★ PS2ゲームレビュー ★

会社で疲れた心と身体を、トロと旅行して癒そう
トロと休日


 待ちに待った「トロと休日」がついに発売された。シリーズ第1作目「どこでもいっしょ」は、'99年7月に発売すると同時に大人気タイトルとなり、なかでも登場キャラクタの猫の「トロ」がタレント的な存在となる。また、2000年1月には、子猫時代の「トロ」と遊べる追加ディスク「こねこもいっしょ」が発売。これにより「どこいつ」と「トロ」ブームは爆発的な勢いで加速し、渋谷「トロ誕生会」、花やしき「花やしきもいっしょ」、有楽町阪急デパート「どこでもいっしょ ~夏祭り~」など、各地で行なわれたイベントは軒並み大盛況となった。キャラクターグッズも飛ぶように売れ、限定発売の「トロ 等身大ぬいぐるみ」などは、現在ファンの間でプレミアが付いている。
 そして、11月29日にプレイステーション 2用ソフト「トロと休日」が発売された。「トロ」と一緒に懐かしい町を旅して、ゆったりと休日を楽しむという新感覚のこのゲームを、さっそくレビューしてみたい。


■ トロとの新しい出会いが待っている

偶然電車でトロと出会い、目的地も同じということで一緒に休日を楽しむことになる
 「トロと休日」では、プレーヤーとトロが出会ったところから始まる。これまで「どこいつ」シリーズをプレイした人には残念だが、「トロと休日」で登場する「トロ」は、プレーヤーのことを知らない。そこで、名前や性別、誕生日などを教え、新しく友達にならなくてはいけない。

 ゲームの目的は特に決まっておらず、「トロ」と一緒に毎朝旅館を出発し、いろいろな場所を訪れ、夜になったら旅館に戻って1日が終わる。その間は何をするのも自由で、浜辺で1日中遊んでも良いし、神社にお参りにいっても良いし、お店で食事しても良い。

 ゲームシステムは、従来の「どこいつ」シリーズのシステムそのままに、新たな要素を追加している。

 従来通りの部分は、「トロ」に話し掛けたり、言葉を教えたり、「しりとり」などのゲームをしたりしてコミュニケーションをとれるところ。どの場面でもコミュニケーションをとることは可能で、一日中同じ場所でずっと「トロ」に言葉を教えつづけることもできる。

旅館を出たら1日が始まる。特に目的をもたず、ぶらぶらと散歩するだけでも楽しい
 新たな要素として追加されているのは、手の形をしたカーソルで画面のなかの好きな場所をチェックできるところ。通常は白いカーソルが、チェックできる場所の上に来ると黄色くなる。そのカーソルが黄色くなった場所で○ボタンを押すと、様様なイベントが起こるようになっている。
 基本的には、カーソルを合わせたモノがピックアップされ、「トロ」がそれについての感想や意見を言ってくるので、プレーヤーはそれに対してリアクションをすればいい。また、お店や先に道が続いている場合、行きたい場所にカーソルを合わせてボタンを押せば、そこに向かうことができる。そのほかにも、道端に落ちているモノを拾って「トロ」にあげることもできる。

   いろいろな場所に移動したり、いろんなモノを見ているうちに時間は経過し、朝→昼→夕方→夜と変化する。時間帯によって、同じ場所でも起こるイベントが変化したり、夜だけお店が開いていたりするため、一度だけでなく何度も同じ場所に足を運ぶと、さらに新しい出来事が起きることがある。

知らないものを見つけると、それが何なのかを聞いてくる。正直に教えてもいいし、ヘンな言葉を教えても面白い。同じく「トロと休日」をやっている友達の主婦ゲーマー曰く「トロって、うちの子(5歳)と同じこと言うんだよね」


■ 休日に、余裕を持ってのんびり楽しもう

 プレイしてみた率直な感想は、「向き不向きのあるゲーム」だと思った。初めてプレイした時、会社で周りの人がガスガスと仕事している環境だったためか、イマチイ面白く感じなかった。「もっと早く動け!」とか、「1日が長すぎる!」などと思ってしまい、全く楽しめなかった。
 だが、土日に自宅でプレイしてみると印象が180°変わった。自宅でコタツに入り、お菓子と飲み物を手元に置いて、かなりゆるい気持ちでプレイしたところ、会社でプレイした時とは打って変わって「コレは面白い!」と思えるようになった。

