★ PCゲームレビュー★
今年、ルーカスの新作映画「STARWARS: EPISODE2」の公開も予定され、再ブーム到来が確実視されている「スターウォーズ」。現在、新三部作として制作されている映画シリーズは、ルーク・スカイウォーカーが主人公の旧三部作よりも前の時代の物語だが、PCゲーム「JEDI KIGHT」シリーズはその後のスターウォーズ世界を綴ったものとなる。 前作「JEDI KNIGHT」から5年の時を経て登場した新「JEDI KNIGHT II」が、どう変わったかはもちろん、初めてJEDI KINGHTシリーズに触れるプレーヤーのために、このシリーズの魅力についても解説していく。 ■ JEDI KNIGHシリーズは正統な映画「スターウォーズ」のその後の物語 スターウォーズを題材にしたゲームは2タイプに分かれる。1つは映画をゲーム化したもの、そしてもう一つは映画とは別の物語をゲーム化したもので、「JEDI KNIGHT」シリーズは後者のタイプとなる。 映画を本編と見なすと、それとは別のオリジナルの物語は、通常、「外伝的なもの」、「いわば本筋と無関係のもの」と思われがちだ。しかし、さすがは関連キャラクタの管理にはうるさいルーカスアーツの作品だけあって、どの作品も「オフィシャル」のお墨付きの「物語」となっている(幼児向けタイトルを除く)。 なかでも、JEDI KNIGHTシリーズは、数少ない、旧三部作後、すなわちルーク・スカイウォーカーが皇帝パルパティンを打ち破ったあとの物語であるため、ゲームファンならずともスターウォーズの映画ファンにとっても注目度が高い作品となっている。 スターウォーズは、原作者/映画監督ジョージ・ルーカスの頭の中ではもともと9部構成を想定していたといわれており、4、5、6部が旧三部作、1、2、3部が現在製作中の新三部作となる。7、8、9部は、ルーカスは自分の年齢を理由に、「映像化できない可能性が高い」といっているようなので、もしかするとJEDI KNIGHTシリーズをプレイすることでしか、「皇帝没後のスターウォーズ世界」を映像体験できないかもしれないのだ。
あらかじめいっておくと、本作「JEDI KNIGHT II」は、良くも悪くも「続編」である。もちろん本作単体をゲームとして楽しむこともできるが、「II」に至るまでの話の流れと、映画版スターウォーズの関係を知っておくとより深く楽しめるので、まずは物語のバックグラウンドからお話ししていこう。
■ JEDI KNIGHTシリーズとは~カイル・カターンの冒険
そんな混沌の時代に、新たな脅威が台頭する。それがダーク・ジェダイ軍団だ。 暗黒面(ダークサイド)の理力(フォース≒超能力)を操るジェダイナイト、それがダーク・ジェダイ。なかでも強力なダーク・フォースを操るジェレクとその6人のダーク・ジェダイの軍団は「皇帝の復活」の陰謀を画策していた。 ジェダイ発祥の聖地である「ジェダイの谷」に眠るテクノロジーを甦らさせることで「皇帝の復活」はおろか、自らが皇帝以上の力を獲得できると知ったジェレクは、この谷の在処を知るべく、その支配下達に全宇宙の捜索を命ずる。そして、その秘密を知るジェダイを探し出しては拷問と暗殺を繰り返していた。 JEDI KNIGHTシリーズの主人公である傭兵カイル・カターン(Kyle Katarn)は、帝国軍の新兵器「ダーク・トルゥーパー」の開発を阻止したのち(PCゲーム「DARK FORCES」)、自分の父親モーガンを殺した仇の行方を追っていた。時を同じくして、ジェレクは全宙域捜査の末、かつて自分が殺めた谷の番人のジェダイ、モーガン・カターン(Morgan Katarn)が谷の在処を示した星図をどこかに隠した情報を掴む。 自分の父親の仇の正体と、自分の父親がジェダイだったことを知ったカイルは急激にフォースに目覚め、そして数々の困難を乗り越えてジェレク支配下の6人のダーク・ジェダイを打ち倒し、ついにはジェレクまでをも追いつめる。