発表会では、まず最初に「ファイナルファンタジーXI for Windows」のプロモーションムービーを公開。オープニングとして使用されているハイクオリティのプリレンダームービーと、Windows版クライアントで新たに撮り直された高解像度映像を織り交ぜたもので、インテルのジョン・アントン氏をして日本語で「超おもしろいね!」とギャグを飛ばさせるほどの効果抜群の内容だった(ちなみにジョン・アントン氏は日本語が話せない)。ちなみにこのムービーはWindows版の発売に前後してPCショップ各店舗にて流される予定だ。
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公開されたムービーの一部。表示されているステータスウィンドウの小ささを見ればわかるようにすべてWindows版の映像。キャラクターメイキングのサンプルキャラが動いているところからして、β版ではなくゴールドマスターから映像が撮られているようだ |
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スクウェア代表取締役社長和田洋一氏 |
続いて、本日の主役である和田氏が壇上にあがり、同作の完成を正式発表した後、Windows版発売の必然について語った。まず、同作の発売理由について、「単にPS2の移植版として全体の売り上げを延ばすためだけではなく、今後、エンターテインメント分野においてオンラインゲームが重要になってくるため」とし、2002年度の情報通信白書のデータを引き合いに出しつつ、「今後ハイスペックPCはエンターテインメント分野を中心に利用されていくことが予想され、その最良のコンテンツがFF XIだと考えている」とコメントした。
また、PC業界との絡みについても触れ、PCの高機能化、ネットワーク環境の普及により、一般ユーザーのハイスペックPCに対する購入意欲が高まっている事実をふまえ、ゲームとPCのクロスポイントとして、同社が自信を持って贈るコンテンツがFF11です」と自信たっぷりに語った。
興味深かったのはそのあとの発言。「現在、同作には12万から13万人の課金ユーザーがおり、常時接続者数は5万人を超え、今後、Windows版の発売によってさらにコミュニティが広がることが予想される」と現状をふまえたうえで、今後の同作の課題について「コミュニティのクオリティアップを重視していく」という意外とも思える発言を行なった。
和田氏はネットワークゲームコミュニティのことを“ネットエン”という言葉で表現していたが、このオンラインゲーム固有の問題は非常に深いものがあるとし、具体的には、ハラスメント行為、個人攻撃の排除、プライバシーの保護、ヴァーチャル/リアルの健全な両立の4項目を挙げた。これら問題は(放っておくと)今後もますます増大する自覚があるとし、メーカーとユーザーが一丸となって克服していかなければならない問題とした。
和田氏はこれら問題を具体的にどうしていくのかということについては言及しなかったものの、今後はそうしたネットワークコミュニティに関する課題の克服に注力していくとコメントして挨拶を終えた。ゲームマスターやプロデューサーならまだしも、ゲームメーカーの社長がこうしたオンラインゲームの暗部に言及する例はきわめて珍しい。国内のMMORPG界の事実上のリーダーとして、今後同社がこれら問題にどう取り組んでいくのか注目されるところだ。
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「ファイナルファンタジーXI for Windows」の最新画面。解像度、ビジュアルの両面でPS2版に比べ格段にパワーアップしているのがわかるはず。特に各種エフェクトおよびキャラクタのテクスチャのクオリティは目を見張るほどだ |
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スクウェア第3開発事業部宣伝プロデューサー羽生田氏 |
さて、その後は、同作の宣伝プロデューサー羽生田氏にバトンタッチし、同氏の実演によるWindows版のプレイ映像を見ることができた。同氏が使っているマシンは、唯一のFF11同梱モデルであるデルのDimension 4500。操作は同梱のゲームパッドで行ない、ジュノ下層のホームポイントをスタート地点に、ロランベリー、クフィム、オズトロヤといった中盤のフィールドを移動し、6人パーティーでの戦闘シーンを実演してくれた。
なお、5人のパーティーメンバーはすべてスクウェア社員で構成され、アクセスはPCからではなく、羽生田氏の除き全員PS2からだという。サーバーも社内ではなく、一般のサーバーを使用。Windows版の一般サーバーへの接続試験もすでにパスしているようだ。フィールド間の移動は開発コマンドを使って、一瞬で移動していた。
余談だが、ほとんどの戦闘は経験値が貰えないレベルの内容で、一戦闘がすべて10秒以内で終了していた。見せ方としては少々もったいない気もしたが、それでもWindows版を初めて見た人には衝撃十分だったようで、食い入るようにプロジェクタを見つめる関係者が多かった。
その後、開発や販売の面でパートナーシップを結んだメーカー各社の挨拶が行なわれ、質疑応答となった。質疑応答では予想どおり和田氏に対する質問が殺到し、目標販売本数については年内に20万本(PS2からの移行組も含む)、年度内に全体で30万人のユーザーを集めたいとコメントした。
最後に同作の情報を簡単にまとめておくと、発売日は11月7日。価格はオープンプライス。エレクトロニック・アーツ・スクウェアとデジキューブの販売網を使い、全国のPCショップとコンビニにて販売される。10月中には複数の新サーバーの公開情報およびβテストの終了とそれに付随するβ版キャラクターのデータ引き継ぎについての情報が公開される予定だ。