International Game Contents Expo 2002レポート
「Ragnarok Online」、「d.o」など韓国産オンラインゲームの出展が中心

6月29日開催(現地時間)

会場:COEX Pacific Hall

開幕を待つ学生たち。館内には複数の制服姿の生徒が見られ、いずれも授業の一環として展示会に参加しているようだ
出展メーカーのひとつGravityが配っていたノベルティ一覧
 韓国のKAMMA(Korea Amusement Meeting Association)が主催するゲーム展示会「International Game Contents Expo(IGCE) 2002」が、6月29日より開催されている。会場となったCOEXは、ソウルを南北に分断する漢江の南、江南地区にある多目的展示会場で、地下には地下鉄やホテルなどに直結しているアジア最大といわれる巨大なショッピングモールがあり、ソウルの新しい中心街となっている。ちなみにCOEXは現在ワールドカップのプレスセンターとしても利用されており、COEX周辺にはFIFAのプレスバッチを首から提げた海外プレスの姿が数多く見られたほか、第三者の立ち入りを防ぐためにいくつかの通路で入場規制が行なわれていた。

 「International Game Contents Expo」は、毎年12月に開催されている韓国最大のゲーム展示会KAMEX(Korea Amuse World Game Expo)に続く第2のゲームイベントとしてKAMMAが主催したもので、今年が第1回目。昨年12月に開催されたKAMEX 2001は、第1回目の東京ゲームショウを彷彿とさせるような会場の異様な熱気と無秩序な混乱ぶりで、同国のゲーム業界の勢いの良さといったものを肌で感じさせてくれたが、今回のIGCE 2002は展示内容、入場者数ともにいささか寂しい内容だった。

 出展メーカー数は21で、NC Soft、Hanbit Soft、Phantagramといった同国を代表するゲームメーカーがおしなべて出展を見合わせていたほか、プレイステーション 2の販売が伸び悩むSCEKも未出展。“International”なメーカーとしては、わずかにGravityのみという名実の伴わない内容だった。これは多くのゲームメーカーが年2回の出展に耐えられないという純粋に体力的な問題と、世界展開しているメーカーの多くは自国の新しい展示会よりE3やECTS、東京ゲームショウといった実績の高い海外の展示会を重視しているということなどが理由として挙げられそうだ。

 その一方で、朝、入り口付近に同じ制服を着た高校生数百人が集まり、開幕と同時に館内にどっと押し寄せる姿が見られたのが印象的だった。韓国はプロゲーマーの存在をはじめ、海外事業に対して国が資金を援助する支援団体Game Infinityの存在やPCゲームの対戦大会が日常的にテレビ放送されているなど、世界的に見てもデジタルエンターテインメントに対する需要が非常に高い国だが、その根底にあるものをかいま見た気がした。

 さて、上記のように大変寂しい展示会だったが、見るべき内容もいくつかあった。以下ではその内容についてご紹介しよう。


■ 女子学生達の人気を独占! 来月にも正式サービススタート Gravity 「Ragnarok Online」

漫画の8頭身イラストとゲーム内の3頭身イラストとのギャップが凄いが、入場者たちはそんなことは意にも介していない様子だった
物販コーナー。一番の人気アイテムはやはり(?)猫耳バンド。その場で装着する女子学生が多かった
その場で撮ったポラをサービスしてくれる撮影コーナーも女子学生に人気。Gravityはこうしたサービスが非常にうまい
 というわけで、今回、もっとも大きなブースを構えていたのはGravityだった。同社第1作目として世界中から資金を集めて開発が進められているMMORPG「Ragnarok Online」は、韓国の同名の漫画をモチーフにしており、知名度の点ではNC Softの「Lineage」に並ぶ人気タイトルだ。

 現在、韓国では製品一歩手前のβ2テストが行なわれており、そのユーザー数が現在200万人を突破しているというから驚く。正式スタート時期は7月後半を予定し、月額基本料金は30ドル程度を考えているという。この価格設定は、韓国最大のMMORPG「Lineage」と同程度となるが、価格については現時点でもまだ流動的で、国ごとに価格が変わる可能性も高いという。

 一方、日本語版、英語版はまもなくβ2テストがスタートし、ほぼ製品版同等の内容のクライアントでゲームが楽しめるようになるという。ちなみにβ1テストのユーザー数は日本サーバーが40万人、米国サーバーが50万人だったという。現在同社では、韓国語版の正式サービスへの準備を進めているほか、中国語版の開発も進められており、まもなく中国や台湾などでβ1テストが始まる模様だ。

 気になる日本語版の今後の展開については、7月よりβ2テストが始まり、10月から11月頃をめどに正式サービスが開始される予定。日本での発売元は最終的な絞り込みの段階に入っているがまだ決まっていないということだ。同社では9月に開催される東京ゲームショウにも出展を予定。同じく出展が決定しているPhantagramの「Shining Lore」やガマニアの「ラグハイム」などと日本のオンラインユーザーのパイを掛けてしのぎを削ることになりそうだ。

