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「ラグナロクオンライン」特別インタビュー
1.5以降のRO世界はどのような変貌を遂げるのか?


 11月6日の「ラグナロクオンライン プレスカンファレンス」終了後、国内のゲームプレスを対象に個別インタビューが行なわれた。インタビューに応じてくれたのは、ガンホーCEOの孫泰蔵氏、ガンホーCOO森下一喜氏、Gravity会長のJung Ryool, Kim氏、Gravityの日本マーケティング担当のSu Hong, Park氏の4名。ちなみにSu Hong, Park氏は、Jung Ryool, Kim氏の通訳として参席していただいたのだが、相当な事情通で、韓国の最新事情なども含め、「ラグナロクオンライン(RO)」に関する興味深い話をいろいろ聞くことができた。


■ 有料化発表に対するユーザーの反応について

首都プロンテラの様子。βテストでは各サーバーともキャパシティの倍以上のユーザーで混み合っていた
GAME Watch(以下、GW) まず始めに孫社長にお伺いしたいのですが、私は職業柄これまでに無数のMMORPGに触れてきました。そうした中でも「ラグナロクオンライン」はユーザーからの反応が格別大きい作品だったように思います。反応には、ゲームに対する期待や要望といったものだけでなく、悪評や不満なども多かったわけですが、客観的に見ていてβテスト中、孫さんは針のむしろ状態だったんじゃないかと思います。メーカー社長として、そのあたりどのようなご感想をお持ちですか?

ガンホー孫泰蔵氏(以下、孫) そうですね、βテストが始まってからとにかく愛憎入り交じったメールをたくさんいただきました。やはりユーザーさんにとっては「俺のラグナロク」、「私のラグナロク」なんですね。痛烈な批判は、大きな期待の裏返しだと理解しています。ですから、はやく万全の体勢に持っていけるように日々努力を重ねている段階です。今後はサーバーなどを安定させてひとつひとつ実績を積み重ねていくしかないかなと思います。

GAME Watch(以下、GW) 10月29日に有料化の発表が行なわれました。これに対するユーザーの反応はいかがでしたか?

ガンホー森下氏(以下、森下) 日本では最終的に1,500円という設定にしたわけですが、開始から3カ月は900円というサービス期間を設けました。データでも明らかになっていますようにROは20歳以下の若年層が多いですから、そうしたユーザーからは「これなら払えそう」という、好意的な反応を数多くいただきました。

GW 韓国では日本での発表に対して何か反応はありましたか?

Gravity Jung Ryool, Kim氏(以下、Kim) 韓国ではすでに正式サービスが開始されてますし、台湾でもすでにスタートしています。特に日本の発表に対して反応はありませんでした。韓国の2,200円に対して、日本は1,500円という安い設定ですが、これについても抗議などはありませんでした。

Gravity Su Hong, Park氏(以下、Park) ご存じのとおり、韓国のMMORPG市場の価格(月額利用料金)はバラバラでスタンダードというものがありません。反応がなかったのはそのことも理由として挙げられると思います。

森下 ROのβテスト期間はとにかく長かったですから、我々の狙いとしては、有料化後も末永く遊んでいただくために、有料化と同時に1.5を導入し、次いで2.0を導入するという魅力的なプランを示すことによって、「これなら有料化後もやってみよう」と少しでも多くのユーザーに考えていただくことでした。900円という感謝価格もそうしたプランのひとつです。

GW 発表会では、βテストで問題になっているBOTやチートといった不正に対して、1.5で対策を施していくというお話でした。これは1.5クライアントにアップデートすることにより、何かクリティカルな解決策が採られるという理解でいいのですか? つまり、1.5以降、すなわち12月1日以降は、既存の不正は撲滅されると?

森下 そうですね、これまでβテスト期間中にもそうした対策はパッチによりたびたび行なってきました。ユーザーからの報告にもすべて目を通し、ゲームマスターの意見なども聞いた上で、12月1日には万全に近い形で、スタートが切れると考えています。具体的に何が行なわれるのかについてはお教えすることはできませんが。

GW それは1.5にアップデートされることによって、コアのゲームエンジンが変わったりするわけですか?

森下 それはありません。基本的にはこれまでどおり、パッチをつぎはぎしながら、対応を進めていくことになります。ただ、これはすべてのMMORPGでいえることだと思いますが、チートというのはすべて防ぐことはできません。どうしてもいたちごっこになってしまいます。社内では、不正利用者の名前は公式サイトに公開した方がいいんじゃないかとか厳しい意見も出ましたが、結局そうしたことまではしませんでした。

GW 韓国でのチートに対する対応はどのようになっているのでしょうか?

Park 基本的には日本と同じ状況です。プログラムの暗号化を始め、さまざまなプロテクトを掛けたりなど、随時チート対策については進めていってるところです。

GW 有料課金者数の目標を20万人と発表しました。これは20万人で採算ベースに乗るということですか? それともβ版の実績に基づくガンホー側の予測でしょうか?

