「Tomb Raider」最新作の独占情報が満載!!
Eidos Interactive子会社Core Design訪問記

3月22日収録(現地時間)

会場:Derby Core Design本社

 滞在4日目となった3月22日(現地時間)は、Eidos日本法人の厚意により、いまヨーロッパでもっとも熱い注目を集めている開発会社Core Designを訪問することができた。同社は、島のちょうどへその位置にあたるDerbyと呼ばれる小都市を本拠にし、ロンドン中心部からノンストップで特急を走らせて約2時間ほどかかる。

 2、3年前に移ってきたというDerbyの自社ビルには、会社の看板やLaraのオブジェなどは一切なく、外からはゲーム開発を行なっているとはまったくわからない。今回は、日本語版の発売が決定しているアクションパズルゲーム「Herdy Gerdy」のデモだけの予定だったが、ラッキーなことに世界のプレスで初めて「Tomb Raider」最新作の開発ルームに入り、説明を受けることができた。もちろん、写真撮影は一切禁止で、新しい素材ももらえなかったが、本稿では気になる「Tomb Raider」最新作の情報に絞ってお伝えしていこう。

出発駅となったSt.Pancras駅。駅のでかさと、列車のボロさに驚く取材陣一行。駅の隣には「ハリー・ポッター」で一躍有名になったKing's Cross駅がある

中世の雰囲気をそのまま残しているDerby駅周辺。Core本社は正門の裏側にあり、建物の内部は近代的なテクノロジーで固められている


■ プリレンダームービーとゲーム画面を同じクオリティに

入り口においてあるLara。日本にもあるものとまったく同じだが、すべて熱烈なドイツ人ファンが作った物だという
 「Tomb Raider」の開発チームは建物1階(日本の2階)の約半分を占めていた。一番奥に作品のコアを生み出すイラストレータがいて、グラフィッカーやプログラマ、アニメータが順番に詰め、毎日数十秒ずつシーンを作成していくといった感じだった。

 1人しかいないイラストレータの席には、フルカラーのイメージカットが壁のボードに無造作に貼られていた。紙には崩れ去ったカタコンベや廃屋、異質な雰囲気の教会などが描かれ、イラストの中央には巨大な怪物や悪霊がデカデカと描かれていた。現在書いているイラストはパリやプラハばかりだという「Tomb Raider」の新作は紙のイラストからスタートするというのは新鮮な驚きだった。

 隣にいたマッパー2人は2Dのイラストを3Dに起こしていく作業を続けていた。ここからはすべてデジタルで進行するかと思いきやそうではなく、このステージのLaraの動きや全体の流れを再びに絵コンテ風のテンプレートにまとめていく。まだ初期段階ということで、3Dマップ上に環境エフェクトなどは施されていないが、のちにステージごとに雷、雨、たいまつの光などを設定していく。

 マッパーが処理していた3D画面は、ワイヤーフレームの付いた夜のキッチンや、とある建物の入り口だったりしたが、驚いたのはその各オブジェクトに張られたテクスチャのクオリティの高さだ。テクスチャの解像度はどれぐらいなのか聞いてみたところ、「キャラクタは500ポリゴンから5,000ポリゴンになった」と的はずれな答えが返ってきた。

 再度現在ステージ上のオブジェクトに張られたテクスチャの解像度について聞いてみたところ「それぞれ数千ポリゴンだが、我々はフォトクオリティを目指しているので、解像度という表現は意味がない。前作以前はブロックごとにテクスチャを貼り付けていったが、今回はブロックではなく、ひとつひとつ手書きで仕上げていくからだ」とコメント。続いて「PS2版では5GBというディスクサイズが唯一の制限になるだろう」と自信満々の様子だった。ちなみに現在作成中のステージはプラハで、発表会で見た物はパリが舞台になっているということだ。