 さて、Gravityブースでは、恒例の大型ステージを中央に設け、その両端に試遊台を設置。余ったスペースには、まだβテスト中というのに物販コーナーまで設け、各ジョブの3頭身イラストをあしらったキーホルダーや、ゲーム中の人気アイテムのひとつである猫耳バンド、ウサギ耳バンドなどを販売していた。

 物販コーナーも大いに沸いていたが、一番人気はノベルティグッズ。ノベルティをもらうために最盛期で100メートル前後の長い行列ができていた。紙袋の中身はゲームカタログ、うちわ、シール、β2クライアントCD-ROMで、そのいずれにも3頭身キャラが所狭しと描かれている。このキャラクタのモデリングを初めとした作品全編を包むキュートさが同作最大の魅力といえそうだ。

 まもなく日本でも始まるβ2テストでは、Swordman、Archer、Acolyte、Magician、Thief、Merchantの上級職として、Knight、Hunter、Priest、Wizard、Blacksmish、Assassinの6つのジョブが利用できるようになる。クエストやフィールドなども格段に増えるのでβテストが始まったらぜひ参加してみよう。

ブース中央のステージでは次々に新しい催しが行なわれていた。恒例のダンスイベントでは、ステージにスモークがまかれ、シャボン玉が舞いとび、ドラゴン花火まで吹き上がる。スモークやシャボン玉はともかく、花火に関しては日本では絶対見られないイベントだ

2Dと3Dグラフィックを上手に織り交ぜ、パステル調の独特な世界観を生み出している「Ragnarok Online」。インターフェイスもよくこなれていて、見た目どおりの初心者に優しいMMORPGだ


■ 古代中国をモチーフにした剣劇MMORPG CR-Space 「d.o」

CR-Spaceブース。もともと同社はゲーム会社ではなく、ゲームまわりのWebサービスを提供する会社。「d.o」はデビュー作
「d.o」の開発中のゲーム画面。長い石階段を上った先には豪壮な門があり、中庭を挟んで奥に建物がのぞいている
 韓国のゲーム産業は、日本や米国と異なり新興産業ということもあるため、クオリティの面で睨みを効かせる組織なり仕組みが事実上存在しない。このため、日本や米国ほどクオリティが保たれておらず、「Starcraft」、「Diablo II」、「Ultima Online」といった海外ゲームのコピー作品が新作としてリリースされ続けるという側面がある。今回のIGCEでも相変わらずクオリティの低い製品やコピー製品がいくつか見られたが、その中で光芒を放っていたのがCR-Spaceの「d.o」だ。

 「d.o」は、3~5世紀頃の中国をはじめとした東アジア一帯を舞台にしたフル3DのファンタジーMMORPG。フィールドは中国をはじめ、韓国、日本、東南アジアなどで、オリエンタルな雰囲気満点の3D世界で冒険が楽しめるようだ。ちなみに「d.o」というのはハングル語の読みで、漢字で書くと「刀」になる。そのタイトルどおり長刀や太刀、手槍、忍者刀など全部で100種類以上のありとあらゆるアジア風武器が登場するゲームになるということだ。

 同作の最大の特徴はフル3Dグラフィックを採用したリアリスティックなゲーム世界で、拡大、縮小を含むフルインタラクティブなインターフェイスを実現している。ちょうどEA「Black & White」のような感じでゲーム中に自由にズームイン、ズームアウトが可能で、グッと寄って、フィールド上のオブジェクトの細部を確認したり、逆に引いて周囲の様子を確認したりといったことが可能になっている。ゲーム世界には昼夜の概念のほか、四季が設定され、季節によって同地で得られるクエストやイベント、登場モンスターなどが変わってくるようだ。

 前述したようにゲームには多数の武器が登場するが、それ以外にもパンチやキック、そして魔法といった攻撃手段が用意されている。このあたりは、いかにもアジア風といった感じだ。レベルアップすると、所有の武器に対してスキルポイントを割り当てることができる。これによって通常攻撃のダメージや命中率が上がり、特殊攻撃なども増えていくということだ。

 現在韓国ではクローズドβテスト中で、来月よりオープンβテストが開始される予定。ユーザー数は50万人を見込んでいるという。海外展開は中国、台湾、日本、欧米を予定。韓国での発売時期は年末頃になるということだ。

キャラクタのモデリングはいまいちだが、フル3Dで再現されたオリエンタルな世界観はよく造り込まれている。日本語版までの道のりは遠そうだが、今後の開発が楽しみなMMORPGだ

□International Game Contents Expo 2002のホームページ
http://www.kamma.or.kr/
□Gravityのホームページ
http://www.gravity.co.kr/
□「Ragnarok Online」のホームページ
http://www.ragnarokonline.com/
□CR-Spaceのホームページ
http://www.crspace.com/
□「d.o」のホームページ
http://www.doonline.co.kr/

(2002年6月30日)

[Reported by 中村聖司/Photo by 矢作晃]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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