★ PS2ゲームレビュー ★

「敵弾をかわす」ことが楽しさに直結したSTG
「PSYVARIAR -complete edition-」

  • ジャンル:シューティング
  • 発売元:株式会社サクセス
  • 価格:5,800円(通常版)
    7,800円(SPECIAL SOUND BOX / SPECIAL CAPTURE BOX)
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(3月28日)

【ゲームの内容】
 「敵弾をかすらせることでパワーアップする」というBUZZシステムを採用したACで2作を数える縦スクロールシューティングゲーム。長らくコンシューマ版への移植が待たれていたが、プレイステーション 2でいよいよ発売となった。しかも、AC版2作「ミディアムユニット」と「リビジョン」がセットになった「complete edition」として。サウンドCDを同梱する「SPECIAL SOUND BOX」と、攻略DVDが同梱する「SPECIAL CAPTURE BOX」も同時発売された。



「SPECIAL CAPTURE BOX」と通常版のパッケージ
 弾が自機にかすることでメインショットがレベルアップしたり、高得点が得られたりと、危険と隣り合わせの縦スクロールシューティング「PSYVARIAR(サイヴァリア)」。シリーズ2作品を両方詰め込んだ内容となっている。本作の特徴は、本来は大きく避ければそれでいいはずの敵弾に、自ら危険を冒して接近することが大きなメリットを生む点だ。大量の敵弾が花火のように散る中を突進し、レベルアップによる無敵を繋げれば、他のシューティングには無い爽快感を得られるだろう。

 本作のシステムをあまり理解していないなら、ゲームセンターやショップの店頭デモを見て、画面内の弾の量に驚いた人もいるかもしれない。しかし、BUZZシステムを理解すれば大量の弾が来ても意外に死ななずにすむはず。自機の当たり判定も小さく、レベルアップ時の無敵時間を利用して弾に突進し、大量の弾に自機をかすり続けるコツをつかめば、無敵状態を継続して安全に進むことができるのだ。

雨あられ、というよりも粉雪のように舞い散る敵の弾。レベルアップ時の無敵をフル活用しよう


 敵の弾を避けずに挑め!

 自機の攻撃はショットとボムで、基本的にこれを使ってゲームを進めていくのだが、このゲームの中核を成すのは「BUZZシステム」だ。自機を敵の弾や敵にかすることをBUZZと呼び、BUZZる(=かすりに成功する)と「チリッ」とかすれる音が鳴って経験値がたまる。経験値のゲージが画面の上部にあって、このゲージがMAXになるとレベルが上がる。レベルが上がった瞬間、自機はバシッと雷に打たれたような音と共に光に包まれ、一定時間無敵になる。この無敵を利用して敵に重なればダメージを与えることができ、敵弾に突っ込んでチリチリBUZZれば、効率良く経験値を上げることができるのだ。

 また、自機のショットパワーアップにはBUZZが欠かせない。レベルゲージの隣には現在のレベルが数字で表示されていて、これが一定の段階に達するとショットがより強力なものになる。レベルゲージはBUZZだけでなく、敵を倒すことでも増える。そしてレベルが一定量に達することで、ステージを終えた後に出現する次のステージの選択肢が増える。たくさんBUZZってレベルアップできるようになると、ハイレベルなステージが登場して、さらに大量の敵弾にチャレンジできるのだ。

レベルを上げればショットを強化できる。ショットパワーがアップすると、自機の形も変形していく 弾にBUZZってレベルアップしたら、そのまま弾幕を突っ切って弾の外に出てしまわず、ローリングしながら弾を求めて移動すれば効率よくBUZZることができる ボスとの戦闘中は、BUZZっても道中のように経験値が上がらない。なかなかレベルアップしないので注意が必要だ

 BUZZることにも影響を及ぼす重要な操作が、ローリングだ。方向キーを左右、または上下に素早く入れることで自機がくるっと回転する。この際撃つショットは、通常時よりも強力な「ローリングショット」となる。耐久力のあるボスと戦う場合、早目に決着をつけたいなら常にくるくる回りながら撃てばいいということだ。そしてローリング中は自機のスピードが少し速くなる。またBUZZの判定が少し広がり、通常時よりもちょっと遠い弾も拾ってくれる。また「ミディアムユニット」に関しては得られる経験値にも少し倍率がかかって高くなったり、「リビジョン」では自機の当たり判定が小さくなるなど多少の差はあるが、とにかくローリングしていればお得なのだ。

 このように降り注ぐ大量の弾は、危険であると同時にたくさんBUZZれるチャンスでもあり、これがレベルアップでの無敵状態と自機ショットの強化、ボムの追加などに繋がっていく。敵弾を利用することで安全にゲームを進めていくことができる。


 「ミディアムユニット」と「リビジョン」両方で楽しめる

「ノーマルモード」では「M.U」なら最大全6ステージ、「R」なら最大全8ステージをプレイできる
 本作には「ミディアムユニット(M.U)」と「リビジョン(R)」の両方が収録されている。ゲームを立ち上げるとデモの後、最初の画面で「M.U」か「R」かを選択する。この後のゲームの読み込みにはわりと時間がかかるが、いったん読み込んでしまえば、ゲームのプレイ中にはストレスはほとんど感じない。