森下 20万人で始めて採算ベースに乗るということではないです。採算ラインはもっともっと低いです。私はこの前、台湾でROの運営を行なっているソフトワールドに行ってきたのですが、台湾では25万人の有料課金者を獲得し、PCゲーム市場そのものも爆発的に延びているという現状があります。日本もこれから爆発的に延びていく時期ではないかと予測しています。さすがに正式サービス開始後すぐに20万人というのは無理だと思います。現状では努力目標に近いのですが、そうした目標を掲げることにより、ベンチャービジネスとしての成功はもちろんですが、オンラインゲーム市場の底上げにも結びついていくのではないかと考えています。

GW ちなみに採算ラインはどれぐらいなのでしょうか?

森下 具体的な数字については非公開ということでお願いしたいのですが、一応の目安としてお話ししますと10万人いれば十分採算ラインには乗ります。

GW βテストで日本最大規模のユーザーを集めたMMORPGとしてはずいぶん控えめな数字ですね。

森下 そうですね、MMORPGの運営でもっともお金がかかるのはファシリティ(サーバー/ネットワーク設備)の部分なんですが、この部分をグループアライアンス(ソフトバンクグループ)を最大限に活かして、コストを抑えることに成功しています。

GW 有料後は9つのサーバーで運営していくということですが、これで全ユーザーにとって快適な環境が実現するでしょうか? 仮に20万人の登録者がいるとβテスト同様のラグに悩まされそうな気がするのですが。

森下 現在、サーバーのキャパシティを増大させる目的でサーバーメンテナンスを実施しています。現在もまだ復旧しておらず、ユーザーの皆様には大変申し訳なく思っているのですが、この作業が終了するとキャパシティが5000人から7000人に増強されます。有料会員数25万人の台湾でも同等の規模で運営されていますから、まず間違いなく快適な環境をお届けできると考えています。

GW 韓国のサーバー状況はどのようになっているのですか?

Park 9つのゲームサーバーに、テスト用のSakrayサーバーで、日本とまったく同じです。ユーザー数は20万人です。20万人といっても、いっぺんに20万人が同時アクセスすることはありませんから(笑)。

GW 時間帯によっても変わってくると思いますが、アベレージではどのぐらいのユーザーがアクセスしているのでしょうか。

Park だいたい4000人弱でしょうか。

GW ということは、今回の日本での設備増強は十分すぎるほどであるわけですね。

森下 そのように踏んでいます。ただ、日本のユーザーさんは長時間プレイする方が多いですから(笑) 実際の快適さはふたをあけてみなければわからない状況です。


■ 「Episode1.5 -Attack of the Ancient」について

残念ながら1.5では導入が見送られた新二次職。クルセイダー、セージ、モンク、アルケミスト、ローグ、ダンサー、バードの全7職
韓国サーバーでは11月中旬の実装が予定されているペットシステム。最新情報ではペットは購入するのではなく、専用アイテムを使って捕獲して手懐けるようだ
GW それでは今回正式発表された1.5についてお伺いしたいのですが、RAG-FES 2で新しい二次職が公開され、大きな反響を呼びました。今回の発表には新二次職の話がまったくありませんでした。新二次職はいつ導入されるのでしょうか?

森下 新二次職は1.5の導入に間に合わせたかったんですが、検討の結果見送られることになりました。これは韓国でも同じ状況です。ただ、2.0が導入される前には、新二次職を実装します。これはパッチでのアップデートで対応する予定です。

GW なるほど、楽しみですね。話は変わりますが、今回ペットシステムの情報が初公開されました。この内容についてもう少し詳しくお伺いしたいのですが。

森下 ペット自体が戦うことはないんですが、絶えず後ろをついてまわり、プレーヤーを励ましたり、応援したりしてくれます。これの最大の目的はペット育成の楽しみを付け加えることにあります。

GW 育成というのは具体的にどのようにして行なうのでしょうか?

Park これはまだ企画段階ですが、手懐けたペットは、ペットショップで購入したエサを与えて、親密度を高めることができます。またROを終了しても、飼っているペットがデスクトップに居ついて、端っこのほうをうろちょろしたり、そうしたものも検討しています。

GW ペットの価格というのはどれぐらいなのですか?

森下 ペットの価格はまだ検討段階です。またマーケットによっても変動があると思います。いずれにしてもこのペットシステムは日本のユーザーに広く受け入れられると考えています。

GW ペットが死ぬことはないのですか? また1体限定ですか? ドラゴンクエストみたいに3体とか4体ぞろぞろ連れて回れたら、それはそれで楽しそうですが。

Park 戦闘に参加せず、敵から攻撃を受けることもありませんから、死ぬことはないです。ペットの数ですが、全キャラクタがぞろぞろ連れ歩くようになってしまっては、画面がキャラクタでいっぱいになってしまいますから、1人1体になると思います。

GW 1.5で導入されるPvPについて詳しく教えてください。

森下 街にいるNPCに話しかけてPvP専用エリアに飛ばしてもらいます。そこにいるプレーヤーと戦闘を行なう形になります。現時点ではパーティーを組めませんので、ギルド間の戦闘や集団戦といったものはまだできません。

GW それでは、とりあえず1対1の戦いになるわけですね。

森下 来年早々にはPTを組んだ状態でのギルド戦も可能になる予定です。

GW 死亡した際のペナルティはどうなるんですか?

