★ PCゲームレビュー ★
宇宙最強の生物エイリアンと、宇宙最強の狩人プレデターが戦ったらどうなるだろう? そしてそこに、宇宙でもっとも戦闘意欲旺盛な宇宙海兵隊(マリーン)が加わったらどうなるんだ!? エイリアンとプレデター、両方の映画を見た方なら当然思い浮かぶ疑問だろう。映画としては作られていないものの、アメリカでは「ALIEN vs. PREDATOR」というコミックが発売されており、人気を博しているが、これをゲーム化したのがPC用FPS「ALIENS vs PREDATOR」である(もっと前にATARIジャガー用のソフトで、PC版の元となったゲームが発売されている。興味を持った方は探してみるといいだろう)。今回紹介する「ALIENS vs PREDATOR 2(以下AvP2)」は、ストーリーなどの連続性は無いものの、これの続編となる。 ■ マリーン、エイリアン、プレデターのどの人種でプレイするか? 前作「ALIENS vs. PREDATOR」に引き続き、AvP2では海兵隊、エイリアン、プレデターといった3種類の種族を選ぶことができる。3者は能力に明確な違いがあるが、それぞれの能力は、ジャンケンのような三すくみの関係にある。海兵隊はエイリアンに強く、エイリアンはプレデターに強く、プレデターは海兵隊に強い、という能力関係だ。固体単位の能力でみればプレデターが最強か? と思われるが、徒党を組んで各種族が能力を最大限に発揮したとき、三者の力関係は絶妙のバランスとなるのだ。特にネットワーク対戦で種族別のDeathMatchゲームをすると、このバランスを実感することになる。 以下、3種族の特徴を示そう。
我らが人間族代表のキャラ。耐久力には恵まれていないものの、強力な武器を使いこなすことができるのが最大の特徴。映画「エイリアン2」で見られたように、複数人で360度警戒をしながら戦おう。相手の動きを先読みし、遠距離から銃弾を叩き込んで接近する前に相手を片付けなければ、生き残ることは難しい。しかし、装備さえ整えれば十二分にエイリアンやプレデターと渡り合うことができる。ちなみに海兵隊は、以下の10種類の武器が使用できる。 ・ナイフ
・ハンドガン
・ショットガン
・パルスライフル ・スマートガン 威力はパルスライフルと同様だが、自動照準で敵を捕捉してくれる。
・火炎放射器(Flamethrower)
・ロケットランチャー
・グレネードランチャー
・ミニガン
・スナイパーライフル
このほかに、前方180度をカバーする動体センサーや暗闇を照らすショルダーライト、暗視装置など能力補助のアイテムを駆使して戦うことになる。ちなみに、ストーリーモードの後半では戦闘用パワーローダーに乗ることも可能だ。
プレーヤーの人気ではダントツトップをひた走る、宇宙最強生物。映画「エイリアン」シリーズでは、その凶暴性と身体能力を生かした大殺戮を見せてくれたが、ゲーム内でもその殺戮本能と生存本能の激しさは濃厚に再現されている。非常に速い移動、攻撃能力に加え、強靭な脚力を生かして壁にひっついたり飛びかかったりといった三次元的挙動ができるのが特徴だ。さらにゲームでは敵対勢力の姿をオーラとして捉えることができるほか、暗闇を見通す暗視能力をもっている。 攻撃方法は以下の4種類。
・クロウ
・ヘッドバイト
・飛び掛り(Pounce)
・尻尾 今作のエイリアンで印象的なのは、特徴的な成長サイクルがリアルに再現されていることだ。具体的には、卵→フェイスハガー誕生→寄生→チェストバスター誕生→脱皮して成体であるDroneになる、というサイクルがそのままゲーム内でも再現されている。 エイリアンのシングルモードでは、1個の卵から生まれたエイリアンが成長し、基地を大混乱に巻き込む過程が見事に再現されている。また、エイリアン3で登場した犬型のRunnerや、Queenを守護するPraetorian、プレデターに寄生し誕生したPredalienなどのさまざまなタイプのエイリアンも登場する。 エイリアンは遠距離を攻撃する武器が無い代わりに、接近戦に非常に強い。複数匹で敵を細くし、脚力を生かした高速三次元挙動で、一気に敵に近寄り捕食するのが戦闘スタイルとなるだろう。短期強襲決戦型ともいえる。ちなみに壁を伝って移動する場合、FPSに慣れている人間でないと、相当な勢いで“ゲーム酔い”を引き起こす。耐性の無い方はご注意を。
宇宙最強の狩猟者であり、強い獲物を“狩る”ことに異様に執着する種族。人間をはるかにしのぐ耐久力、エイリアンに匹敵する跳躍力、独自に発展させた高度な科学力を駆使したおなじみの戦闘用デバイスをもつ。戦闘スタイルは、遠距離の狙撃が主となるが、近接スタイルも十分いけるマルチスタイル。サァ、狩リノジカンダ……。 ということで、今回使える武器は8種類を紹介しよう。
・リストブレード
