【東京ゲームショウ2002】

NC Soft、「Lineage II」をプレイアブルで出展
ストレスフリーな新世代MMORPGの魅力に迫る

9月20日~22日 開催

会場:幕張メッセ

 韓国NC Softは、日本法人エヌ・シー・ジャパン株式会社と共同で、同社が鋭意開発中のMMORPG最新作「Lineage II」のプレス発表会を開催した。NC Softブースでは、公約どおり初公開にしていきなりプレイアブル版を出展。ほかにもすでに日本でも稼働中の「Lineage」をはじめ、「シャイニング・ロア」、「City of Heros」といったサードパーティー製のMMOタイトルも参考出展されていたが、やはり韓国を代表するMMORPGメーカーの最新作が一足先に体験できるとあって、「Lineage II」コーナーは圧倒的な集客ぶりを見せていた。

挨拶を行なったNC Soft代表取締役社長Kim Taek Jin氏
「Lineage II」を一足先に体験したタレント後藤理沙さん
その体験会の様子。彼女の登場に合わせて凄い人だかりができた
インタビューに応じてくれた「Lineage II」プロデューサーJames Bae氏
武器屋の内部。限られた内容ながらさまざまな種類のコスチュームが確認できた
 同日午後には、今日の発表会のために来日したプロデューサーのインタビューも行なわれた。実際に触れてみたインプレッションも交えつつ、同作の魅力をご紹介していきたい。なお、同作に興味を持つ多数の韓国プレスが殺到した結果、時間わずか15分と記録的に短いインタビューとなってしまった。いやはや、なんとも凄い人気ぶりである。

 「Lineage II」は、先のニュースでもご紹介したように、「Lineage」の大成功で一躍韓国を代表するメーカーに成長したNC Softのフラッグシップシリーズ最新作。続編でグラフィックをフル3D化するにあたり、ノウハウのない同社がグラフィックエンジンを一から開発する愚は侵さず、アクション向けのグラフィックエンジンとしては絶大な支持を集めるUnrealエンジンを採用するという、コロンブスの卵的手法で、いきなりハイレベルな3Dビジュアルを実現することに成功している。

 ちなみに、同作で採用されているUnrealエンジンは、より大規模なフィールド、より多人数の同時表示が必要不可欠となるMMORPGの仕様に耐えうるように独自にカスタマイズしたものが使われている。もちろん、ゲームエンジンまわりは完全オリジナルで、3人称視点を基本に、プレーヤーキャラクタのおへそあたりを基準にして胸だけが画面いっぱいに表示されるぐらいにズームインしたり、遙か彼方にある街の規模が確認できるぐらいズームアウトしたりといったことが楽々と行なえる。また、目に届くものはすべてターゲット指定でき、実寸にして500メートルほどの距離がありそうなキャラクタに対して、攻撃や対話を実行できる(もちろん、そこから実行可能な範囲までしばらく走っていくことになるが)など実にダイナミックな仕様だ。

 驚くべきはそれがマウスひとつで簡単に行なえてしまうこと、そしてそれが実に直感的に操作できてしまえることで、このあたりはわずかなインターフェイスの不備が、ユーザー側の凄まじいボイコット的反応により、簡単にプロジェクト失敗にまで追い込まれてしまう、韓国ならではの細心さが伺える。実際にプレイしてみて、グラフィックのクオリティよりなにより、このインターフェイスのストレスフリーさに感心させられた。私見で申し訳ないが、全世界レベルで見て現時点でこれ以上にインターフェイスの優れた3DMMORPGを私は知らない。

 さて、「Lineage II」の舞台設定は、「リネージュ」の150年前。細かなストーリーやクエストなどは「これから練っていく」ということで、現時点ではまだMMOできる“空箱”の状態だが、コンセプトレベルの話ながら興味深い構想をたっぷり聞くことができた。

 まずシリーズに欠かせない要素である「城」について。同作において城は前作の仕様を大幅拡張する形で引き継がれ、同作のゲームプレイにおいてかなり大きなウェイトを占めるものになりそうだ。同作には全部で12の城があり、大規模な血盟(ギルド)間で争奪戦を繰り広げることになる。ある血盟が城を得ると、支配地で取引されるあらゆるアイテムの消費税という形で、税収を得ることができ、より豊富なアイテムを生産できるというメリットが享受できる。

