Electronic Entertainment Expo 2002現地レポートXboxキーマンインタビュー:J Allard氏に「Xbox Live」の詳細を聞く会場:Los Angeles Convention Center
■ 「Xbox Live」の詳細について
「Xbox Live」のサービスは、日本も含め今年全世界で開始することになっています。「Xbox Live」によってゲームの新しい可能性が開かれることに、私たちも非常にワクワクしています。「Xbox Live」の基本的な機能ですが、まずひとつのIDで全てのオンラインゲームをプレイできます。ボイスコミュニケーション機能も標準で用意され、全てのゲームで利用できます。また、コンテンツのダウンロード機能も用意されます。これらは、ベースの機能として開始時から用意されており、来年以降はゲームクリエイターたちが様々な用途に活用できるようなサービスを提供していく予定です。 - 「Xbox Live」はブロードバンドに特化したオンラインサービスですが、接続できるISPが限定されるということはありますか 将来的には、特定のISPと提携してユーザーがより簡単に「Xbox Live」に接続できるサービスを提供する可能性はあります。基本的には、ブロードバンドにXboxを接続できる環境さえあれば、ISPを限定することなく「Xbox Live」に接続可能です。 - スターターキットには1年分の利用料が含まれるそうですが、それ以降はどういった課金システムになるのでしょうか 課金システムについては、いくつかのオプションを用意する予定です。今年についてはスターターキットに1年分の利用料が含まれていますから、基本的に1年分の料金を前払いするという形になりますが、この方式に対するユーザーの反応が良ければ、来年以降も1年ごとの課金を中心に行なうことになるでしょう。学生のように、夏休みなどは集中してプレイできるけど、学校が始まるとあまりプレイする時間がない、というようなユーザー向けに、月単位で課金するというシステムも用意するつもりです。また、製品に利用料金をバンドルするというサービスも考えています。ゲームなどにバンドルすることで、そのゲームを購入すれば「Xbox Live」の利用料も含まれる、というようなものです。 - 利用料には、ゲームプレイに対する利用料も含まれるのでしょうか。それとも、ゲームプレイ時には別途課金が行なわれるのでしょうか 今回ブースに展示されているようなオンラインゲームであれば、「Xbox Live」の利用料のみで無制限に楽しむことができます。ただ、特別なゲーム、例えばパブリッシャーが連日新しいコンテンツを提供するようなゲーム(注:MMORPGのようなゲームを差していると思われる)では、そういったプレミアム的なコンテンツに対する特別料金のチャージがかかるものもあります。 - マイクロソフトとゲームメーカー間の「Xbox Live」に対するロイヤリティはどうなりますか。また、特別料金がかかるようなゲームの場合、その特別料金からマイクロソフトがキックバックを得るようなことはありますか 「Unreal Championship」のような一般的なゲームについては、通常のリテール形態のゲームに対するロイヤリティの考え方と同じになります。我々がコンテンツダウンロードやマッチメイキング、ユーザーサポートを行なうことになりますので、それに対するロイヤリティが発生するというわけです。それに対し、特別料金のかかるゲームについては、その特別料金の中から決められたパーセンテージでマイクロソフトにロイヤリティが支払われることになります。 ■ 全世界のユーザーデータをシアトルのデータセンターで一元管理 -「Xbox Live」では、ひとつのIDで全てのゲームを楽しめますが、そのIDは世界どこでも使えるのでしょうか 「Xbox Live」のデータセンターは東京、アメリカ、ヨーロッパの3地域4カ所に設置されますが、ユーザー情報のデータベースは全てシアトルで一元管理されます。つまり、ログイン時には全てシアトルのデータベースに接続されてユーザー認証が行なわれますので、ユーザーは世界中どこでも同じIDが使えることになります。 また、「Xbox Live」のIDは、メモリユニットに保存して持ち歩くことができます。ですから、例えば来年のE3ですでに取得している「Xbox Live」のIDをメモリユニットに入れて持ってきたとすると、そのメモリユニットを来年のE3会場にあるXboxに取り付けることで、自分のIDを利用してゲームを楽しむことができます。 ユーザー認証時には高速なアクセスは必要ありませんから、この方法でも問題はありません。