・スピア
・プラズマピストル
・スピアガン
・誘導弾(Plasmacaster)
・ディスク
・ネットガン
・遠隔爆弾 さて、プレデターが使える戦闘用デバイスはいくつかあるが、もっとも特徴的なものはCloaking(光学迷彩)による透明化だ。エイリアンは相手をオーラで捕らえるので意味がないが、海兵隊相手には完璧な効果を発揮する。その性能は、動けばかろうじてわかるという高性能ぶり。目の前でじっとしていられても、戦闘中に発見することは難しいだろう。次にビジョンモードだ。プレデターは裸眼では紫外線しか捕らえられないため(ゲームでは、人間と同じような視覚が得られるが)、マスクに装備した3種族に合わせた3つのビジョンモードを駆使して敵を捕捉しなければならない。 そして、今作におけるプレデターの絶対的優位性を位置づけているのが、エネルギー回復デバイスEnergy Siftと、体力回復デバイスMedicompの存在だ。プレデターはCloakingやMedicompなどを使用する際にエネルギーを消費するが、Energy Siftはエネルギーを短時間で一気にチャージすることができる。Medicompは大量のエネルギーを必要とするが、これのおかげで使い放題だ。前作では時間のかかる自然回復しか、エネルギーを得る手段が無かったのに比べると大幅な強化といえる。
■ 密接に三者が絡んだ秀逸なストーリーモード 本作のメインとなるストーリーモードでは、一般の植民宙域から遠く離れた植民惑星を舞台とした三つ巴の死闘が堪能できる。死闘の中心舞台となるのは、植民惑星に存在する極秘研究施設「LV1211」。そこで3者の複雑な利害関係が交錯し、三種族三様の思惑が絡み合う濃厚なストーリーが描かれる。ストーリーをおっているだけで、一本の映画を見ているような気分になってくる。 エイリアンはLV1211の生物すべてを種族保存のための苗床とするため。プレデターは、最高の獲物であるエイリアンをおってLV1211に潜入したが、逆に人間にとらわれてしまった仲間二人を助け出すため。海兵隊は、エイリアンによって崩壊し、怒り狂うプレデターが跋扈するLV1211から生存者たちを救出するため。という、三者三様の目的が用意されている。ちなみにストーリーの時系列から判断するに、エイリアン→海兵隊→プレデターの順番でプレイするとストーリーがわかりやすいようだ。 さて、難易度についてだが、無限に沸いて出てくる敵、毎回変わるアイテム位置、セーブ回数制限、映画に基づいたバランス調整というシビアなつくりと緊張感が話題になった前作と比べ、一定地点を越えると敵登場、アイテム位置固定、セーブ回数無制限、ゲームとしてのバランス調整といったつくりの今作はかなりレベルが下がっている。アクションに慣れてない方でも、レベルを下げれば気軽にプレイして、雰囲気を味わうことができるだろう。ただ、難易度が下がったためか、前作を知っている筆者としては、エイリアンやプレデタープレイは正直、よくできたアクションゲーム以上のものは感じなかった。 しかし、海兵隊はマジで怖い! ある程度やりこんでしまえば、敵の場所がわかってくるものの、初めての場所を歩くときはどうしても慎重になってしまう。一定地点を過ぎると敵が襲ってくるといっても、その位置設定が秀逸。気づくと背後から「キシャー!」という叫び声が聞こえ、いきなり頭をパックリかじられている事もしばしば、映画エイリアン2の海兵隊たちの恐怖が身にしみてわかる。「リプリー、あんた肝っ玉据わり過ぎ!」と思ってしまうのである。 ちなみに、こういった恐怖を一度体験してしまうと、一歩一歩慎重に、動体センサーと耳に最大限の注意を払って進む臆病者に成り下がる。しかし、注意を払いすぎるため逆に肝心の戦闘行為が散漫になり、またもやエイリアンに捕食されるという繰り返しに。前作をプレイしている筆者でさえこれだから、始めてプレイする方は気をつけたほうがいい。特に心臓の弱い方はなおさらだ。 そんなのへっちゃらだい! という方は、部屋の電気を落としてヘッドホンでプレイすることを、強くお勧めしたい。ゲーム以外の物音にびっくりしたりして、だんだん現実世界とゲーム世界の区別が付かなくなってくる。ちなみに筆者は背後から近づいてきた家族に、死ぬほどびっくりしたという恥ずかしい経験をしてしまった。
すでに英語版は発売されているものの、日本語マニュアルつきの製品が1月18日にカプコンから発売される。英語に自信が無い方はそちらのほうを購入されることをお勧めしたい。長い冬の夜のお供としてプレイしてみるのはいかがだろうか。
□カプコンのホームページ (2001年12月27日)
[Reported by Tyokuta] |
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