NVIDIA、GeForce4ファミリー発表 |
NVIDIAプロダクトラインマネージャのブリン・ヤン氏は自らのプレゼンテーションの中で「GeForce4はXboxをも凌ぐ」と強調。Xboxも自社チップ搭載機とはいえ、国内未発売の最新ゲーム機を引き合いに出すとはなかなか大胆な発言 |
●GeForce4 Ti
今回発表されたGeForce4の本命製品ともいうべきものがGeForce4 Tiだ。開発コードネームがNV25だった事からもわかるように、NV2x系すなわちGeForce3の直系であるということがおのずと知れる。
GeForce4 Tiはその動作クロックとメモリクロックの違いからランク付けがなされており上位モデルから「GeForce4 Ti 4600」「GeForce4 Ti 4400」「GeForce4 Ti 4200」と命名されている。
GPUコアは新設計となり、GeForce3で採用されていたグラフィックスエンジン「nfiniteFX」はリビジョンが上がり、GeForce4では「nfiniteFX II」となった。併せてフルシーン・アンチ・エリアシング(FSAA)処理用に「Accuview Antialiasing」と特別に名付けられたエンジンを新しく搭載している。
また、ビデオメモリとGPUを結ぶバスには「Lightspeed Memory Architecture II」が採用されている。これもGeForce3で採用されていたバス技術「Lightspeed Memory Architecture」にキャッシュサブシステムを統合してより広帯域を実現させたものだ。
そして、これまでGeForce2MXの特権的な機能であったマルチディスプレイ機能「TwinView」機能に相当する機能が、ついにGeForce4 Tiにおいて採用されることとなった。なお、名前はTwinView機能ではなく、今回GeForce4ファミリへの実装にあたり、機能面でのフレキシビリティを強化したことにより「nView」という新名称が与えられている。
●GeForce4 MX
GeForce4 MXはメインストリーム向けGPUで、グレード的にはGeForce2MXの後継ということになる。GeForce4 MXも、その動作クロック、メモリクロックの差異で「GeForce4 MX 460」「GeForce4 MX 440」「GeForce4 MX 420」という、3つのグレードに分かれて製品化される。
GPUコアは新設計でレンダリングパイプラインの強化がなされてはいるものの、nfiniteFX系のエンジンの搭載は見送られている。よってプログラマブル・頂点&ピクセル・シェーダーのハードウェアサポートはなく、ソフトウェアレベルでのサポートにとどまる。
しかし、FSAAエンジンの「Accuview Antialiasing」、マルチディスプレイ機能の「nView」はGeforce4 Tiと同等のものが実装されている。なお、「Lightspeed Memory ArchitectureII」も採用されているが、GeForce4 Tiのものよりもロジックが簡略化されている。
ところで、このクラスは、GeForce“3MX”が欠番だったため、一気にGeForce2MXから4MXになってしまったわけだが、GeForce4MXはnfiniteFXエンジンを搭載していないため、表現力的にはGeForce3よりもGeForce2の方に近い。なお、GeForce4 MXの開発コードネームはNV17で、GeForce2系のNV15に近い番号が付けられていた。
●GeForce4 Go
GeForce4 MXの省電力版に相当する。開発コードネームはNV17Mで、機能的にはGeForce4 MXと同等と考えて良さそうだ。
GeForce4 GOオリジナルの機能としては省電力機能であるPowerMizer機能がある。これは簡単にいえば3Dグラフィックスをユーザーが意図的にカットするなどしてシステムの消費電力を節約できる機能のことだ。
こちらは「GeForce4 GO 440」「GeForce4 GO 420」というラインナップになっている。性能的にはデスクトップPC用の初代GeForce2GTSを上回っており、ノートPCでもかなり高度な3Dゲームがプレイできるようになることを予感させる。
製品名 | GeForce4 Ti4600 | GeForce4 Ti4400 | GeForce4 Ti 4200(※1) | GeForce4 MX 460 | GeForce4 MX 440 | GeForce4 MX 420 | GeForce4 GO 440 | GeForce4 GO 420 | GeForce4 GO 410(※1) |
コードネーム | NV25 Ultra | NV25 | NV25 | NV17 PRO | NV17 DDR | NV17 SDR | NV17M | NV17M | NV17M |
コアクロック | 330MHz | 300MHz | 200MHz | 300MHz | 270MHz | 250MHz | 250MHz | 200MHz | 200MHz |
メモリクロック | 330MHz DDR | 275MHz DDR | 200MHz DDR | 275MHz DDR | 200MHz DDR | 166MHz SDR | 250MHz DDR | 200MHz DDR(*2) | 200MHz SDR |
グラフィクスコア | 256bit | 256bit | 256bit | 256bit | 256bit | 256bit | 256bit | 256bit | 256bit |