しかし、追跡も一足遅く、ジェレクはジェダイの谷の秘密を掌握、強大なダークサイド・フォースを手中に収めてしまう。しかし、強大すぎたダークサイドの力の暴走と、カイルの活躍の前に、ジェレクは倒れることとなる(PCゲーム「DARK FORCES2=JEDI KNIGHT 1」)。 そして、ここで悲劇が訪れる。もともと復讐心を原動力にフォースを身につけたカイルは、未熟だったこともあり、ダークサイドに堕ちてしまうのだった。これを救ったのが、女ジェダイ、マラ・ジェード(Mara Jade)。この後、カイルは、ジェダイの象徴であるライトセイバー、そして自らのフォースまでも封印し、ジェダイとしてではなく「一般兵」として共和国軍に協力することを決意する(PCゲーム「JEDI KNIGHT外伝:Mysteries of the SITH」)。 そして時は流れ、カイルがジェダイだったことを知るものも少なくなった皇帝没8年後の世界が本作、「JEDI KNIGHT II」の舞台となる。ジェダイ達の活躍の前に勢力を弱めつつあった帝国軍残党は、対ジェダイ新兵器開発計画を打ち出す。それは聞くも恐ろしい、ダークフォースを操ることのできる「量産型ジェダイ」と「ジェダイ・ドロイド」の開発だった。
そして、さらに驚くべきことに、この凶悪なプロジェクトに協力する1人のダークジェダイ、デサンは、あのルーク・スカイウォーカーの教え子の1人なのであった。
■ 三人称アクション+一人称シューティング
プレーヤーはカイル・カターンを操作し、与えられたミッションの目的を果たすために、3Dマップ内を奔走し、その行く手を阻む敵達を、武器を使い分けつつ撃破していくことになる。プレイ中の視点は一人称、三人称のいずれかを、プレーヤーの意志で随時切り換ることができる。三人称スタイルでプレイすればTomb Raiderライクに、一人称スタイルでプレイすればQUAKEライクにプレイすることができるのだ。 ジョイスティックにも対応しているが、JEDI KNIGHTシリーズとしてもはや伝統的といってもいいだろう、ショートカットキー満載の操作系となっているので、ジョイスティックオンリーでのプレイはかなり困難である。[W][S][A][D]キーで移動、マウスで視点操作と攻撃……というのが、基本操作系となるので、これだけ見ると根本的にはQUAKE系に近いゲームデザインとなっているといえなくもない。 ただし、QUAKE系シューティングと比べて、前後左右移動に加え、ジャンプを駆使した縦方向のアクションを多用する必要があり、さらにはこうした立体移動アクションをしながらのフォース同時発動や武器攻撃行動なども要求されるので、ゲーム中、プレーヤーの両手は大忙しとなる。
なお、今回も、この複雑な操作系を少しでも和らげるべく、マイクロソフトの左手ゲームコントローラ「SideWinder Strategic Commander」用のプロファイルを作成したのでぜひ活用して欲しい。
■ 「JEDI KNIGHT II」はアクション・パズルゲームである
プレーヤーが使えるフォースは以下の通り。
・Push…念力で押す このフォース、簡単に言えばRPG等でいえば魔法のようなものなのだが、JK2ではこれが単なるプレーヤーの臨時パワーアップ手段としてだけではなく、ゲーム性と密接に結びついているために、独特のプレイ感覚をプレーヤーに与えている。そして、このフォースを使った独特なプレイ感覚こそがスターウォーズ世界の中に自分がいるということ、ひいてはバーチャルに自分がジェダイになったことを実感させてくれるのだ。 「Tomb Raider」では、謎解きやパズルはマップ上に仕掛けられたレバーを上下させたり、置いてある障害物を押したり引いたりしていくことで活路を切り開いていった。JK2ではこうした「伝統的な3Dゲームにおけるパズル」の要素に加え、このフォースを駆使しなければ解くことができない新感覚のパズルが満載されているのだ。 最も基本的なものを挙げるとすると、こんな感じになる。
・足場が無いところにあるスイッチ。これを押すには?