 税率は血盟のリーダーが3%、5%と任意で設定することができる。安く設定すれば多くのアイテムが支配地に流れてくる一方で、税収が少なくなり、高く設定しすぎると物流が途絶えるばかりか、街がどんどん寂れてしまうといった具合だ。ユニークなのは、同作はこうした旧来の貨幣経済のみならず信用経済もシステムとして用意していることで、具体的には債券の発行が可能になっている。

 たとえば、「○月○日に○○城を攻める予定ですが、攻城戦に必要な傭兵を雇うお金がありません。城攻略の暁には3倍にしてお返ししますので、債券の購入にご協力下さい。○○で販売しております」といった内容を街の掲示板に書き込み、担保なしでお金を集めることができるという。債券の発行は血盟のリーダーだけでなく、原則的に誰でも可能で、ドラゴン捕獲隊派遣のための債券、ボスを倒すために必要な強力な武器/防具を買うための債券など、理由があれば自由に債券の発行は可能だという。いままでありそうでなかったユニークなシステムだ。

 次にドラゴンについて。これも実に夢のあるシステムで、ドラゴンをペットとして従え、自由に空を移動することができるという。攻城戦の際には、ドラゴンの首に乗って空から悠々と参戦でき、攻撃の要として守備陣に対してドラゴンブレスなどで強烈な攻撃を加えることができるという。

 この要素だけで胸のときめきを押さえられなくなったMMORPGファンも多そうだが、プロデューサーの構想によれば、5,000人が5,000人空を飛び回るようでは困るということで(至極もっともな話だが)、レベルとクエストに厳しい条件を設け、数百人に1人ぐらいの割合に調整したいということだ。「ウルティマオンライン」のドラゴンテイマーよりさらにレアな存在になりそうだが、実装が楽しみだ。

 最後に種族と職業について。同作では、Human、Elf、Darkelf、Orc、Dwarfの5つの種族が用意される。職業はFighter、Mage、Monk、Cleric、Rogueといった多数の基本職に加え、ある一定のレベルで個別のクエストを達成することにより、Warrior、Knight、Wizard、Assassin、Oracleといった上級職への転職が可能になっている。

 なお、今回Prince/Princess(君主)がいないことからもわかるように、今回どの職業でも血盟のリーダーになることができる。その一方で、たとえば、DwarfのScavenger、OrcのRaider、DarkelfのDark Wizardなど、種族専用の職業も用意され、今作はキャラクタメイキングに頭を悩ませることになりそうだ。

 日本での正式サービス開始時期は、2003年夏頃を予定。韓国では年末よりクローズドβテストに入り、来年春にオープンβテストを開始する予定。日本と同じく夏頃には正式サービスに入りたいとのことだ。ともあれ圧倒的なポテンシャルを備えた同作の今後の進展に期待したいところだ。

このような感じで自由にズームインズームアウトが行なえる。拡大縮小はマウスホイールを用い、右クリックを押すとちょうど最適な視点に一瞬で戻してくれる。非常に使いやすい

デモプレイ中の映像。メニューやウィンドウは見やすくまとめられ、会話とシステムメッセージは別ウィンドウで処理される。中央のシーンでは、木漏れ日が綺麗だった

最新スクリーンショット。フィールドの作り込みはまだまだだが、キャラクタのモデリングやモーションなどはすでにかなり開発が進んでいる。気になる感情表現についてはこれから盛り込んでいくということだ

(C) 1997-2002 NCSOFT All rights reserved.

□NC Softのホームページ
http://www.ncsoft.net/
□エヌ・シー・ジャパンのホームページ
http://www.ncjapan.co.jp/
□「リネージュ 2」のホームページ(韓国語、英語)
http://www.lineage2.com/
□関連情報
【2002年9月4日】エヌ・シー・ジャパン、TGS 2002に「リネージュ 2」を出展
Unrealエンジン採用の次世代フル3D MMORPG
http://www.lineage2.com/

(2002年9月20日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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