★GCゲームレビュー★
フロム・ソフトウェアのゲームキューブ参入第1弾となる本作は、CMの「RPG史上、最弱の主人公」というキャッチコピーのインパクトに興味を持たれた人も多いはずだ。このキャッチコピーに偽りはなく、主人公だけで冒険をしようものなら逃げ回ることしかできず、物語を進めることさえできないのだ。 この「最弱の主人公」をサポートしてくれるのが、ゲームのポイントとなる数多くの「カード」。手にしたカードを厳選し、攻撃、体力の回復などのさまざまな効果を考えながら使用するなど、今までのRPGとは一線を画すゲーム内容となっている。 ■ 主人公の「弱さ」を払拭するカードの使い方が肝! 主人公が戦闘でできることは、フィールドの移動とカードを使用することだけ。よって、相手に攻撃を仕掛ける場合はカードを使うしかない。これらのカードには、大きく分けて3種類のタイプがあり、常時4枚が使用可能となっている。使えるカードは上限30枚のデッキから引くことになり、どれが出るかは運次第。使用可能なカードを把握しながら戦うことになる。ちなみに、3種類のタイプは以下の通りになっている。
この3タイプをバランス良くデッキに組み込んで、戦闘を切り抜けていくことになる。ゲーム開始直後はさすがにカードの種類も少なく、デッキの編集に悩むことはない。物語を進めて、新しいカードが手に入り始めてから色々と悩むことになる。 カードはタイプを把握した上で、さらに注意すべき点がある。それはカードの“属性”だ。カードは属性によって有利不利の関係が設定されており、使用する際にこの属性を把握しておくことで、戦闘を有利に運べるようになる。 敵クリーチャーが苦手とする属性のカードで攻撃をすれば、より高いダメージが与えられる。早く倒すことができれば、結果としてカードの消費が減り、先に待ち受けるボスとの闘いまでに大切なカードを温存できる。エリアごとに出現するクリーチャーの属性はあらかじめ知ることができるため、そのエリアで有効な属性をメインにデッキを編集するといいだろう。 また、カードを使用するときに、カードごとに決められた“魔法石”が必要になる。この魔法石は、主人公の魔力と思っていい。カードが強力になればなるほど、消費する魔法石も増える。魔法石が足りない状態でカードを使用すると、オーバーした魔法石のぶん、体力が低下してしまうのだ。 魔法石の残りを考え、体力を減らすことなくカードを使用していく配慮も大切となる。ちなみに、敵クリーチャーを倒したり樽などのオブジェクトを破壊すると、魔法石が出現することがある。これを取れば、消費した魔法石が回復する。
このように手持ちのカードをうまく利用するといった楽しみが、ゲームの肝となっているのだ。
■ わかりやすいゲームの流れ ~ マップ内のボスを倒せ! ~ ストーリーを進めるには、移動画面に表示されるマップから、行きたい場所を選んでいくだけでいい。選択したマップに入れば3Dフィールドとなり、主人公を操作してそのフィールドを進んでいくだけ。戦闘は遭遇方式で、フィールド上に敵クリーチャーの姿はなく、戦闘に突入すると主人公のいる場所に敵クリーチャーが出現する。 このとき、移動可能エリアが決められてしまうので、戦闘に勝利するか、離脱もしくはギブアップしてマップから抜けるしか方法がなくなる。戦闘を切り抜けつつフィールドを探索すると、宝箱や罠といった様々なギミックを発見できる。宝箱からはカードなど、主人公の冒険を助けてくれるアイテムが出現する。罠などのギミックを利用して扉のロックを解除するなど、RPGの基本と言える要素もしっかり押さえられている。 また、フィールドには「カードポイント」と呼ばれる場所があり、これを利用することでデッキにカードを補充したり、セーブしたりといったことができる。デッキからカードが無くなるとマップの攻略が事実上不可能となるので、ここはマップ攻略の要となる。 特に広大なフィールドを探索する際には、敵との戦闘も増えるのでカードの消費も激しくなり「カードポイント」の存在が不可欠となる。なお、デッキのカードを復活させるには、フィールドにいるボスを倒してマップをクリアするか、ギブアップして移動画面に戻って再挑戦するだけでいい。
フィールドに待ち受けるボスと遭遇すると、強制的に戦闘に突入する。勝利すればマップクリアとなり、別のマップが出現したりと物語が進行する。また、マップクリア時にボーナスとしてカードをもらうことができる。伏せられたカードの中から選ぶため、引いてみるまではどんなカードかはわからないが、なかには必ず強力なカードが用意されている。 ちなみに、ボス戦終了時にプレイ評価が下され、この評価が高いほど多くのカードが選択できる。戦闘を多くこなしつつ、素早くマップをクリアするほど高い評価が得られるようだ。 ■ 敵クリーチャーの捕獲、カードの変化など、さまざまな要素もあり デッキに組み込むカードは、ショップで購入したり、マップ内で発見することで入手可能。それ以外にも、戦闘時に手持ちのカードを犠牲にして、相手をキャプチャー(捕獲)することでカード化すれば入手可能だ。相手をキャプチャーするには、残り体力をほんのわずかまで減らして、投げたカードを当てるだけでいい。ほとんどの敵クリーチャーはキャプチャー可能だが、ボスなどの特殊な相手はキャプチャー不可能。ボスクリーチャーの場合、マップクリア後のボーナスカードから引き当てるしかない。キャプチャー以外にも、ショップでカードを変化させることで新しいカードを入手できる。この場合、戦闘をこなして経験値を溜める必要はあるが、より強力なカードへ変化させられるのが大きなポイント。カードを1枚失って新しいカードを入手することになるため、枚数に余裕があるものを変化させて、よりカードのバリエーションを増やしていくといい。 ショップではカードの売買もできる。必要となるお金は、戦闘やフィールド上の宝箱で入手できるので、カードのバリエーションに不安を感じたらショップを利用していくといい。ただし、ショップで扱っているカードはそれほど強力なものではないため、変化の際に使用するカードの調達や補充と言った感じで利用するといいだろう。 また、フィールド上には「妖精」がいることがあり、これを捕まえればカードの復活や体力回復といった恩恵が受けられる。妖精には青と赤の2種類が存在し、赤い妖精は捕まえた後にあるところへ行く必要がある。赤い妖精を一定数捕獲して引き渡せば、カードやアイテムがもらえるなど、さまざまな恩恵が用意されている。フィールドを探索する場合には、妖精も攻略するうえで重要な鍵となるだろう。
■ コレクションから対戦までと、遊びごたえは十分の良作 カードを効率的に使用するという、今までのRPGとは違ったアプローチが際立つ本作。普遍的なRPGに飽きてきたという豊富な経験を持つゲーマーは、是非プレイしてみて欲しい。もちろん、それ以外の人にも十分に楽しめる作品だ。 カードをうまく組み込むといったカスタマイズの面白さ、刻々と変化するカードに合わせての戦術を考える戦略性、そして豊富なカードを揃えるコレクター的な楽しみもある。カードが充実してきたら、友達とメモリーカード59を持ち寄って対戦すれば、自分のデッキの利点欠点が見えてくるし、コンピューター相手と違った戦術が必要になるなど、さらにゲームが面白くなる。
シンプルなシステムでゲームに入り込みやすい本作は、カードゲームは難しくて苦手という人にもお勧めしたい。
□フロム・ソフトウェアのホームページ [Reported by 渡辺 洋二] |
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