2002年4月、プレイステーション 2でブロードバンドサービス開始 |
これまでSCEIは、ブロードバンド構想を進めてきていたが具体的な発表はされていなかった。2000年にPS2用ブロードバンドアダプタを発表し、2001年2月にブロードバンドによるコンテンツ配信をおこなうために必要な認証システム「DNAS (Dynamic Network Authentication System) 」を発表。このテストを行なうために、ブロードバンドアダプタを7月から発売。スクウェアのPlayOnlineを通じてDNASのテストを行なってきた。こういったシステムの部分、部分がすべて結びつき、2002年のコンテンツ配信スタートへと結びつくこととなった。
PS2とブロードバンドをつかってコンテンツを配信する時、なにを配信するかという話になるが、もちろんその基幹部分にゲームが来ることは間違いない。このシステムを使うことでゲームのデモ版の配布なども行なえるとしている。もう一歩進めたダウンロード販売については「パッケージを販売するシステムが効率的で、よくできているため、すべてがダウンロード販売に移行することはない。当面は、パッケージを販売し、それをHDDにインストール。ソフトのアップデートなどを行なうといったスタイルになるだろう」と説明。このモデルは先日スクウェアが発表した「2001年3月期決算説明会資料」に記されているものとまったく一致する点が面白い。
こういったユーザーがソフトを遊ぶことができるか、HDDにインストールできるかなどを管理するのが巨大なデータベースシステム「DNAS」と言うことになる。DNASではすべてのPS2、メモリカードなどの周辺機器、そしてこの春から発売されているすべてのPS2ソフトに対してユニークナンバーを割り振っており管理している。このデータベースを使い試聴期間やペアレンタルロックといった部分をコントロールする事が可能だとしている。
SCEIの代表取締役社長兼CEOの久夛良木健氏は、PS2の今後の方針についてもいくつかコメントしている。ひとつはファームウェアアップデイトを行ないプログレッシブテレビに対応させる計画がある点。また、同様にファームウェアアップデイトを行なうことで、PS2でテレビ映像などをハードウェアレコーディングさせる事も可能になるようにしたいという。また、ハードディスクへのデータの記録などが始まると、40GBと言う容量も決して大きくないがこの点に関しては「まさしくそのために内蔵にしなかったのだ」と久夛良木氏は答えており、より容量の大きなものも発売される可能性が出てきた。さらにギガビットイーサなどについても「柔軟に対応したい」ということで、インフラの整備とともに登場する可能性がある。
ブロードバンドに対する計画は着々と進行中だが、電話回線などのナローバンドに対応について久夛良木氏は「なんらかの形で、米国のイーサネットと電話回線を接続できるユニットを日本でも発売したい」とコメントした。
今後のスケジュールは来年になってから利用金額を公表、2月に開催される発表会において、各ソフトウェアデベロッパが具体的なソフトウェアを発表するという。発表会の最後にブラウザイメージを公開。PS2同様宇宙をイメージしたかのようなブラウザイメージはPCとはまったく異質なものとなっている。
久夛良木氏は「ユーザーはパッケージやネットワークなどと意識せずに利用することになる。PS2はパッケージソフトを再生するプラットフォームとしてスタートしたが、これからはパッケージソフトとネットワークのプラットフォームとなる」と力強く断言した。同氏はネットワークによるリンクをとにかく強調しており、「これまで任天堂やXbox、Windowsなどプラットフォーム別にゲームが存在していたが、ネットワークの中ではすべてひとつになる。ユーザーもそれを望んでいる」とコメント。今後、次世代プレイステーションにむけて、どういった展開を見せるのかが注目される。
(2001年12月11日)
[Reported by 船津稔]
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