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スクウェア・エニックス経営陣都内で会見 |
和田社長(左)、福嶋会長(中央)、本多副社長(右)が出席 |
スクウェアが解散し、エニックスが存続会社として合併する新会社「株式会社スクウェア・エニックス(予定)」において会長となる福嶋康博会長、和田洋一取締役社長、本多圭司取締役副社長が出席。まず、福嶋氏が「コンピュータ技術や通信環境の急速な革新、普及を背景とする今後のエンタテインメント産業の大変革期において、事業機会、展開領域、市場がますます増大かつ多様化するなかで、いかに成長を継続していくかが、企業のもっとも重要な課題であり、この課題に対する両社の解答が今回の合併である」と既報の内容と同一の合併の概要を説明。合併は2003年4月1日を予定していると発表した。
合併までのいきさつとしては、福嶋氏が「8月中旬ごろ、本多(氏)が私のところに来て、スクウェアさんといっしょになったらどうか、という話があった。私もスクウェアさんといっしょになったらそれはすばらしいなと、今後のゲーム業界にとっては非常にいいことだなと思い賛成した。10月に入ってから、合併に関して本格的に協議を始めた」と語った。
続いて壇上に上がった和田氏は「今回の合併は攻めの合併。両社は高い利益水準を実現し、今非常にいい状態。その両社が合併することで、さらに今後勝ち残っていくために、あえて今のタイミングで合併を決断した」と開口一番力強く語り、両社はバッティングすることなく「理想的な補完関係」であることを強調。「2005年度以降、新しいコンテンツについての研究開発、情報収集を加速できる。両社のスタッフの交流を積極的に進めていき、ユーザーさんが想像もつかないようなデジタルコンテンツを実現できればと考えている」と締めくくった。
最後に登場した本多氏は「ゲーム産業はこれから大幅に変わる。最高のコンテンツを作り出し、産業全体を活性化させるために以前から和田氏と話をさせていただいていた。その中で両社は考え方が近しく、補完関係も強い。ほぼ同じ目標をもってやってきていることがわかった。そこで両社がいっしょになったら面白いことができるんじゃないか。働いているスタッフたちも想像がつかないような作品ができていくのではないか。そんな会社にしたいということで合併の話に入った。課題はいろいろあるが、検証しながら、最終的には両社の圧倒的なパワーを生かして『こんなものがこの世の中にあったのか』と思えるような作品作りをしていきたい」と決意を語った。
■ 「『ドラクエ』と『FF』の融合があるかどうかは今後の企画次第」
発表後の質疑応答では、両社の今まで展開してきた事業、それから今後の方針に質問が集中した。
まず、「新会社の発足にあたって、利益率の向上をどう図っていくか? 販売管理などをスリム化するのか?」という質問に対して、和田氏と本多氏は「合併に伴ってのリストラは意味がない。人員削減は想定していない。両社の資産を活かした利益率の向上を図っていく」とした。また、両社の社名をつなげた形になっている新社名(予定)に関しては「ユーザーの声を含めて検討していきたい」としながらも「現状積極的に変えていくつもりはない」と語った。
そして「現在発表しているコンテンツに関しては予定通り提供する」、「両社の開発体制に関しては、シナジーを図っていく予定だが、当面現状のまま」と、新会社の体制はこれから徐々に再編成が行なわれることを示唆した。
また「合併後に『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』を融合したコンテンツを作ろうというアイデアはあるのか?」という質問に対しては、和田氏が「両社がいっしょになることで何かやろうとは思っているが、それが『ドラクエ』と『FF』の融合であるかどうかは今後の企画次第」と回答した。
ユーザーにとって注目されるのは、エニックスが参入していないニンテンドーゲームキューブ、両社が参入していないXboxなどを踏まえたプラットフォーム戦略の変更だが、これに関しては「まずはユーザーが望むコンテンツありきで、コンテンツにあわせたプラットフォームを選択していく。方針としてプラットフォーム戦略は我々の意中にはない」と和田氏が応えるにとどまった。スクウェアの第2株主である株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントとの関係も「出資とプラットフォーム選択は関係がない。合併後もSCEIとの関係は変わらない」とした。
また、株式会社ナムコと両社がアライアンスを組んでいたため、「今回の合併に関してナムコは話に入っていたのか?」
という質問があったが、これに対しては、「3社の話の中では今回の話はなかった」と福嶋氏が答えた。
(2002年11月26日)
[Reported by 佐伯憲司 / Photo by tyokuta]
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