★ PS2ゲームレビュー ★

新しい要素を盛り込み完成度を高めた続編
「鬼武者2」

  • ジャンル:戦国サバイバルアクション
  • 発売元:株式会社カプコン
  • 価格:6,800円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(3月7日)

【ゲームの内容】
 主人公・柳生十兵衛に故・松田優作氏を起用し話題を呼んだ戦国サバイバルアクションゲーム。「斬る」爽快感を重視しつつ、カプコンお家芸のわかりやすい操作性を両立させた力作だ。今作ではシナリオ分岐や同志との共同戦闘など、前作からパワーアップした点も多い。キャラクタデザインは雨宮慶太氏、シナリオは前作から続投の杉村升氏、CGムービーのディレクターは金田龍氏が担当している。



故・松田優作氏を起用したインパクトは大きい。声も似ている
 プレイステーション 2で発売され、ミリオンヒットを飛ばした前作。実際の俳優を主人公にしたことでも話題を呼んだが、美しいグラフィックと、煩雑な操作を必要とせずに爽快感ある剣技を奮えたのがヒットのポイント。そして「2」という冠をつけて発売された今作が、どのような進化を遂げたかを紹介していこう。


 基本的な操作は変更なし。だが、追加要素も存在

  前進は方向キーの上、後退は下。そして左右で反転となっている。これらは前作と同様で、R1で構えをとって一人の相手をロックしての移動可能といった部分も同じ。このように基本的な操作は前作をそのまま継承しているので、新作だからといって新たに操作を覚えるといった手間はかからない。だからといってそのままで終わることもなく、しっかりと追加要素もある。

 追加された操作として、構え状態で発生する「奥義」という動作だ。これはR1を強く押すもので、動作が完了するまでには少しだけだが時間がかかる。溜めが成立すれば、武器にエフェクトがかかり攻撃力が上昇。さらに、この状態で攻撃することで固有のモーションで武器を振るようになっている。これには段階があるようで、ゲームを進めていくことで2段階、3段階とパワーアップさせていくことができるようだ。

 武器によっては特定のコマンドを入力することで、固有の秘伝技が繰り出せるようになっているのもポイント。斬りを連打中にコマンドを入力することで、通常斬りの後に連続攻撃へ移行することもできる。これらの技も溜めと同様に、ゲームを進めてあるアイテムを手に入れることで使えるようになる。

 追加された要素の操作は非常に簡単で、すんなりと使えるようになっている。

基本的操作は前作同様なので、プレイしたことのある人にはなじみやすい


 「バッサリ感」は今作でも変わらず楽しめる

倒した敵から出現する魂を吸引し、体力回復や、武器の強化などが可能となる
 さて、実際にプレイしてみると、前作同様、攻撃ボタンを押すことで、近くにいる相手をロックして斬りかかるようになっており、構えを取らないでもストレスなく攻撃できた。複数の敵に囲まれた場合などでは非常にありがたい。ただし、防御は前方にしか働かないため、背後から斬りつけられる状況はできるだけ避ける必要がある。逆に1対1の状況であれば構えて相手と向き合いながら戦うことで、相手の攻撃を左右にかわしながら攻撃や防御がしやすいのだ。状況に応じてこれらを使い分けることなるので、戦術性もしっかりと用意されているわけだ。

 ちなみに防御は万能という訳ではなく、一部の攻撃は防御不可能となっている。どの攻撃が防御不能かを判断し、防御と回避を使い分ける必要があった。

 気になる部分としては、カウンター攻撃で発生する攻撃「一閃」と「弾き一閃」の2つ。前者は相手の攻撃がヒットする直前に攻撃を繰り出すことで発生し、後者は相手の攻撃を防御動作開始直後に受け、その瞬間に攻撃するといったもの。どちらも通常の斬りよりも高い攻撃力を誇るのだが、発生するタイミングは前作と比べてシビアになったようだ。一閃の場合は偶然に発生することもあったが、弾き一閃の方は狙わないとまず決まらない。意図して狙っていくのは相当の慣れが必要となるだろう。このあたりはコアプレーヤーの楽しみとも言える。

 敵を切り倒した際に出現する「魂」を吸引する仕掛けも、前作同様にある。赤なら武器や防具の強化に、黄色なら体力回復といったように、魂の色によって吸収した際の効果が違うのもそのままだ。しかし、今作では「紫」が追加され、これを5つ吸収することで「鬼武者」に変化できるようになった。

相手の攻撃に合わせて、こちらも攻撃を仕掛けることで一閃に。序盤の敵ならこれ一発で倒せるほどの威力。武器を強化していれば、後半の敵にも有効
こちらは防御から繰り出す弾き一閃。攻撃を引きつけてから防御姿勢をとると、相手の攻撃をはじける。この瞬間に攻撃を繰り出すと発生。一閃同様に破壊力があるので、頼れる技となる


 「鬼武者変化」でさらにはハデな戦いも可能

この大きい魂が紫魂で、鬼武者変化に必要なもの。吸引するのに時間がかかるというデメリットが
 吸収した魂で、武器や防具の強化、鬼戦術の使用といったものに加え、今回は無敵状態となる「鬼武者変化」が追加されている。これは紫魂を5つ吸引した時点で発動し、条件を満たすまで吸収した魂はストックされる。一度鬼武者に変化すると大幅に攻撃力が上昇、さらに一定時間無敵となり一方的な攻撃ができる。この状態で鬼戦術を使うと、手から鬼神弾を放って攻撃するといったものに変化する。これで近~遠距離すべてをフォローできるのだ。圧倒的な強さを誇る鬼武者変化だが、この状態は画面左上に表示される鬼武者ゲージが無くなるまでなので、この間に面倒な敵などを優先して倒していくのが主となる。

