★ PS2ゲームレビュー ★

難易度を少々下げつつも、着実な進化を遂げるロボットアクション
「ARMORED CORE 3」

【ゲームの内容】
 プレーヤーはレイヴンの俗称で呼ばれる傭兵となって、様々な依頼をこなして報酬をもらう。その報酬で自分の乗るAC(ロボット)のパーツを購入、カスタマイズしていくというロボットアクションシリーズ最新作。対戦要素も豊富で、IEEE 1394ケーブルやモデムを使った通信対戦で、最大4人同時対戦が可能となった。また、「3」では自機を補佐してくれる僚機とともにミッションを戦う「僚機同行システム」やミッション遂行中、もしくは対戦中にリアルタイムで武器を解除できるなどの新要素も盛り込まれている。



 最初はプレイステーション(PS)で登場した「アーマード・コア」も、プラットフォームをPS2に変えての3作目となった。今もなお根強いファンを獲得し、大会まで開かれているという同作品。今まさにプレイの真っ最中という人も多いだろう。様々なパーツを厳選して自分だけのACをくみ上げ、バリエーション豊かなミッションやアリーナでのCPU対戦、そして通信機能などを使った対人戦などを楽しめる「3」。このゲームの魅力を、ここでレビューしていこうと思う。


 パーツを一新し、新たな出発となるレイヴンたち

 前作「アーマード・コア2 アナザーエイジ」では、前々作「アーマード・コア2」のセーブデータをコンバートしてプレイできた。しかし「3」では、パーツのデータを一新したためにデータのコンバートはできなくなっている。このため、全てのプレーヤーがいちからのスタートとなるわけだ。唯一、ACに付けるエンブレム(紋章)だけがコンバート可能となっている。前作でオリジナルのエンブレムを作っていた人にはありがたい。
 このデータ一新に伴い、この作品から始めるプレーヤーとシリーズを遊び尽くしているコアプレーヤーとのパーツ知識の差も、多少は縮まったのではなかろうか。

 さて、今回のパーツ一新で、今作の目玉ともいえる追加要素がある。それは右手と左手に新しく用意された武器だ。今までなら右手に装備できる武器は銃器、左手はブレードやシールドと決まっていたのだが、今回は右手用のブレード、左手用の銃器が用意されている。今までなら、武器腕と呼ばれる専用の腕でのみしかできなかった両手武器。これを気にすることなく可能となり、さらに両手に銃器を装備した場合は片方が弾切れになっても、もう片方で戦うといった恩恵もある。ブレードも同様に、左右違ったブレードを状況に応じて使いわけられ、戦術がさらに奥深くなったのだ。

デザインはもとより、パーツ性能も一新された今作。手探りでパーツの善し悪しを見極めることになるだろう
今作の目玉でもある両手武器。射撃重視、近接重視のどちらの要望も満たしてくれる


 ミッションをこなしていくことでゲームが進行

 ゲームの進行は、ミッションをこなす事で新たなミッションが登場する仕組みとなっている。ミッションの内容は、護衛や救出など様々なシチュエーションが用意されている。ミッションの他にもアリーナと呼ばれる闘技場で、CPUの操作するACと戦って勝利することで報酬がもらえるのだ。このあたりは「2」のものと同じで、「2」のプレーヤーにはすんなりなじめるものだろう。
 ちなみに、ミッションはゲームの進行と共に変化するため、片方のミッションを受諾すると、もう片方のミッションが消滅してしまうことが多々ある。ミッション失敗時でも同様にゲームが進行するため、ミッションが複数ある場合は慎重に選択した方がいい。

 ミッション中には、次のミッションが連続して発生することもある。ミッション結果がよい場合に発生することが多く、1回の作戦で2つの依頼をこなすことになるので報酬もそれなりに高い。ただし、AP(耐久力)や武器の弾薬は回復するが、装備の変更はできず、その場の装備で切り抜けることになる。失敗しようものなら、収入はほとんど無いといったデメリットもある。自分の力量によって連続でミッションを行なうかどうかを判断した方がいいだろう。なお連続ミッションは指定のポイントに行くだけでよく、受けたくなければそのポイントに近づかなければいい。

 このゲームの面白いのは、ミッション終了時に明らかになる収支決算。マシンガンやライフルといった弾薬には費用がかかり、1発ごとのコストが設定されている。ミッションでハデに弾薬を使えば、その分費用がかさんでしまい、機体修理費と合わせて赤字になってしまうこともある。また特別報酬や減算などもあるので、赤字にならない程度に戦っていかなければならないのだ。後半のミッションにもなると報酬も相当に高いが、同じく難易度も高いので使用する弾薬や修理費もかさむことになる。この経費を低く抑えて、より多くの報酬を得るのが一人前のレイヴンといえるのだ。

ミッションによって報酬は違う。難易度が高ければ高いほど、報酬も比例して良くなる。収支決算では、弾薬や機体修理などの経費が報酬から引かれることに
敵の掃討から訓練の相手など、ミッションのバリエーションは豊富