しかし、ゲームのパフォーマンスやコンテンツダウンロードのスピードを考えると、ゲームサーバーやコンテンツデータなどに関しては、できる限り利用するユーザーの近くにあった方がいいので、例えば日本のユーザーに対するゲームサーバーやコンテンツデータは東京のデータセンターに置かれることになります。 - メモリユニットでIDを持ち歩けるということですが、「Xbox Live」利用時にはIDデータ保存用にメモリユニットが必ず必要になるのでしょうか IDの情報はXbox本体に保存されますので「Xbox Live」利用時にメモリユニットが必ず必要になるというわけではありません。他のXboxで自分のIDを利用したい時に必要になるだけです。これはセキュリティという面からこういう方法を採用しています。銀行のキャッシュディスペンサーからお金を引き出す場合、キャッシュカードを入れて暗証番号を入力しますが、それと同じようなものです(注:ID情報を入れたメモリユニットがID利用時の鍵になると考えればいいだろう)。 ■ コンテンツダウンロードはボーナスの意味合いが強い - 「Xbox Live」で行なわれるコンテンツダウンロードの内容としてはどういったものを考えていますか コンテンツダウンロードに関しては、様々なことが考えられます。スポーツゲームなら、新しいプレーヤーのデータを提供したり、レースゲームなら、新しいコースや新しい車のデータを提供できるというように、限りない内容が考えられると思います。コンテンツダウンロードは、ボーナスといった意味合いのもので特徴を出していくことになるでしょう。 - あるゲームクリエイターの方に「Xbox Live」ではゲームプログラムのアップデートができないようになっていると聞いたのですが、それは本当ですか 「Xbox Live」には、プログラムの調整(アップデート)ができるような機能はもちろん用意されています。しかし、特定の環境下以外ではその機能は利用しないように考えています。それは、完全に仕上がっていない製品(ゲーム)を出荷してほしくない、という意向からです。ただ、MMORPGなどの場合は、ゲームバランスの調整がシビアで難しいですし、チートの利用を排除したりする必要もありますので、プログラムのアップデートができるようになるでしょう。 ■ ボイスコミュニケーションは、より自然なコミュニケーション手段 - 「Xbox Live」の特徴のひとつに、音声によるコミュニケーション機能があります。ただ、音声でのコミュニケーションは、文字によるコミュニケーションよりも言葉の壁が高いと思いますが、そういった問題の解決はユーザーに任せているのですか 当然、翻訳機能があれば便利です。しかし、現在のテクノロジーでは音声をリアルタイムに翻訳することはできませんし、将来できるとしても、それは非常に先のことになるでしょう。 現在オンラインゲームを楽しんでいるユーザーは、友達などの知り合いといっしょにプレイすることが多いので、音声でも十分コミュニケーションが取れると考えています。ただ、外国の友人とプレイする場合は、その限りではありません。ですが「ファンタシースターオンライン」が特定のフレーズを用意することで自動翻訳機能を実現したように、クリエイターが言語の溝をうまく埋めるような機能を盛り込むことで、その問題も解決できると考えています。また、より革新的な方法が今後いろいろ登場してくると思いますので、ゲームを楽しむ上で最低限必要となるコミュニケーションについては、問題なくできると考えています。 - 現状では、やはり音声よりも文字によるコミュニケーションの方が確実だと思いますが、今後Xbox向けのキーボードを用意するつもりはありますか 私たちは、キーボードの利用についても非常にオープンな考え方をしています。しかし、「HALO(ヘイロー)」のようなゲームの場合、ゲーム中にキーボードでコミュニケーションを取ることはほとんど不可能です。その一方で、声はゲーム中でも出せますから、音声を使った方が自然にコミュニケーションが取れます。ゆえに、私たちは音声によるコミュニケーションを基本に考えています。しかし、ゲームによってはキーボードによるコミュニケーションの方がより効果がある、という場合もあるでしょう。その場合には、キーボードの提供も当然考える必要がありますし、当然それに対してもオープンに対応することになります。 - 1年半ほど前にお会いした時よりもお痩せになった印象があるのですが、その間の仕事はかなりハードだったんでしょうか ありがとう、本当に痩せました(笑)。今週初めてそのようなコメントをいただきました(笑)。 - 今日はどうもありがとうございました
□E3のホームページ http://www.e3expo.com/ (2002年5月25日) [Reported by 平澤 寿康 Photo by 矢作晃] |
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