 鬼武者変化が終了すると紫魂のストックが0になり、再び紫魂を集めることになるため、頻繁に変化できる訳ではない。よって、4つまでストックしておいて、ボス戦までこの状態を維持。ここぞというときに変化するといった戦法も考えられる。変化をどのように使うかも戦う上での重要なポイントとなってくるわけだ。

 ちなみに、紫魂は他の魂よりも大きく、吸引時の移動速度が遅い。遠くから吸引すると非常に時間がかかるので、それだけ無防備状態も長時間続くことになる。できるだけ近くで吸引し、素早く次の体制に移るといった配慮も必要だ。

紫魂を5つ集めることで鬼武者に変化。この間は完全無敵状態だ。斬りや魂吸引は変化しないが、鬼戦術だけは飛び道具に変わっている。鬼武者変化が解けると、再び魂を集めなければならない


 「同志」という要素をさらに強調

 「2」では計4人の同志が登場する。前作では“左馬介”と“かえで”がプレーヤーキャラとしての同志だったが、同時に2人が戦うことはなかったのに対し、今作では大幅な強調といえる。当然、同志に関わるシステムもいろいろと強化されている。



友好度によって、同志との絡みも変化していく
 まず、自分の持ち物を相手に渡すことで、お礼にアイテムをもらえる。同志によってお気に入りのものも違って、「安国寺 恵瓊」(あんこくじ えけい)なら酒やつまみ類。「雑賀 孫市」(さいが まごいち)だったら書物といった具合。相手が喜ぶものであれば、よりよいアイテムを渡してくるし、仲もよくなる(絆値が上昇する)。

同志に話しかけると何に興味を持っているかわかり、それを渡せればいいアイテムが手に入る。加えて友好度も上昇するので、相手の好みを考えて持ち物を渡していくことに

 相手と仲がよくなることで、ピンチの際に助っ人として登場してくれるといったメリットもある。これは、主人公の体力ゲージが残りわずかで赤く点滅すると、一番仲のよい同志が登場して一緒に戦ってくれるのだ。彼ら特有の必殺技を惜しげもなく使ってくれるので、非常に助かる。できる限り同志にアイテムを渡し、アイテムや友好度を上げていくことも大切となってくるだろう。

 ストーリーを進めていくと、前作同様、同志を操作することもある。ただ、前作のかえでと違って、今作では主人公の時と同様、魂の吸収(アイテムが必要となる)などもできるので、大きな操作変更はない。ただし、体力が無くなるとゲームオーバーになるのは一緒。ちなみに、特定の武器や防具を同志に渡していると、以降はそれを装備して登場する。服装などが微妙に変化しているといった細かいところにも注目してほしい。

場合にもよるが、主人公がピンチになると同志が参上。鬼戦術や奥義などを駆使して戦ってくれる


 金塊を集めてアイテムを購入する楽しみも増えた

店先で買えるものは様々。どれが誰に喜ばれるかは、自分で確かめていくしかない
  少々細かくなるが、今作で敵を倒した際にアイテムを落とすことがある。このアイテムの中に「金塊」というものがあり、この金塊を集めることで店で「持ち物」を買うことができる。これら持ち物は同志に渡すものがほとんど。売られているものは低額~高額まで多彩なので、「金塊を稼ぐために戦う」といった行動も必要になる。これは前作にはなかった要素で、長く遊べる要素である。特に同志に関わる部分であるため、おろそかにはできない。戦いに慣れる意味も込めて、金塊をため込んでみよう。

 なお、回復アイテム等の入手数が前作より少なめになっているため、同志からもらうアイテムが意外と重要になるだろう。腕に自信のない人はできるだけ買い物をして同志に渡して、アイテムの充実をはかっておいた方がいい。これはアクションの苦手な人への配慮でもあるので、腕に自信があるなら無視してもかまわない。

魂を貯めるための戦いだけではなく、金塊稼ぎといった行動も今作 に加わっている


 誰にでも楽しめる良作

 簡単な操作で敵をなぎ倒せるのは、アクションゲームを苦手とする人には非常に気持ちがいい。また、得意な人には一閃などの難しいものをプレイにうまく取り入れていくと、より爽快感が味わえる。手助けしてくれるアイテムが多少手に入れにくくなったのは苦しいところだが、同志の存在がそれをフォローしてくれている。さらに、同志との関わり具合によって、ストーリーも変化していくといった要素もゲームを長く楽しむ上でのポイントとなっている。

 変更点はいろいろ見受けられるものの、大きな変更がないだけにちょっと見ただけではわからないのは事実。しかし、プレイしてみれば、大きく違っていることに気がつくはずだ。前作の良いところをそのまま取り込み、着実に進化している作品なので是非ともプレイしてもらいたい。前作以上に楽しめる作品なのは確かだ。



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□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「鬼武者2」のページ
http://www.oni-musha.com/
□関連情報
【2月13日】カプコン、『鬼武者2』完成プレス発表会を開催
テレビCMには故松田優作氏の長男である松田龍平氏を起用
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020213/capcom2.htm

(2002年3月20日)

[Reported by 渡辺洋二]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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