SIGGRAPH2002現地レポート

米San Antonioで第29回SIGGRAPHが開幕
今年も秀作CGムービーが満載のElectronic Theater

会期(現地時間):7月21日~26日(展示会:23日~25日)
会場:Henry B. Gonzalez Convention Center


 今回で29回目を迎えるSIGGRAPHは、ACM SIGGRAPHの主催による学会としての顔と、最先端のCGとインタラクティブ技術そして関係者が世界中から集う祭典としての顔の両面を持つ。21日から始まったCourceと呼ばれるカンファレンスは、コンベンションセンター内のセミナールームで終日セッションが続けられているほか、23日からは関連企業がブースを連ねる展示会もスタートする。

 このSIGGRAPHへの参加目的は多々あろうが、参加者すべてが楽しみにしているイベントが22日から始まったComputer Animation Festival(コンピュータ・アニメーション・フェスティバル)だ。コンピュータ・アニメーション・フェスティバルには、過去一年間に制作された映画、CM、テレビゲーム、そして個人の作品まで数多くのCGムービーが世界中から集まる。今年も、そのなかでSIGGRAPHの選定委員会が秀作と認めた100タイトル余りが上演されている。今年の選定委員会でChairを務めたのは、School of VISUAL ARTSのJohn McIntosh氏。

 上演される映像のうち、60作品あまりはセミナールームをふたつ使って、ローテーションで終日にわたり公開されているが、特に選出された37作品は、コンベンションセンター内に設置されているシアター「Lila Cockrell Theater」で上演される。これが恒例の「Electronic Theater」だ。マチネーと称する昼下がりの上演スケジュールもあるが、メインはやはり夜。その日のスケジュールを終えた参加者が、期待に顔をほころばせて会場前に行列を作る。SIGGRAPH参加者には登録時に参加証と一緒にひとりに一枚ずつ入場チケットが提供され、会期中の希望する曜日、時間帯に一度だけ観に行くことができる。

 昨年、一昨年は開演前からのお遊び映像や、凝りに凝ったOpening Sequensも用意されて来場者を楽しませていたが、今年はOpening Sequensもコンピュータ・アニメーション・フェスティバルで上映される作品のプレビューを中心としたシンプルなものになった。その代わりといってはなんだが、昨年亡くなった業界の先駆者ともいえるRobert Abel氏を追悼する意味で、同氏の作品群を数分に再構成した映像が冒頭に上映され、来場者から拍手が起きていた。

 Electronic Theaterで上演される作品は、いずれも数分間のショート・ショートが中心。商業映画に使われたCGシーンなどは、一般公開では観ることができないメイキングを中心に数分間に編集してある。今年は「STAR WARS: Episode 2」も含まれており、種明かし的にワイヤーフレームの映像を見せられると、本編を観た人ならCGとはわかっていても、なるほどと唸らせるポイントがいくつもある。他にも「パニックルーム」や「ブレイド2」など最新の作品もあって、いかにもCGである部分の制作過程や、逆に「あそこがCGだったのか?」と思わせる部分が次々と登場する。

 CMや個人の作品は短いものが多いので、ほとんど全編を観ることができる。トゥーンシェードをはじめとする、シェーディングテクノロジーを追求した技術指向の強いものから、ストーリー性を重視したもの、アーティスティックで難解なもの、さらには場内を爆笑にさそう一発ギャグまで内容は多彩。全37作品がノンストップで上演されるが、約2時間はあっという間に過ぎ去っていく。

 ショートストーリーが中心で、またCG映像ゆえに、個々の作品を言葉で紹介することはしない。本稿では、メディア向けに提供されているスクリーンショットのなかから、Electoronic Theaterで上演された一部の作品のスクリーンショットを掲載するが、このほかに会場内のAnimation Theaterで上映されている作品にも秀作が多い。いずれも機会があれば是非とも鑑賞して欲しい作品ばかりだ。会場ではElectronic TheaterをはじめAnimation Theaterの映像が、DVDとビデオテープで販売されている。なお、掲載した画像はすべてACM SIGGRAPHよりメディア向けに提供されている「Madia Images CD-ROM」に収録されている素材を利用している。

【Electronic Theaterで上映された37作のうち、画像のある16作】
THe Cathedral(Best Animated Short) Egg-Cola Mars Exploration Rover Launch
(c)Tomek Baginski/Platige Image (c)Independence, Inc (c)Daniel Mass/Cornel University

The Levis HVC A Flatpack Project Playgroup "Number One"
(c)Nicholas Markel/The Vancouver Film School (c)John Haddon/National Centre for Computer Animation, Bournemouth University (c)Duran Duboi

Passing Moments Puppet The Snowman
(c)Don Phillips, Jr./Ringling School of Art and Design (c)Ivan Kaplow/Ringling School of Art and Design (c)Duck Soup Studios

Mosquito Polygon Family: Episode 2 Sprout
(c)Framestore CFC (c)Polygon Pictures Inc. (c)Scott Peterson/ PDI DreamWorks

Graphical Modeling and Animation of Ductile Fracture Like Swarm of Oregon
(c)James F. O'Brien/University of California, Berkeley (c)Ying Tan/University of Oregon Department of Art

Advanced Rule-Based Simulation for "Check-in To Disaster" Tanabata
(c)CA Scanline Production (c)Osamu Ono/Digital Hollywood

掲載した画像はすべて、ACM SIGGRAPHよりメディア向けに提供されている「Madia Images CD-ROM」に収録されている素材を利用しています。

□SIGGRAPH2002のホームページ
http://www.siggraph.org/s2002/flashhome.html
□DVD、ビデオのセールスについてのページ
http://www.siggraph.org/publications/video-review/SVR.html

(2002年7月24日)

[Reported by 矢作晃]

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