 2つのタイトルの最も大きな違いは、敵弾1発につき「M.U」では1回しかBUZZれないが、「R」では何度でもBUZZれるという点だ。つまり「R」の方では、ゆっくり画面外に消えていく弾が1発あったとして、これにローリングしながらついて行き、BUZZをいくつか稼ぐということも可能となる。

 「R」では、ゲームスタートすると最初にモードセレクト画面になって、「ノーマルモード」か「リプレイモード」を選べる、というのがアーケード版「M.U」との違いだったのだが、PS2版では、本来「M.U」に無いはずのリプレイモードをオプションモードで変更して選択することができるようになっている。
 「ノーマルモード」は、エリアごとに腕に合わせて難易度を選択し、ゲームを進めていく通常のモード。「リプレイモード」の場合は、最初から様々なエリアを選択できる。最初に選択したエリアのトップのリプレイが流れ、この後で同じエリアがスタートする。エリアをクリアすれば再びエリア選択画面に戻るという流れなので、練習するには丁度いい。

 最大全6ステージの「M.U」に対し、「R」は最大全8ステージと長め。また「R」では、Xステージという難易度の選択ができない固定ステージが所々に挟まれる。Xステージでは経験値の増え方が通常のステージよりも遅く、無敵になりにくいため、慣れないとちょっと厄介だ。いつもの調子で弾に突っ込もうとしたり、弾を残そうとすると、逆にピンチを招くことになりかねない。

 ローリングは、デフォルトでL1、R1ボタンに配置されている。これを押しっぱなしにしていれば、レバーをがちゃがちゃ振って操作を誤って激突、という心配はない。デフォルトで気になったのは振動の設定。BUZZるとコントローラがブルブル振動するのだ。コントローラはまだ慣れればさほど気にならなくなったが、振動機能のあるジョイスティックでプレイするとレバーがガタガタ震えて微調整が心許なかったので、設定をOFFにしたほうがいいと思われる。



 弾幕の海に漕ぎ出そう

噛めば噛むほど味が出てくる1面。弾数は少ないけれど、その分BUZZにこだわり出したら止まらない
 最初のうちは、思うようにレベルが上がらず、ショットの威力も弱いまま先へ進んで苦労した。そこで、出現後すぐに撃って倒せる敵をどんどん壊すのではなくて、ちょっと我慢してBUZZるための弾を吐かせることを意識すると、それだけでもわりとレベルに反映された。クリア時のレベルを前のプレイと比較して、高くなっていると楽しくなって、練習してより高レベルを求めるようになる。そうするとショットが早い段階でより強力なものになり、ボス戦がこれまでより早く倒せるようになって安定して先に進めるようになった。

 敵の破壊率は得点に影響するので、ザコを逃がすのはもったいないけれど、画面内にわざと弾を残すということには、早めに慣れたほうがいいかもしれない。いかにも「BUZZって下さい」と言わんばかりの弾の吐き方をする敵もいて、こういう敵を出てきた瞬間さっくりショットで倒すのは、みすみすBUZZ数も点数も捨てているようなものなのでもったいない。

 「M.U」も「R」も、クリアだけなら簡単な1面で、BUZZる練習をするのがオススメ。最初のうちは、やればやる程BUZZ数や得点、レベルが伸びていくのでかなり面白い。ここでBUZZる魅力に取り付かれたら、更なる弾幕のシャワーを浴びるためハイレベルなステージを目指そう。

 本作はノーマル版の他、CD同梱版とDVD同梱版が発売されている。DVDには、アーケード版で活躍した名うてのスコアラーによる稼ぎルートでのノーミスプレイが収録されている。プレイの参考にできるのはもちろんのこと、万華鏡を覗いているようなラスボスの弾を非常にうまくBUZZっているシーンなど、観賞しているだけでも十分楽しめる内容だ。


 最後になるが、画面モードにも触れておきたい。縦スクロールシューティングを横画面でプレイするのは基本的に縦を横画面に合わせて縮小する手法が採られるが、今作も同様の手法となっている。ただし、PS2の解像度を活かした画面構成になっており、縦にスクロールすることなく全画面が表示され、意外にもプレイはやりやすかった。それでも我慢できない、というプレーヤー向けに、縦画面に変更することはおろか、上下左右に1回転できるような設定が可能となっている。モニタを縦にすることは地磁気の影響を受けるので、一概に推奨できないが、縦画面にすれば当然表示領域は広がり、敵弾の確認が重要な「PSYVARIAR」では圧倒的にプレイしやすくなる。

 また、「SPECIAL SOUND BOX」が発売されたことからもわかるとおり、BGMもファンが多いのが今作の特徴だ。タイトーの「レイフォース」などにも代表される、ドラマティックなメロディは、ステージ進行とともにじわじわ盛り上がってくる。特に序盤とラスト周辺は個人的にオススメ。サウンドテストやCDで味わうのもいいが、このサウンドのシンクロ具合は、プレイしないとしっくりこない。コンティニューが無限の設定になっていることだし、それほど慣れずともほとんどのコースをラストまでプレイできるので、プレイ中、ぜひBGMにも耳を傾けてもらいたい。




(C) 2002 SUCCESS

□サクセスのホームページ
http://www.success-corp.co.jp/
□製品情報
http://www.success-corp.co.jp/software/ps2/psyvariar/
□関連情報
【2001年10月13日】TGSブースレポートその4
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011013/tgsr4.htm

(2002年4月3日)

[Reported by 河本真寿美]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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