 続いて見せてくれたのはパリとプラハの中間に位置するステージ。発表会のビデオでも見られたステージだ。中盤に登場する重要キャラクター“ヴォン・クロイ”が殺害されるステージだという。で、先ほどグラフィッカーは3Dツールに「MAYA」を使っていると書いたが、それは途中までで、最後はこれまでのように独自ツールに組み込んでいくということだ。

 最後に向かったのがプログラマのエリア。手前のプログラマはちょうどシャドウマッピングの効果を確認しているところで、1pコントローラでLaraの操作を、2pコントローラで光源の操作を行なっていた。すべてリアルタイムで演算/描画され、これまでのシリーズとはまったく別人のクオリティに仕上がっていた。画面端のバーにフレームレートが表示され、バーが満タンになると処理がオーバーフローしてハングアップする仕組み。ハングアップせず、処理落ちも実感しないレベルで、環境マッピングを効果的に埋め込んでいくということだ。Laraの動きは非常にスムーズになり、どういう操作を行なっても不自然なモーションを取らないように工夫されていた。

 隣のプログラマはボスキャラのアニメーションを担当。マウス操作でぐりぐり巨大モンスターを動かしていた。キャラクタの動きについてモーションキャプチャを採用しているか聞いてみたところ、「使っていない。すべて手作業だ」というコメント。また、いま見えているモンスターたちは単なるアニメーションのデモではなく、すべて実際に登場するモンスターということだ。中には画面いっぱいを占めるぐらいの巨大ボスも登場し、どういったシチュエーションで出会うのか楽しみだ。あまりに重そうなゲームだと感じたため、PC版の必要環境について聞いてみたところ、「決まっていない。最終的にはできるだけ軽く仕上げるつもりだ」ということだ。

 プログラマの中にはヒロインLara Croftだけを担当している人もいた。彼女の服装から、アニメーション、広告用アニメーションなども担当しているということだ。デモでは前作で使用されていた500ポリゴンのLara Croftの隣に、5,000ポリゴンの今回のモデルが3体並び、ワイヤーフレームを表示させて胸の質感の表現や、手の指が1本1本描き分けられているところなどを見せてくれた。

 また、前作まではオープニングムービーを含むカットシーンと、ゲーム内でのLaraの差が、ポリゴン数でもアニメーションの点でも大きかったが、今回はグラフィックを大幅に強化できたので、ゲーム中の映像をプログラムで動かすカットシーンを増やして、差をなくすということだ。発表会ではプリレンダームービーが多用され、中身をちょっと心配したが、実は当日流されたムービーの中にもプログラミングのムービーもいくつか含まれていたということだ。つまり、今回のTomb Raiderは、オープニング、エンディング、カットインムービー、ゲーム画面も、ほぼ同じビジュアルクオリティのLara Croftが登場するということだ。

プログラマエリアの最後に訪れたのが、イベント時のキャラクターの口パク担当。今回ではキャラクターの顔は目、口、アゴの動きを個別に設定でき、口の動かし方は英語音声に合わせたものを現在開発中だという。日本語版を含め他言語の際にどうするのか、口の動かし方を変えるのか、音声はそのままで字幕を出す形にするのか検討中だという。

 デモではなめらかな動きでキャラクタが会話を行なう様子が見られた。20秒の会話シーンを作成するのに30分の時間が掛かるという。イベントなどで使用される会話シーンのボリュームについて聞いてみたところ、「数が多すぎて全体の長さまでは把握していない、軽く1時間以上にはなるはずだ」ということだ。

帰る直前にCoreの社長ジェネミー・スミス氏が登場。発表会の時とは異なるラフな格好で業務を行なっていた

□Core Designのホームページ
http://www.core-design.com/
□Eidos Interactiveのホームページ
http://www.eidosinteractive.co.uk/
□関連情報
【2002年3月21日】英Eidos、「トゥームレイダー」最新作を発表
「Lara Croft Tomb Raider: The Angel of Darkness」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020321/lara.htm

(2002年3月24日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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