★ GBAゲームレビュー ★
2000年7月にアーケードで発売された「ギルティギアゼクス」が、ドリームキャスト版、プレイステーション 2版に続いて携帯用ゲーム機であるゲームボーイアドバンスに登場。現在の2D格闘ゲームの最高峰といわれる緻密なグラフィックや、コマンド入力などの難しい操作など、移植の完成度に興味のある方も多いと思う。今回は移植にあたっての変更点や操作性の違いなどの面から紹介してみたい。
■ 従来のファンも納得できるゲーム性と、初心者でも楽しめるシステム キャラクタのモーションやグラフィックは、アーケード版やその他の移植とほぼ同じに感じられる。画面解像度の限界によってキャラクタのドットを荒くしているため多少の見にくさはあるが、ギルティギア ゼクスの世界を壊すことなく再現できている。加えて、連続技や技の性能、タイミングなど、ゲーム性はほとんど変わっていない。「3on3モード」で4人同時に画面に出るとさすがに厳しいが、既存のモードに関して言うなら処理落ちはほとんど無い。ゲーム性の次に気になる操作の面だが、今回移植されたゲームボーイアドバンス版は、十字ボタンでキャラクタを移動させ、正面にふたつと上部にふたつ、計4つのボタンを使い分けて攻撃する。 「ギルティギア」では「パンチ」、「キック」、「斬り」、「大斬り」と4つのボタンを使い分けるため、どうしても操作しづらく感じる。今作ではこれを解消するために、オプション設定で「3ボタンモード」を選べるようになっている。「3ボタンモード」にすると、使うボタンが「キック&パンチ」、「斬り」、「大斬り」の3つになり、残りの1つのボタンが「一撃必殺準備用」になる。「パンチ」と「キック」がひとつのボタンになるため押し分けに関しては厳しくなるが、キャラクタの状態や出す技に合わせて「パンチ」、「キック」のどちらかになるので、慣れてくるととても使いやすくなる。逆に、3つのボタンを適当に押しているだけでも技がでるので、初心者には「3ボタンモード」をお勧めしたい。
■ 携帯ゲーム機の限界に挑戦!
また、残念ながらほとんどのボイス(一部の必殺技のボイス等を除く)が削られてしまっている。これは、限られたメモリに多くのグラフィックやアニメパターンを盛り込む為、あえて削ったという印象を受けた。ボイス以外のBGMはもともと生演奏っぽさを売りにしていたためか、ファンとしてはゲーム音楽的になってしまって少し寂しい気もする。しかし、携帯ゲームという性質上、電車のなかや出先など他の人がいる場所でプレイすることになるであろうから、キャラクタのグラフィックや連続技の判定などに比べれば大した問題ではないとも思う。必要なものを、極力煮詰めて良いものを作るという姿勢があってこそ、携帯ゲーム機であるGBAへの移植ができたのだろう。
■ どこがちがうのか GBA版だけのオリジナル要素 今回の移植では、アーケード版と同じ内容の「アーケードモード」、ドリームキャスト版、プレイステーション 2版「ギルティギア ゼクス」にもあった「サバイバルモード」と「トレーニングモード」、さらに新しいモードとして「タッグモード」と「3on3モード」が追加されている。新しく追加された「タッグマッチモード」では、2キャラ対2キャラのタッグマッチで戦う。テンションゲージの1/3を消費することで戦闘中にキャラの交代(アクティブチェンジ)が可能で、これを使ったタッグならではの連続技ができる。 例えば、「ソル」で地上での連続技を決め、打ち上げてから「カイ」とチェンジして空中で連続技を決めるといったこともできる。キャラクタの組み合わせによっては、通常の連続技よりも高いダメージを与えられるかもしれない。「タッグマッチモード」では、テンションゲージの溜まりが通常に比べて早いので、キャラの交代や覚醒必殺技等はバシバシ使っていきたい。 「3on3モード」は、「タッグマッチモード」よりも人数が増え、3人対3人の戦いが楽しめる。このモードでは勝ちぬき戦になっているため、タッグのようにキャラチェンジはできない。そのかわりに、次に待機しているキャラを呼び出して援護攻撃をさせる「デュアルコンビネーション」を使うことができる。 援護攻撃の内容はキャラクタによって異なり、さらに現在戦っているプレーヤーキャラクタが地上、空中のどちらにいるかによって攻撃内容が変わる。「カイ」の場合、地上にいるときに呼ぶと走ってきて攻撃をして去っていく。空中で呼ぶと、飛んできて必殺技の「空中スタンエッジ」を撃って援護する。 タイミング良く呼べば、相手に攻められて端に追い詰められた時などに反撃するスキを作れるほか、連続技に組み込むこともできる。キャラクタによって攻守どちらに適しているかが違うため、どのキャラクタがどんな援護攻撃をしてくれるか、自分のプレイスタイルに合わせてキャラクタを選択したい。 加えて、上記の新モードと共に今回初めてカラーエディットができるようになった。これは地味な変更点に思えるかもしれないが、自分だけのキャラが作れるということでファンには嬉しい追加だろう。「このキャラクタのここはこの色じゃないと……」とか、「ソルとカイを同じカラーにしたい!」というファンにはピッタリの追加要素だろう。
■ やりこむ度に広がる世界 やり込み要素の多い「ギルティギア ゼクス」だが、GBA版でもその点は変わっていない。お勧めは「サバイバルモード」で、戦うごとにポイントが貯まり、レベルアップしてより強い敵と戦える。レベルは現在確認できたのが400で、さらに上も目指せそうだ。「ギルティギア ゼクス」ファンならば期待しているであろう「+α」的な要素もあるそうなので、せっかく持ち歩けるのだからトコトンやりこみたいゲームといえる。ここまでひとりで遊ぶ上での楽しみに触れてきたが、対戦格闘と名がつく以上気になるのは対戦モードだろう。通信対戦の対戦ゲームではどうしても通信によるタイムラグが心配されるが、「GUILTY GEAR X ADVACE EDITION」ではほとんど気にならなかった。達人クラスになれば「2フレ遅れた!」とか気が付くのかもしれないが、すくなくとも自分がプレイした時はなんの違和感もなかった。1本のソフトで対戦できないのは残念だが、新モードの「3on3」や「タッグマッチ」で対戦すると、今までになかった新しい面白さが出てくる。 いろいろ書いてはきたが、今回の移植で最大のポイントは、新要素を含むそれらすべてを『携帯できる』ということだろう。時間や場所を限定せず「ギルティ」ができる、携帯ゲーム機ならでは楽しさを堪能できる一本だ。
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□サミーのホームページ (2002年2月5日) [Reported by 猫生いづる] |
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