「サクラ大戦 ワールド・プロジェクト」を発表
3~4年間に7作品のゲーム制作を含め映画、アニメなど多方面に展開

7月1日 発表

今回、心機一転して新しい「サクラ大戦」を始めるにあたってロゴが一新されている
 株式会社セガは7月1日、同社の人気コンテンツ「サクラ大戦」シリーズの今後の展開を一気に発表した。今後3年から4年間のあいだに、ゲーム7作品を発売し、アニメ、舞台など多方面に展開していく。

 なんと言っても気になるのはゲームだが、これまで発表されてきたとおり新作はプレイステーション 2で発売される。ラインナップは以下の通り。アクションゲームが数多く含まれているのは世界的に通用するコンテンツへと言うことで、戦略的な観点からアクションゲームも取り入れられているためだ。

  • 「サクラ大戦 ~熱き血潮に~」 PS2 ドラマチックアドベンチャー
  • 「サクラ大戦5 ~さらば愛しき人よ~」 PS2 ドラマチックアドベンチャー
  • 「サクラ大戦5 Action (仮)」 PS2 アクション
  • 「桜姫錦絵巻 (仮)」 PS2 サイコトリップアクション
  • 「KOUMA/降魔 (仮)」 PS2 アクションアドベンチャー
  • 「サクラ大戦物語」 PS2 アドベンチャー
  • 「サクラ大戦3 ~巴里は燃えているか~」 Windows ドラマチックアドベンチャー

 今回発表されたタイトルは基本的に発売時期、価格共に未定となっている。Windows版の「サクラ大戦3 ~巴里は燃えているか~」に関しては既に開発が進んでおり、広井王子氏によれば「来年には発売できるのではないか」ということだ。こちらは前作同様、中国、台湾などアジア地域においても発売されることとなる。

 プレイステーション 2においてまず発売されるであろうタイトルは「サクラ大戦 ~熱き血潮に~」だろう。これはセガサターン版の「サクラ大戦」をプレイステーション 2用にリメイクしたものだが、ただのリメイクではない。ゲームのシステム、グラフィック共に「サクラ大戦3」なみに進化した作品となるという。開発意図のひとつとして挙げられたのは、「プレイステーション 2ユーザーが『サクラ大戦5』をプレイして貰うにあたって大前提となる作品」として1作目をリメイクすることとしたという。

 シナリオはセガサターン版が10章で構成されているのに対して、「熱き血潮に」では11章となる。ストーリーが大きく変わることはないが、「この話が入ってなければダメだろう」とこれまで思われてきた部分を新たに収録しているという。
 またシステムに関しては、「サクラ大戦4」までシリーズ4作品に収録されたLIPSをすべて収録したほか、新たに1つ追加されているという。さらにすごいのは、サブキャラの信頼度が設定されており、サブキャラとのエンディングも可能となる。このほかにも戦闘シーンなどで攻撃方法の追加など、かなりパワーアップした内容となっている。
 グラフィックはもちろんのこと強化されており、必殺技や合体攻撃などのシーンも新たに映像化され、戦闘シーンも盛り上げられている。

 ひとつ気になるのは、ドリームキャストのビジュアルメモリを使ったゲームをどうやってプレイステーションで再現するかという点。これについてはiモードと連携することで対応するのだという。外ではiモードでゲームを行ない、双方向にすることで外でプレイしたゲームデータを本編に反映させることができるのだという。

 最初に書いたとおり、発売日は未定だが、脚本を担当したあかほりさとる氏によれば脚本は完成しているのだという。発売時期を確定するわけにはいかないだろうが、広井王子氏は発表会で「2003年の春には発売したい」と語っていた。