 カスタマイズのおもしろさも健在

ACの評価を確認することもできる。AC構成の指針として利用していきたい
 「AC」シリーズ伝統の面白さは、ACのカスタマイズといっても過言ではない。機体の各パーツを組み合わせ、重量やジェネレータ出力などを規定内でカスタマイズしていくという楽しみは、このゲームならではのものだ。ACを形成するパーツは全部で13種類もあり、それぞれにいろいろな性能を持つパーツが用意されている。組み合わせを考えただけでもかなりのものだ。簡単だが、パーツの種類と使用目的などを紹介しよう。

  • CORE(コアパーツ)
     ACの胴体とも言えるパーツ。ACを形成する上で、HEAD、ARMS、LEGSと共に絶対に必要となるもの。腕部の許容総重量もこのコアで決まる。
  • ARMS(腕部パーツ)
     銃やレーザーブレードを装備可能な通常腕。そして、腕そのものが武器となっている武器腕の2種類がある。
  • LEGS(脚部パーツ)
     ACの機動力に関係し、さらにACの許容総重量に関わる。脚部には2足、逆関節2足、4足、タンク、フローティングの5種類があり、それぞれに機動系か重装備系かに別れる。
  • BOOSTER(ブースター)
     地上でのダッシュ、空中での飛行に影響するパーツ。ブースターの出力が高いほどより高速での移動が可能となる。
  • FCS(FCS(ロックオンCPU))
     敵機をロックオンする際のスピードやその数に影響するパーツ。ロックの有効距離やロックオンサイトの大きさはパーツによって違う。
  • GENERATOR(ジェネレータ)
     ACの動力源。エネルギーの総量、各パーツへのエネルギー総出力など、構成に必要なパーツ。各パーツの出力合計が総出力以内に収まるようにしなければならない。
  • RADIATOR(ラジエータ)
     機体の冷却に使われるパーツ。ACの機体温度が一定以上になると耐久力が低下するので必要不可欠。車で使われているのと同じと考えて良い。
  • INSIDE(インサイド)
     肩に内蔵するもので、ロックオン妨害装置やデコイなど補助装備を利用できる。
  • EXTENSION(エクステンション)
     両肩のサイドに装備するもので、移動やミサイル迎撃装置などがある。
  • BACK UNIT(肩装備)
     ホーミングミサイルや弾倉、そしてレーダーなど、重火器から補助装備まで様々な装備が存在。
  • ARM UNIT R(右腕装備)
     実弾やレーザーのライフルからバズーカと、銃器がメイン。ブレードと同じ性能を持つものも。
  • ARM UNIT L(左腕装備)
     レーザーブレード、シールドがメイン。中には投擲用射撃武器(グレネード)などの銃器もいくつかある。
  • OPTIONALPARTS(オブショナルパーツ)
     ACの性能を補助するパーツ。パーツごとに使用スロット数が設定されており、コアに設定されている総スロット数以内なら複数装備可能。
3種類の構成を設定できる。正面に置いたものが、ミッションやアリーナで使用する機体となる
 このようにたくさんのパーツから自分に合ったものを選び、自分だけのACを組み上げることになる。ただし、パーツは最初から全てもっている訳ではなく、ショップで購入していかなければならない。また、一部のパーツはミッションの報酬であったり、アリーナでのランクアップ報酬、またはミッションエリアに落ちているものもある。そのため、全てのパーツをそろえるだけでも一苦労だ。特にゲーム開始からしばらくは資金面で苦しむことになるので、新しくパーツを購入したら、以前のパーツを売って資金を補充していくといい。購入時と売却時の値段に変化はないので、失敗した場合でも売るだけでいいのでやり直しもきく。

 さて、実際のカスタマイズだが、全てにおいて万能のACを作ることは難しい。重装備で高い機動力をもつACはまず作れないと言っていいだろう。不可能ではないにしろ、耐久力や攻撃力など、何かしらを犠牲にしないといけないのだ。このバランスを考えてACを組み上げるのは今までのシリーズと同じだ。
 ただし、今回、前作と大きな違いがある。それは重量オーバーの状態でもミッションに出撃できるという点。前作までなら、重量オーバーだと出撃すらできなかった。この変更点は重量で悩める人にはありがたいところ。しかし、重量オーバーの状態では機動力の低下、機体温度の上昇などを招くので不利になることは確か。特に高機動型のACだと致命的ともいえる。できることなら、総重量内でうまく調節していこう。なお、後に説明する「武器の切り離し」を使い、重い武器を切り離して重量オーバーを逃れるといったこともできる。

戦う目的に合わせてパーツを選出。この作業の魅力にとりつかれたプレーヤーは多いはず
意外と悩むのがパーツの売却。実はパーツ装備画面で□ボタンを押して売るのだ
ミッションやアリーナで使用する機体は、状況などに合わせて変更していくのもいいし、1つの機体で通すも良い。自分なりのこだわりを十分に活かせる


