮影して、拾えるオブジェクトを探しまくってしまった。また、街の人々にカメラを向けると、それぞれ気取ったポーズをとるのが楽しい。モンスターの攻撃モーションなど特別な「スクープ」も用意されていて、これを探るのもカメラの楽しみ方であり、非常に凝っているポイントだ。 楽しめる要素はこれだけではない。ダンジョンや海、そして池などで楽しむことができる「釣り」。場所、さらに針につける餌でそれぞれ釣れる魚が変わる。リールがついている浮き釣り、というのはちょっと奇妙だが、震動をONにしておくと、魚が食いついてくる感触、そして糸の耐性を試させられるバトルがリアルに楽しめる。釣れば釣るほど竿を成長させられるのも楽しい。 さらに、フィールドを使ったゴルフゲーム「スフィーダ」や、水槽で魚を成長させレースに出場させる「ギョレース」など、本当に驚くほどさまざまなミニゲームが入っている。ストーリーを楽しむのとは他に、こういったゲームに没頭するのも、このゲームの楽しみ方なのだろう。 ■ この「世界」で遊ぼう モンスターとの緊張感と達成感のある戦闘、つきつめられる成長要素、そして数々のやりこみ要素満点のミニゲーム……。ずっとこの世界にいたいような、コントローラを握っていたいようなゲームである。 それは、世界が危機に瀕しているという物語ながらも、美しく、楽しげなグラフィックと心地のいBGMによる明るい「世界観」が大きく影響しているのだと思う。この物語が、ユリスとプレーヤーの前に次々と新しい世界が広がっていくという、「冒険活劇」であるからだろう。 非常に個人的な話だが、私がちょっと疑問に感じた点は、ストーリーの説明の「手法」だろうか? 伏線なしで、手段をいきなり提示され、それが完了した時点で目的が語られる場合もあり、感情移入しづらい場面があった。 もちろん時間をテーマにした壮大な物語のため、語り方は非常に難しく、こういう感想は野暮と言うべきものかもしれない。語り方ばかりを気にしたゲームは逆に小さくまとまってしまう。「あえて」感じたというところにすぎない。 明るく楽しく、そして壮大な冒険活劇が楽しめるゲームである。世界が創られていくという期待感は、ずっとこの世界にいたい、という気持ちも起こさせる。世界の美しさがこのゲームにはあり、練り混まれたシステムがそれを保証している。 丁寧で、楽しく、美しい世界。興味を持った方は、訪れてみてはいかがだろうか。気がついたらどっぷりこの世界にはまりこんでしまっている自分を発見できるかもしれない。
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のホームページ (2003年1月9日) [Reported by 勝田哲也]
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