森下 デスペナルティがあるエリアで死亡すると、スキルポイントとアイテムがなくなります。

Park デスペナルティのあるナイトメアモードでは、キャラクタはひとつずつあるアイテムを持っていて、相手を倒すことによってそのアイテムが入手できます。それが10個たまると、特別なアイテムがもらえます。ただ、ナイトメアモードで高いものをなくしてしまったりしたら大変ですので、そのあたりは調整中です。

GW その印のようなアイテムを10個集めると貰えるアイテムというのはどのようなものですか?

Park 通常では手に入らないレアアイテムです。一等賞のようなものですね。

森下 このPvPシステムを使ったイベントなども積極的に開催していく予定です。


■ Episode 2.0以降はどうなる?

2.0でさらにエリアが広大になるミッドガルド世界。来年3月の実装が楽しみだ
GW 発表会では1.5と2.0との違いが不明確でした。そのあたり詳しく聞かせてください。

森下 1.5については発表会でお知らせしたとおりですが、2.0になりますとエピソード性が高まってきます。

GW それはストーリーが実装されて、新しい国々への移動も可能になる、すなわちエリアがグッと広がるわけでしょうか。

森下 そのとおりです。2.0では周辺のエリアへの移動が可能になり、そこでさまざまな体験をすることにより、少しずつエピソードの全容が明らかになっていきます。

GW これまでのβテストの感覚ですと、ストーリーというのはほとんど意識することはなかったわけですが、これが2.0からは誰しもストーリーを意識したうえでプレイすることになるのでしょうか?

森下 いえ、これまでどおり、2.0でもストーリーを意識せずに気楽にプレイすることも可能です。他のMMORPGでもエピソード性のものが増えていますが、そうした市場のニーズに応えた戦略的な内容ですね。

GW 2.0でエピソードが導入されることにより、ユーザーのプレイスタイルにどういう変化が生まれますか?

森下 その辺はユーザーさんの反応によりどんどん変わってくると思います。たとえば、ユーザーがどういう行動を採るか、そうしたユーザーが何を求めるかによって、我々はどんどん物語を変化させていきます。

GW なるほど。ROには原作が存在しますが、2.0と原作とは何か関連があるのでしょうか?

Park いいえ、ストーリーはまったく違います。原作の漫画と「ラグナロクオンライン」はまったく別のものです。物語がリンクすることはないです。

GW それでは最後に今後の抱負についてお聞かせ下さい。

 当然のことですが、ユーザーの全員がトラブルなくログインでき、ラグの発生しないサーバー環境を整えていきたいです。それから、運営側のアナウンスをきっちり行なっていきたい。これはトラブルが発生して、いまこれこれの事情でこうなってるということをですね、公式サイト上で素早く公開するということです。そうしたメーカーとしての透明性と速報性、そして従来からの問題の解決、ここをしっかりやっていきたいと考えております。

GW βテスト開始当時と、正式サービスを目前に控えた現在とでスタッフの数はどれぐらい違うのでしょうか

 正確な数についてはお話できませんが、大幅に増えております。またこれまではシステムそのものの構築に手間がかかっていたわけですが、βテストを実施したことによりそうしたルーティンがきっちり構築できたので、今後はユーザーに対するサービス品質を高めていくことができると確信しております。

GW Gravityさんには「ラグナロクオンライン」の今後の展望についてお話いただけますか。

Kim ROは東洋人の感性にマッチした内容になっていると考えています。特に日本の人気の高さには驚きました。また、タイやマレーシア、シンガポール、中国といった国々にも正式サービスを開始していく予定です。すでに韓国や台湾では成功を収めているわけですが、将来的にはアジア最大のMMORPGになるのは間違いないでしょう。

GW 現場を取り仕切る森下さんには、そうですね、ユーザーにとって「あ、その一言嬉しいな」と思える一言をお願いできますか(笑)。

森下 この一言が適当がどうかはわかりませんが、やはり「期待に応える」ということです。ユーザーの声によってゲームが変わっていく。これこそがオンラインゲームの最大の魅力だと思っています。ユーザーの反応に対して、メーカーの我々としては「期待に応える」。これしかないんじゃないかと思います。今後のガンホーにどうぞご期待下さい。

GW 本日はどうもありがとうございました。

(C) 2002 GungHo Online Entertainment,Inc. All Rights Reserved

□「ラグナロクオンライン」のホームページ
http://www.ragnarokonline.jp/
□関連情報
【2002年11月6日】ガンホー、「ラグナロクオンライン Episode1.5 -Attack of the Ancient」を正式発表
“ポリン”が飼えるペットシステムの導入などなど
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021106/ragna.htm
【2002年9月30日】ファン主催即売会イベント「RAG-FES 2」が蒲田で開催
Gravity、「ラグナロクオンライン 1.5」を正式発表
クルセイダー、モンク、ダンサーなど新二次職を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020930/ragfes2.htm

(2002年11月7日)

[Reported by 中村聖司]


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