・番兵がやってきた。ここで見つかっては作戦が台無しだ。どうする?
・非常に開閉速度の速いシャッター。常人では挟まれてしまう。どうやってくぐるのか とこんな具合だ。ここで示した例は最も単純なものであり、ゲーム中には複数のフォースを連続で使ったり、立体的な移動アクションや攻撃行動と併用しなければならないパズルもある。難易度はやや高めだが、解法を見つけたときの悦びはそれだけに大きい。 マップを走り回ってスイッチを押していくだけの「TOMBRAIDER」系パズルに飽きてしまったゲーマーにとっては、これぞ「アクション」「パズル」という手応えを実感できるはずだ。 なお、フォースは最初からすべてが使えるわけではなく、ステージクリアするごとに新たなものが徐々に追加されていくシステムになっている。前作「JEDI KNIGHT」では、プレーヤーの行動に応じてステージ・クリア時に、自分がライトサイドがダークサイドかが判定され、その度合いに応じてボーナスポイントが付き、これを元に特定のフォースを強化したり、新たなフォースを追加したりすることができたが、今回はそうしたRPGのレベルアップライクな要素は排除されている。 この自由度の制限は、逆に「そのステージは、与えられたフォースだけでクリアできる」ということの証明にもなっており、その意味では前作よりもパズルの難易度は下げられているとも考えられる。
■ ド派手なガンアクション、白熱のライトセイバーバトルに新要素が追加 もともとJEDI KNIGHTシリーズは同じ主人公カイルを取り扱った一人称シューティング(FPS)「DARK FORCES」を起源としている。よって、ド派手な3Dシューティングライクなゲーム性も本作もちゃんと継承されている。 武器は、光線銃から、エネルギー弾を放出するバズーカ砲のようなもの、ミサイルランチャー、手榴弾など、様々なものが登場し、それらを敵の種類や、地形的条件の種類を見極めて使い分けていくことになる。QUAKEプレーヤーは視点を一人称でプレイしたくなるだろうが、一般プレーヤーは視点を三人称のままにしたほうがプレイしやすい。三人称視点ではカイルの姿を後ろから見た後方視点となるため、横や背後から接近する敵の存在や、飛来する敵の弾を避けやすいからだ。 また、三人称視点では主人公カイルの多彩なアクションがちゃんと見えるため、プレイ時の爽快感も実感しやすい。それこそ、三人称視点の金字塔的作品「MAX PAYNE」(REMEDY Entertaiment)を彷彿させる前転、後転、側転などの飛び退きアクションや、フォースを使ったハイジャンプや壁歩きなどの超人アクションが視覚的に楽しめるのだ。 そして3Dシューティングというものは、敵が賢くないと魅力が半減してしまうものだが、JK2に登場する敵のAIはなかなかいい感じ仕上がっている。正面から来る敵はプレーヤーの側面へと回り込んで、最終的には積極的に後ろを取ろうとする。また、連射できる武器を持つ者は横移動をしながら広範囲に弾をばらまき、こちらの動きを封じ込めようとしてくる。
敵の量産型ジェダイナイトは、こちらの投げた手榴弾を、自らもフォースPushを使って投げ返してくるし、こちらが撃った光線弾はライトセイバーで跳ね返してくる。と、こんな感じで、時々、コンピュータ相手にプレイしていることを忘れさせてくれるほどの賢いアクションを見せることがあるのだ。
