★ PSゲームレビュー ★
精霊信仰が尊ばれる大陸マーディアス。この大陸では軍事大国ヴァレイムと隣国ナイトウェルドの戦争が勃発していた。そのため、一方的な侵略を受けるナイトウェルド国内では、反ヴァレイム勢力として戦う職業「バトルヘルパー」が誕生していた。 バトルヘルパーである主人公ファズとその親友レイマリーは、ある時ヴァレイム軍騎士アルヴィーンと交戦するが、圧倒的な力の前に敗れ捕虜となってしまう。同じ牢で捕虜となっていたロムレスとともに脱獄するもレイマリーの生死は知れず、やっとの思いで故郷ディソールに辿り着くが、街はヴァレイム軍によって蹂躙されていた。 打倒ヴァレイムを誓うファズは風の塔の司祭シルファトスから、謎めいた言葉を告げられる。「かつて超高度文明を誇った伝説の国イクシア。その民の特徴を貴方に感じる……」と。 主人公ファズは仲間たちとともに立ち上がり、戦乱の時代に平和を取り戻すべく反撃の狼煙を上げるのだった。 「HOSHIGAMI」では大戦の渦中に身を投じる人物の姿がリアルに描写され、深みのあるシナリオに仕上がっている。まるで小説のような本格的なストーリーをぜひ楽しんでもらいたい。
■ 有名イラストレーターが手がけた魅力的なキャライラスト キャラクタイラストには、名作ADV「果てしなく青い、この空の下で…。」で有名なイラストレーターたかみち(TAKAMICHI)氏を起用。氏が描く情景付きのイラストは、プレーヤーを作品の世界に導く力に満ちており、その魅力が「HOSHIGAMI」のファンタジックな世界設定と大変よくマッチしている。一枚絵が少ないのは残念だが、立ち絵や顔グラフィックなど随所で美麗なグラフィックが堪能できる。たかみち氏のファンだけでなく、多くの人に温かみのあるグラフィックを味わってほしい。
■戦闘の二大特徴「セッション」と「コインフェイム」 セッションは味方同士で行なう合体協力攻撃だ。敵を2マス弾き飛ばせるシュート攻撃で打ち出し、飛ばした先にセッション待機状態の味方がいれば成立する。これはビリヤードのように敵が弾かれる演出があり、とても爽快だ。このセッションを複数人で行なうには、キャラクタを待機させる場所、キャラクタの向きまで計算する必要がある。しかし、6人コンボを決めた時の気持ちよさは何ともたまらない、積極的に狙っていきたくなるシステムだ。副産物として敵から強力な装備アイテムなどを奪えるので、キャラクタ強化の側面から狙わざるを得ないとも言える。
この世界で魔法はコインフェイム呼ばれ、コインを使うことで精霊の持つエネルギーを解放できる。戦闘では「長射程、高威力」で重宝するコインフェイム、これを強化することがゲーム攻略の要といえる。
■ スキルを獲得して最強キャラクタをメイキング
ユニットは一種類の精霊だけ信仰することができる。精霊信仰にはレベルがあり、敵(味方)に攻撃を当てるとVOWという数値が上がっていく。これが100になると新しい「スキル」が獲得できるのだ。スキルには「反撃」や「体力+10%」など戦闘を手助けしてくれるものばかり。どんどん入手して冒険を楽にしよう。
また、このスキルを敵が装備している場合、セッションで倒すと一定の確率で「スキルの書」という形で落としていく。このスキルの書を覚えさせたいキャラに使うとそのスキルを修得できる。セッション回数が多いほど(4連鎖以上がベター)スキルの書を落とす確率は高くなる。「HOSHIGAMI」のキャラクタ成長要素の楽しみの大部分はスキルにあるといっても過言ではないだろう。
■高難度の序盤を乗り切れば天国 このゲームは少数精鋭で多勢に立ち向かうシミュレーションなので、戦闘は敵側が圧倒的に優勢だ。特に序盤は「体力+10%」などのスキルや、広範囲をカバーするコインフェイム(魔法)を修得していないので、少しの操作ミスでキャラクタが死にまくる。その戦況を打開するために必要なのが、経験値稼ぎと刻印集め(魔法レベルアップ)。この作業が忍耐を要するもので、レベルアップ作業が苦手な人は投げ出してしまうかもしれない。だが、そこを我慢してほしい。序盤を乗り切れば、壮大なシナリオとキャラクタ育成の楽しみが待っているのだから。先にある魅力にたどり着くためのレベルアップ作業。これを少しでも楽にする方法を紹介しよう。新しいミッションの近くには必ず「試練の塔」がある。ここに入って味方同士で殴り合うのが安全なレベルの上げかただ。レベルが低いキャラが高レベルのキャラを攻撃すると経験値は多く入手できる。ここで平均レベルを調整して、前線に挑戦しよう。ただ、「試練の塔」で力尽きたキャラクタも復活しないので、殴りすぎには要注意。 さらにこの塔は1Fクリアするごとに魔法パワーアップ素材の刻印が手に入る。序盤は「近づかれる前にコインフェイム(魔法)で倒す=何もさせない」という戦術が理想的。「HOSHIGAMI」の魔法は射程距離が長めに設定されているので、これはありがたい副産物だ。レベルとコインフェイムを上げてしまえば、どんなミッションでもクリアできる。どうか途中で諦めず、じっくりキャラクタを育ててほしい。
■ ハードなシミュレーションRPGを待っていたプレーヤーへ 「HOSHIGAMI」には中断セーブがない。このため先のミッションに進むにつれ、戦闘は1時間オーバーが当たり前になってくる。後半で味方が力尽きリセットしたときの、「あ~、俺の2時間が……」という喪失感を何度か経験することになるだろう。しかし、この喪失感こそがシミュレーションRPGの醍醐味のひとつではないだろうか。あと少しでボスを倒せるが倒せなかった場合リセット。そんな状況がプレーヤーに与える尋常でないプレッシャー、否が応でもテンションはハイになってくる。この胃液が逆流しそうな緊張感を与えてくれる、それが「HOSHIGAMI」だ。ヌルいシミュレーションRPGで満足したくないプレーヤー。そんな人たちを必ずや熱くさせてくれるだろう。
(C) MAXFIVE 1999,2000,2001 Illust.TAKAMICHI
□「HOSHIGAMI」公式ページ(マックスファイブホームページ) (2002年2月20日) [Reported by 福田柵太郎] |
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