【サクラ大戦 ~熱き血潮に~】
戦闘イベント時のスクリーンショット。「サクラ大戦3」などと同様に戦闘中にイベントシーンが挿入され、盛り上げる。会場で公開されたムービーでは、まだまだ荒削りではあったが、光武の目の部分が横移動によって車のテールランプの残像が残るような描かれ方をしており、各種特殊効果なども取り込まれた迫力の戦闘シーンが描かれていた。もちろん最も初期に当たる映像であるため変更される可能性は大きいが、新霊子甲冑・大神機も登場するので期待させる
新たに公開された真宮寺さくらのイラスト。シリーズ通じてキャラクタデザインを手がけてきた松原秀典氏によるもの 新霊子甲冑・大神機。左の写真が前面で、右側が背面。二刀流であるところは変わっていないが、背面に巨大なブースターが取り付けられているのが気になるところ

【携帯コンテンツとの連携】
ドリームキャストではビジュアルメモリを使用していたが、プレイステーション 2では同様のシステムがない。このため、それに変わるのがiモードになる。外ではiモードを使ったミニゲームを楽しみ、その結果は本編に反映されるという



 そして期待の完全新作が「サクラ大戦5 ~さらば愛しき人よ~」だ。先日行なわれたGameJam2でも、「次に歌劇団が設立されるのはどこ?」と話題になっていたが、次の舞台となるのはニューヨーク。時代は禁酒法の時代で、アル・カポネなどギャング団などが幅を利かせており、犯罪も多いことから歌劇団が設置されると言う設定らしい。

 ゲームに登場するのは、映画版に登場した“紐育華撃団 (星組)”。もちろん映画に登場したラチェットも登場するという。新キャラクタは5人。あかほりさとる氏によればニューキャラクタのヒントとして挙げられるのは“アメリカが人種のるつぼ”だという点と、“サムライははずせない”という2点。どういったキャラクタが登場するかが楽しみなところだ。そして、最も衝撃的なのは、プレーヤーキャラが大神一郎ではないという点。どういった展開になるのか謎に包まれているが、それだけ楽しみが多いとも言えよう。

 「サクラ大戦5」は気合いの入った作品に仕上げたいと言うことと、プレイステーション 2のプラットフォーム上で色々と実現したいことがあると言うことから、制作を担当しているオーバーワークスで現在、色々な実験が行なわれているという。これらのことから完成について広井王子氏は、「再来年中には“5”を発売したい」と完成はかなり先のことになりそうだ。

 このほかではアクション作品が3作品用意されている。「サクラ大戦5 Action (仮)」、「KOUMA/降魔 (仮)」、「桜姫錦絵巻 (仮)」の3作品がそうで、オーバーワークスの大場規勝氏によれば「サクラ大戦5 Action (仮)」が“インディージョーンズっぽい”作品で、「KOUMA/降魔 (仮)」がおどろおどろしい作品、「桜姫錦絵巻 (仮)」は純日本風で派手なアクション……と棲み分けを計るという。

 「サクラ大戦5 Action (仮)」は「サクラ大戦5 ~さらば愛しき人よ~」のキャラクタを使ったアクションアドベンチャー。ストーリーは外伝的なものとなる。この作品は世界中で発売されるため、戦略商品としてアクションというジャンルが選択されている。米国では「サクラ大戦5 ~さらば愛しき人よ~」に先んじて発売される予定だという (日本では本編の後を予定) 。「KOUMA/降魔 (仮)」は「サクラ大戦」より前の時代の降魔との闘いを描いたもの。「桜姫錦絵巻 (仮)」は真宮寺さくらの精神が江戸時代はじめの“桜姫”にトリップし乗り移ると言うもの。純和風な派手なアクションとなる予定だという。