そして普通のFPSにはない「JEDI KNIGHT」シリーズ独自の要素として、ライトセイバーでの殺陣シーンがある。これは前作からあまり変わっておらず、やや戦略性に乏しいまま。防御操作が自発的に行なえないため、ただのど突き合いになりやすいのだ。こうした剣術戦闘アクションは、ニンテンドウ64の「ゼルダの伝説」ほどに洗練されていない。ただ、ルーカスアーツ側もこの点は認識しているようで、なけなしの新要素が追加されている。 それが構えスタイルの選択だ。通常スタイルに加え、「振りは遅いが広範囲に強力な一撃を与えるストロングスタイル」、「攻撃範囲は狭いが連続攻撃に優れるファーストスタイル」などが用意されており、戦闘の最中にリアルタイムに変更ができるようになっている。たとえば接近戦の時にはファースト、間合いが離れたらストロングに切り換えるといった使い分けが可能になったということだ。ただし、今の時点では有効な使い方がイマイチ見えてこないというのが正直な感想。
そしてJEDI KNIGHTシリーズでは絶対に忘れてはならない、もう一つのライトセイバーの使い方である、ライトセイバー・ブーメラン(勝手に命名)も今作でも健在だ。本作においても数少ない「貫通する飛び道具」として活用できるのはもちろん、前述の各種フォース同様、パズルを解く際にも活用しなければならない場合もある。
■ 新感覚のバレットタイム・ライトセイバーアクション
Speedを発動させると、ゲーム世界がバレットタイムに移行し、超高速で飛んでいるはずの光線弾もゆっくりと目の前をかすめていくようになる。JK2では、この要素をただ真似るだけでなく、JK2なりに料理してあるのがおもしろい。
バレットタイム(フォースSpeed)を発動中は速く動けるのは自分だけで、自分が撃った銃弾の速度も遅くなってしまう。しかし、フォースSpeedは自分の動きの方が高速化されているのでバレットタイム移行中であっても、ライトセイバーの操作は高速に行なえるのだ。
つまりJK2では「バレットタイム発動と同時に敵弾をかわしながら超高速で移動しつつ、斬りまくり。バレットタイムが解けると同時に死体がバタバタと地面に倒れる」といった爽快なアクションが楽しめるのである。これがビシっと決まると自分のかっこよさに酔えるのだ。
■ 開発はRAVEN SOFTWARE、グラフィックスエンジンは「QUAKE III: ARENA」拡張版を採用
マルチテクスチャリングや動的な光源処理はもちろんのこと、正しい3Dモデル形状の影が落ちるボリュームシャドウにも対応しているのは立派。残念ながらプログラマブルシェーダーには対応していないようだが、全てのキャラクタモデルのポリゴン数は相当多くなっているようで、非常に高いリアリティのビジュアルとなっている。 いくつかのマシン環境で動作させてみた感じでは、全てのグラフィックオプションを最高位設定にして1,024×768ドット表示で快適にプレイするには1GHz級CPUとGeForce2GTSクラスのビデオカードは欲しいという手応えだった。 ゲームモードは今回紹介したシングルプレーヤーモードの他に、マルチプレーヤーモードももちろんある。ゲームモードはフリー・フォー・オール(デスマッチ)、キャプチャー・ザ・フラッグ(旗取りチーム戦)を含む全7種類が用意されている。 JK2はシングル、マルチ、双方ともに遊び甲斐のあるゲームとなっているが、スターウォーズファンであれば、ぜひともシングルプレーヤーの方からプレイして欲しいと思う。 ゲーム中のメッセージは全て英語で、一部字幕の表示されないものもあり、英語力はそれなりに要求される。辞書はいつも近くに置いておきたいところだ。
主人公カイルの英語ははっきりしていて聞きやすい。中高生ならば、「英語の勉強教材だ」といって親に買ってもらうのはもアリだ。
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□サイバーフロントのホームページ (2002年4月23日)
[Reported by トライゼット 西川善司] |
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