ビデオメモリバンド幅 | 128bit | 128bit | 128bit | 128bit | 128bit | 64bit | 128bit | 64bit | 64bit |
メモリバンド幅(GB/Sec) | 10.4 | 8.8 | 6.4 | 8.8 | 6.4 | 2.7 | 8.0 | 3.2 | 1.6 |
フィルレート(Texels/sec) | 48億 | 44億 | 30億 | 12億 | 11億 | 10億 | 5億 | 4億 | 4億 |
描画速度(Triangles/sec) | 8,600万 | 7,900万 | 5,300万 | 3,800万 | 3,400万 | 3,100万 | 3,000万 | 2,400万 | 2,400万 |
レンダリングパイプライン数 | 2x4 | 2x4 | 2x4 | 2x2 | 2x2 | 2x2 | 2x2 | 2x2 | 2x2 |
1クロックあたりのテクスセル処理数 | 8 | 8 | 8 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
nfiniteFXII | ○ | ○ | ○ | × | × | × | × | × | × |
Lightspeed Memory Architecture | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Accuview Antialiasing | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
nView | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Vide Procesing Unit | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Power Mizer | × | × | × | × | × | × | ○ | ○ | ○ |
参考価格(US$) | 399 | 299 | 199 | 179 | 149 | 99 | NA | NA | NA |
■ GeForce4によってなにができるのか
パッと見た感じ写真にしか見えない、GeForce4Tiのデモ映像 |
FSAAをかけないGeForce3よりもFSAAを有効にしたGeForce4Tiの方が高速 |
まず期待されるのがPCグラフィックス基準の底上げ現象だろう。PCのハードウェア性能はあらゆる家庭用ゲーム機よりも上を行くはずなのに、登場してくるゲームグラフィクスのレベルは、家庭用ゲーム機に及ばない。これはなぜか。
それはPCのハードウェア仕様が非常にばらつきがあるためだ。ゲームベンダ側は多くのユーザーにプレイしてもらうために、どうしてもその時代時代の標準レベルに合わせなければならないというジレンマがある。家庭用ゲーム機はハード仕様が同一なので、そのポテンシャルを活かしきったものを見せることができる。
GeForce3は、プログラマブル・頂点&ピクセル・シェーダーのハードウェアアクセラレーションに対応した最初のGPUで、確かにリアルタイム・フォトリアリティ品質のグラフィックスの時代を切り開いたが、それを体験できるユーザーは高価なGeForce3を所有する一部のユーザーに限られていた。DirectX 8.0の発表にともない、プログラマブル・頂点&ピクセル・シェーダーの可能性が提示されてはいたが、実際にはこれを利用したビジュアルを体験できるユーザーはひどく限られていたのだ。
GeForce4 TiシリーズのローエンドモデルGeForce4 Ti 4200はおそらく早い段階で2万円を割ると予想され、その結果かなり広い層のユーザーの元にnfiniteFX IIエンジンが行き届くことが期待される。
そうなれば、多くのユーザーがプログラマブル・頂点&ピクセル・シェーダーを活用したビジュアルを楽しめるようになり、おのずと対応ゲームソフトも増えていくことだろう。この意味では、GeForce4 MXがnfiniteFXエンジンを搭載していなかったのはかなり残念だ。底上げをよりいっそう加速させるには、MXがnifniteFXエンジンを積むべきだった。
製品発表会の席上などでたびたび強調される「NVIDIAの最終目標」は「全てのコンピュータに快適な3D環境を」だそうだが、そろそろ、このスローガンをその上である「全てのコンピュータにリアルタイム・フォトリアリティを」に「底上げ」していただけないだろうか。GeForce4 Tiがもたらす、新たな表現力については追ってレポートすることにする。
MSIより発売予定のGeForce4搭載カード「G4MX460-VT」 |
□NVIDIAのホームページ
http://www.nvidia.com/
□関連情報
【2月6日】米NVIDIAがGeForce4ファミリーの7製品を発表(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0206/nvidia.htm
【2月6日】NVIDIA、国内でもGeForce4シリーズを発表(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0206/nvidia2.htm
(2002年2月6日)
[Reported by トライゼット 西川善司]
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