 初心者の壁となる操作

 このゲームでもっとも難しいのは、ACの操作にある。アナログスティックの押し込みボタンまで使用すると、全てのボタンを使用することになる。ただし、これはあくまでも「使うことができる」であって「絶対使う」という訳ではない。頻繁に使うのは、攻撃やダッシュ&ジャンプに使う○×△□ボタン。そして移動系の左スティックとL1・R1ボタンだ。まずはこのボタンでアリーナやACテストに挑戦してみて、操作の感覚をつかむといい。ある程度の操作ができるようになったら、L2・R2の視点上下移動なども使っていくようにする。全ての操作を覚え、利用できるようになれば有利になることは間違いないが、できなくともそれなりに戦える。さらにミッションなどの難易度はそれなりに下がっているので、前作よりはプレイしやすくなっているはずだ。
 多少煩雑ではあるが、これらの操作をそつなく使いこなせるようになれば、さらにゲームの面白さが増す。初心者は急がずにじっくりと挑戦してほしい。

 今作での操作に新しく加わったものがある。それは武器の切り離しだ。弾切れとなった武器を切り離し、重量を軽くすれば機動力が増す。または、重量オーバーで出撃した際に武器を切り離すことで、これを回避できるようにもなるのだ。使用済みの武器を持ち続けるよりは、切り離して別の武器で攻撃しつつ機動力を上げていった方がいい。なお、ミッション時に武器を切り離すと、終了するまで回収ができなくなる。ただし、対戦の場合は条件設定によって回収が可能となっているので、はじめに重い武器を切り離しておき、後で使うといった戦法が使える。ただ、落ちている武器は敵や味方関係なく回収できるので注意が必要だ。

 操作的には前作と同じだが、パーツの変更に伴い、右スティックボタンで発動するオーバードブーストなどにも変更がある。今までは右スティックの押し込みはオーバードブーストのみとなっていたが、今回は「イクシードオービット」という武器が発動するようにもなっている。これはACの頭上にレーザー兵器を配置して、ロックオンした相手を自動で攻撃してくれるというもの。レーザー兵器なので、弾薬コストはかからないと、かなり使えるが機動性は落ちる。コアによってオーバードブーストかイクシードオービットのどちらかに設定されており、双方同時に使えるものはない。機動性を取るか、攻撃力を取るかでコア選びも変わってくるだろう。

今回採用された「イクシードオービット」。エネルギーを消費するが、とても使える兵器だ


 最高4人の同時プレイが可能!! 充実した対戦モード

 「アナザーエイジ」で初めて採用された、モデムを使用した通信対戦は今作でもちゃんと採用されている。今回の通信対戦でポイントとなるのは、最高4人での対戦ができること。その場合、一台のマシンで2人がプレイするために分割画面となるが、マルチで楽しめる点は大きい。また、2対2のチームバトルも楽しめるので友達と協力しながら戦うといったこともできる。

 さらに対戦モードでは、ひとりで対戦を楽しむこともできる。相手はCPUになってしまうが、このモードをじっくりと遊べるのはありがたい。当然だが、通信対戦はひとりでは遊べない。こればかりは友達などを誘うなりして、同志を集めるしかないだろう。
 モデム対戦の場合は、前作同様インターネットを介することはせず、直接相手へと電話をかけての通信となる。このため、遠距離の相手との対戦には不向き(電話代を気にしないと言うなら別だが)。次回作では、PS2のブロードバンドユニットを利用した対戦が可能になることを期待したい。


 しっかりとした作りで、長く遊べる作品

 著者はPS2からこのシリーズをプレイしているが、新作が登場するたびに面白みが増していると感じる。難易度も低くなったことでプレイ中に余裕を持て、すんなりと遊ぶことができた。ただ、後半ともなるとやはり敵の攻撃が激しくなり、それなりに難しくなる。これはゲーマーとしてみれば当然のこと。これぐらいの難度がないと手応えがない。このあたりのバランスは今作では良くできていると思う。さらにパーツの組み合わせも、「イクシードオービットを取るかオーバードブーストを取るか」などといった選択肢が増え、良い意味で悩まされる。また、隠しパーツが存在し、クリア後に改めてミッションをプレイしてみようと思わせるところもいい。これに対人戦の面白さが加わることで、かなり長い間楽しむことのできる作品になっているのだ。

 前作のシステムをブラッシュアップして、より面白くなって帰ってきた「3」を是非ともプレイしてほしい。そしてまだ早いが、次回作にも期待したい。



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□フロム・ソフトウェアのホームページ
http://www.fromsoftware.co.jp/
□製品情報
http://www.fromsoftware.co.jp/top/soft/ac3/
□関連情報
【4月4日】フロム・ソフトウェア、PS2「アーマード・コア3」周辺機器に関する諸注意を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020404/ac3.htm

(2002年4月18日)

[Reported by 渡辺洋二]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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