 このほかにもセガサターンユーザー、ドリームキャストユーザーへのフォローとも言える「サクラ大戦物語」が企画されている。これは純粋なアドベンチャーゲームとなる。

今回、いつにも増して爆弾的に大きな発表を連発した広井王子氏。ゲーム7作品のほか、新OVAシリーズ、舞台、そして再度、映画、TVアニメも手がけると壇上で約束した 最初に壇上に上がった作曲家の田中公平氏。「最初に作った2曲の想いがここまでの原動力となった」とコメント オーバーワークスの大場規勝氏。現在5作目については広井王子氏の想いを実現するべき数多くの実験に明け暮れているとか
発表されたシリーズラインナップ。実に7作品。これらの作品が3年から4年間の間に徐々に発売されていく 「サクラ大戦 ~熱き血潮に~」のセールスポイント。セガサターン版を原作とし、新たにゲーム化するつもりとか 「サクラ大戦」シリーズ内の時間軸を表わしたもの



 発表会ではゲーム以外のコンテンツについても各種発表が行なわれた。まず、アニメについては、第三期OVAシリーズがスタートする。まず神崎すみれ引退記念特別版「す・み・れ」が2002年末のリリースを目指して制作中だ。新春歌謡ショウでも描かれた「春恋紫花夢惜別 (はるこいしすみれゆめのわかれ)」の前後を描いた作品となる。
 もうひとつが巴里華撃団の活躍を描いた「エコール・ド・巴里」。「サクラ大戦3」で登場したキャラクタをこのまま終わらせるのではなく、育てていくといった意味があるという。なんでも「エリカのおはようダンス」誕生秘話も明かされるという。ファンには見逃せない作品となるだろう。

 また、発表会場でシリーズ監修を務めるあかほりさとる氏が「TVアニメや映画を作りたいですねぇ」というコメントを受けて広井王子氏は「やりましょう!」と力強く宣言。「いつかはわからないけど必ずする」とコメントした。これを受けてセガの香山氏も最後の挨拶で「やりましょう」と確約。いつかは未定だが、また熱い日々が帰ってくることになりそうだ。

 「サクラ大戦」といえば舞台も重要なようそのひとつではあるが、この夏もスーパー歌謡ショウ「新編 八犬伝」が8月に公演される。今回はかなりアクロバティックな舞台になる模様。青山劇場で公演されるのだが、この舞台はピーターパンが上演された舞台としても有名で、空を飛んだりすることができるのだという。そういった装置を思う存分使った斬新な舞台になると言うことだ。さらに来年1月3日から7日まで新春歌謡ショウが上演されることが決定した。青山劇場で公演された後、ついに地方公演が実現する。その直後大阪でも上演されることになるという。

 広井王子氏は最後に「制作者側も『サクラ大戦』に合わせて成長している。自分はワガママな制作者だったが「サクラ大戦」をつくって色々な声、ファンの声、販売店さんの声、雑誌社の声など耳を傾けるようになった。『サクラ大戦』をつくって本当によかったと思う」とコメントし発表会を締めくくった。

発表会の冒頭、挨拶を行なったセガの香山哲セガ代表取締役兼COO。新しい「『サクラ大戦』をお見せするために、プレイステーション 2で発売すると宣言してから1年半もかかってしまった」と語った これまの作品。シリーズ累計で300万本以上。既に6年もの歳月が経過している 新しい「サクラ大戦」を制作するにあたって、香山氏が広井王子氏に出した注文がこの3点。空間的な広がり、時間軸を幅広く取ること、ゲームジャンルの多様化
舞台「新編 八犬伝」はかなりアクロバティックな舞台になりそうな予感。スライドしたの「2003年新春歌謡ショウ 開催決定」の文字に注目!! 「新編 八犬伝」の舞台衣装で登場した声優のみなさん 今回の発表会出席者がズラリ勢揃い (田中公平氏は一足先に会場を後にした)。映像作品を手がけるあかほりさとる氏の姿も見える


(C)OVERWORKS/SEGA (C)RED
イラスト:松原秀典
画面は開発中のものです

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□レッド・エンタテインメントのページ
http://www.redentertainment.co.jp/
□オーバーワークスのホームページ
http://www.o-works.co.jp/
□「サクラ大戦.com」のページ
http://sakura-taisen.com/

(2002年7月1日)

[Reported by 船津稔]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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