 考えてみると、職場では「早くプレイして次の原稿を書かないと……」という状況のため、先へ先へと進むべく精神的に追い立てられている。環境的にもある程度の緊張感があるため、会社でまったりとプレイするのは至難の業。アクションや格闘ゲーム、シューティングなどは問題ないのだが、とても癒される環境とは言えない。
 時間に余裕のある休日に、自宅でぼーっと遊んでこそ「トロと休日」の真の面白さが味わえるのだろう。ある意味、自宅で映画を見るときのように、トイレを済ませ、電話線を抜き、飲食物を用意して環境を整えてからプレイすると良いと思う。

 一緒に「トロと休日」を購入した知り合いは「ゲームは攻略するものだ!!」と常日頃語るようなタイプなので、予想通り「トロと休日」にハマれなかったと言う。また、僕よりも重度なトロマニアの女性は、「トロと休日」にハマりすぎたらしく、自宅にひきこもってしまい現在音信不通になっている。
 このように、「トロと休日」は、プレイする人柄や環境によって大きく印象の変わるゲームだと思った。心や時間に余裕のある人、まったりとゲームをプレイできる人、トロが好きな人にはオススメのゲームなのだが、「攻略本ナシではゲームをやらない」という人や、ゆっくりゲームを楽しむ余裕がない人には向かないだろう。
 ゲームに登場する「たからもの」や、様々なイベントなど、攻略できそうなポイントは多々ある。しかし「トロと休日」は、攻略するゲームではなく、楽しむためのゲームなのである。

何度プレイしても、毎回違った旅がプレーヤーを待っている。トロとの会話を楽しんでもいいし、ひたすら「たからもの」集めをしてもおもしろい。時間や日にちでイベントが変わる場所もあるので、何回もプレイして、いろんな場所を周ろう


■ 記念写真を撮って、トロと一緒に思い出を作ろう

「トロと休日」では、記念写真を撮ることができる。「トロ」が記念撮影用の特別なポーズをとってくれることもあるので、フィルムは無駄使いせず、「これだぁ!」という時に撮ろう
 「トロと休日」の魅力と言えば、やはり「トロ」だろう。プレイステーション 2のパワーで、「トロと休日」では今までの「どこでもいっしょ」シリーズとは比べ物にならないくらい可愛らしく、良い動きをする。発売するまでは「実写とCGの合成は厳しいのでは……」と思っていたのだが、遊んでみて実写と「トロ」との違和感の無さに驚いた。地面に表示される影や、奥から手前に移動するときの遠近感、階段の上り下りなど、すべての場面で文句ナシ。「ポケステ」で遊んでいた時に「きっとこうであるに違いない」と想像していた通りの「トロ」だった。

 また、何もせずにぼーっと見ていると、いつも通りダンスなどの様々なアクションを披露してくれる。「トロと休日」ではアクションも増えており、さらに「トロ」の向きによっていろいろな方向からダンスなどを見ることができる。ちなみに、遊んでいて1度だけトロが後ろを向いて踊っていたのだが、あの姿はファン必見と言えよう。

 ゲームでは、24枚撮りのカメラを持ち歩いており、R1ボタンを押せば好きなときに撮影をすることができる。これで、「トロ」の可愛いところをバシバシ撮って記録に残せるのも、ファンにはたまらないポイント。「トロ」が時折見せる「ラジオ体操」や、とある場所に頭が挟まって抜けなくなるシーンなど、「これは撮らなければ!」という場面が多々ある。そのなかから自分なりのベストショットを撮って、友だちや他のファンに見せるという楽しみ方もできる。

表情豊かなトロ。表情やしぐさで、その時の感情がバッチリわかる。その純粋なところが、熱狂的ファンを引き付ける魅力なのかもしれない。

 ちなみに、現在4回目のプレイに突入しているが、まだまだ遊び尽くした感じはない。新しい楽しみ方として、様々な土地でぼーっと見ていると、「トロ」がそこでしか見せないアクションをするということを発見した。4回目は、各地を回って、まだ見たことのないアクションを見てみたいと思う。

(C) 2001 Sony Computer Entertainment Inc.


□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□製品情報
http://www.scei.co.jp/sd2/torokyu/
□関連情報
【11月29日】トロ、トロ、ゾロゾロ……PS2「トロと休日」発売記念 12月は「トロと休もう」月間!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011129/scei.htm

(2001年12月17日)

[Reported by 田名網陽平]

I
【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.